家族に疎まれて、醜穢令嬢として名を馳せましたが、信用出来る執事がいるので大丈夫です

花野拓海

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二章  しかし、概して人々が運命と呼ぶものは、大半が自分の愚行にすぎない。

やる意思がないんじゃなくて、面倒だからしないだけ。やる時は案外やるんです

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 デート。それは恋人の嗜みだと、レベッカは聞いたことがある。

 付き合った恋人、または付き合う直前の恋人がする神聖なる儀式。
 だが、前提としてこれは好きあっている者同士がすること。相思相愛であることが条件だ。

 一応レベッカとアイトは相思相愛と言えるだろう。
 お互いがお互いを好きだとわかっているし、キスだって何度もしている。その次のステップに進むことだって、レベッカ的にはやぶさかでない。

 だが、問題もある。

「服と待ち合わせ場所………」

 現在待ち合わせの一時間前。レベッカは昨日の夜アイトが用意していた服を数着眺めている。

「私に服のセンスなんてないんだけどなぁ………」

 だが用意されてるのはアイトが買ってきた服で、アイトが見繕った服だ。別にレベッカのセンスなんて気にしなくてもいい。

「バッグはいいけど、服がなぁ」

 誰かに相談しようとも、相談できる相手がいない。
 レベッカには友達もいないから。

「まあ、これでいいかな」

 結果、白いワンピースにピンクのカーディガンを切る事にした。

「うん。わかんないけど、きっと大丈夫だよね」

 アイトが買ってくれた服は、使用人達も汚すことができないので、綺麗な状態のままだ。

「あとは、待ち合わせ、だよね」

 デートをしようと言われた後、待ち合わせに憧れていたレベッカはアイトに待ち合わせを提案したのだが、よく考えるとレベッカは外に出ることも困難なのだ。

「それはしょうがないかな」

 まあ、脱走するしか方法はない。
 最近よく脱走しているので、そろそろバレそうだが、なんとかなるだろう。

「じゃあ今日も窓から………」

 バッグを持って窓を開けて空を飛んで脱走しようとしたところで、

「なにやってんの?」

 最悪のタイミングで使用人がやってきた。

「あっ………」

 このまま捕まれば、レベッカはしばらくの間動けないだろう。
 それは、困る。

「たく、脱走しようなんて巫山戯てんの?アイト様がいない今、あんたはサンドバックになる運命なのよ」

 なので、レベッカは逃げ出すことにした。
 今までレベッカは暴力に対して抵抗しなかった。
 なぜか?それはただでさえ悪いレベッカの対応がさらに悪くなるからだ。

 だが、今日はアイトとのデート。
 邪魔されるのだけは

「嫌だ………」

 レベッカは確固たる意志を持って使用人を見る。

「なに?その目は。あんたはさっさとそこに這い蹲ればいいのよ!」

 使用人が箒を持って襲いかかってくる。

(遅いな………)

 だが、アイトに少しは鍛えられているレベッカからしてみれば、鈍くてしょうがなかった。

「倒れろ!」

 使用人がレベッカの頭に向かって箒を振るう。
 軌道がわかりすぎる。
 レベッカは少ししゃがんで回避すると、その使用人の頭を掴んだ。

「な、なにすんのよ!」

 言葉は強気だが、その声音に覇気はなかった。
 その状態のままレベッカは一言。

「"忘却ロスト"」

 それだけで、ここに来たこと、そして来る前の記憶を消滅させた。

「ふぅ………これで、大丈夫かな?」

 取り敢えず、部屋から外に出し、レベッカはアイトとの待ち合わせ場所に向かうために窓から脱出した。
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