家族に疎まれて、醜穢令嬢として名を馳せましたが、信用出来る執事がいるので大丈夫です

花野拓海

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二章  しかし、概して人々が運命と呼ぶものは、大半が自分の愚行にすぎない。

「そこの角を右に曲がってください。なにがあるかって?なにもないよ?」

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 あのデートの日から一週間の時が経過した。
 あの日から使用人たちはレベッカの部屋を訪れることはなくなり、兄も姉も、父ですらレベッカの部屋に来ることは無くなった。

 そんな中、唯一レベッカの部屋に来てくれる人が一人。

「おはようございます。お嬢様」

 アイトだった。
 
「おはよう。アイト」

 椅子に座りながら挨拶をするレベッカ。
 これがあの日からの日常だった。

 レベッカはあのデートの日から必要以上に部屋の外に出ることは無くなった。
 出るとしたらお手洗いとお風呂の時だけ。

 廊下で使用人とすれ違っても反応はなし。
 睨まれることも舌打ちされることもあったが、なにもされなかった。

 唯一なにかをしようとしてきた者は、近くにいたアイトに怯えてなにも出来なかった。

 レベッカは今、完全にアイトの庇護下にいる。
 そんなことを考えながらレベッカはアイトが作って来てくれた朝食を食べている。

「本当に、いいのかな」

 窓の外を眺めながらの独り言。だけど、その一言をアイトはしっかりと聞き取った。

「なにがですか?」

「だって、厄災を呼ぶ私が、こんなにいい暮らしができるだなんて………」

 ヴァインヒルトがレベッカを追い出さない理由はわかっている。
 追い出すと、ヴァインヒルトが貴族として不利な立ち位置になるからだ。
 内緒に追い出そうにも、アイトの存在がそれを邪魔する。追い出しても、アイトがその事実を国中に公表するだろう。
 アイトはそれほどの信用を得ている。

「いいんですよ。お嬢様はあの方の娘ですから。むしろ、今の境遇を嘆くくらいでないと」

「そう、なのかな?私は、こんな厄介な恩恵ギフトをもらったから、厄介払いされてもしょうがないと思ってるけど………」

 レベッカは厄介払いされない理由を知らないので、この現状が不思議で仕方がなかった。

「アイトが………」

 このまま連れて行ってくれたらいいのに。レベッカはそう言おうと思ったが、それはレベッカの口からは出なかった。

 レベッカの考えていること。それはアイトにこれ以上負担をかけることになるからだ。

「?どうしましたか?」

 だが、なにも知らないアイトはそう質問するだけ。

「ううん。なんでもないよ。それより、明後日には王都に向かって出発するんだよね?」

「はい。王都で社交会が開かれますから、そこへの参加です。旦那様も渋々お嬢様の参加を認めてくださいました」

 ヴァインヒルトとしては、子供たちのお見合いも兼ねているのだが、条件として子供は全員参加という条件。

 ヴァインヒルトはレベッカを目立たせないために色々と考えているが、

「私、アイトが買ってくれたドレス、着るの楽しみ」

 レベッカは、既にアイトが買ってくれたドレスを着ることは確定している。

「はい。存分にお嬢様の魅力を見せてくださいね」

 レベッカとしては、アイトだけに素敵な姿を見せたいと思っている。
 だけど、完璧なアイトの隣にいたいから。だからレベッカは目に見える範囲にいる全ての人に自分の魅力を見せようと、そう考えたのだ。

「私、頑張るからね!」

 そうして朝の一幕は幕を閉じる。
 そして、物語は波乱の社交会へと移行する。
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