家族に疎まれて、醜穢令嬢として名を馳せましたが、信用出来る執事がいるので大丈夫です

花野拓海

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二章  しかし、概して人々が運命と呼ぶものは、大半が自分の愚行にすぎない。

そこの突き当たりを直進してくださいね

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 結局、レベッカは誘いに応じてしまった。
 レベッカもこの時間は立派な貴族令嬢。ここで誘いを断ると、他貴族との間に溝ができる可能性があった。さすがに今まで家に散々迷惑をかけてきたぶん、ここに来てまで迷惑をかけたいなどとは思わなかった。

(これは貴族同士の付き合いだから………)

 レベッカは、取り敢えずそう納得してナイルについて行くことにしたのだ。
 だが、レベッカもいやいやついて行っている訳では無い。

 レベッカからしてみても、ナイルの話してくれることはなかなか興味深く、決してつまらない内容ではなかったのだ。

 もっとも、経済状況なんかを言われてもレベッカには理解はできないのだが。

「ですのでうんたらかんたら………」

 ナイルは頑張って話しかけてくれるが、分からないところはわからないのだ。

(関わらせてくれなかったしね………)

 折角自分に付き合ってくれているのに、レベッカは申し訳ない気持ちで一杯だった。

「レベッカ………」

 と、突然レベッカの名前を呼ばれた。

「はい………!?」

 自分のことを知っている。そのことを疑問に思いながら振り向くと、そこにはレベッカの姉であるルルアリアが飲み物を片手にたっていた。

「ねえ、さま………」

 そこに立っていた意外な人物に、レベッカはつい言葉を零してしまう。

「なによ?私がここにいるのがそんなに不思議?」

 言葉ではなんともなさそうに。だけども表情では苛立ちを隠すことも無く言う。

「そういうわけじゃ、ないけど………」

 ただ、レベッカは自分が話しかけられると思わなかっただけだ。
 ルルアリアは、そんななんとも言えない様子のレベッカを一瞥すると、すぐに視線を別の人に向けた。
 別の人、ナイルに。

「お久しぶりですね。ナイル様」

「ルルアリア嬢も、お元気そうで何よりです」

 社交辞令としての挨拶を交わす2人。だが、2人の目は別のことを意味していた。

 ルルアリアの目はナイルに対する興味を物語っていた。

「で、ではお二人も積もる話もありますでしょうし………」

 レベッカはそう言ってその場を去ろうとした。
 もしここで、下手にルルアリアの邪魔をしてしまえば、帰った後になにをされるのかわかったものじゃない。

 また虐められるとわかったレベッカは、この場を即座に引こうと思ったのだ。

 そんなレベッカの様子に、偶には利口なことをするじゃないかと考えていた。

 だが、そんなレベッカの思惑は

「少し待ってください」

 ナイルの一言によって止められてしまった。
 その一言に、レベッカは思わず止まってしまう。

「ナイル様?」

 ルルアリアも、ナイルの行動の意図が読めないのか、頭が混乱しているのかわからないが、ナイルに疑問をぶつける。

「ナイル様があんな子に構う必要なんてないですよ。それよりも私と………」

 お話しを。その言葉を紡ごうとしていたルルアリアの言葉は途中で中断されることとなった。
 さりげなくナイルに触れようとしていたルルアリアの手は、ナイルがルルアリアの手を弾くことによって中断される。

「あまり気安く触れるのはマナー違反ではないですか?ルルアリア嬢」

 ナイルの拒絶という、レベッカの予想だにしなかった行動によって。
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