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二章 しかし、概して人々が運命と呼ぶものは、大半が自分の愚行にすぎない。
空虚な朝
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「えっと、次はキャベツだね」
メモを見ながらレベッカは八百屋に向かう。
「でも、なんでキャベツだけなんだろう………」
純粋な疑問。
今日が買い出しなのだから、買う野菜がキャベツだけということは無いはずだ。しかも1玉。おかしすぎる。
「まあ、気にしても仕方がないけど」
気にしても、それを聞くアイトもレベッカの傍にはいない。
割り切ってレベッカは買い物を済ませることにした。
「こんにちは~。キャベツください」
醤油が入ったカバンを片手にレベッカは八百屋の扉を開けながらそう言った。
奥から「はーい」と言いながら、優しそうな雰囲気の旦那さんが歩いてきた。
「いらっしゃい。キャベツだね?ちょっと待ってな」
そう言って旦那さんは奥への引っ込んでいく。
「いらっしゃい。ごめんなさいね。あの人、段取りが悪くて」
「いいですよ。私もゆっくりしますので」
出てきた奥さんへそう言って、レベッカは店の中を見る。
店は入口と、少しのスペースしかなく、品物は奥に置いてあるそうだ。
「それにしても、キャベツだけでいいのかい?」
「はい。貰ったメモにもそれしか書いてませんでしたので」
レベッカは改めてメモを見ながらそう言う。
「それにしても、この店は前に商品を出さないのですね」
ふとした疑問を問いかけると、奥さんも笑いながら答えてくれた。
「うちはあの人の恩恵の効果もあったね、年中新鮮な野菜が栽培できるからね。野菜が古くならないように恩恵の範囲内に保管しているのさ」
奥さんの親切な説明のおかげでだいたい理解した。
「それにしても、屋敷のお嬢さんがこんなに綺麗な方なんてね」
奥さんの言葉で、レベッカは少し顔を下げる。
予想はしていたことだが、レベッカの容姿は街に広まっているようだ。
「奥さんは、どう思いますか?私のこと」
一瞬、質問の意図がわからずに、奥さんはキョトンとしていたが、直ぐに笑ってレベッカの頭を撫でた。
「ふぇ!?」
「なに悩んでんだい。子供が変な心配することないよ。あんたはあんた。それだけで十分さ。あんたのことを悪く思ってる人物なんてあんたが思ってるよりもずっと少ないもんだよ」
だから、元気だせと。そう言ってくれた。
「はい。キャベツだよ。気をつけて持って帰りな」
レベッカはお代を払って、キャベツを受け取る。
「ありがとうございます。奥さんも、色々とありがとうございます」
「いいってことよ。また何時でも来な」
気のいい奥さんに見守られながら、レベッカは次の店へと向かった。
「………いい人、だったな」
お味噌の人も、八百屋の奥さんも。いい人だった。
今まで人の悪意に晒されながら生きてきたのもあり、レベッカにとっては、その二人の言葉だけでも嬉しかった。
「憎悪にばかり、気にしなくてもいいのかな」
自分も、人の優しさに目を向けてもいいのかな。
そんなことを考えていると、前方からアイトが歩いてくるのが見えた。
「アイト!」
レベッカが小走りに近づくと、アイトもレベッカに気が付いたのか優しく微笑んだ。
「お嬢様。買い物はどうですか?」
「うん。あとお砂糖だけ。アイトは?」
「僕はもう終わりました。折角なのでご一緒しましょう」
「ほんと!?ありがとう」
そうして歩き出したレベッカに、アイトが手を差し伸べてきた。
「エスコートは、紳士の務めですよ」
そんなことを言うアイトに恥ずかしくなりレベッカは顔を真っ赤にしながら手を握った。
手を繋ぎながら二人で調味料専門店に向かう。
向かっているお店こそ、雰囲気も何も無いが、レベッカにとってはその何気ない瞬間も楽しいのだ。
「着きましたよ」
調味料専門店に二人で入ると、カウンターの奥で座っていたお店の人は、少しだけビックリすると、笑った。
「あら?あのアイト・カイトにも遂に春が?」
「はい。少し前からですがね」
アイトのその堂々とした言葉に、レベッカは恥ずかしくなり顔を赤くして下を向き、お店の人は微笑んだ。
「あらあら。しかもルーズ家のご令嬢だなんて。随分と大物ね」
その言葉に、レベッカはビクッとする。
「あまりからかわないでくださいね」
「はいはい」
お店の人は「ふふっ」と笑い、アイトも気にしてないのか砂糖を持ってカウンターに行く。
「はい。ありがとうね。今後ともご贔屓に」
「きっとまた来ますよ」
そう言って外に向かったアイトに続いてレベッカも外に出ようとするが、「待って」っとお店の人に止められる。
「え?」
ビックリしたレベッカは思わず振り向き、アイトはため息を吐きながら言った。
「またちょっかいですか?好きですね」
「いいじゃないの。それに、ちょっかいじゃなくてアドバイス、よ」
お店の人はそう言うと、レベッカに向かって言った。
「あなたの境遇はなんとなく聞いてるわ。だからこそ、言わせてもらうわね」
「は、はい」
お店の人は一度目を閉じると目を開いて言った。
「この先、あなたにはより過酷な困難が立ちはだかると思うの。でも、諦めないで。この先に光があると信じてね」
「私からは以上よ」と言ったお店の人に、レベッカはなんとも言えない返事しか出来なかった。
「じゃあ、また来てね」
そんな声に見送られながら、二人は店を出た。
屋敷への帰り道。二人の間に会話はなかった。
「どうでしたか?初めてのお使いは」
やっぱり狙っていたのだと、確信したレベッカは少しだけアイトを睨む。
だが、その睨みを笑って受け流すと、
「でも、悪くはなかったでしょう?」
そう言われて、レベッカは少し考える。
お味噌屋さんの店の人や八百屋の奥さんはレベッカに優しい言葉を送ってくれた。
調味料のお店の人は、レベッカにアドバイスをくれ、また来てと言ってくれた。
「それぞれ、あなたを邪険にした人はいなかったはずです」
「うん。みんな、やさしくしてくれた」
人の温もりに触れた。
「なら、よかったです」
「………もしかして、それが目的だった?」
レベッカがジト目で見るが、アイトは笑うだけだった。
「レベッカはずっと、人の悪意に晒されてきましたからね。たまには、優しさに触れてもいいでしょう」
だから、アイトはそのための人を選んだのだ。
「では、屋敷に帰りましょうか」
手を繋いで帰ってきた二人に、屋敷の人達は驚いていたが、アイトもレベッカもそれを気にしなかった。
そして時刻は夜。
「ねえ、アイト………」
「はい。どうしましたか?」
夕食も食べ、お風呂に入り、寝る時間になった時に部屋を出ていこうとするアイトにレベッカは声をかけた。
「たまには、一緒に寝ない?」
アイトは驚愕したが、直ぐに笑った。
「ふふっ」
「ちょっと、笑わないでよ」
レベッカは不満を零すが、アイトは止めない。
「いえ、随分と素直になったな、と思いまして」
これも変化の一つだろうか。レベッカの変化を嬉しく思いなが、寝る準備をする。
レベッカは?を浮かべていたが、
「寝ないんですか?」
アイトにそう言われて、レベッカもベッドの中に入る。
「ちょっと、恥ずかしいね………」
「わからずに言ったんですか?」
「だって、こんなに恥ずかしいなんて、思ってなかったんだもん………」
ささやかな反論をしつつ、レベッカはアイトの方に寝返りを打つ。
アイトとレベッカの目があい、羞恥でレベッカは目を逸らしてしまった。
「なぜ逸らしたのですか?」
「うぅ~。わかってるくせに………」
「すみません」
静かに笑いながら会話は続く。
「ねぇ、アイト」
「なんですか?」
「もっと、甘えてもいいのかな?」
「いいに決まってますよ」
アイトは頷きながら言う。
「レベッカが甘えれる人は少ないですからね。今のうちに思いっきり甘えるのもいいですよ」
「今はしないよ」
二人でベッドの中で静かに笑い合う。
「アイト」
「なんですか?」
「おやすみなさい」
レベッカの言葉に、アイトは笑いながら言う。
「はい。おやすみなさいレベッカ」
レベッカの薄れゆく意識の中、アイトがなにかを言った気がした。
「安心してくださいね。僕が、必ず守りますから」
次にレベッカの意識が覚醒した時には、顔に光が当たるのを感じた。
「う………ん………」
眠い目を擦りながら起き上がると目の前にアイトの顔があった。
「うひゃァ!」
突然の光景に、思わず声を上げてしまったが、よくよく考えれば昨日自分が誘ったのだと思い出した。
思い出したらまた恥ずかしくなってきたので、レベッカは考えるのを辞めた。
そして手を見ると、レベッカはアイトの手も握っていた。
「あっ………」
途端に申し訳なさが出てくる。アイトの手も、一晩中握っていたからか、冷たくなっていた。
レベッカはアイトの手を解いて、アイトを改めて見る。
「それにしても、アイトがまだ寝てるのって珍しいね」
イタズラしちゃえ!っと、アイトの顔をツンツンする。
「アイト~」
ツンツンツンツン。
「アイト~?」
ツンツンツンツンツン。
「あれ?なんで起きないの?」
焦れったくなって、アイトの身体を思いっきり揺する。
ゆらゆらゆらゆらゆら。
「ねえ、なんで起きないの?」
それでも、アイトの目は開かなかった。
「ねえ、起きてよアイト」
レベッカは身体を揺さぶり続ける。
起こして、起こして、起こして、起こして、起こして、起こして、興して、お越して、お越しておこしておこしておこしておこしておこして
「ねぇ………アイト………?」
その身体は、決して起き上がらなかった。
メモを見ながらレベッカは八百屋に向かう。
「でも、なんでキャベツだけなんだろう………」
純粋な疑問。
今日が買い出しなのだから、買う野菜がキャベツだけということは無いはずだ。しかも1玉。おかしすぎる。
「まあ、気にしても仕方がないけど」
気にしても、それを聞くアイトもレベッカの傍にはいない。
割り切ってレベッカは買い物を済ませることにした。
「こんにちは~。キャベツください」
醤油が入ったカバンを片手にレベッカは八百屋の扉を開けながらそう言った。
奥から「はーい」と言いながら、優しそうな雰囲気の旦那さんが歩いてきた。
「いらっしゃい。キャベツだね?ちょっと待ってな」
そう言って旦那さんは奥への引っ込んでいく。
「いらっしゃい。ごめんなさいね。あの人、段取りが悪くて」
「いいですよ。私もゆっくりしますので」
出てきた奥さんへそう言って、レベッカは店の中を見る。
店は入口と、少しのスペースしかなく、品物は奥に置いてあるそうだ。
「それにしても、キャベツだけでいいのかい?」
「はい。貰ったメモにもそれしか書いてませんでしたので」
レベッカは改めてメモを見ながらそう言う。
「それにしても、この店は前に商品を出さないのですね」
ふとした疑問を問いかけると、奥さんも笑いながら答えてくれた。
「うちはあの人の恩恵の効果もあったね、年中新鮮な野菜が栽培できるからね。野菜が古くならないように恩恵の範囲内に保管しているのさ」
奥さんの親切な説明のおかげでだいたい理解した。
「それにしても、屋敷のお嬢さんがこんなに綺麗な方なんてね」
奥さんの言葉で、レベッカは少し顔を下げる。
予想はしていたことだが、レベッカの容姿は街に広まっているようだ。
「奥さんは、どう思いますか?私のこと」
一瞬、質問の意図がわからずに、奥さんはキョトンとしていたが、直ぐに笑ってレベッカの頭を撫でた。
「ふぇ!?」
「なに悩んでんだい。子供が変な心配することないよ。あんたはあんた。それだけで十分さ。あんたのことを悪く思ってる人物なんてあんたが思ってるよりもずっと少ないもんだよ」
だから、元気だせと。そう言ってくれた。
「はい。キャベツだよ。気をつけて持って帰りな」
レベッカはお代を払って、キャベツを受け取る。
「ありがとうございます。奥さんも、色々とありがとうございます」
「いいってことよ。また何時でも来な」
気のいい奥さんに見守られながら、レベッカは次の店へと向かった。
「………いい人、だったな」
お味噌の人も、八百屋の奥さんも。いい人だった。
今まで人の悪意に晒されながら生きてきたのもあり、レベッカにとっては、その二人の言葉だけでも嬉しかった。
「憎悪にばかり、気にしなくてもいいのかな」
自分も、人の優しさに目を向けてもいいのかな。
そんなことを考えていると、前方からアイトが歩いてくるのが見えた。
「アイト!」
レベッカが小走りに近づくと、アイトもレベッカに気が付いたのか優しく微笑んだ。
「お嬢様。買い物はどうですか?」
「うん。あとお砂糖だけ。アイトは?」
「僕はもう終わりました。折角なのでご一緒しましょう」
「ほんと!?ありがとう」
そうして歩き出したレベッカに、アイトが手を差し伸べてきた。
「エスコートは、紳士の務めですよ」
そんなことを言うアイトに恥ずかしくなりレベッカは顔を真っ赤にしながら手を握った。
手を繋ぎながら二人で調味料専門店に向かう。
向かっているお店こそ、雰囲気も何も無いが、レベッカにとってはその何気ない瞬間も楽しいのだ。
「着きましたよ」
調味料専門店に二人で入ると、カウンターの奥で座っていたお店の人は、少しだけビックリすると、笑った。
「あら?あのアイト・カイトにも遂に春が?」
「はい。少し前からですがね」
アイトのその堂々とした言葉に、レベッカは恥ずかしくなり顔を赤くして下を向き、お店の人は微笑んだ。
「あらあら。しかもルーズ家のご令嬢だなんて。随分と大物ね」
その言葉に、レベッカはビクッとする。
「あまりからかわないでくださいね」
「はいはい」
お店の人は「ふふっ」と笑い、アイトも気にしてないのか砂糖を持ってカウンターに行く。
「はい。ありがとうね。今後ともご贔屓に」
「きっとまた来ますよ」
そう言って外に向かったアイトに続いてレベッカも外に出ようとするが、「待って」っとお店の人に止められる。
「え?」
ビックリしたレベッカは思わず振り向き、アイトはため息を吐きながら言った。
「またちょっかいですか?好きですね」
「いいじゃないの。それに、ちょっかいじゃなくてアドバイス、よ」
お店の人はそう言うと、レベッカに向かって言った。
「あなたの境遇はなんとなく聞いてるわ。だからこそ、言わせてもらうわね」
「は、はい」
お店の人は一度目を閉じると目を開いて言った。
「この先、あなたにはより過酷な困難が立ちはだかると思うの。でも、諦めないで。この先に光があると信じてね」
「私からは以上よ」と言ったお店の人に、レベッカはなんとも言えない返事しか出来なかった。
「じゃあ、また来てね」
そんな声に見送られながら、二人は店を出た。
屋敷への帰り道。二人の間に会話はなかった。
「どうでしたか?初めてのお使いは」
やっぱり狙っていたのだと、確信したレベッカは少しだけアイトを睨む。
だが、その睨みを笑って受け流すと、
「でも、悪くはなかったでしょう?」
そう言われて、レベッカは少し考える。
お味噌屋さんの店の人や八百屋の奥さんはレベッカに優しい言葉を送ってくれた。
調味料のお店の人は、レベッカにアドバイスをくれ、また来てと言ってくれた。
「それぞれ、あなたを邪険にした人はいなかったはずです」
「うん。みんな、やさしくしてくれた」
人の温もりに触れた。
「なら、よかったです」
「………もしかして、それが目的だった?」
レベッカがジト目で見るが、アイトは笑うだけだった。
「レベッカはずっと、人の悪意に晒されてきましたからね。たまには、優しさに触れてもいいでしょう」
だから、アイトはそのための人を選んだのだ。
「では、屋敷に帰りましょうか」
手を繋いで帰ってきた二人に、屋敷の人達は驚いていたが、アイトもレベッカもそれを気にしなかった。
そして時刻は夜。
「ねえ、アイト………」
「はい。どうしましたか?」
夕食も食べ、お風呂に入り、寝る時間になった時に部屋を出ていこうとするアイトにレベッカは声をかけた。
「たまには、一緒に寝ない?」
アイトは驚愕したが、直ぐに笑った。
「ふふっ」
「ちょっと、笑わないでよ」
レベッカは不満を零すが、アイトは止めない。
「いえ、随分と素直になったな、と思いまして」
これも変化の一つだろうか。レベッカの変化を嬉しく思いなが、寝る準備をする。
レベッカは?を浮かべていたが、
「寝ないんですか?」
アイトにそう言われて、レベッカもベッドの中に入る。
「ちょっと、恥ずかしいね………」
「わからずに言ったんですか?」
「だって、こんなに恥ずかしいなんて、思ってなかったんだもん………」
ささやかな反論をしつつ、レベッカはアイトの方に寝返りを打つ。
アイトとレベッカの目があい、羞恥でレベッカは目を逸らしてしまった。
「なぜ逸らしたのですか?」
「うぅ~。わかってるくせに………」
「すみません」
静かに笑いながら会話は続く。
「ねぇ、アイト」
「なんですか?」
「もっと、甘えてもいいのかな?」
「いいに決まってますよ」
アイトは頷きながら言う。
「レベッカが甘えれる人は少ないですからね。今のうちに思いっきり甘えるのもいいですよ」
「今はしないよ」
二人でベッドの中で静かに笑い合う。
「アイト」
「なんですか?」
「おやすみなさい」
レベッカの言葉に、アイトは笑いながら言う。
「はい。おやすみなさいレベッカ」
レベッカの薄れゆく意識の中、アイトがなにかを言った気がした。
「安心してくださいね。僕が、必ず守りますから」
次にレベッカの意識が覚醒した時には、顔に光が当たるのを感じた。
「う………ん………」
眠い目を擦りながら起き上がると目の前にアイトの顔があった。
「うひゃァ!」
突然の光景に、思わず声を上げてしまったが、よくよく考えれば昨日自分が誘ったのだと思い出した。
思い出したらまた恥ずかしくなってきたので、レベッカは考えるのを辞めた。
そして手を見ると、レベッカはアイトの手も握っていた。
「あっ………」
途端に申し訳なさが出てくる。アイトの手も、一晩中握っていたからか、冷たくなっていた。
レベッカはアイトの手を解いて、アイトを改めて見る。
「それにしても、アイトがまだ寝てるのって珍しいね」
イタズラしちゃえ!っと、アイトの顔をツンツンする。
「アイト~」
ツンツンツンツン。
「アイト~?」
ツンツンツンツンツン。
「あれ?なんで起きないの?」
焦れったくなって、アイトの身体を思いっきり揺する。
ゆらゆらゆらゆらゆら。
「ねえ、なんで起きないの?」
それでも、アイトの目は開かなかった。
「ねえ、起きてよアイト」
レベッカは身体を揺さぶり続ける。
起こして、起こして、起こして、起こして、起こして、起こして、興して、お越して、お越しておこしておこしておこしておこしておこして
「ねぇ………アイト………?」
その身体は、決して起き上がらなかった。
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