家族に疎まれて、醜穢令嬢として名を馳せましたが、信用出来る執事がいるので大丈夫です

花野拓海

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3章 逆境は真実へと至る最初の道筋である。

雨に降るなとは言わない。だけどタイミングを考えて欲しいよね。降る時間を夜中に限定するとかさ

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 一度再生を見せたからなのか、ヴァインヒルトは、怪我を気にすることなくレベッカに向かって突き進んでいく。

「えいっ、やあっ、とりゃぁ!」

 レベッカも何発も魔法を撃つが、ヴァインヒルトはそれを気にせずに進んでいく。

「相性が、悪い………」

 これが、レベッカがヴァインヒルトと相性が悪い理由。
 レベッカは、強固な結界を展開できる時間が短いこともあり、完全に守りに入ることも、ヴァインヒルトを閉じ込めることもできない。
 そして、相性が悪いもう一つの理由は

「【完全再生】。これの厄介さを理解してきたんじゃないか?」

 ヴァインヒルトはそう言いながら笑う。
 
「やっぱり、人が悪いね」

「お互い様だろ?」

 ヴァインヒルトの恩恵ギフトが面倒だ。
 ヴァインヒルトの恩恵ギフトを理解してから、レベッカはこれが【無限再生】ならば勝てたと判断した。
 それは二つの能力の決定的な差である。
 だが、結論から言えば、レベッカではヴァインヒルトには勝てない。

「どうした?もう終わりか?」

 ヴァインヒルトの【完全再生】には体力や魔力を消費することがない。

「やっぱり、恩恵ギフトって理不尽だよね」

 持たざる者であるレベッカにとっては、羨ましい限りである。

「どうした?最初の威勢はどこに行った?」

 ヴァインヒルトは接近し、剣で攻撃を仕掛けるが、レベッカはその斬撃を楽々回避する。

「ちっ!反射神経だけは一人前だな」

 ヴァインヒルトは悪態付くが、それはレベッカも同じだ。

(どうしても攻めきれない)

 凍てつかせても、自身を内部から燃やして復活する。
 風の斬撃で腕を飛ばし、切り口を燃やして再生を封じてもすぐに消火されて再生する。その隙を与えなくても炎を飲み込んで再生する。
 そして他の再生系の恩恵ギフトとは違い、精神すらも再生するので、廃人になることもない。
 そして最も厄介なのは

「なんでさっきから接近戦で仕掛けてくるの!?」

 ヴァインヒルトが遠距離攻撃に切り替えないことだ。

「見抜いたからだよ」

「見抜いた………?」

「ああ、そうだ。お前、魔法による遠距離攻撃はできても、武器を用いる接近戦は大したことないだろ?接近戦でお前ができることは回避だけだ」

 それを聞いて、レベッカの顔から余裕が無くなる。
 ヴァインヒルトは、本気でレベッカを封殺しに来ている。

(距離を………)

 対抗するために離れようとするが、

「行かせるわけないだろ?」

 ヴァインヒルトの魔法によって逃げ道を防がれる。
 いくら威力がレベッカよりも下の魔法でも、そこそこ強力だし、一撃でも当たればレベッカの命は危険だ。

「発っ!」

 瞬間、ヴァインヒルトが魔力の乗った咆哮を上げた。
 咆哮は、声に魔力を乗せ、相手の意識を一瞬だけ潰すだけのシンプルな魔法だ。
 ヴァインヒルトの魔力程度では、レベッカの意識を奪うことはできやしないだが、

「!?」

 刹那の隙を生み出すことは可能だ。

「もらった!」

 邪悪な笑みを浮かべ、ヴァインヒルトはレベッカに向かって剣を振りかざす。その瞬間、

「なっ!?」

 レベッカの姿が消えた。
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