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未知との遭遇
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「そこに寝ろ」
上等なベルベットで撫でられるような魅惑的な声が、短く命じた。
指示通りに豪奢な寝台の上に横になった聖女は、冷めた瞳で声の主……頭に二本の角を持つ人型の魔物を見上げる。
湯浴みを終えたばかりの身体は薄い夜着を羽織るのみで、その下は生まれたままの状態だ。これから我が身に起こることも、承知していた。
寝台に乗り上げてきた魔物は、人間と明らかな差異があるものの、端麗であった。星すらも沈黙した深淵の空を切り取ったかのような滑らかな闇色の肌に、紺碧と暁の空の如き二対の双眸を持っている。今は身の内に隠しているが、その背には蝙蝠に似た漆黒の翼もあった。
あらゆる生き物を超越した美しさを持つ異形は、人間界に宣戦布告した魔界の王である。
そして、聖女もかつて所属した魔王討伐隊は、その戦いに敗れた。もう少し正確に言うと、魔界城の最奥……謁見の間で魔王と対峙したものの、勇者は剣すら抜けず、魔導士は一文字たりとも呪文を詠唱できなかった。
猛々しい四体の巨獣を従え、全身から途方もない魔力を放出させる美しき人型の魔物……そんな魔王の姿を前にして戦意を喪失したらしい仲間達は恥も外聞もなく命乞いをし、あろうことか聖女である自らを生贄として差し出したのだ。(彼女は何も知らされていなかったが、どうやら祖国と魔王軍との間で水面下の交渉がなされていた)
長く厳しい魔界への旅路の果て、彼らとの間に強固な絆が生まれていたと信じていたのは己一人だけだった。勇者や賢者と呼ばれ、人々の期待と尊敬を一身に受けてきた人間達から受けた醜い裏切りに、聖女の心は一度死んだ。
そうして魔王城の虜囚となった聖女は、魔力で身体の自由を奪われ、自刃することさえできず現在に至る。彼女は魔王の慰み者と言う現在の立場よりも、身勝手な人間達に絶望していた。
魔王は、躊躇いなく彼女の夜着をはぎ取っていく。やや乱雑な手つきで肩紐を引き解かれると、薄絹を割ってたわわな二つの膨らみの淡く色づく頂がプルンと零れ出した。
次いで、黄金の茂みに守られた秘部が暴かれ、外気に晒された肌寒さから生白い太ももはふるりと震える。
「動くな」
無意識に内股をすり合わせ、神秘の三角地帯を隠そうとしたことを咎められて、聖女はギクリと身体を硬直させる。
「ゆっくりと、足を開け……見せつけるように」
娼婦紛いの奉仕を要求してくるに魔王に、頭を鈍器で殴られたような衝撃を受けた。
そして、己の意思とは裏腹にそろそろと足が開いていく。これも掛けられた魔力のなせる業なのか……誰にも見せたことのない大事な場所が、赤と青の四つ目に晒されていく。グッと距離を詰めてきた魔王の呼気が秘部を撫で、彼女は顔を背けて唇を噛み締めた。
多少抵抗された方が愉しめると言う悪趣味な計らいで、ある程度は己の意思で身体が動く。
ただし、決定的な抵抗はできないことが一層もどかしく、聖女の絶望感を煽った。
「……あっ……!」
スラリと長い黒指が禁忌に触れた時、噛み締めた口からは呆気なく声が上がった。彼女の初心な反応を鼻で笑う魔王に、全身の血が沸騰する。
無遠慮に茂みを弄り始めた指の動きは信じられないくらいにいやらしく、焦らすように膣口には触れてこなかった。その指が触れる際どい部位は、徐々に火に炙られたようにジクジクと熱を持っていく。
「んっ、ん……ふぁっ……」
何度も浮き上がりそうになる腰を押さえつけられ、時に柔らかな臀部を揉み、谷間を辿って行きついた後ろの窄まりの皴の一本一本をなぞる。そんなところを攻められるなんて思ってもみなかった聖女は内心仰天し、身体は背徳的な快楽に翻弄されていく。
ひくつく窄まりが指を受け入れた頃には、茂みはぐっしょりと濡れて秘部に貼りついていた。粘度のあるそれは、汗ではあり得ない。聖女は直接一度も膣に触れられることなく、不浄の穴を犯されて愛液を滴らせていたのだ。
「……はぁっ、ひぃ……!」
グポッ、グポッと、不浄の穴をかき混ぜられる汚らしい音に、聖女はこの上なく強い昂ぶりを覚えていた。
暫くして魔王は不意に指を引き抜き、クパクパと呼吸するように戦慄き、愛液を垂れ流す縦に割れた肉襞に向かってその顔を埋める。
そして、十分に濡れそぼった膣口を、魔王の舌が深々と穿った。
「あぁーーーーーーーっ……!」
突如襲った強過ぎる刺激に、聖女は背を弓なりに反らせて絶叫する。
それが、彼女にとって初めての絶頂だった。
猫のようにザラついて長い舌は、達して一層敏感になった媚肉を好き勝手に貪る。
更に、膣の上にあった薄紅色の花弁のような襞を左右の親指で割り開くと、赤く腫れ上がった突起をプルンと露出させた。そのまま口に食まれた途端、雷に打たれたような衝撃が身の内を駆け巡る。
それは神の御前に純潔を誓い、厳しい戒律の中で生きてきた聖女が知るはずのなかった強烈な快感だった。
「……はぁっ、あ、あ……ぁあんっ! ひゃぃ!」
陰核を啜られ、軽く歯を立てられる度に、聖女の口からはひっきりなしに甘い声が上がり、休む間もなく、その意味を知ることすらなく達し続けていた。その身体は、完全に魔王から与えられる愛撫の虜になっていた。
人に裏切られ、神にも見放された聖女は、文字通り目も眩む快楽に飲み込まれ、本能的な欲望に支配される。
「……あぁ、んぁんっ……おねがぃ、です……ぃ、れてくだっ……あなたを!」
孕みたい。
この美しい魔王の雄が……その子種を、この身体に注ぎ込まれたい。
一度覚えた欲求は、もう止められなかった。
「……それは、無理だな」
すると、聖女の陰核を食んでいた口を離し、四つの切れ長の目を眇めた魔王は、先程までの熱が嘘のように醒めた口調で否を告げる。
「……えっ」
快楽の途中で放り出され、拒絶された聖女は冷水を浴びせられたように凍りついた。
もしや、自分は魔王の不興を買ったのだろうか?
男女の営みなぞ露も知らぬ清廉な聖女たる自分が、呆気なく快楽に堕ち、身も世もなく善がり狂う様に興醒めしてしまったのかもしれない。
仲間に裏切られ、純潔すら失った自分には、最早どこにも戻る場所はない。初めて魔王と対峙した時以上の恐怖と不安が、彼女の身を襲った。
「聖女よ……何やら誤解しているようだが、何もお前に興が失せた訳ではないぞ。愛だ正義だと説く取り澄ました姿よりも、貪欲に快楽に溺れる様が魔物には好ましい」
「……っ、では……なぜなのです?」
しかし、思いも寄らない言葉を返された聖女は混乱する。
「そもそも、注ぐ子種がない。私はお前と同じ女だからな」
「えっ……!」
更にサラッと爆弾を落とされ、絶句してしまった。
「魔界では強さこそ唯一にして至上、性別など些細なことだ」
どうということでもない、と言うように魔王は続ける。
言われてみれば、美し過ぎる佇まいは確かにとても中性的だ。耳に心地のいい低音も、得も言われぬ甘さを帯びている。一糸まとわぬ我が身とは違い、なめし皮らしき黒いローブを着込んだままの魔王の肢体も長身ではあるが細身で、自らを翻弄したその指先も猛々しさとは無縁だった。
「お前がどうしてもというなら、四天王達でも呼んでやろうか? ただでさえ四つ足の魔物は精力が有り余っている上、勇者どものあの体たらく。暴れ足りず、身体が昂っているだろうよ」
呼吸すら忘れて固まる聖女をよそに、魔王はつれづれに語る。
「私はお前が孕むまで、彼奴らが子種を注ぎ込む様をとくと見届けてやろう」
「……はぁっ!」
ツプッ、とその指を聖女のまだ十分に敏感で柔らかい膣に埋めながら、魔王は悪辣な笑みをその口元に刻んだ。
「あっ、ひいぃ……あん、あっ……!」
再び容赦なく高みに連れていかれた身体は、短い絶頂を小刻みに繰り返す。
「彼奴らには、私ほどの手練手管はないとは思うが……まあ、それだけ淫らなお前の身体ならば、粗野な愛撫も悦んで受け入れような。忠実な部下達に、たまには褒美をやるのもよかろう」
どうしようもなく昂る身体とは裏腹、無慈悲な魔王の言葉に聖女の心は凍りついていく。
「い、やぁっ! ……ま、おさまっ……あなたがっ! あなただけが、いぃです……ほかは、ぃや!」
荒い息を吐く間に、聖女はどうにかこうにか言葉を紡ぎ、上手く力の入らない腕を魔王へと伸ばす。魔王はやや驚いたように二対の目を開いたが、それも一瞬のこと……即座に聖女の手を恭しく握ると、至極満足そうにその甲に口づけた。
「よしよし、お前の身体を開くのはこの先も私一人だけだ……次は、その胸でイかせてやろうな」
そして、そう宣言した魔王は再び聖女の上に覆い被さり、切なげに震える薄紅色の頂に、ザラリと長い舌を這わせた。
~深夜、魔王城左翼塔星見台にて~
「ウッス、三号先輩。交代の時間っスよ」
「おー、六号。もうそんなになるかぁ……お前、確か獄鉄通勤だったよな。地獄三丁目駅前のイコツショナノカドーってまだ開いてたか? カミさんから黒ヤギミルク買ってこいって言われてんだけど、今日はいきなり勇者一行来たろ? それでオレ、昼抜けられなかったんだよ」
「あー、大丈夫っスよ。そろそろラスボス戦だからって、張り切って仕入れた食いモンまーったく捌けてなくて、閉店時間延長して叩き売ってましたから。ほら、ゴブリンマンチョコ。いつもなら一人三個までのが制限なしだったんスよ。黒ヤギミルクも間違いなく残ってますって」
「マジでか、ガキに買ってくわ。勇者一行サマサマだな」
「っスよね! あっ……そういや、ボスが離塔前の渡り廊下で大の字になって泣いてたんスけど、あの魔物マジ謎っスわ」
「魔王様が? まあ、聖女さん絡みだろ」
「ああー……察しっス。いきなり二人きりはハードル高いって、四天王さん達も心配のあまり二本足で立ってましたもん」
「黒龍公直系で超有能だし、黙ってりゃ顔面偏差値もたっけぇのに、聖女さん絡むとただただ残念な魔物だからなー。テンパって心にもないクズ発言かましちまったとかじゃね?」
「絶対それっスよ! 確か、もう二十年くらいストーカーしてましたよね」
「拗らせてるよなー……初恋」
「お忍びで人間界行った時、うっかり聖水被ってくたばりかけてたトコ助けられたんでしたっけ?」
「そーそー、超有名な話」
「ベタっスねぇー」
「まあ、そう言うなよ。あれでもオレらの大事な魔王様なんだし、早くまとまってくんなきゃ余計な仕事増える」
「……っスねぇ。ここは生温かく見守りましょー」
「だな」
聖女がすべてを知るのはもう少し……否、随分と先のことである。
上等なベルベットで撫でられるような魅惑的な声が、短く命じた。
指示通りに豪奢な寝台の上に横になった聖女は、冷めた瞳で声の主……頭に二本の角を持つ人型の魔物を見上げる。
湯浴みを終えたばかりの身体は薄い夜着を羽織るのみで、その下は生まれたままの状態だ。これから我が身に起こることも、承知していた。
寝台に乗り上げてきた魔物は、人間と明らかな差異があるものの、端麗であった。星すらも沈黙した深淵の空を切り取ったかのような滑らかな闇色の肌に、紺碧と暁の空の如き二対の双眸を持っている。今は身の内に隠しているが、その背には蝙蝠に似た漆黒の翼もあった。
あらゆる生き物を超越した美しさを持つ異形は、人間界に宣戦布告した魔界の王である。
そして、聖女もかつて所属した魔王討伐隊は、その戦いに敗れた。もう少し正確に言うと、魔界城の最奥……謁見の間で魔王と対峙したものの、勇者は剣すら抜けず、魔導士は一文字たりとも呪文を詠唱できなかった。
猛々しい四体の巨獣を従え、全身から途方もない魔力を放出させる美しき人型の魔物……そんな魔王の姿を前にして戦意を喪失したらしい仲間達は恥も外聞もなく命乞いをし、あろうことか聖女である自らを生贄として差し出したのだ。(彼女は何も知らされていなかったが、どうやら祖国と魔王軍との間で水面下の交渉がなされていた)
長く厳しい魔界への旅路の果て、彼らとの間に強固な絆が生まれていたと信じていたのは己一人だけだった。勇者や賢者と呼ばれ、人々の期待と尊敬を一身に受けてきた人間達から受けた醜い裏切りに、聖女の心は一度死んだ。
そうして魔王城の虜囚となった聖女は、魔力で身体の自由を奪われ、自刃することさえできず現在に至る。彼女は魔王の慰み者と言う現在の立場よりも、身勝手な人間達に絶望していた。
魔王は、躊躇いなく彼女の夜着をはぎ取っていく。やや乱雑な手つきで肩紐を引き解かれると、薄絹を割ってたわわな二つの膨らみの淡く色づく頂がプルンと零れ出した。
次いで、黄金の茂みに守られた秘部が暴かれ、外気に晒された肌寒さから生白い太ももはふるりと震える。
「動くな」
無意識に内股をすり合わせ、神秘の三角地帯を隠そうとしたことを咎められて、聖女はギクリと身体を硬直させる。
「ゆっくりと、足を開け……見せつけるように」
娼婦紛いの奉仕を要求してくるに魔王に、頭を鈍器で殴られたような衝撃を受けた。
そして、己の意思とは裏腹にそろそろと足が開いていく。これも掛けられた魔力のなせる業なのか……誰にも見せたことのない大事な場所が、赤と青の四つ目に晒されていく。グッと距離を詰めてきた魔王の呼気が秘部を撫で、彼女は顔を背けて唇を噛み締めた。
多少抵抗された方が愉しめると言う悪趣味な計らいで、ある程度は己の意思で身体が動く。
ただし、決定的な抵抗はできないことが一層もどかしく、聖女の絶望感を煽った。
「……あっ……!」
スラリと長い黒指が禁忌に触れた時、噛み締めた口からは呆気なく声が上がった。彼女の初心な反応を鼻で笑う魔王に、全身の血が沸騰する。
無遠慮に茂みを弄り始めた指の動きは信じられないくらいにいやらしく、焦らすように膣口には触れてこなかった。その指が触れる際どい部位は、徐々に火に炙られたようにジクジクと熱を持っていく。
「んっ、ん……ふぁっ……」
何度も浮き上がりそうになる腰を押さえつけられ、時に柔らかな臀部を揉み、谷間を辿って行きついた後ろの窄まりの皴の一本一本をなぞる。そんなところを攻められるなんて思ってもみなかった聖女は内心仰天し、身体は背徳的な快楽に翻弄されていく。
ひくつく窄まりが指を受け入れた頃には、茂みはぐっしょりと濡れて秘部に貼りついていた。粘度のあるそれは、汗ではあり得ない。聖女は直接一度も膣に触れられることなく、不浄の穴を犯されて愛液を滴らせていたのだ。
「……はぁっ、ひぃ……!」
グポッ、グポッと、不浄の穴をかき混ぜられる汚らしい音に、聖女はこの上なく強い昂ぶりを覚えていた。
暫くして魔王は不意に指を引き抜き、クパクパと呼吸するように戦慄き、愛液を垂れ流す縦に割れた肉襞に向かってその顔を埋める。
そして、十分に濡れそぼった膣口を、魔王の舌が深々と穿った。
「あぁーーーーーーーっ……!」
突如襲った強過ぎる刺激に、聖女は背を弓なりに反らせて絶叫する。
それが、彼女にとって初めての絶頂だった。
猫のようにザラついて長い舌は、達して一層敏感になった媚肉を好き勝手に貪る。
更に、膣の上にあった薄紅色の花弁のような襞を左右の親指で割り開くと、赤く腫れ上がった突起をプルンと露出させた。そのまま口に食まれた途端、雷に打たれたような衝撃が身の内を駆け巡る。
それは神の御前に純潔を誓い、厳しい戒律の中で生きてきた聖女が知るはずのなかった強烈な快感だった。
「……はぁっ、あ、あ……ぁあんっ! ひゃぃ!」
陰核を啜られ、軽く歯を立てられる度に、聖女の口からはひっきりなしに甘い声が上がり、休む間もなく、その意味を知ることすらなく達し続けていた。その身体は、完全に魔王から与えられる愛撫の虜になっていた。
人に裏切られ、神にも見放された聖女は、文字通り目も眩む快楽に飲み込まれ、本能的な欲望に支配される。
「……あぁ、んぁんっ……おねがぃ、です……ぃ、れてくだっ……あなたを!」
孕みたい。
この美しい魔王の雄が……その子種を、この身体に注ぎ込まれたい。
一度覚えた欲求は、もう止められなかった。
「……それは、無理だな」
すると、聖女の陰核を食んでいた口を離し、四つの切れ長の目を眇めた魔王は、先程までの熱が嘘のように醒めた口調で否を告げる。
「……えっ」
快楽の途中で放り出され、拒絶された聖女は冷水を浴びせられたように凍りついた。
もしや、自分は魔王の不興を買ったのだろうか?
男女の営みなぞ露も知らぬ清廉な聖女たる自分が、呆気なく快楽に堕ち、身も世もなく善がり狂う様に興醒めしてしまったのかもしれない。
仲間に裏切られ、純潔すら失った自分には、最早どこにも戻る場所はない。初めて魔王と対峙した時以上の恐怖と不安が、彼女の身を襲った。
「聖女よ……何やら誤解しているようだが、何もお前に興が失せた訳ではないぞ。愛だ正義だと説く取り澄ました姿よりも、貪欲に快楽に溺れる様が魔物には好ましい」
「……っ、では……なぜなのです?」
しかし、思いも寄らない言葉を返された聖女は混乱する。
「そもそも、注ぐ子種がない。私はお前と同じ女だからな」
「えっ……!」
更にサラッと爆弾を落とされ、絶句してしまった。
「魔界では強さこそ唯一にして至上、性別など些細なことだ」
どうということでもない、と言うように魔王は続ける。
言われてみれば、美し過ぎる佇まいは確かにとても中性的だ。耳に心地のいい低音も、得も言われぬ甘さを帯びている。一糸まとわぬ我が身とは違い、なめし皮らしき黒いローブを着込んだままの魔王の肢体も長身ではあるが細身で、自らを翻弄したその指先も猛々しさとは無縁だった。
「お前がどうしてもというなら、四天王達でも呼んでやろうか? ただでさえ四つ足の魔物は精力が有り余っている上、勇者どものあの体たらく。暴れ足りず、身体が昂っているだろうよ」
呼吸すら忘れて固まる聖女をよそに、魔王はつれづれに語る。
「私はお前が孕むまで、彼奴らが子種を注ぎ込む様をとくと見届けてやろう」
「……はぁっ!」
ツプッ、とその指を聖女のまだ十分に敏感で柔らかい膣に埋めながら、魔王は悪辣な笑みをその口元に刻んだ。
「あっ、ひいぃ……あん、あっ……!」
再び容赦なく高みに連れていかれた身体は、短い絶頂を小刻みに繰り返す。
「彼奴らには、私ほどの手練手管はないとは思うが……まあ、それだけ淫らなお前の身体ならば、粗野な愛撫も悦んで受け入れような。忠実な部下達に、たまには褒美をやるのもよかろう」
どうしようもなく昂る身体とは裏腹、無慈悲な魔王の言葉に聖女の心は凍りついていく。
「い、やぁっ! ……ま、おさまっ……あなたがっ! あなただけが、いぃです……ほかは、ぃや!」
荒い息を吐く間に、聖女はどうにかこうにか言葉を紡ぎ、上手く力の入らない腕を魔王へと伸ばす。魔王はやや驚いたように二対の目を開いたが、それも一瞬のこと……即座に聖女の手を恭しく握ると、至極満足そうにその甲に口づけた。
「よしよし、お前の身体を開くのはこの先も私一人だけだ……次は、その胸でイかせてやろうな」
そして、そう宣言した魔王は再び聖女の上に覆い被さり、切なげに震える薄紅色の頂に、ザラリと長い舌を這わせた。
~深夜、魔王城左翼塔星見台にて~
「ウッス、三号先輩。交代の時間っスよ」
「おー、六号。もうそんなになるかぁ……お前、確か獄鉄通勤だったよな。地獄三丁目駅前のイコツショナノカドーってまだ開いてたか? カミさんから黒ヤギミルク買ってこいって言われてんだけど、今日はいきなり勇者一行来たろ? それでオレ、昼抜けられなかったんだよ」
「あー、大丈夫っスよ。そろそろラスボス戦だからって、張り切って仕入れた食いモンまーったく捌けてなくて、閉店時間延長して叩き売ってましたから。ほら、ゴブリンマンチョコ。いつもなら一人三個までのが制限なしだったんスよ。黒ヤギミルクも間違いなく残ってますって」
「マジでか、ガキに買ってくわ。勇者一行サマサマだな」
「っスよね! あっ……そういや、ボスが離塔前の渡り廊下で大の字になって泣いてたんスけど、あの魔物マジ謎っスわ」
「魔王様が? まあ、聖女さん絡みだろ」
「ああー……察しっス。いきなり二人きりはハードル高いって、四天王さん達も心配のあまり二本足で立ってましたもん」
「黒龍公直系で超有能だし、黙ってりゃ顔面偏差値もたっけぇのに、聖女さん絡むとただただ残念な魔物だからなー。テンパって心にもないクズ発言かましちまったとかじゃね?」
「絶対それっスよ! 確か、もう二十年くらいストーカーしてましたよね」
「拗らせてるよなー……初恋」
「お忍びで人間界行った時、うっかり聖水被ってくたばりかけてたトコ助けられたんでしたっけ?」
「そーそー、超有名な話」
「ベタっスねぇー」
「まあ、そう言うなよ。あれでもオレらの大事な魔王様なんだし、早くまとまってくんなきゃ余計な仕事増える」
「……っスねぇ。ここは生温かく見守りましょー」
「だな」
聖女がすべてを知るのはもう少し……否、随分と先のことである。
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感想ありがとうございました。
長い間お話を更新できていない中、温かいお言葉を頂いて感激しております。
ここ数年、身体を壊したり公私ともにバタバタしており、創作から遠ざかっていましたが、ようやく落ち着いてきた頃合いでした。
ネタを書き溜めたり、書きたい気持ちも復活しつつあります!
Xはほぼほぼ飼い犬可愛いしか呟いていないのですが、これからは新作のご報告ができるよう頑張ります。
退会済ユーザのコメントです
感想ありがとうございます。