至急、君との交際を望む

小田マキ

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 ミュラーリヤ第三弓騎兵隊隊長であるクラリス・ヴィアッカは、自身の執務室で机に向かっていた。
 部下達には休暇、或いは午後出勤を命じたために、常になく部屋の中がシンと静まり返っている。几帳面な性格ゆえに事務仕事もそう苦にならないクラリスなのだが、耳が痛いほどの静寂はかえって集中力を欠く。色ボケ少将への苛立ちを原動力に、囚人護送任務の報告書も昨日の内に提出済みで、任務自体が五日も前倒ししてしまったため、取り立てて急ぎの内勤業務がないことも厄介だった。
 無用な手持ち無沙汰は、彼女が意図して脇に追いやった記憶を瞬く間に掘り起こしてしまう。無為に弄んでいた羽筆を投げ出すように手放したクラリスは、閉じた瞼の上から手で両目を覆った。
 それでも追い出せなかった記憶の欠片が、無感情な低音の調べとともにじわじわと蘇ってくる。

『至急、君との交際を望む』

 至近距離から浴びせられた言葉は、唐突かつ性急な内容であるのに熱を感じず、どこまでも静謐だった。クラリス程ではないが、その生白い顔には如何なる緊張も窺えなかったように思う。
 外地任務の多い竜騎兵なのに、シャトリンの肌は生白い。いっそ青白いくらいだが、不健康とは違って人種的な差異である。半分はクラリスと同じソルケット人なので髪は黒いのだが、ミュラーリヤ連合加盟国の中でも極北のサリュート出身の母親の血が濃いのだ。
 ミュラーリヤ連合本部を置くここソルケットは、加盟国の中で最も多くの移民を抱える多民族国家だった。連合設立記にある「七十八の誓い」を遵守し、積極的に移民を受け入れてきた結果である。七十八民族の融合を目指しているが、現時点で三十種族程度なので、まだまだ目標達成には程遠いらしい。
 専門的に歴史を学んだ訳ではないクラリスにとって、祖国は比較的人種差別が他所より少ない移民には優しい国という認識しかなかった。ただし、貴賤や男女といったその他の差別はしっかりあるので、誰にでも優しい国と言えないのが厄介なところだ。
 とにかく、それゆえにソルケット誇る騎兵隊が所属するミュラーリヤ連合国軍にも、多種多様な人種が溢れていた。コネや家柄が物を言うのは当然ながら、それでもそれぞれの民族特性に見合った部隊に配属される。
 卓越した身体能力を誇るサリュート人は特に持て囃され、そのほとんどが竜騎兵隊に所属し、少佐以上の階級を取得している。囚人護送や王都の警備巡回という内地任務が主である我らが第三弓騎兵隊と違い、新たな種族発見と同盟締結が主な任務であり、外交もこなす花形部隊……それがミュラーリヤ竜騎兵隊なのだ。
 その竜騎兵隊きっての精鋭部隊を束ねる、シャトリン大佐。長らく連合国加盟を渋っていた極東の島国シュランとの同盟が昨年末に成立したのも、彼の卓越した外交手腕の賜物らしい。軍での出世はすでに約束されたようなもの、いずれは評議会理事に選出されるのではと実しやかに噂される選良が、墓場臭い死人顔と交際したいなんて、血迷ったとしか思えない。
 もしシャトリンの申し込みを断った場合、罰則を科されたりするのだろうか?
 騎兵隊の理性と呼ばわれるくらいに理知的な男なのだから、そんな子供じみたことをするとは思いたくない。昨日までまともに口をきいたこともなかったが、武官として尊敬出来る人物だとは思っていた。これを機に彼をアーチャーのように異性として恋い慕うことが出来るかと問われれば、あまりに難しい気がする。雲の上過ぎるし、得体が知れなさ過ぎるのだ。
 何よりも長弓一筋で、淡い初恋も自覚した時点で露と消えた身の上のクラリスには、交際なんてどうしたらいいかさっぱりだった。本当は昨日アーチャーに相談したかったが、ほんのり匂わせただけであそこまで忠告されては口に出せなかった。
 他にこんなことを相談出来る人間の心当たりもない。もし相談したとしても、信じてもらえる自信もない。とりあえず付き合ってみよう、なんて簡単には考えられなかった。そんなのはシャトリンに対して、失礼極まりないだろう。

「クラリス・ヴィアッカ少尉、おられますか?」

 悶々と悩む彼女の耳に、第三者の女性の声と控え目なノックの音が飛び込んできた。
「はいっ、おります。少々お待ちください!」
 ハッと我に返り、顔を上げたクラリスは、何となく心疚しくて震えそうな声を早口で誤魔化し、席を立って扉に向かう。開いた扉の向こうに立っていたのは、黒塗りの書簡筒を二本携えた女性だった。
 白髪交じりの髪を隙なく後ろに撫でつけ、ピンと背筋を伸ばして立つ彼女に見覚えはない。ただし、臙脂色に黒の縁取りのある上衣とタイトスカートからなる制服によって、連合評議会書記官であることが知れた。厳格なその姿勢から、クラリスはおおよその用件を悟る。
 あの色ボケ少将、他者を追い落とすことにかけては随分と仕事が早いではないか……。
「クラリス・ヴィアッカ少尉、連合評議会より貴女に二件の出頭命令が出ています」
 二本の書簡筒をこちらに差し出し、努めて事務的に告げられた言葉に、クラリスは落ち窪んだ双眸を何度か瞬かせた。
 恐らく一方には、上官命令違反に対する聴聞会への召喚状が収められているのだろう。だがしかし、残り一方に関しては、まるで心当たりがない。
「あの、訴状を出された方をお訊きしてもよろしいでしょうか?」
「フレデリック・チュモニック少将と、シャトリン大佐です」
 二本の書簡筒を受け取りながらクラリスが尋ねると、直前まで彼女を悩ませていた人物の名が書記官の舌に上る。
「えっ……」
「本日の勤務終了後、カザーンの刻までに評議会へお越しください。決して遅れませんように、では」
 小さく声を上げて絶句するクラリスに対し、なおも儀礼的に続けると、書記官はヒールの音も高らかに去っていった。

「……シャトリン大佐、貴方は私に一体何をお望みなのでしょうね?」

 同じ相手から前日に交際を申し込まれ、明くる日に召喚状を受け取るという摩訶不思議な事態に、クラリスの心には困惑しかなかった。

 * * *

「ミュラーリヤ第三弓騎兵隊隊長、クラリス・ヴィアッカ少尉、前へ」

 八人の評議会理事達が楕円形に取り囲むテーブルの前に、クラリスは歩み出た。
 彼女の右横にある一人掛けの机には、召喚状を届けに来た書記官の女性が就いていた。金属パイプの簡易な間仕切りに隔てられた背後の階段状の座席には、二人の起訴人……つまりは、フレデリック・チュモニック少将とシャトリン大佐がいた。真後ろにチュモニック、右斜め後方一番上の段にシャトリンという位置関係だ。
 現場任務での癖で、それぞれとの間合いを測りながら、クラリスは黙して理事達の言葉を待つ。詰襟と擦れて、産毛が逆立った項がチリチリと痛んだ。高い位置から見下ろされる鋭利な視線が突き刺さるようで、どうにも嫌な緊張感を覚える。すぐ後ろにいるチュモニックよりも、まるで考えが読めないシャトリンの方が不気味だった。
「本来、異なる起訴人による聴聞会は日を改めて開催するものであるが、二件の事案に関連性があったために同日に執り行うこととなった。訴状は以下の通り、第一級殺人罪に問われたギュンター・レイザックの護送任務時に少尉の犯した服務規律違反容疑。上官の命令を無視した挙句、無用な行軍を強いた結果、囚人及び砂蜥蜴達を著しく消耗させ、個体番号三十六を死に追いやった……ヴィアッカ少尉、反論があるなら述べなさい」
 テーブル中央に座し、紫紺の長衣を纏う褐色の肌をしたヒミルタッシュ人の理事が述べる事実無根の罪状に、クラリスは眉間に小さく皺を寄せた。
 死亡した個体番号三十六の砂蜥蜴は、死の行軍の間、チュモニックが一度としてその背から下りなかった一匹だ。王都に差し掛かった時、追い払われるように別れさせられたのだが、もしや彼はあのまま、休みなしに三十六号を愛人宅まで走らせたのではなかろうか?
 信じられない。
 ただでさえ疲弊しているのに、そんな無茶をさせれば死ぬに決まっている。
 恐らく砂蜥蜴を死なせた責任の追及を恐れ、チュモニックは先手を打ってクラリスに罪を擦り付けようとしているのだ。翌日早々に聴聞会が開かれたのは、公爵家から評議会に何かしら働きかけがあったに違いない。
 あまりの怒りに全身の血が沸き立つようで、濃い隈の下の頬骨周りがほんの僅か薄紅色に色づく。自らの濡れ衣を晴らすのはもちろん、三十六号の敵を討つためにも、卑劣な少将と断固戦う決意をした彼女は、頭に上った血を下げるため、まずは深呼吸をした。
「オーライリ理事、発言を許可願います」
 ただ、クラリスが吸った息を吐くより早く、背後から矢のように鋭い声が飛来した。
 驚きと苛立ち、その他雑多な感情とともに彼女が振り仰いだ先には、段上に立ち上がったシャトリンの姿があった。二人の視線は刹那ぶつかるも、すぐにシャトリンは理事席へと目線を移す。
「許可する」
「感謝致します。昨日早朝、任務から戻ったヴィアッカ少尉以下第三弓騎兵隊の隊員達の手で、三十四匹の砂蜥蜴達は厩舎に戻されました。しかし、個体番号三十六のみダーニグンの刻まで戻っていなかったと、飼育番が証言しています。そして、戻された時には既に息絶えていたと……予定よりも過酷なものとなった任務で疲弊していたのは確かですが、それが直接の死因ではありません」
 自分が主張しようとした反撃の台詞は、確かな情報を添えられて彼の口から放たれた。
「そんな馬鹿なっ……!」
 すると、ガタンと大きな音を立て、椅子を後ろにひっくり返しながら騒々しく立ち上がったチュモニックが喚く。まだ三十代にもかかわらず、若干薄くなった額には青筋とともに脂汗が浮かんでいた。 
「何も馬鹿なことはありません、チュモニック少将。飼育番は真実を話すことを渋っていましたが、それによって職を失うことはないと私が請け負ったことで、正直に打ち明けてくれましたよ」
 そちらにチラリと視線を送った後、シャトリンは再び冷静かつ淀みのない艶やかな声音で続ける。
「遺骸の爪からは、マコーニー砂漠では付着し得ない赤土が検出されました。成分を調べたところ、グレリナス地方の土壌のものと判明……グレリナス地方はチュモニック公爵家所有の荘園の一つです。そして、背中に巨大な砂防テントを張った砂蜥蜴が、公爵家別荘方面へ向かう姿を見たという目撃証言も得ています」
「そんなもの嘘だ!」
「チュモニック少将、発言があるならまず我々の許可を!」
 シャトリンの言葉を大声で遮ったチュモニックに、オーライリ理事が鋭く叱咤する。
「私は嘘は吐きません。別荘への道すがら広大な田園があるのは貴方もご存知でしょう、少将。収穫前の稲穂を踏み荒らされた農夫は相当お怒りでしたよ。これでは地税が払えないと……証拠保全を依頼し、損害賠償請求の仕方も助言しておきました。因みに、公爵家が科す小作人への地税は法令の定めた金額よりも随分と高いようですが?」
「ぐ、ぬっ……」
 ただし、子供じみた反論を、シャトリンは切れ味鋭くいなした。余計な不正まで明るみに出されてしまったチュモニックの顔は赤黒く染まり、吐き出す言葉も意味をなしていなかった。
「貴様っ、貴様だな! 私を陥れようとしているのだろうっ……下賤な商家の分際で、由緒正しき公爵家の出で少将たる私を陥れようとしているなっ……!」
 だがしかし、直後に正面のクラリスにくるりと向き直ったチュモニックは、理事会の面々の前であることも忘れた様子で、浅ましい台詞を吐いてくる。小刻みに震える分厚い唇からは唾が飛び、彼女は激しい嫌悪感から薄い眉を潜めた。
「黙りたまえ、チュモニック少将!」
 再びオーライリの叱咤が飛び、クラリスは勢いよく彼を振り仰いだ。
「オーライリ理事っ……!」
「陥れるだなどと、ヴィアッカ少尉にそんな暇はありません。それも貴方のせいでしょう、チュモニック少将」
 そして、今度こそ自ら反論するため、発言許可を取ろうとした彼女の声は、再びシャトリンの低音に遮られる。
「任務完了後、ヴィアッカ少尉は貴方に押し付けられた任務報告書作成のために執務室に詰めていました。ダーニグンの刻には、提出のため騎兵隊本部にいた姿を私自身確認しています。その間、他の隊員達が兵舎医務室で熱中症治療を受けていたのも記録に残っています。つまり、少尉が隠蔽工作に部下を使うことも不可能なのです。従って、今回の任務後に所在確認が取れていないのは少将お一人……私的利用で砂蜥蜴を酷使し、死に至らしめた人物が誰だったかは明らかでしょう。これ以上、まだ何か反論がおありか?」
 淡々と容赦なく続く糾弾の声に、結局クラリスは言葉を挟む間もなかった。
 シャトリンはきっと、自分の手から半ば無理矢理もぎ取っていった報告書から詳細情報を得たのだろう。それにしても、二人が会った昨夕から半日弱の間に、ここまで徹底的にチュモニックの訴状との矛盾を調べ上げるとは、驚きを通り越して恐ろしい。
 チュモニックはもう何も言うことが出来ず、倒れた椅子の前にドスンと尻餅をついた。その姿を見ながら、八人の理事達は着席したまま順々に額を寄せ合い、密談を始める。
「実に正確な説明を有難う、シャトリン大佐……だが、一つ問いたい」
 程なくしてそれも収まると、再びオーライリが口を開いた。
「そこまで事実確認が取れていながら、何故に貴方はチュモニック少将ではなく、ヴィアッカ少尉に召喚状を?」
 自身にとっても最大の疑問を問うた彼とともに、クラリスも自分達を無表情に睥睨するシャトリンを見上げた。
「はい、オーライリ理事。確かに砂蜥蜴死亡の責任はチュモニック少将にありますが、私はヴィアッカ少尉にも過失があったと考えております」
 あくまで今までと同じ一本調子で言った彼に、クラリスは小さく瞠目する。目も眩むような高い所へ無理矢理登らされ、下りる梯子を取り上げられたような気分だった。
「ヴィアッカ少尉が本気でチュモニック少将の暴走を止めようと思えば、それは可能だったはずです。今回は幸いにして砂蜥蜴一匹の被害に留まりましたが、無理な行軍で囚人や隊員達が犠牲になった可能性もなくはありません。一部隊を束ねる隊長として、最悪の事態を未然に防ぐ努力を怠るのは明らかなる過失……ゆえに私は、ミュラーリヤ第三弓騎兵隊隊長、クラリス・ヴィアッカ少尉に対し、明日から一ヶ月の謹慎処分を望みます」
 シャトリンの言葉が途絶えると、聴聞会場は水を打ったように静まり返る。地べたに崩れ落ちたチュモニックさえ、息を詰めていた。
 自分達を見下ろすその目は、ただただ冷たい。
 彼の言葉は、確かに正しいだろう。灼熱の太陽に衰弱していく部下達、物言わず足を引き摺っていた砂蜥蜴達の姿を思い出すと、胸が痛む。悪し様に罵倒されても死ぬ訳ではない、自分が諦めずに進言し続けていれば……死んだ三十六号のことを思えば、ひと月の謹慎処分は軽過ぎるくらいなのかも知れない。
 ……しかし。
 だがしかし、とクラリスは言い訳めいた思いに駆られる。

 翌日には謹慎処分を言い渡すような未熟な私に、どうして昨日貴方は告白などしてきたのですか?
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