元ッ気があればッ何でも出来るッ!行くぞぁー! 特異『無限元気』で無限に元気ッ!元気ですかァー!

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時間は経って

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 「ふあぁ~……スッキリ!やっぱゆっくり休むにはベッドで睡眠だよなあ!」

 俺はモンスター部屋の中に置いたベッドから起き上がる。マクさんに出会いタブレットを手に入れてからは俺のダンジョン生活はさらに充実した。タブレットのお陰で服も武器も食べ物も、さらにはベッドまで手に入るので、もはやダンジョンを出る理由が無くなっていた。

「んん~、次の魔物が現れるまで後2時間もあるなあ」

 俺はタブレットを出して時間を確認する。そのままサンドイッチを購入してベッドに腰かけながらもぐもぐと食事を取る。タブレットで時間や日にちが見れる事でモンスター部屋のボスを倒してから次の群れが出現するまでの時間がぴったり24時間だって事も分かった。さて、ついでに久しぶりにステータスでも確認しておくか。

「お、またステータスが上がってるな。にしても……知性と器用の数値は5って……。なんでそこだけ上がらないんだ?後やっぱり魔力ってステータスは無いみたいだな。どうやったら魔法を使える様になるんだろ?魔法、憧れてたんだけどなぁ」

 俺のステータスはかなり隔たっているのかも知れない。特に知性と器用さはぜんぜん上がって行かない。何か条件があるのかな?まぁ戦う分には困らないからいいんだけど。そしてタブレットを手に入れて新しく出来た楽しみ、それを見なきゃ。

「おお!やっと200種突破か!」

 新しい楽しみ、それはタブレットの機能のひとつ、魔素図鑑だ。そこには今まで倒して手に入れた魔素の持ち主である魔物が映像付きで記録されており、さらにはその討伐数も記録されていた。もともと河原で拾った綺麗な石や珍しい草花なんかを集めるのが好きだった俺は、この図鑑の機能にハマりにハマった。なんて言うかこう、どんどん図鑑が埋まっていくのがたまらなく嬉しいんだ。これは他の人には理解されないかも知れないが、分かる人には分かるはずだ。俺はしばし図鑑を眺める。
 しばらくベッドでゴロゴロした後、ベッドから出て床に転がしていたブロードソードを手に取る。もう少ししたらまた魔物が湧く時間だ。ここのモンスター部屋の周回も次で4回目、この変わったダンジョン特有のアーティファクトゴーレムが相手だ。俺は使い捨てのベッドを離れブロードソードを抜く。
 思えばマクさんに出会ってからもう2年が経つ。その2年間に数回マクさんの様にモンスター部屋に落ちてきた人と出会った。モンスター部屋以外でもダンジョンの中で人と出会う事はあったが、それも数えるほどだ。でもここのちょっと風変わりなダンジョンに転移して来てからは誰1人として出くわしていない。もしかして変な場所にあるダンジョンなのかな?とは言えここのダンジョンはちょっと気に入っていて、もう半年以上同じダンジョンにいる。ここは何となくドロップアイテムが落ちる確率が高い気がする。さらに落ちるアイテムも珍しい物が多い。そうこうしている内にだいぶ下層まで進んで来た。

「お、時間か」

 目の前の変わった模様の床、その模様を作り出す緑色の線で作られた幾何学模様が激しく光、その光の筋が幾つも床を走ると徐々に隆起し、正確に切り取られたかの様な正方形が幾つも集まって出来たゴーレム、アーティファクトゴーレムが何体も現れた。その独特な材質はこのダンジョンの床や壁と同じ、金属とも鉱物とも言えない、見たことも無い物質で出来ていた。

「こいつら硬いんだよなぁ~。次は何本剣を買う事になるのやら。いっその事ハンマーとかの方がいいのかな?」

 などと色々考えながら4回戦へと突入した。

「お?またドロップした」

 アーティファクトゴーレムのモンスター部屋のボス、その名もアーティファクトゴーレムβを倒したら何やらアイテムがドロップした。

「まぁーた魔法関連かぁー」

 拾い上げたドロップアイテムは『魔法地雷』。何だか良く分からないが、魔法を一時的に留める効果があるそうだが、俺はそもそもその魔法自体が使えない。しかもこのアイテム、針金みたいな物がグルグル巻きになって手のひらサイズの玉になってる。ポケットに入れるにはさすがにちょっと大きい。

「しゃーない、また貸倉庫に入れておくかぁ」

 俺はタブレットを取り出しお気に入り登録してあるネットショップ、『貸倉庫屋D・D』を開いた。

『ダントさーん、またアイテムしまいたいでーす』

 俺はいつもの様にチャットを送る。するとすぐに返信が来た。

『お、アントか、また何かお宝拾ったのか?』

『お宝なのかなぁ?とりあえず俺には使えなさそうな物だからしまっとこうと思って』

『本当にお前はお得意様だよ。今倉庫を開けるぜ』

 貸倉庫屋の主人、ダントさんからの返事が来てすぐにタブレットの背面が緑色の光を放ち、それが幾重にも重なって空中に1メートル四方程度の扉を形成した。光が収まり完全に扉が形成された後、俺はその扉を開け無造作にさっき拾った玉を放り込む。

「この倉庫もだいぶ物が溜まって来たなぁ」

『ずいぶん物が溜まって来たじゃねぇか。今ならまだこれより大きいサイズの倉庫が何個か空いてるぜ?どうだ?これを機に借り換えねぇか?』

 俺の独り言が聞こえていたかの様にダントさんからチャットが飛んでくる。

「まだぼったくる気かよ……、この倉庫借りるのだって月に500万マソも払ってるんだぞ?さすがに商売上手って言葉は当てはまらないな」

『とりあえず今のところは遠慮しておきます』

『なんだ、お前さんならこの先必要になると思うんだがな。まぁ気が変わったらいつでも言ってくれや』

 この貸倉庫、ダントさんのとんでもなくレアな特異のスキルで、どんなに離れた場所にも別次元の小さな部屋に通じる扉を作り、その中を人に貸して月々の管理費を請求するって商売だ。ただ保管する場所をどこにでも出現させる事が出来るだけで、そこへ物を出し入れする事しか出来ない。そしてその扉は契約した人のいる場所にしか出現させられない。つまりは俺が入れたアイテムを、別の場所にいるダントさんが取り出す、といった事は出来ない訳だ。魔素の大きな物を転送出来ないのと同じ理屈だ。それにしたって便利な事には変わりない。特に俺の様にダンジョンから出ない生活をしている人間にはとても好都合。何せ持ち帰る家も無いんだから。ダントさんの店を見つけるまでは持ちきれないドロップアイテムは全て捨てて来たからな。だからと言って月々500万マソは高いんじゃないか?
 そんな事をしている間にモンスター部屋を出る階段が現れた。

「そろそろ次に行くかぁ~」

 俺は階段を上り元いたダンジョン内に戻る。ちなみにここは何階層なんだろう?このダンジョンに転移して来てから10の階層を降りて来た。もともと何階層に転移したか分からないので最低10階層以上は降りている。そしてこのダンジョンは驚くほどトラップが多い。お陰でモンスター部屋のトラップもすぐ見つかるし、ミミックなんかもトラップもたくさんあって、それをレベルアップさせてモンスター部屋に潜る事も出来た。いやぁ~趣味が捗る捗る。

 その後も俺は何度もモンスター部屋を堪能し、比較的ゆっくりと階層を降りて行った。

「にしてもこのダンジョン、ずいぶん深いな?」

 階層を降りる毎に魔物の強さも増して行くが、同時に俺のステータスも上がって行き、なんだか丁度いいペースで進み続けてしまった。そんなこんなで転移して来てから降りる事55階層、時間にして半年が過ぎていた。でもここは見た事も聞いた事も無い様な魔物が多く出現するので、転移してしまうと他ではお目にかかれないんじゃないかと思う。そうなると図鑑が埋められなくなってしまうので他へ転移するのを躊躇ってしまった。

「あれ?あの扉なんだ?」

 だいぶ奥まで進んだら目の前に大きな扉に行き当たった。
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