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2 プロローグ(後編)
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巨大な魔人は家屋を次々と踏み潰し、更に石造りの教会を腕でなぎ倒した。
「この前、教えてもらった攻撃魔法を試してみていい?実はこっそり練習してたんだ」
僕が自慢げに言うと、ミネルバは今まで見せた事がないような怖い顔をした。
「バカな事を言わないで!逃げますよアスト様!」
彼女は僕の腕を取って走り出した。
「ミネルバ、分かったから引っ張らないで」
僕は逃げながらもスケッチブックに魔法陣を描いていった。魔法初心者の僕でも、魔法陣なら正確に描きさえすれば魔法が発動するはずだ。
「きゃああ…」
女性の叫び声に驚いて振り返った。
「見てミネルバ!あれは何なの?」
異様な光景に思わず足がすくんだ。魔人は口から赤い光線を出し、それを鞭のように振るって若い女性を捕らえると、口の中に吸い込んだ。
「魔人の口は魔界に繋がっていて、魔界に送られた人は精気を魔族の餌にされてしまうのよ」
そう言っている間にも、魔人は精気の多そうな子供や若者を見つけては次々と捕らえていく。
「ダメ…逃げ切れない」
いつも沈着冷静なミネルバが、珍しく弱音を吐く。
僕は急いで魔法陣を描き進めた。
「アスト様、危ない!」
僕に向かって伸びてくる光の鞭。ミネルバは僕をかばって光の鞭に捕らえられてしまった。
「ミネルバ!」
「私に構わず逃げてください!」
彼女は空中に釣り上げられながらも僕に逃げるよう促した。
「今、助けるから!」
焦りながらペンを走らせる。
「くそっ、もう少し、もう少しだ…」
「アスト様!」
「出来た!攻撃魔法、疾風斬!」
僕は魔法陣を描いたスケッチブックを魔人に向けた。スケッチブックからいくつもの空気のブーメランが凄まじい勢いで飛び出し、魔人を取り囲んでいく。次の瞬間、ブーメランは魔人を粉々に斬り崩した。
「やったよ!ミネルバ…ミネルバ?」
周囲を見渡しても人の気配はない。
「間に…合わなかっ…た…」
精神力を使い果たした僕は、そのまま気を失った…
「村は全滅か…しかし、魔人はどこに消えたのだ?」
剣士ブライツは、馬上から目にしたあまりの惨状に眉をひそめた。
村に生きた人の影は見えない。魔人に踏み潰された死体が転がるのみだ。
「これで襲われた村は五つ目…今後も増えるだろう。早々に対策を考えねばならんな」
「うう…」
かすかにうめき声がする。ブライツは慎重に声のする方へ近づいて行った。
「…誰も…誰も助けられなかった…」
そこにいたのは夢にうなされるアストだった。
「子供…生きているのか…」
ブライツは、ほっとして息をついた。それから、怪我がないかアストの状態をチェックした。
「ん?なんだこれは!」
アストのスケッチブックに描かれた魔法陣を見つけたブライツは思わず声を上げた。その声でアストが目を覚ました。
「…あなたは誰…」
「私は村の調査に来た者だ。この魔法陣は君が描いたのか?」
「はい…」
(この魔法陣は風系の最上位攻撃魔法…という事は、この少年が魔人を倒したというのか!)
「ミネルバ…ごめん…」
そう言ってアストは再び気を失った。
「これは、とんでもない逸材が見つかったかもしれん…」
ブライツはアストを抱き上げ、肩に抱えると、馬に跨り村を後にした。
「この前、教えてもらった攻撃魔法を試してみていい?実はこっそり練習してたんだ」
僕が自慢げに言うと、ミネルバは今まで見せた事がないような怖い顔をした。
「バカな事を言わないで!逃げますよアスト様!」
彼女は僕の腕を取って走り出した。
「ミネルバ、分かったから引っ張らないで」
僕は逃げながらもスケッチブックに魔法陣を描いていった。魔法初心者の僕でも、魔法陣なら正確に描きさえすれば魔法が発動するはずだ。
「きゃああ…」
女性の叫び声に驚いて振り返った。
「見てミネルバ!あれは何なの?」
異様な光景に思わず足がすくんだ。魔人は口から赤い光線を出し、それを鞭のように振るって若い女性を捕らえると、口の中に吸い込んだ。
「魔人の口は魔界に繋がっていて、魔界に送られた人は精気を魔族の餌にされてしまうのよ」
そう言っている間にも、魔人は精気の多そうな子供や若者を見つけては次々と捕らえていく。
「ダメ…逃げ切れない」
いつも沈着冷静なミネルバが、珍しく弱音を吐く。
僕は急いで魔法陣を描き進めた。
「アスト様、危ない!」
僕に向かって伸びてくる光の鞭。ミネルバは僕をかばって光の鞭に捕らえられてしまった。
「ミネルバ!」
「私に構わず逃げてください!」
彼女は空中に釣り上げられながらも僕に逃げるよう促した。
「今、助けるから!」
焦りながらペンを走らせる。
「くそっ、もう少し、もう少しだ…」
「アスト様!」
「出来た!攻撃魔法、疾風斬!」
僕は魔法陣を描いたスケッチブックを魔人に向けた。スケッチブックからいくつもの空気のブーメランが凄まじい勢いで飛び出し、魔人を取り囲んでいく。次の瞬間、ブーメランは魔人を粉々に斬り崩した。
「やったよ!ミネルバ…ミネルバ?」
周囲を見渡しても人の気配はない。
「間に…合わなかっ…た…」
精神力を使い果たした僕は、そのまま気を失った…
「村は全滅か…しかし、魔人はどこに消えたのだ?」
剣士ブライツは、馬上から目にしたあまりの惨状に眉をひそめた。
村に生きた人の影は見えない。魔人に踏み潰された死体が転がるのみだ。
「これで襲われた村は五つ目…今後も増えるだろう。早々に対策を考えねばならんな」
「うう…」
かすかにうめき声がする。ブライツは慎重に声のする方へ近づいて行った。
「…誰も…誰も助けられなかった…」
そこにいたのは夢にうなされるアストだった。
「子供…生きているのか…」
ブライツは、ほっとして息をついた。それから、怪我がないかアストの状態をチェックした。
「ん?なんだこれは!」
アストのスケッチブックに描かれた魔法陣を見つけたブライツは思わず声を上げた。その声でアストが目を覚ました。
「…あなたは誰…」
「私は村の調査に来た者だ。この魔法陣は君が描いたのか?」
「はい…」
(この魔法陣は風系の最上位攻撃魔法…という事は、この少年が魔人を倒したというのか!)
「ミネルバ…ごめん…」
そう言ってアストは再び気を失った。
「これは、とんでもない逸材が見つかったかもしれん…」
ブライツはアストを抱き上げ、肩に抱えると、馬に跨り村を後にした。
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