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第2話
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ロボットモーターショー2025開幕日
城杜港ポートタウンにあるイベントホール『ドリーメッセ』は入場者でごった返していた。
「国内外のロボットメーカーが一同に介して行われる初の展示会、ロボットモーターショー2025が開幕しました」
会場内ではテレビアナウンサーがニュース素材を収録していた。
「今回最大の話題は、何と言っても世界初の量産型有人二足歩行ロボット、ハヤセモータースPD-105と、世界最先端の無人自動制御二足歩行ロボット、ホンマ技研TEIMOによるデモンストレーションバトルでしょう」
ハヤセモータースのブースでは地元出身のアイドルがTV中継を始めた所だった。
「あなたの心をハッキングしちゃうぞ!SSコンプレックスの新谷ろんりです。
今日は城杜市で開催中のロボットモーターショー2025におじゃましてます。
スタジオのみなさん見えますか、これが話題のPD-105です!かっこいいですよね。そしてこちらにはドライバーの小久保さんに来てもらってます」
ド緊張した直哉がフレームインする、
「ド、ドライバーの小久保直哉です、よ、よろしくお願いします‥」
「PD-105は世界中から注目されていますけど、特にここを見てほしいっていうポイントはどこですか?」
「は、はい、い、いつもTVで見てます」
「はあ?」
「あ、あの大好きですSSコンプレックス。ぼ、僕、大ファンなんです」
「はあ、ありがとうございます‥それでPD-105の機動性ですけど‥」
(めんどくさっ)アイドルあるあるな会話を適当に流しながら、ろんりは心の中で舌打ちした。その時、突然ろんりを形容しがたい不安感が襲った。
(何?この感じ‥胸がざわざわする‥)
甲斐冬馬は屋外展示場で工事業者に土木作業用ロボットMW-303のデモンストレーションを行っていた。
1回目のデモを終えて休憩していた冬馬のもとに会場を中抜けして来た佐伯美樹がやってくる。
「佐伯さん、105の準備はいいのか?」
「もう万全、後は本番を待つのみよ‥悪いわね、担当外の事させちゃって」
「いや、完全手動操作のコイツの方が俺の性に合ってるのかもな」
強がる冬馬。
「まあ黒崎の言いたい事も分かるけどさ、言い方ってものがあるわよね」
「それ、慰めになってないぜ」
「とにかく今回は直チンに花を持たせてやってって事よ」
3時間後、会場内特設ステージ、ハヤセモータースVSホンマ技研『ロボットデモンストレーションバトル』
観客席は立ち見客も出るほど盛況だった。ステージ裏では新谷ろんりが女性アナウンサーと並んでこのバトルを実況していた。
「どっちが勝つんでしょうか、楽しみですね」
女性リポーターの当たり障りのない言葉に対し、ろんりはロボットオタクっぽい答えを返す、
「パワーならPD-105、速さなら軽量なTEIMO、接戦になるんじゃないでしょうか」
しかし、予想に反して始まってすぐに試合の結末は見えた、ハヤセのPD-105が格闘家のような素早い動きでホンマのTEIMOを圧倒したのだ。
小さくガッツポーズをする佐伯と、苦虫を噛み潰したようなホンマのエンジニア達。
「ネットの動画とは動きが全然違いますね。105の進歩、ハンパないです」
これは言い訳ではなく、ろんりの実感だった。
『アルファ‥ミツケタ!』
(えっ?)突然、頭の中に響いた声に驚いてろんりは周囲を見回した。
遂にTEIMOの腕をねじり上げ破壊するPD-105。
「やりすぎよ直チン!」
通信で直哉に呼びかける佐伯、しかし返答はない。
PD-105は向きを変えるとステージ裏に向かって歩き出した。
観客達は演出なのかハプニングなのか計りかねて、ざわつき出した。
『佐伯さん、何か起こったか?』
事態を察したかのように、屋外でデモンストレーションを続けていた冬馬の声がスピーカーから響いた。
「105が予定外の行動を‥直弥からの応答がないのよ。」
困惑した佐伯の声が返ってくる。
『じゃあ俺が303で足止めするから、とにかく直弥を呼び続けてくれ。』
「土木作業用の303じゃ105を止めるのは無理よ!」
心配そうな佐伯の言葉に、冬馬はわざと気取った声で言った、
『俺が乗ってるんだぜ、何とかするさ。』
城杜港ポートタウンにあるイベントホール『ドリーメッセ』は入場者でごった返していた。
「国内外のロボットメーカーが一同に介して行われる初の展示会、ロボットモーターショー2025が開幕しました」
会場内ではテレビアナウンサーがニュース素材を収録していた。
「今回最大の話題は、何と言っても世界初の量産型有人二足歩行ロボット、ハヤセモータースPD-105と、世界最先端の無人自動制御二足歩行ロボット、ホンマ技研TEIMOによるデモンストレーションバトルでしょう」
ハヤセモータースのブースでは地元出身のアイドルがTV中継を始めた所だった。
「あなたの心をハッキングしちゃうぞ!SSコンプレックスの新谷ろんりです。
今日は城杜市で開催中のロボットモーターショー2025におじゃましてます。
スタジオのみなさん見えますか、これが話題のPD-105です!かっこいいですよね。そしてこちらにはドライバーの小久保さんに来てもらってます」
ド緊張した直哉がフレームインする、
「ド、ドライバーの小久保直哉です、よ、よろしくお願いします‥」
「PD-105は世界中から注目されていますけど、特にここを見てほしいっていうポイントはどこですか?」
「は、はい、い、いつもTVで見てます」
「はあ?」
「あ、あの大好きですSSコンプレックス。ぼ、僕、大ファンなんです」
「はあ、ありがとうございます‥それでPD-105の機動性ですけど‥」
(めんどくさっ)アイドルあるあるな会話を適当に流しながら、ろんりは心の中で舌打ちした。その時、突然ろんりを形容しがたい不安感が襲った。
(何?この感じ‥胸がざわざわする‥)
甲斐冬馬は屋外展示場で工事業者に土木作業用ロボットMW-303のデモンストレーションを行っていた。
1回目のデモを終えて休憩していた冬馬のもとに会場を中抜けして来た佐伯美樹がやってくる。
「佐伯さん、105の準備はいいのか?」
「もう万全、後は本番を待つのみよ‥悪いわね、担当外の事させちゃって」
「いや、完全手動操作のコイツの方が俺の性に合ってるのかもな」
強がる冬馬。
「まあ黒崎の言いたい事も分かるけどさ、言い方ってものがあるわよね」
「それ、慰めになってないぜ」
「とにかく今回は直チンに花を持たせてやってって事よ」
3時間後、会場内特設ステージ、ハヤセモータースVSホンマ技研『ロボットデモンストレーションバトル』
観客席は立ち見客も出るほど盛況だった。ステージ裏では新谷ろんりが女性アナウンサーと並んでこのバトルを実況していた。
「どっちが勝つんでしょうか、楽しみですね」
女性リポーターの当たり障りのない言葉に対し、ろんりはロボットオタクっぽい答えを返す、
「パワーならPD-105、速さなら軽量なTEIMO、接戦になるんじゃないでしょうか」
しかし、予想に反して始まってすぐに試合の結末は見えた、ハヤセのPD-105が格闘家のような素早い動きでホンマのTEIMOを圧倒したのだ。
小さくガッツポーズをする佐伯と、苦虫を噛み潰したようなホンマのエンジニア達。
「ネットの動画とは動きが全然違いますね。105の進歩、ハンパないです」
これは言い訳ではなく、ろんりの実感だった。
『アルファ‥ミツケタ!』
(えっ?)突然、頭の中に響いた声に驚いてろんりは周囲を見回した。
遂にTEIMOの腕をねじり上げ破壊するPD-105。
「やりすぎよ直チン!」
通信で直哉に呼びかける佐伯、しかし返答はない。
PD-105は向きを変えるとステージ裏に向かって歩き出した。
観客達は演出なのかハプニングなのか計りかねて、ざわつき出した。
『佐伯さん、何か起こったか?』
事態を察したかのように、屋外でデモンストレーションを続けていた冬馬の声がスピーカーから響いた。
「105が予定外の行動を‥直弥からの応答がないのよ。」
困惑した佐伯の声が返ってくる。
『じゃあ俺が303で足止めするから、とにかく直弥を呼び続けてくれ。』
「土木作業用の303じゃ105を止めるのは無理よ!」
心配そうな佐伯の言葉に、冬馬はわざと気取った声で言った、
『俺が乗ってるんだぜ、何とかするさ。』
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