スピードスケープ2025 -ロボット暴走!調査編-

NoBorder

文字の大きさ
11 / 28

第11話

しおりを挟む
章生あきお丹下たんげが話しながら大学のキャンパスを歩いていると、ラボのメンバー5、6人がグランドで実験しているのに出くわした。

そのロボットは車のシートに足が生えたようなシンプルなもので、その上にはプロテクターを装着したドライバーが乗っていた。
ロボットが走り出す。しかし、すぐにバランスを崩すと、転倒してドライバーを勢い良く振り落とした。
「モンタくん、無事ですかっ!」
チーフマネージャーの久慈護冶くじごじが大声で呼びかける。
ロボットから投げ出されたドライバーの門田かどたは、立ち上がると両腕で大きな丸を作った。
「良かった‥しかし、何が問題なんでしょうねぇ‥」
護冶は頭をかいた。
「メカニカル動作が設計値と違うんだな、だからコンピュータの処理に動作が置いてかれてるんだ。」
護冶の弟でロボットを設計した久慈省吾くじしょうごがパソコンのモニターデータを見ながら言う。
「省吾君の設計そのままは予算的に厳しいのですよ‥」
「また予算の話かよ」
二人の会話に綾可あやかが割り込む、
「分かりました、それではバランスを取るタイミングを一歩ごとから三歩きに変更しましょう。それなら足の動作を微調整する回数が減らせますから、メカニカル動作の追従性ついじゅうせいが確保できると思います。」
そう言いながらすでに制御プログラムを書き換え始めていた。

「どうも、先ほどは失礼しました」
ロボット研究所のメンバーに声をかける章生。
「これは国交省の調査官殿、事故の件は何か分かりましたか?」
護冶が尋ねる。
「調査の内容は部外秘なもので‥」
「そうですか、そうでしょうとも」
「105の事故はサイバーテロだって噂やん?PDってセンターコンピュータで制御してるやろ、優秀なハッカーなら痕跡を残さずにハッキングして105を暴走させるくらい造作もないんやて」
うわさ好きの宮地みやじが口を挟む。
「違うな、事故原因は105に搭載された裏OSだ」
省吾は確信的に言った、
「ハヤセはPDを軍事兵器としてアメリカに売り込もうとしていて、それを政府も黙認している。その為に開発されたのが裏OSさ。
裏OSの売りは無人で敵陣に突入し制圧する『自立戦闘モード』。ハヤセはモーターショーのデモバトルでそれをテストするつもりだった。ところが想定以上に105が派手に動き回ったせいで事故になってしまった。管轄かんかつの経産省は火消しに躍起やっきって話だぜ」
「また政府陰謀いんぼう論ですか、省吾くんもネットの噂好きですね‥」
「これは『革命家J』の情報だ、今まで彼の情報が間違っていた事は一度も無い。どうなんです?調査官」
急に話を振られて章生は焦った。それをさっしたかの様に綾可が言った、
「プログラム修正が終わりました」
「早いですねぇ、さすがは部長」
護冶が拍手する。
「えっ、彼女が部長なんですか、あなたじゃなくて?」
章生は護冶と綾可を交互に見た。
「はい、蓼丸たでまる女史は高校一年生にしてプログラミングコンテスト日本代表、そして城杜しろもり大学の特待生、部長に相応しい人物です」
「えっ、彼女は高校生なんですか、それに‥」
章生は情報量の多さに混乱した。
「部長と言っても一日警察署長的な権限を伴わない役です。大体にして研究所なのに所長ではなく部長という段階で話が破綻はたんしていますし‥三井さん、ダンパーの調整をお願いします。2.5上げで」
綾香は冷静なフォローを入れながら、同時にてきぱきと指示を出した。
無口なメカニックの三井は無言でロボットのもとに向かった。
「こういうのにはお金もかかるんでしょうな」
丹下が護冶に尋ねた。
「メーカーみたいにノルマがあるわけではないので、やれる範囲でコツコツとやっています」

三井が両手で輪を作りOKサインを出す。
「では、テストを再開します」
護治の合図で動き出すロボット、今度は快調に走り続ける。
部員達から歓声が上がる。

「いいですね、こういう感じ‥」
章生はしみじみと言った。
「みなさん純粋にロボットが好きだから情熱を注げるんだと思います。わたしもこの雰囲気が大好きです」
この綾可の言葉に章生はハッとさせられた、
「そうか‥開発者は誰だって、初めは純粋にロボットが好きだったはずなんですよね」
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

三十年後に届いた白い手紙

RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。 彼は最後まで、何も語らなかった。 その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。 戴冠舞踏会の夜。 公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。 それは復讐でも、告発でもない。 三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、 「渡されなかった約束」のための手紙だった。 沈黙のまま命を捨てた男と、 三十年、ただ待ち続けた女。 そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。 これは、 遅れて届いた手紙が、 人生と運命を静かに書き換えていく物語。

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く

ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。 5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。 夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…

老聖女の政略結婚

那珂田かな
ファンタジー
エルダリス前国王の長女として生まれ、半世紀ものあいだ「聖女」として太陽神ソレイユに仕えてきたセラ。 六十歳となり、ついに若き姪へと聖女の座を譲り、静かな余生を送るはずだった。 しかし式典後、甥である皇太子から持ち込まれたのは――二十歳の隣国王との政略結婚の話。 相手は内乱終結直後のカルディア王、エドモンド。王家の威信回復と政権安定のため、彼には強力な後ろ盾が必要だという。 子も産めない年齢の自分がなぜ王妃に? 迷いと不安、そして少しの笑いを胸に、セラは決断する。 穏やかな余生か、嵐の老後か―― 四十歳差の政略婚から始まる、波乱の日々が幕を開ける。

99歳で亡くなり異世界に転生した老人は7歳の子供に生まれ変わり、召喚魔法でドラゴンや前世の世界の物を召喚して世界を変える

ハーフのクロエ
ファンタジー
 夫が病気で長期入院したので夫が途中まで書いていた小説を私なりに書き直して完結まで投稿しますので応援よろしくお願いいたします。  主人公は建築会社を55歳で取り締まり役常務をしていたが惜しげもなく早期退職し田舎で大好きな農業をしていた。99歳で亡くなった老人は前世の記憶を持ったまま7歳の少年マリュウスとして異世界の僻地の男爵家に生まれ変わる。10歳の鑑定の儀で、火、水、風、土、木の5大魔法ではなく、この世界で初めての召喚魔法を授かる。最初に召喚出来たのは弱いスライム、モグラ魔獣でマリウスはガッカリしたが優しい家族に見守られ次第に色んな魔獣や地球の、物などを召喚出来るようになり、僻地の男爵家を発展させ気が付けば大陸一豊かで最強の小さい王国を起こしていた。

近すぎて見えない物

あんど もあ
ファンタジー
エルリック王子と一夜を共にした男爵令嬢。エルリックの婚約者シルビアが、優しく彼女に言った一言とは。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

処理中です...