スピードスケープ2025 -ロボット暴走!調査編-

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第20話

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デモンストレーションバトルが中断した特設会場
休止状態だったPD-105が突然動き出した。
「え、誰が動かしてるの?」
佐伯さえきが周囲のスタッフに聞く。
「もうドライバーは降りてます、誰も乗ってません‥」
スタッフの一人が答える。その横に紙コップを持ったドライバーがキョトンとして立っていた。

    * * *

ハヤセモーターススタッフルーム
会場警備に当たっていた警官が血相を変えて部屋に飛び込んで来た、
「報告します、無人のPD-105が勝手に動き出しました!」
「そんな、どういう事なんだ‥」
この章生あきおつぶやきに、黒崎が答えた、
「勝手に僕のPCを切断したりするからだ。二つのアルファユニットはリンクして互いに制御し合っているんだ。そのリンクをいきなり切断したら制御を失って何が起きるか‥」
「二つのアルファユニット?まさか、PDー105にはアルファのプログラムではなく、アルファの制御ユニットが搭載されているんですか」
章生が聞き返す。
「ああ、全ての105いちまるごには、アルファユニットが搭載されている、当然オリジナルは1つで他はコピーだけど」
「事故を起こした105を分解した報告書にそれらしいパーツは記載されていませんでしたが?」
「調査官はアルファユニットを何だと思ってる?105シリーズから搭載された次世代量子コンピュータ、その正体こそアルファユニットなんだよ。
アルファのプログラムもラムダOSもその中に格納されているのさ」
「科捜研でデータを解析した結果にはラムダOSと関連ドライバソフト以外のプログラムは発見出来ませんでした」
樺島が報告する。
「それは外部からはラムダOSにしかアクセス出来ないからさ。アルファのプログラムは隔離された領域にあって外部からは見えないんだ」
「アクセスできないのにどうやってアルファを起動するんですか?」
質問した章生を馬鹿にする様に黒崎が答える、
「一々起動しているのは表面のラムダOSだけさ。いいか?アルファは最初に起動されて以降、もシャットダウンされていない。だから、みんな桐生博士にだまされたって言ったんだよ」
「博士は何故そんな事を‥」
「だってアルファに発生した人口知性はシャットダウンした瞬間に消滅してしまうんだ。ただの人工知能じゃないだぞ、この奇跡の発明を何で捨てる事ができる?」
「ちょっと待ってください、アルファに直接アクセスできないなら、やはり使用する事は出来ないのでは?」
章生が訝しげに訊いた。
「ふふふ‥そこだよ、博士にも思い付けなかった事を僕は思い付いたんだ、人間に制御できないなら、アルファに制御させればいいとね。そこでアルファユニットのコピーを作り、二つのユニットをリンクさせたんだ‥まさに狙い通りだったよ、僕はアルファの制御に成功したんだ」
黒崎は得意げに答えた。
「待ってください、それではPDを人間が制御している事にはならないのでは?」
章生の質問に黒崎は冷笑を浮かべた、
「PDの制御はアルファに任せればいい、だってアルファは人間より高い知能を持っているんだから」

    * * *

ロボットモーターショー会場
「慌てずに、係員の誘導に従って避難してください!」
会場はパニックにおちいった観客で騒然としていた。

「ストップコマンドは受け付けないの?」
佐伯とスタッフがあわただしい様子で話し合っている、
「はい、まったく‥」
「シャットダウンコマンドは?」
「それも駄目です」
「じゃあ、残るはプランBのみか‥ポートタウンの2号機に通信を繋いで!」

    * * *

―5分前、ポートタウン工事現場 工事車両駐車場
冬馬とうまは輸送トラックにせられたPD-105試作2号機のコクピットに居た。
『‥大変です、無人のPD-105が動き出しました!』
モーターショー会場から生配信していたアナウンサーが叫ぶ。
「嫌な予感が当たったか‥会場に行く、トラックを出してくれ」―

    * * *

ロボットモーターショー会場
「冬馬、緊急事態よ!」
佐伯がモニターに映る冬馬に呼びかけると、間髪入れずに冬馬が答えた。
『もう準備はできてる』
会場の裏手側、搬入用シャッターが開く。そこには冬馬の乗るPD-105が立っていた。
『今日はなんだな?なら、手加減なしでいくぜ』
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