20 / 28
第20話
しおりを挟む
デモンストレーションバトルが中断した特設会場
休止状態だったPD-105が突然動き出した。
「え、誰が動かしてるの?」
佐伯が周囲のスタッフに聞く。
「もうドライバーは降りてます、誰も乗ってません‥」
スタッフの一人が答える。その横に紙コップを持ったドライバーがキョトンとして立っていた。
* * *
ハヤセモーターススタッフルーム
会場警備に当たっていた警官が血相を変えて部屋に飛び込んで来た、
「報告します、無人のPD-105が勝手に動き出しました!」
「そんな、どういう事なんだ‥」
この章生の呟きに、黒崎が答えた、
「勝手に僕のPCを切断したりするからだ。二つのアルファユニットはリンクして互いに制御し合っているんだ。そのリンクをいきなり切断したら制御を失って何が起きるか‥」
「二つのアルファユニット?まさか、PDー105にはアルファのプログラムではなく、アルファの制御ユニットが搭載されているんですか」
章生が聞き返す。
「ああ、全ての105には、アルファユニットが搭載されている、当然オリジナルは1つで他はコピーだけど」
「事故を起こした105を分解した報告書にそれらしいパーツは記載されていませんでしたが?」
「調査官はアルファユニットを何だと思ってる?105シリーズから搭載された次世代量子コンピュータ、その正体こそアルファユニットなんだよ。
アルファのプログラムもラムダOSもその中に格納されているのさ」
「科捜研でデータを解析した結果にはラムダOSと関連ドライバソフト以外のプログラムは発見出来ませんでした」
樺島が報告する。
「それは外部からはラムダOSにしかアクセス出来ないからさ。アルファのプログラムは隔離された領域にあって外部からは見えないんだ」
「アクセスできないのにどうやってアルファを起動するんですか?」
質問した章生を馬鹿にする様に黒崎が答える、
「一々起動しているのは表面のラムダOSだけさ。いいか?アルファは最初に起動されて以降、一度もシャットダウンされていない。だから、みんな桐生博士に騙されたって言ったんだよ」
「博士は何故そんな事を‥」
「だってアルファに発生した人口知性はシャットダウンした瞬間に消滅してしまうんだ。ただの人工知能じゃない人工知性だぞ、この奇跡の発明を何で捨てる事ができる?」
「ちょっと待ってください、アルファに直接アクセスできないなら、やはり使用する事は出来ないのでは?」
章生が訝しげに訊いた。
「ふふふ‥そこだよ、博士にも思い付けなかった事を僕は思い付いたんだ、人間に制御できないなら、アルファに制御させればいいとね。そこでアルファユニットのコピーを作り、二つのユニットをリンクさせたんだ‥まさに狙い通りだったよ、僕はアルファの制御に成功したんだ」
黒崎は得意げに答えた。
「待ってください、それではPDを人間が制御している事にはならないのでは?」
章生の質問に黒崎は冷笑を浮かべた、
「PDの制御はアルファに任せればいい、だってアルファは人間より高い知能を持っているんだから」
* * *
ロボットモーターショー会場
「慌てずに、係員の誘導に従って避難してください!」
会場はパニックに陥った観客で騒然としていた。
「ストップコマンドは受け付けないの?」
佐伯とスタッフが慌ただしい様子で話し合っている、
「はい、全く‥」
「シャットダウンコマンドは?」
「それも駄目です」
「じゃあ、残るはプランBのみか‥ポートタウンの2号機に通信を繋いで!」
* * *
―5分前、ポートタウン工事現場 工事車両駐車場
冬馬は輸送トラックに載せられたPD-105試作2号機のコクピットに居た。
『‥大変です、無人のPD-105が動き出しました!』
モーターショー会場から生配信していたアナウンサーが叫ぶ。
「嫌な予感が当たったか‥会場に行く、トラックを出してくれ」―
* * *
ロボットモーターショー会場
「冬馬、緊急事態よ!」
佐伯がモニターに映る冬馬に呼びかけると、間髪入れずに冬馬が答えた。
『もう準備はできてる』
会場の裏手側、搬入用シャッターが開く。そこには冬馬の乗るPD-105が立っていた。
『今日は無人なんだな?なら、手加減なしでいくぜ』
休止状態だったPD-105が突然動き出した。
「え、誰が動かしてるの?」
佐伯が周囲のスタッフに聞く。
「もうドライバーは降りてます、誰も乗ってません‥」
スタッフの一人が答える。その横に紙コップを持ったドライバーがキョトンとして立っていた。
* * *
ハヤセモーターススタッフルーム
会場警備に当たっていた警官が血相を変えて部屋に飛び込んで来た、
「報告します、無人のPD-105が勝手に動き出しました!」
「そんな、どういう事なんだ‥」
この章生の呟きに、黒崎が答えた、
「勝手に僕のPCを切断したりするからだ。二つのアルファユニットはリンクして互いに制御し合っているんだ。そのリンクをいきなり切断したら制御を失って何が起きるか‥」
「二つのアルファユニット?まさか、PDー105にはアルファのプログラムではなく、アルファの制御ユニットが搭載されているんですか」
章生が聞き返す。
「ああ、全ての105には、アルファユニットが搭載されている、当然オリジナルは1つで他はコピーだけど」
「事故を起こした105を分解した報告書にそれらしいパーツは記載されていませんでしたが?」
「調査官はアルファユニットを何だと思ってる?105シリーズから搭載された次世代量子コンピュータ、その正体こそアルファユニットなんだよ。
アルファのプログラムもラムダOSもその中に格納されているのさ」
「科捜研でデータを解析した結果にはラムダOSと関連ドライバソフト以外のプログラムは発見出来ませんでした」
樺島が報告する。
「それは外部からはラムダOSにしかアクセス出来ないからさ。アルファのプログラムは隔離された領域にあって外部からは見えないんだ」
「アクセスできないのにどうやってアルファを起動するんですか?」
質問した章生を馬鹿にする様に黒崎が答える、
「一々起動しているのは表面のラムダOSだけさ。いいか?アルファは最初に起動されて以降、一度もシャットダウンされていない。だから、みんな桐生博士に騙されたって言ったんだよ」
「博士は何故そんな事を‥」
「だってアルファに発生した人口知性はシャットダウンした瞬間に消滅してしまうんだ。ただの人工知能じゃない人工知性だぞ、この奇跡の発明を何で捨てる事ができる?」
「ちょっと待ってください、アルファに直接アクセスできないなら、やはり使用する事は出来ないのでは?」
章生が訝しげに訊いた。
「ふふふ‥そこだよ、博士にも思い付けなかった事を僕は思い付いたんだ、人間に制御できないなら、アルファに制御させればいいとね。そこでアルファユニットのコピーを作り、二つのユニットをリンクさせたんだ‥まさに狙い通りだったよ、僕はアルファの制御に成功したんだ」
黒崎は得意げに答えた。
「待ってください、それではPDを人間が制御している事にはならないのでは?」
章生の質問に黒崎は冷笑を浮かべた、
「PDの制御はアルファに任せればいい、だってアルファは人間より高い知能を持っているんだから」
* * *
ロボットモーターショー会場
「慌てずに、係員の誘導に従って避難してください!」
会場はパニックに陥った観客で騒然としていた。
「ストップコマンドは受け付けないの?」
佐伯とスタッフが慌ただしい様子で話し合っている、
「はい、全く‥」
「シャットダウンコマンドは?」
「それも駄目です」
「じゃあ、残るはプランBのみか‥ポートタウンの2号機に通信を繋いで!」
* * *
―5分前、ポートタウン工事現場 工事車両駐車場
冬馬は輸送トラックに載せられたPD-105試作2号機のコクピットに居た。
『‥大変です、無人のPD-105が動き出しました!』
モーターショー会場から生配信していたアナウンサーが叫ぶ。
「嫌な予感が当たったか‥会場に行く、トラックを出してくれ」―
* * *
ロボットモーターショー会場
「冬馬、緊急事態よ!」
佐伯がモニターに映る冬馬に呼びかけると、間髪入れずに冬馬が答えた。
『もう準備はできてる』
会場の裏手側、搬入用シャッターが開く。そこには冬馬の乗るPD-105が立っていた。
『今日は無人なんだな?なら、手加減なしでいくぜ』
0
あなたにおすすめの小説
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
三十年後に届いた白い手紙
RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。
彼は最後まで、何も語らなかった。
その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。
戴冠舞踏会の夜。
公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。
それは復讐でも、告発でもない。
三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、
「渡されなかった約束」のための手紙だった。
沈黙のまま命を捨てた男と、
三十年、ただ待ち続けた女。
そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。
これは、
遅れて届いた手紙が、
人生と運命を静かに書き換えていく物語。
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
老聖女の政略結婚
那珂田かな
ファンタジー
エルダリス前国王の長女として生まれ、半世紀ものあいだ「聖女」として太陽神ソレイユに仕えてきたセラ。
六十歳となり、ついに若き姪へと聖女の座を譲り、静かな余生を送るはずだった。
しかし式典後、甥である皇太子から持ち込まれたのは――二十歳の隣国王との政略結婚の話。
相手は内乱終結直後のカルディア王、エドモンド。王家の威信回復と政権安定のため、彼には強力な後ろ盾が必要だという。
子も産めない年齢の自分がなぜ王妃に? 迷いと不安、そして少しの笑いを胸に、セラは決断する。
穏やかな余生か、嵐の老後か――
四十歳差の政略婚から始まる、波乱の日々が幕を開ける。
99歳で亡くなり異世界に転生した老人は7歳の子供に生まれ変わり、召喚魔法でドラゴンや前世の世界の物を召喚して世界を変える
ハーフのクロエ
ファンタジー
夫が病気で長期入院したので夫が途中まで書いていた小説を私なりに書き直して完結まで投稿しますので応援よろしくお願いいたします。
主人公は建築会社を55歳で取り締まり役常務をしていたが惜しげもなく早期退職し田舎で大好きな農業をしていた。99歳で亡くなった老人は前世の記憶を持ったまま7歳の少年マリュウスとして異世界の僻地の男爵家に生まれ変わる。10歳の鑑定の儀で、火、水、風、土、木の5大魔法ではなく、この世界で初めての召喚魔法を授かる。最初に召喚出来たのは弱いスライム、モグラ魔獣でマリウスはガッカリしたが優しい家族に見守られ次第に色んな魔獣や地球の、物などを召喚出来るようになり、僻地の男爵家を発展させ気が付けば大陸一豊かで最強の小さい王国を起こしていた。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる