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フラグは立てるべきじゃない。
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ポツリポツリ上部に備え付けられたライトが頼りなく暗闇の中を照らしている。決して遠くまで見渡せないその灯り一つでは、何か起きた時に対応が遅れることになるだろう。シルリアさんはこういう時のために持っていたであろう松明に火をつけた。
ダンジョンの内部とはこんなに暗いものなのか。外とでは明るさが段違いだ。
「あの、素材ってほんとにダンジョンの中にあるものなんですか?学生は正式な監督官がいなきゃダンジョンに入ってはいけない、なんて規則があるせいでバレたら困るの俺なんですけど。そんな物、ガロさんが頼むかな?」
これは学生手帳の第何条かに書かれてある規則の一つだ。他にも細かい規則はもいくつかあるのだが、当然なことに俺が歩んだルートでは、主人公は一度もダンジョン内に入ったことはなく、その名前すら出てこなかった。冒険者という名前を知ったのもこの世界で記憶を取り戻してからだ。
バレれば謹慎処分。だが、俺ならどうなっても可笑しくない。
退学?そんなのはごめんだ。俺は推しを見続けたい。そのために今を生きているのだから。もし、遠く離れてても彼を見守るそんな魔法具があるのなら退学だって受け入れたっていい。俺はそれだけの覚悟がある。その魔法具さえあれば、それを使って密かに推しを見守り、生きていくことができるのだから。
「俺がそうだろうが。文句あんのかよ。」
「……正式なって言ったんですけど。」
「それに奥には入らねぇんだ。別になんもねぇよ。」
おい。フラグか?フラグなのか?
「たくっ、んなのどうだっていいだろ。それより、荷物持ってねぇのに俺より遅いってのはなんなんだよ。オメェ。」
自分は慣れてるからって散々ないいようだな。この体力バカ。
「ほんとシルリアさんって友達いなさそうだよねー。」
「いるわクソガキ!一人や二人ぐらい。」
え?いるの?
こんな協調性のないやつに友達が?
かつてのコルシャとため張れるぐらいなのに?
「なんだその目は。」
「その一人や二人って孤独が生み出した架空の友達ってことではありませんよね?まさかこんなしーちゃんに付き合える人間がいるとは思ってなくて。その友達、大切にしてあげてくださいね。」
「舐めてんのかクソガキィ!オメェを今すぐ魔物の本拠地に放り込んで逃げてもいいんだぞ。あぁ゛ん?!」
「はいはい、落ち着いて。」
「落ち着けるか!ボケ!」
「どうどう」
「俺は馬じゃねぇ!!」
ほんと誂いやすいな、この人。
……そういや、誰も見かけないな。
ここに俺たち以外に人間は居ないのか?
ここが俗に言うダンジョンというのであれば他に誰かが居てもおかしくはないが、俺たちの他には、人っ子一人居ないどころか、その魔物すら見かけない。
「あの、本当に大丈夫なんですか?ここ。ちょっと様子可笑しくありません?」
「はぁ?どうしたんだ、クソガキ。いよいよ怖くなって前に進めませんってか?ふん、可哀想に。僕ちゃんにはまだ早かったな。入り口まで一人で逃げ帰ってもいいんだぞ?その場合は報酬は無しだがな。」
なんでこんな偉そうなんだ、この人。
って、そうじゃなくて。
「いや、なんだか静か過ぎませんか?俺たち以外に誰もいないっていうか。」
辺りはしーんと静まりかえり、先には何もない暗がりが続いているだけだ。このまま進んで本当にお目当てのものが手に入るのだろうか。
そのお目当てのものすらシルリアさんしか把握してないの可笑しいけど。
「ふん、ダンジョンの入口なんて静かなもんだ。……にしても、何もいねぇが。」
─────!
ん?
「なんだ?この音。」
「んだよ、なんか文句あんのか。」
「いやいや違いますって。何か奥から音が聞こえませんか?」
「音ぉ?」
─────ッッッ!
やっぱり音が……。
「は?んで、こんなところにっ。」
何かが凄い勢いでこちらに向かってきている。
ドタドタと聞こえてくる地響はだんだん大きく、音が反響する洞窟の中では、それは怪物の足音のように思えた。いや、あながち間違いなどではない。音の正体、それはとても大きな、
『グァォオオォオッ!!!』
─────ドラゴン。
地面が崩れる感覚。
「嘘ぉぉぉぉぉぉ!」
やっぱフラグだった!!!!!
ダンジョンの内部とはこんなに暗いものなのか。外とでは明るさが段違いだ。
「あの、素材ってほんとにダンジョンの中にあるものなんですか?学生は正式な監督官がいなきゃダンジョンに入ってはいけない、なんて規則があるせいでバレたら困るの俺なんですけど。そんな物、ガロさんが頼むかな?」
これは学生手帳の第何条かに書かれてある規則の一つだ。他にも細かい規則はもいくつかあるのだが、当然なことに俺が歩んだルートでは、主人公は一度もダンジョン内に入ったことはなく、その名前すら出てこなかった。冒険者という名前を知ったのもこの世界で記憶を取り戻してからだ。
バレれば謹慎処分。だが、俺ならどうなっても可笑しくない。
退学?そんなのはごめんだ。俺は推しを見続けたい。そのために今を生きているのだから。もし、遠く離れてても彼を見守るそんな魔法具があるのなら退学だって受け入れたっていい。俺はそれだけの覚悟がある。その魔法具さえあれば、それを使って密かに推しを見守り、生きていくことができるのだから。
「俺がそうだろうが。文句あんのかよ。」
「……正式なって言ったんですけど。」
「それに奥には入らねぇんだ。別になんもねぇよ。」
おい。フラグか?フラグなのか?
「たくっ、んなのどうだっていいだろ。それより、荷物持ってねぇのに俺より遅いってのはなんなんだよ。オメェ。」
自分は慣れてるからって散々ないいようだな。この体力バカ。
「ほんとシルリアさんって友達いなさそうだよねー。」
「いるわクソガキ!一人や二人ぐらい。」
え?いるの?
こんな協調性のないやつに友達が?
かつてのコルシャとため張れるぐらいなのに?
「なんだその目は。」
「その一人や二人って孤独が生み出した架空の友達ってことではありませんよね?まさかこんなしーちゃんに付き合える人間がいるとは思ってなくて。その友達、大切にしてあげてくださいね。」
「舐めてんのかクソガキィ!オメェを今すぐ魔物の本拠地に放り込んで逃げてもいいんだぞ。あぁ゛ん?!」
「はいはい、落ち着いて。」
「落ち着けるか!ボケ!」
「どうどう」
「俺は馬じゃねぇ!!」
ほんと誂いやすいな、この人。
……そういや、誰も見かけないな。
ここに俺たち以外に人間は居ないのか?
ここが俗に言うダンジョンというのであれば他に誰かが居てもおかしくはないが、俺たちの他には、人っ子一人居ないどころか、その魔物すら見かけない。
「あの、本当に大丈夫なんですか?ここ。ちょっと様子可笑しくありません?」
「はぁ?どうしたんだ、クソガキ。いよいよ怖くなって前に進めませんってか?ふん、可哀想に。僕ちゃんにはまだ早かったな。入り口まで一人で逃げ帰ってもいいんだぞ?その場合は報酬は無しだがな。」
なんでこんな偉そうなんだ、この人。
って、そうじゃなくて。
「いや、なんだか静か過ぎませんか?俺たち以外に誰もいないっていうか。」
辺りはしーんと静まりかえり、先には何もない暗がりが続いているだけだ。このまま進んで本当にお目当てのものが手に入るのだろうか。
そのお目当てのものすらシルリアさんしか把握してないの可笑しいけど。
「ふん、ダンジョンの入口なんて静かなもんだ。……にしても、何もいねぇが。」
─────!
ん?
「なんだ?この音。」
「んだよ、なんか文句あんのか。」
「いやいや違いますって。何か奥から音が聞こえませんか?」
「音ぉ?」
─────ッッッ!
やっぱり音が……。
「は?んで、こんなところにっ。」
何かが凄い勢いでこちらに向かってきている。
ドタドタと聞こえてくる地響はだんだん大きく、音が反響する洞窟の中では、それは怪物の足音のように思えた。いや、あながち間違いなどではない。音の正体、それはとても大きな、
『グァォオオォオッ!!!』
─────ドラゴン。
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「嘘ぉぉぉぉぉぉ!」
やっぱフラグだった!!!!!
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