推し変したら婚約者の様子がおかしくなりました。ついでに周りの様子もおかしくなりました。

オルロ

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ドラゴン退治に必要なこと。

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「シルリアさん?」
「あぁ?何だ。」
「そんな小さな穴になにかあるんですか?」

 黙々と歩いていると、壁のほうに腕2つ分ほどの小さな穴があるのを見つけた。先程からシルリアさんはその小さな穴に向かって手を伸ばしている。しばらくそれを眺めていたが、何がしたいのかまったくもって分からない。

「いいから黙って見とけ。」

 ようやく地上まであともう少しという所に来てからのこれだ。地上に近いということは、ドラゴンがいる階層にも近づくというわけで。だんだんと騒音紛いの振動が大きくなってきていた。
 これが長引けばまた床や天井が崩落する危険がある。それにも関わらず、悠長に物を探している余裕なんてないはずなのだが。だいたい婚約者のいる人に突然キスするような男だ。突発的な行動を取るにしても、もう少し、慎重に考えて動けないものだろうか。
 動けないんだろうな。

「あの。時間が無駄なんですけど。せめて何を探してるかだけでも教えてくれませんか?」
「あ?面倒くせぇ。」
 
 こちらを見向きもせずその一言。

 ……コイツ、舐めてやがる。

「いいから教えろ。エセ冒険者。」
「誰がエセだ!誰が!つか、舐めた口聞くんじゃねぇって。俺はテメェより年上だぞ。」
「シルリアさんは尊敬できない大人だって気づいたんすよね。だから態度改めようと思って。」
「ざけんな!クソガキ!!口答えするやつは置いてくっつったよなぁ?」
「そりゃ監督不届きってやつじゃないですかね?学生をこんなダンジョンにまで連れてって挙げ句放置とか。捕まっても文句言えねぇ。」
「ハッ、ガキが一丁前に脅しかよ。」

 不意にシルリアさんの動きが止まる。

「おい。見つけたぞ。」

 シルリアさんが穴から手を抜くと、そこに握られていたのは小さな卵のようなもの。

「なんだ、これ?」
「見りゃわかんだろ。あのドラゴンの卵だ。」
「はぁ?!ドラゴンの卵?」

 なんでもドラゴンが生まれてくる時のサイズは種類によってまばらだが、大抵が小さいものらしい。こうして宿敵に見つかりにくい場所を探して卵を隠し、孵るまでそれを守っているんだとか。

「おおかた、俺達を襲ってきたのもこの卵を守るためってわけだ。守れてねぇけどな。」
「……シルリアさん。」
「おい、そんな目で俺を見るんじゃねぇ。だが、面倒くせぇことになった。なんでアイツこんな地上に近いとこまで上がってんだか。下でなんかあったのか?気になるな。降りてみるか?」
「シルリアさん!」
「チッ、ウザってぇ。」

 ドラゴンはこうしている間にも上の階で滅茶苦茶に暴れている最中だろう。もうあまり時間がない。

「おい。行くぞ。先ずはテメェを地上に返す。」
「……その卵はどうするんです?」

 ニヤリとシルリアさんの口が弧を描く。

「あ?コイツは使うんだよ。アレを倒すためにな。」
 
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