【完結】幼馴染に裏切られたので協力者を得て復讐(イチャイチャ)しています。

猫都299

文字の大きさ
55 / 60
二章 復讐のその後

55 重ねる季節

しおりを挟む
 三月の、桜がとても綺麗な日。引っ越した先の部屋に春夜君が遊びに来てくれた。

 私は四月から大学に進学し、春夜君は高校の三年生に進級する。

 結局、以前約束していた春夜君のお家に引っ越す計画は取りやめになった。春夜君が「よく考えたら花織がいるんでした。絶対にダメです」と言い出した。

 でも春夜君が高校を卒業したら二人暮らしをする約束をしている。

 彼のマンションのすぐ隣の建物に賃貸物件の空きがあり、家賃が割と安かったので私だけ先に引っ越した。春夜君も高校を卒業したら引っ越して来る予定だ。……と言っても、すぐ近所に住んでいるのだから会おうと思えば結構頻繁に会えるだろう。

 今いる部屋は三階建てのビルの二階にある。

 春夜君の住むマンションの敷地に桜が植えてある。淡い青空の下、花びらが陽光と戯れ街路を春色に染めていく様は穏やかで、この一時に出会えた事を心から尊く思った。

 次に咲く頃には一緒に暮らしているのかもしれない。微笑んでドアを閉めた。




 居間の床に座る春夜君に紅茶を差し出した。その際、床に置かれたスマホの待ち受け画面が見えた。

「あっ、その写真」

 見覚えがあって言い及ぶ。頬が緩んでしまう。

「懐かしい!」

 それは春夜君と出会った頃、彼や友人たちと行った海辺で撮影したものだった。もっと見たいなと思っていたら春夜君がスマホを手渡してくれた。待ち受けにされていた画像をよく見ると……。

「えっ? これ私大きくない?」

 手前にいる私が遠近の関係で画面の半分くらいを占めている。私が映っているという事は、ほとりちゃんが撮ってくれたものだ。奥の方に小さく朔菜ちゃんとさりあちゃんもいる。指で画像を拡大して確認する。

「ユララの朔菜ちゃんとさりあちゃん、やっぱり可愛いなぁ。私もちょっとユララの格好してみたいって思ったよ」

 懐かしみながら、しみじみと口にした。あれ?
 春夜君が薄目でこっちを見ている。不満のありそうな表情で言われた。

「明の方が可愛い」

「うっ」

 呻いて胸の真ん中を押さえた。春夜君は私の心臓を止めたいの?

 彼の手が肩に触れる。頬や唇に口付けされる。

「春夜君はあまりユララが好きじゃない……?」

 疑問に思っていた事を聞いてみた。

「……普通ですね。別にいいですよ、明がユララの服を着ても。但しほかの奴に見せないで。オレにだけ見せて」

「えっ……?」

 想像したら物凄く恥ずかしい気がしてきた。

「楽しみにしてますね」

 ニヤッとした顔で言ってくる。彼からの接触が止まらない。

「……春夜君、何か……焦ってる?」

 首へ伝わる刺激に身震いした。

「そうですね。明だけ大学に行かせるの不安です」

 目を見開いた。

「大丈夫だよ、心配しなくても。私ぼけっとしてるかもしれないけど晴菜ちゃんや皆もいるし! 楽しみなんだ」

 笑って言うと彼は苦笑した。

「そういう意味じゃないです」

「じゃあ、どういう意味?」

 見上げて尋ねる。

「春夜君の気持ちを……私が分かるまで教えて?」

 彼が答えるまで少しの間があった。

「……いつからそんなにあざとくなったんですか?」

 指摘されてしまった。そうだよ。私は春夜君を落としたいんだよ。白状する。

「だって私の方が焦ってるから」

 赤面している筈の顔を両手で覆った。

 高校を卒業して一緒の学び舎に通えなくなる。それだけの事でとても不安な方向に考える時もある。春夜君が新しいクラスメイトの誰かを好きにならないとも限らないとか、つい想像して自己嫌悪に陥るなんて日常的にある。

「ますます心配になりました」

 告げられた心情が思い掛けなくて「え? 何で」と思って見返した。「まだ分かってないの?」と言いたげな目で睨んでくる。

 凄く近くで小さく答えを教えてもらった。だけど動悸が激しくなるばかりで深く意味を理解できていなかった。

 私が推量するより彼の気持ちが重いと知るのは、もう少し先の話である。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

学校一の美人から恋人にならないと迷惑系Vtuberになると脅された。俺を切り捨てた幼馴染を確実に見返せるけど……迷惑系Vtuberて何それ?

宇多田真紀
青春
学校一の美人、姫川菜乃。 栗色でゆるふわな髪に整った目鼻立ち、声質は少し強いのに優し気な雰囲気の女子だ。 その彼女に脅された。 「恋人にならないと、迷惑系Vtuberになるわよ?」 今日は、大好きな幼馴染みから彼氏ができたと知らされて、心底落ち込んでいた。 でもこれで、確実に幼馴染みを見返すことができる! しかしだ。迷惑系Vtuberってなんだ?? 訳が分からない……。それ、俺困るの?

同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。

ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。 真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。 引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。 偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。 ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。 優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。 大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。

天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】

田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。 俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。 「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」 そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。 「あの...相手の人の名前は?」 「...汐崎真凛様...という方ですね」 その名前には心当たりがあった。 天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。 こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。

久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…

しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。 高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。 数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。 そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…

幼馴染に告白したら、交際契約書にサインを求められた件。クーリングオフは可能らしいけど、そんなつもりはない。

久野真一
青春
 羽多野幸久(はたのゆきひさ)は成績そこそこだけど、運動などそれ以外全般が優秀な高校二年生。  そんな彼が最近考えるのは想い人の、湯川雅(ゆかわみやび)。異常な頭の良さで「博士」のあだ名で呼ばれる才媛。  彼はある日、勇気を出して雅に告白したのだが―  「交際してくれるなら、この契約書にサインして欲しいの」とずれた返事がかえってきたのだった。  幸久は呆れつつも契約書を読むのだが、そこに書かれていたのは予想と少し違った、想いの籠もった、  ある意味ラブレターのような代物で―  彼女を想い続けた男の子と頭がいいけどどこかずれた思考を持つ彼女の、ちょっと変な、でもほっとする恋模様をお届けします。  全三話構成です。

ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話

桜井正宗
青春
 ――結婚しています!  それは二人だけの秘密。  高校二年の遙と遥は結婚した。  近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。  キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。  ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。 *結婚要素あり *ヤンデレ要素あり

処理中です...