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③
しおりを挟む「レヴィさんレヴィさん、るいぼすの事見て」
「あ、ああ……」
この優男ビジュからショタボが出るの強すぎじゃないだろうか。
なんだそのかわいさ。
画面の向こうでこんなに身振り手振りと左右にゆらゆら揺れてんの??
こんなお兄さんが???
待ってくれよく分からないところに刺さりすぎる。
「ちょっとちょっと。2人だけの世界作るのやめてくれない?」
「……はっ!?」
「ごめんなさい、レヴィさんがるいぼすのこと見てくれるの嬉しくて、つい……」
可愛くないか!!!!!!!!
なんなんだこの人は一体!!!!!!
僕の天使ルイスガチ恋がガチ恋じゃなかったみたいになるじゃないか!!!
こんな簡単に僕の心奪わないでくれよ!!!
全て可愛く見えてくる無理だ……ヲタクは1度好きに気がつくと止められないんだ……。
何とかるいぼすから視線を外し、画面内の僕たち三人に目を向けるが、視線は天使ルイスではなくるいぼすてぃに引っ張られてしまう。
その日の配信が【レヴィるい】一色だったのは言うまでもない。
げんなりしながら荷物を準備して抱えるとそそくさと挨拶をしてその場を後にした。
帰り際に話しかけてくる天使ルイスの言葉を話半分で聴きながら大通りで別れて駅に向かう。
今日は何処にも寄り道する気分ではない。
自分の浮気性に絶望していた。
まさか自分がこんな簡単に目移りするなんて思いもしなかった。
「レイさん?」
控えめに肩を叩かれて、驚きから目を見開いて振り返るとそこにはるいぼすてぃが居た。
本名で呼ばれることなどなかったので妙にドキドキしてしまう。
「るい……えっとカナト」
突然のことにV名で呼びそうになったが、何とか先程教えてもらった本名で呼び、周囲を確認する。
気がついた人は居ないらしくほっとしながら肩の力を抜いて彼に向き直る。
「……はい。なんか、名前、照れますね」
「……そう、だね」
「先に帰られたので、まさか出会えるとは思ってませんでした」
その気恥しげな笑顔と言えば花の如し。
思わず見蕩れていると花がほころんだ。
「あの、良かったらご飯でも行きませんか」
「ご飯?僕と?」
「はい、レイさんと」
あんなにどんよりとした気分だったのにかなとに誘われると浮き足立ってしまったのが自分でもわかった。
「いいよ」
「やった。ありがとうございます」
喜びを隠そうとしない素直な笑顔に釣られて笑うと、カナトは更に笑みを深めた。
そのまま近くにおすすめのご飯屋さんがあると言われて連れていかれた店は個室で落ち着いた、身バレの心配もいらない店で安心する。
「私のこと少しは好きになってくれましたか?」
「え?!」
席について注文が終わったあと、唐突に切り出された話題に思わずジュースを飲んでいた手が止まる。
うっかりこぼしそうになったのをしっかり抱え直してテーブルに置くと恐る恐るカナトを見た。
「私の事苦手でしたよね。すみません。キャラクターは事務所が設定して下さったので」
「あ、いや……」
本人が決めたキャラなのかと思えば、事務所の指示だと知り、よくこの落ち着いた青年をあのショタキャラにしようと決めたものだと感心してしまった。
普通に考えればこのままの方が安牌な気がする。
「レヴィさんと仕事がしたくて……」
前後脈絡のない言葉と、予想外の発言に首を傾げながらかなとを見つめると、困ったように微笑んでいた。
「でも私の性格は少しだけ天使ルイスさんとキャラ被りする可能性があると言われて」
「…………た」
その言葉に思わず《確かに》と洩らしそうになったが何とか呑み込む。
「どんなキャラクターでも良いので魔神レヴィさんとお仕事がしたいですと、駄々を捏ねてしまいまして、その結果が……るいぼすてぃ……なんですが……」
「すごい方向に舵を切ったね」
「ええ。自分でもキャラクターが違いすぎて何故、私がるいぼすてぃを……?となる事が度々あります…」
虚空を見つめながら首を傾げる顔に思わず笑うと、カナトも楽しげにくすくすと声を上げる。
「僕のこと好きなの?」
脳髄反射でそう問いかけた僕は慌てて口を押えてカナトを覗き見る。
なんだか自意識過剰みたいな発言をしてしまった。
「はい。ずっと大好きです」
るいぼすてぃに何度も言われた時は【嘘をつくな】なんて思ってしまっていた言葉だが、カナトに言われるとそわそわしてしまうのは現金すぎるだろうか。
「レヴィさんって、俺様キャラでかっこいい声ですけど、喋る言葉全部可愛いなって思ってて」
「そんなことないよ」
「ふふっ、確かにかっこいいっていうリスナーの方が多いのかもしれませんけど、結構いるんですよ。レヴィさんを可愛いって思ってる人も」
運ばれてきた料理を口に運びよく噛んでから嚥下したカナトはワインにも口をつける。
「所々レヴィさんは頑張って怖くないフリしてるんだろうなぁ……ってホラゲ配信では思いますし」
「…………」
「言葉遣いも可愛いのが節々に出てます」
そのカナトの優しげな声と視線は僕を勘違いさせるには十分なくらい甘い。
しかも、言葉遣いを作っていることもホラゲ配信が苦手なこともバレていて恥ずかしくなった。
「……私にも、チャンスはありますか?」
「えっ……と?」
「レイさんって天使ルイスさんのこと好きだったんでしょう?」
「なっ!?えっ……なんで!?」
言い当てられ思わず目をそらすとカナトは楽しげに笑う。
「ははっ……やっぱり。だって私がルイスさんと絡むと嫌そうなお顔してましたもんね」
「……ぁ、う……わかる?」
「ばっちりわかりますよ。ずっと見てきたので。……私魔神レヴィのリア恋ですから」
リア恋?
「………………?」
「古参リアコの担替えはなかなかないので、勝ち目があるかは微妙ですが……実際にお会いして、私………正直なしじゃないのかなって思ってます」
リアコはリア恋の略。
るいぼすてぃが、カナトが魔神レヴィのリアコ……。
予想外の流れに脳が処理できないままフリーズしているとテーブルの上で握りしめていた拳をツンと長い人差し指がつついた。
「天使ルイスに私が似てるってことは、私もタイプにはいりますよね」
「ーーーっ」
「天使ルイスさん程リアコ営業は向いていませんが……好きな人の為なら頑張ります」
するりと手の甲を撫でる指先が離れると共に僕の頬が熱くなったのが分かった。
いくら相手が自分のことを好きで、本当の自分を見てくれたとしてもこんな簡単に心揺れるなんてありえない。
「少なからず顔は私の方が好きですよね?」
顔から火が出る程血が登り、下がれもしないのに後ずさると思わず手で口元を隠す。
「あたりでしょうか…?」
その顔があまりにも嬉しそうに笑うから、浮気性で面食いな自分への幻滅なんてどこかに行ってしまった。
「やっぱりかわいい」
その優しげで嬉しげな顔と声に、恋に落ちる音がした。
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