思いオソレリ

夜行回

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1、一章

1、4小麦色に誘われて

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 学校を出て歩くと商店街の通りに入る。そこでここが現実なのだと確認できた。

 変なやつもいない。せいぜい、用意された簡易舞台で球を投げてキャッチするピエロや、路上で演奏をする若者。それらを見る俺より少し歳の小さな子供たちや老夫婦。これが俺の住む世界なのだと再認識した。

 でもだとしたら、あれはなんだったんだ?

 街を歩きながら魚屋の鮮魚に目を向ける。凍りついた蒼銀の鱗に、箱の下の方に落ち固まった赤いかけら。今日、見たあいつは鱗があった。濡れていた。瞳が3つもある。

 学生服を着ていたのは奪ったからか? 擬態して学校に紛れ込んだ怪物なのか?

 学校行きたくねえー。2つの意味で。

 街の中華屋の前を通る時は目を背ける事にしていた。ガラス越しに見える炎が怖いから。焼き鳥屋も見ないようにする。これが俺のいつも通りだと思うとさらに憂鬱が増していく。

 お腹が減っても家まで我慢する。電気コンロで自分で作ることが出来るから。食材は自分で買わなきゃだけど。

 ふと、商店街の端まで歩いて住宅街との境目に鳥居があるのを見つけた。

 昔からここには神社があるのを知っていた。それほど混んでおらず、来る人といえば老人たちだけ。売店は少しのお守りが売っているだけ、後はおみくじがある程度でどこにでもあるような神社だ。

 だが、目についたのは鳥居だけではなかった。鳥居の真ん中に狐が座っている。野生かと思ったが、首輪があった。黒々として重そうな鉄の首輪だ、なんか模様があるようにも見える。

 狐は俺を見ていた。そして首を傾げる仕草をしたかと思うと、俺の方へと歩いてくる。足元で俺のズボンに頭を擦り付けてきた、その仕草の愛らしさについ狐の頭を触る。狐は小さな鳴き声を出しながら俺の手に頭を押し付けた。

「かわよ。じいちゃん家の柴犬おもいだす」

 俺は狐に触ってない方の手を握りしめた。これは楽しい思い出でもあり、辛いことと連なった記憶だからだ。

 少し戯れてから狐は顔を上げてもう片方の手にも頭を突っ込んだ。そうしてから一旦離れると神社の方へ続く参道の中程に立って俺に振り向く。

「神社を案内してくれるのかな?」

 歩いてついて行くと、箱の前で立ち止まる。上には張り紙が。

「狐用のエサ売ってんのか、ちゃっかりしてんな!」

 しかし、触らせてもらったしと、お金を入れて一袋買った。

 境内のベンチに腰掛けて、狐の餌を手に持つ。俺の位置から遠くを見ると柵で囲まれた広い飼育場に何匹も狐が見えた。なんでこいつは外にいるのかと考えるが、狐の催促に負けてエサを与えた。
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