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第一章
弟の行方
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『人ならざるもの。』
「…え?
それってどういう…。」
戸惑いを隠せない様子の少女に、セイトは説明を始めた。
「君は、この世界が科学じゃ説明できないもので溢れていることは、知っているかい?
例えば、この世界には、人間や動植物だけじゃなくて、『魔物』ってのが存在するんだ。」
魔法や魔物の存在は、世界が正式に認めている。
「俺の占いも、ある種の魔法のようなものだ。」
そこまで聞いて、少女は先程の占いの様子を思い出した。
自分の血液が水の中で珠となり、浮かび上がった。
確かに、どう考えても科学では説明の仕様がない。
「俺は君が、『森の中で霧に覆われて弟がいなくなった直後に霧が晴れた』、と言った時、この、非科学的な可能性を疑ったんだ。」
魔法、あるいは、魔物が関わっている可能性をー。
「そんなものが…。
私、知らなかった…。
でも、そんな…。
…つまり、弟は魔物に連れていかれたってことよね。
それじゃあ、私は一体どうすれば…。」
セイトの占いをこの目で見たのだ。
魔法、そして、魔物の存在を理解するのは、簡単だった。
しかし、受け入れてしまえば、自分の無力さも受け入れなければならないことになる。
子どもの自分には、魔物相手にどうこうするなんて、不可能だ。
大人に頼ったとしても、所詮は人間。
無事に戻ってこれる確証がない。
魔物相手でも立ち向かえる力を持つ人なんて、誰もー。
「あ。」
少女は、目の前にいる、『魔法』の占いをした"彼"を見た。
目があった瞬間、"彼"は座っているにも関わらず、後ずさりしたように見えた。
顔がひきつっている。
「な、なんだ…。」
「あなた、ただの人間ではないわよね。」
「……そんなことはない…けど…。」
歯切れが悪くなっている。
「いいえ!だって、さっきの占い!
あれは、魔法なのよね。
と、いうことはつまり…。」
「…つまり…?」
少女は、前のめりなって詰め寄った。
セイトと彼女の間に、占いを行なう丸いテーブルがなければ、どこまで詰め寄られていたか。
にしても、近い。
彼女の目が輝いている。
嫌な予感しかしない。
占わずとも、未来が見えた。
彼女はきっと、こう言うだろう。
「『あなたなら、魔物と対峙できるわよね!!』」
…やっぱり。
この流れなら、そうなるだろう。
嫌だよ、絶対疲れる。
勘弁してくれ。
俺は働きたくないんだ。
しかも、この依頼は普通の"仕事"じゃないじゃないか。
俺は家でのんびり、紅茶と茶菓子を堪能していたいんだ。
よし、丁重にお断りしよう。
「えーと、申し訳ないのだけど、さすがの俺も、魔物はどうにもできないよ。
俺も人間だもの。
そういう依頼なら、国家機関に属する傭兵とかに頼むと良い。
彼らの中には、素晴らしい魔力を兼ね備えた者がいるはずだよ。」
頼れる相手を紹介すれば、意識はそちらに向くはず。
しかし。
「無理よ…。」
彼女は首を横に振った。
「なぜ?」
優しく問いかける。
もし、国家の人間に頼みにくい、という理由であるならば、それくらいは手伝わないこともない。
だが、少女が無理だと言う理由は、もっと単純なことだった。
「だって、私、お金が無いもの…。」
……………………………。
ナルホド。
「弟を見つけるヒントが欲しいと思って、占ってもらうお金だけは、なんとか用意できたけど…。
傭兵を雇うお金なんて、作れるわけない。
しかも、それが、魔力を持つ傭兵だなんて、絶対高いに決まってる!」
確かに、彼女の言い分はもっともである。
では。
「じゃあ、俺に頼むにしても、俺にはいくら払ってくれるのかな。
占い代だけじゃ、足りないよね。
なんたって、相手は魔物なんだからさ。」
「っ…!」
悪いな。
俺だって人の心は持ってる。
そりゃ、助けてやりたいとは思う。
だが、相手は魔物。
ちょっと、その辺のチンピラをやっつけに行くのとは話が違う。
「俺も、今、金に困ってるんだ。
このままじゃ、大好きな紅茶も茶菓子も満足にいただけん。
報酬を貰えないのなら、俺は君の依頼は受けられないよ。」
それに、魔物にやられたら、もう二度と俺の大好きなティータイムはやってこない。
「あ!!
それなら…。」
「?」
彼女は何かがひらめいたように、顔を上に向けた。
「…え?
それってどういう…。」
戸惑いを隠せない様子の少女に、セイトは説明を始めた。
「君は、この世界が科学じゃ説明できないもので溢れていることは、知っているかい?
例えば、この世界には、人間や動植物だけじゃなくて、『魔物』ってのが存在するんだ。」
魔法や魔物の存在は、世界が正式に認めている。
「俺の占いも、ある種の魔法のようなものだ。」
そこまで聞いて、少女は先程の占いの様子を思い出した。
自分の血液が水の中で珠となり、浮かび上がった。
確かに、どう考えても科学では説明の仕様がない。
「俺は君が、『森の中で霧に覆われて弟がいなくなった直後に霧が晴れた』、と言った時、この、非科学的な可能性を疑ったんだ。」
魔法、あるいは、魔物が関わっている可能性をー。
「そんなものが…。
私、知らなかった…。
でも、そんな…。
…つまり、弟は魔物に連れていかれたってことよね。
それじゃあ、私は一体どうすれば…。」
セイトの占いをこの目で見たのだ。
魔法、そして、魔物の存在を理解するのは、簡単だった。
しかし、受け入れてしまえば、自分の無力さも受け入れなければならないことになる。
子どもの自分には、魔物相手にどうこうするなんて、不可能だ。
大人に頼ったとしても、所詮は人間。
無事に戻ってこれる確証がない。
魔物相手でも立ち向かえる力を持つ人なんて、誰もー。
「あ。」
少女は、目の前にいる、『魔法』の占いをした"彼"を見た。
目があった瞬間、"彼"は座っているにも関わらず、後ずさりしたように見えた。
顔がひきつっている。
「な、なんだ…。」
「あなた、ただの人間ではないわよね。」
「……そんなことはない…けど…。」
歯切れが悪くなっている。
「いいえ!だって、さっきの占い!
あれは、魔法なのよね。
と、いうことはつまり…。」
「…つまり…?」
少女は、前のめりなって詰め寄った。
セイトと彼女の間に、占いを行なう丸いテーブルがなければ、どこまで詰め寄られていたか。
にしても、近い。
彼女の目が輝いている。
嫌な予感しかしない。
占わずとも、未来が見えた。
彼女はきっと、こう言うだろう。
「『あなたなら、魔物と対峙できるわよね!!』」
…やっぱり。
この流れなら、そうなるだろう。
嫌だよ、絶対疲れる。
勘弁してくれ。
俺は働きたくないんだ。
しかも、この依頼は普通の"仕事"じゃないじゃないか。
俺は家でのんびり、紅茶と茶菓子を堪能していたいんだ。
よし、丁重にお断りしよう。
「えーと、申し訳ないのだけど、さすがの俺も、魔物はどうにもできないよ。
俺も人間だもの。
そういう依頼なら、国家機関に属する傭兵とかに頼むと良い。
彼らの中には、素晴らしい魔力を兼ね備えた者がいるはずだよ。」
頼れる相手を紹介すれば、意識はそちらに向くはず。
しかし。
「無理よ…。」
彼女は首を横に振った。
「なぜ?」
優しく問いかける。
もし、国家の人間に頼みにくい、という理由であるならば、それくらいは手伝わないこともない。
だが、少女が無理だと言う理由は、もっと単純なことだった。
「だって、私、お金が無いもの…。」
……………………………。
ナルホド。
「弟を見つけるヒントが欲しいと思って、占ってもらうお金だけは、なんとか用意できたけど…。
傭兵を雇うお金なんて、作れるわけない。
しかも、それが、魔力を持つ傭兵だなんて、絶対高いに決まってる!」
確かに、彼女の言い分はもっともである。
では。
「じゃあ、俺に頼むにしても、俺にはいくら払ってくれるのかな。
占い代だけじゃ、足りないよね。
なんたって、相手は魔物なんだからさ。」
「っ…!」
悪いな。
俺だって人の心は持ってる。
そりゃ、助けてやりたいとは思う。
だが、相手は魔物。
ちょっと、その辺のチンピラをやっつけに行くのとは話が違う。
「俺も、今、金に困ってるんだ。
このままじゃ、大好きな紅茶も茶菓子も満足にいただけん。
報酬を貰えないのなら、俺は君の依頼は受けられないよ。」
それに、魔物にやられたら、もう二度と俺の大好きなティータイムはやってこない。
「あ!!
それなら…。」
「?」
彼女は何かがひらめいたように、顔を上に向けた。
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