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39話ー『消えた凶器』
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「艦長ッ!! よくぞご無事でッ!!」
艦尾のデッキに四つん這いになった俺に、ジョンは片膝をついて心配そうに顔色を覗き込んでくる。
船の側面に取り付けられた梯子を登った俺は、デッキに這い上がると、さも息切れしたように弱りきった状態を演じていた。
心配げに眉根を下げるジョンは、感極まった様子で目尻に涙を浮かべている。
そして俺の死体(艦長)を見ているパティとスコルは、ぺたんとその場で尻もちをつくと、涙ながらに俺の死体を呆然と眺めていた。
「はぁ、助かったよジョン……。だが、こちらの少年のほうが……」
そう言って俺は、俺(艦長)が安らかに眠りにつく様子を見る。
「仕方がありませんよ、艦長。あの状況でしたから……。
しかし……一体誰が、艦長を海になんか突き落としたんだ……」
そう言って悔しそうに唇を噛むジョンは、首を振って瞳を伏せる。
(俺の見立てが正しければ、恐らく犯人はこの人だ……)
元国家王国騎士のクルーであるジョン。
(ーーだが、まだ決定的な証拠が無い……)
それにジョンは、艦長が船尾に居る間は、艦内の中に居た。
俺もそのことは、確認している。
水密扉の鍵を内側から施錠して、艦内の中に居たのだ。
そんなジョンには、一見すれば艦長には触る隙すらない様に思える。
(けど、あのトリックを使えば、この謎は必ず解き明かされる。
問題なのは、どうやってジョンが、艦長を海に突き落としたのかだ……)
それを調べる為にも、俺は一度ゆっくりと立ち上がる。
ふらついた足取りを見せながら、
「こんな事態だ。すこし休ませてくれ」
そう言って俺は艦尾から離れて人目を欺くと、真っ直ぐにダッシュして艦首のほうへと走り始めた。
★
こっそりと開かれた水密扉の中へと移動し、鋼鉄製の船床を走りながら、近くにあった階段を降りる。
8番潜水艦の内部は、どうやら3階建てになっているらしく、フロアの一番底まで辿り着くと、魔導戦機の置かれた格納庫の部屋へとやって来た。
床は水浸しで、そこに置かれていエイのような頭部に、肩パッドをつけたような逆三角形体型の魔導戦機からは、ポタポタと今使ったばかりのように水滴が滴っている。
「やっぱり俺の読み通りだ」
恐らくジョンは、この魔導戦機を使って、格納庫から水中の中へと脱出を果たしたんだ。
「この部屋の横にある配電盤を操作し、ひとたび船床を開けば、すぐそこは水中だからな」
問題なのは、どうやってアークシャークを呼び寄せたかだけど……。
水密扉を使った密室トリックは、これで解き明かした。
残るは、アークシャークの問題。
それとデッキに立っていたであろう艦長を、どうやって海の底から海中に引きずりこんだかだ。
ぐるりと首を回して格納庫の中を眺めると、船床の一部に赤い染みのような物が、べったりと広がっている部分を発見する。
「そうか!!」
ーー読めたぞ!!
このアークシャークを使ったトリックの謎が!!
(残る問題は、あと一つ……)
「海底に潜った魔導戦機を使ったとして、デッキに立っていた艦長を“背後から”突き落とすなんて、本当に可能なのか?」
装備品の類を調べてみる。
だけど、それっぽい装備品はどこにも見当たらない。
「この魔導戦機が使える装備品は、アーム型の三本爪の両腕に、肩につけられた魚雷装備か……」
これらを使って艦長を背後から落とし、海底に引きずり込むのは、どう考えても不可能だ。
「そう言えば、どうして艦長は、背中一面に打撲痕があったんだ?」
俺の記憶が確かなら、アークシャークから負ったであろう噛み傷とは別に、艦長の背中には、ものすごい広さで打撲痕が見受けられた。
(まるで大きな鞭で叩きつけられたような……)
考えごとをしながら、水滴のついている魔導戦機の背後に回る。
そこで俺は、ある物を発見してしまった。
そこに落ちていたのは、鉄を切って加工したりする為に必要な、丸ノコと呼ばれる機材だ。
(そうか!! 分かったぞ!?)
間違いない!!
ジョンは、あの方法を使って、艦長を海の中へと引きずりこんだんだ!!
(っと、危ねえ!! 誰か来たみたいだ!!)
誰かが、この格納庫に走ってやって来る気配がしたので、俺はすかさず階段下に忍びこんで身を潜める。
ーー降りて来たのはジョンだった。
白いシャツに青いストライプ柄が入った、まるで囚人服のような衣服。
頭には、船乗りらしく白いキャップを被り、忌々しげに歯噛みしている姿が目に飛び込む。
「クソッ!! 何であの艦長が生きてんだッ!!」
(やっぱり俺の読みは、正しかったか……)
悪態をつきながら壁を蹴り上げたジョンは、どうやら艦長を探して、この格納庫まで降りて来たようだ。
「やっぱりあなたが犯人だったんですね?」
そう言って俺は、すべてを知った顔つきでジョンの前へと躍り出る。
ーーさぁ、始めようか!!
ーー人生初となる推理ショーをッ!!
艦尾のデッキに四つん這いになった俺に、ジョンは片膝をついて心配そうに顔色を覗き込んでくる。
船の側面に取り付けられた梯子を登った俺は、デッキに這い上がると、さも息切れしたように弱りきった状態を演じていた。
心配げに眉根を下げるジョンは、感極まった様子で目尻に涙を浮かべている。
そして俺の死体(艦長)を見ているパティとスコルは、ぺたんとその場で尻もちをつくと、涙ながらに俺の死体を呆然と眺めていた。
「はぁ、助かったよジョン……。だが、こちらの少年のほうが……」
そう言って俺は、俺(艦長)が安らかに眠りにつく様子を見る。
「仕方がありませんよ、艦長。あの状況でしたから……。
しかし……一体誰が、艦長を海になんか突き落としたんだ……」
そう言って悔しそうに唇を噛むジョンは、首を振って瞳を伏せる。
(俺の見立てが正しければ、恐らく犯人はこの人だ……)
元国家王国騎士のクルーであるジョン。
(ーーだが、まだ決定的な証拠が無い……)
それにジョンは、艦長が船尾に居る間は、艦内の中に居た。
俺もそのことは、確認している。
水密扉の鍵を内側から施錠して、艦内の中に居たのだ。
そんなジョンには、一見すれば艦長には触る隙すらない様に思える。
(けど、あのトリックを使えば、この謎は必ず解き明かされる。
問題なのは、どうやってジョンが、艦長を海に突き落としたのかだ……)
それを調べる為にも、俺は一度ゆっくりと立ち上がる。
ふらついた足取りを見せながら、
「こんな事態だ。すこし休ませてくれ」
そう言って俺は艦尾から離れて人目を欺くと、真っ直ぐにダッシュして艦首のほうへと走り始めた。
★
こっそりと開かれた水密扉の中へと移動し、鋼鉄製の船床を走りながら、近くにあった階段を降りる。
8番潜水艦の内部は、どうやら3階建てになっているらしく、フロアの一番底まで辿り着くと、魔導戦機の置かれた格納庫の部屋へとやって来た。
床は水浸しで、そこに置かれていエイのような頭部に、肩パッドをつけたような逆三角形体型の魔導戦機からは、ポタポタと今使ったばかりのように水滴が滴っている。
「やっぱり俺の読み通りだ」
恐らくジョンは、この魔導戦機を使って、格納庫から水中の中へと脱出を果たしたんだ。
「この部屋の横にある配電盤を操作し、ひとたび船床を開けば、すぐそこは水中だからな」
問題なのは、どうやってアークシャークを呼び寄せたかだけど……。
水密扉を使った密室トリックは、これで解き明かした。
残るは、アークシャークの問題。
それとデッキに立っていたであろう艦長を、どうやって海の底から海中に引きずりこんだかだ。
ぐるりと首を回して格納庫の中を眺めると、船床の一部に赤い染みのような物が、べったりと広がっている部分を発見する。
「そうか!!」
ーー読めたぞ!!
このアークシャークを使ったトリックの謎が!!
(残る問題は、あと一つ……)
「海底に潜った魔導戦機を使ったとして、デッキに立っていた艦長を“背後から”突き落とすなんて、本当に可能なのか?」
装備品の類を調べてみる。
だけど、それっぽい装備品はどこにも見当たらない。
「この魔導戦機が使える装備品は、アーム型の三本爪の両腕に、肩につけられた魚雷装備か……」
これらを使って艦長を背後から落とし、海底に引きずり込むのは、どう考えても不可能だ。
「そう言えば、どうして艦長は、背中一面に打撲痕があったんだ?」
俺の記憶が確かなら、アークシャークから負ったであろう噛み傷とは別に、艦長の背中には、ものすごい広さで打撲痕が見受けられた。
(まるで大きな鞭で叩きつけられたような……)
考えごとをしながら、水滴のついている魔導戦機の背後に回る。
そこで俺は、ある物を発見してしまった。
そこに落ちていたのは、鉄を切って加工したりする為に必要な、丸ノコと呼ばれる機材だ。
(そうか!! 分かったぞ!?)
間違いない!!
ジョンは、あの方法を使って、艦長を海の中へと引きずりこんだんだ!!
(っと、危ねえ!! 誰か来たみたいだ!!)
誰かが、この格納庫に走ってやって来る気配がしたので、俺はすかさず階段下に忍びこんで身を潜める。
ーー降りて来たのはジョンだった。
白いシャツに青いストライプ柄が入った、まるで囚人服のような衣服。
頭には、船乗りらしく白いキャップを被り、忌々しげに歯噛みしている姿が目に飛び込む。
「クソッ!! 何であの艦長が生きてんだッ!!」
(やっぱり俺の読みは、正しかったか……)
悪態をつきながら壁を蹴り上げたジョンは、どうやら艦長を探して、この格納庫まで降りて来たようだ。
「やっぱりあなたが犯人だったんですね?」
そう言って俺は、すべてを知った顔つきでジョンの前へと躍り出る。
ーーさぁ、始めようか!!
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