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第1話 入学
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2人の男女の登校時の景色から、この物語の始まりとしようと思う。
「何位だと思う?」
と、春の陽気漂う4月8日、この時期には少し暖か過ぎるくらいの気温の中、南春(みなみ はる)は尋ねた。
「何が?」
気だるそうにそう返事したのはこの物語の主人公千歳桃李(ちとせとうり)である。
「何がってあんた、入学試験の結果よ。この順位がそのまま学年序列に反映されてクラスが分けられるんじゃないっ。」
「そうだったけ?」
「はぁ。相変わらず能天気というか適当というか。ま、あんたのことだから心配はしてないけど。」
と、呆れた声で春が呟くことはいつものことだ。
「俺、入試当日インフルエンザかかってて実力の2%くらいしか出してねぇぞ。」
「はぁ?あんた、それでよく受かったわね。。」
「まぁ、それは俺も自分でびっくりしてる。ま、それでも60位くらいに入ってるんじゃね?60位だったらサードくらいからスタートできるだろ。」
サードとは、この学園内においてのクラスの通称。入試序列によって決定された学園序列1位から15位までがトップクラスファースト、16位から40位までがセカンド、40位から80位までがサード、そして、80位から100位までがトラッシュという、学園内での優劣がはっきりとした仕組みとなっている。ちなみに、進級時にトラッシュにいる生徒は強制的に退学処分となる。第1学園の定員は100人、これからその100人で切磋琢磨していくことになるのである。
「桃李がいないなら、もちろん私はトップを狙うわ。」
「でも、今年の新入生にはあの冥夜家の次期当主もいるんだろ?他にも、原始の神が付いてるやつもいるって聞いたし。。めんどくせぇなぁ。」
「これでも私は十二名家の南家の生まれなんですー。少しくらい自信はあるわよ。」
「まぁ、お前の実力なら狙えるんじゃねぇか?トップ。なんて言ったって俺がいないんだからよ。」
桃李が笑みを浮かべながら呟くと。
「この学園生活で、絶対にあんたのことなんか追い抜いてやるんだから!覚悟してなさいっ!」
「へいへい、せいぜい頑張ってくだせぇ。」
そうこうしているうちの周りにはパラパラと人が見当たるようになってきた。今年入学するであろう関係者達であろう。
「掲示板に貼られるんだっけ?順位表」
「そうよ。多分あの人集りがそうじゃないかしら。」
2人の前にはこれから始まる物語の会場となる、第1神羅学園が姿を現した。校門の前に人集りがあるのは、順位表が掲示されているからである。
「ねぇねぇ、あの人カッコよくない?」
「おい、あの娘可愛くねぇか?」
「おいおいマジかよ、なんだよあの子、めちゃくちゃ可愛いじゃん。」
と、周りからチラホラ声がするがもちろんこの2人に向けてのようだ。桃李の身長は190近く、容姿も気だるそうな目と茶色のくせ毛なだけで整っており、はたから見たらチヤホヤされる生い立ちである。春に関しては175センチの身長に明るい金髪気味のショートヘアに少しだけ垂れた水色の目に整った鼻いわゆる正統派の美少女と言ったところだ。周りから、賞賛の声が上がるのも無理はない。
「ここね。」
「ああ。」
2人が掲示板の前に立った。
「えーと、私の順位は、、、、、、」
「おい、春お前何位だった?俺はまだ見つからん。」
「さん」
「ん?なんだって?」
「3位よ!私3位!1位を取れなかったのは残念だけど、ファースト!!」
「はなからお前の心配はしてねぇよ。そんなことより俺の順位が見つからん。」
2人の予想通り、3位と申し分ない順位を叩き出した春を横目に桃李は自分の順位を探していた。
「私より上の順位の人は、、、冥夜弓弦、宇賀龍次郎、、やっぱり冥夜か、もう1人の人は知らないなぁ。例の原始の神が憑いてる人かな?」
春の順位より上の名前には登校前に話していた冥夜家次期当主、冥夜結弦(めいやゆずる)の名前があった。
「それにしてもあんた、いつまで探してんのよ!私との差が離れすぎて声も出ないとか?どんな順位でも笑ってあげるから!久しぶりに桃李に勝負事で勝てたんだから!ほら、60位?それとも80位行っちゃった?」
春が嬉しそうに桃李をはやしたてると隣から小さい声で桃李が口を開いた。
「おいおい。」
「え?なに?」
「マジかよ。」
その言葉は桃李が大きく見開いた目と同様に大きく開いた口元からこぼれるように落ちていた。
「なによ、そんなに低かったの?さすがにトラッシュからのスタートは千歳家として笑えないわよ。。。」
「、、じゅうよん」
「え、64??。。。まぁ、サードならまだ巻き返せるわよ、入試当日病気だったなら仕方ないわ。」
「きゅうじゅうよん、、、って言ったんだよ。。」
「え、、ちょ、ちょっと待って、きゅうじゅうよんって聞こえたんだけど」
自分の耳を疑っている春が恐る恐る桃李に確認した。
「ああ、俺94位みてぇだ。。ははっ」
「、、、、、、、、、、、、、、、#はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
この時の春の叫び声は第1神羅学園入学式会場の隅々に響き渡ったのであった。
「何位だと思う?」
と、春の陽気漂う4月8日、この時期には少し暖か過ぎるくらいの気温の中、南春(みなみ はる)は尋ねた。
「何が?」
気だるそうにそう返事したのはこの物語の主人公千歳桃李(ちとせとうり)である。
「何がってあんた、入学試験の結果よ。この順位がそのまま学年序列に反映されてクラスが分けられるんじゃないっ。」
「そうだったけ?」
「はぁ。相変わらず能天気というか適当というか。ま、あんたのことだから心配はしてないけど。」
と、呆れた声で春が呟くことはいつものことだ。
「俺、入試当日インフルエンザかかってて実力の2%くらいしか出してねぇぞ。」
「はぁ?あんた、それでよく受かったわね。。」
「まぁ、それは俺も自分でびっくりしてる。ま、それでも60位くらいに入ってるんじゃね?60位だったらサードくらいからスタートできるだろ。」
サードとは、この学園内においてのクラスの通称。入試序列によって決定された学園序列1位から15位までがトップクラスファースト、16位から40位までがセカンド、40位から80位までがサード、そして、80位から100位までがトラッシュという、学園内での優劣がはっきりとした仕組みとなっている。ちなみに、進級時にトラッシュにいる生徒は強制的に退学処分となる。第1学園の定員は100人、これからその100人で切磋琢磨していくことになるのである。
「桃李がいないなら、もちろん私はトップを狙うわ。」
「でも、今年の新入生にはあの冥夜家の次期当主もいるんだろ?他にも、原始の神が付いてるやつもいるって聞いたし。。めんどくせぇなぁ。」
「これでも私は十二名家の南家の生まれなんですー。少しくらい自信はあるわよ。」
「まぁ、お前の実力なら狙えるんじゃねぇか?トップ。なんて言ったって俺がいないんだからよ。」
桃李が笑みを浮かべながら呟くと。
「この学園生活で、絶対にあんたのことなんか追い抜いてやるんだから!覚悟してなさいっ!」
「へいへい、せいぜい頑張ってくだせぇ。」
そうこうしているうちの周りにはパラパラと人が見当たるようになってきた。今年入学するであろう関係者達であろう。
「掲示板に貼られるんだっけ?順位表」
「そうよ。多分あの人集りがそうじゃないかしら。」
2人の前にはこれから始まる物語の会場となる、第1神羅学園が姿を現した。校門の前に人集りがあるのは、順位表が掲示されているからである。
「ねぇねぇ、あの人カッコよくない?」
「おい、あの娘可愛くねぇか?」
「おいおいマジかよ、なんだよあの子、めちゃくちゃ可愛いじゃん。」
と、周りからチラホラ声がするがもちろんこの2人に向けてのようだ。桃李の身長は190近く、容姿も気だるそうな目と茶色のくせ毛なだけで整っており、はたから見たらチヤホヤされる生い立ちである。春に関しては175センチの身長に明るい金髪気味のショートヘアに少しだけ垂れた水色の目に整った鼻いわゆる正統派の美少女と言ったところだ。周りから、賞賛の声が上がるのも無理はない。
「ここね。」
「ああ。」
2人が掲示板の前に立った。
「えーと、私の順位は、、、、、、」
「おい、春お前何位だった?俺はまだ見つからん。」
「さん」
「ん?なんだって?」
「3位よ!私3位!1位を取れなかったのは残念だけど、ファースト!!」
「はなからお前の心配はしてねぇよ。そんなことより俺の順位が見つからん。」
2人の予想通り、3位と申し分ない順位を叩き出した春を横目に桃李は自分の順位を探していた。
「私より上の順位の人は、、、冥夜弓弦、宇賀龍次郎、、やっぱり冥夜か、もう1人の人は知らないなぁ。例の原始の神が憑いてる人かな?」
春の順位より上の名前には登校前に話していた冥夜家次期当主、冥夜結弦(めいやゆずる)の名前があった。
「それにしてもあんた、いつまで探してんのよ!私との差が離れすぎて声も出ないとか?どんな順位でも笑ってあげるから!久しぶりに桃李に勝負事で勝てたんだから!ほら、60位?それとも80位行っちゃった?」
春が嬉しそうに桃李をはやしたてると隣から小さい声で桃李が口を開いた。
「おいおい。」
「え?なに?」
「マジかよ。」
その言葉は桃李が大きく見開いた目と同様に大きく開いた口元からこぼれるように落ちていた。
「なによ、そんなに低かったの?さすがにトラッシュからのスタートは千歳家として笑えないわよ。。。」
「、、じゅうよん」
「え、64??。。。まぁ、サードならまだ巻き返せるわよ、入試当日病気だったなら仕方ないわ。」
「きゅうじゅうよん、、、って言ったんだよ。。」
「え、、ちょ、ちょっと待って、きゅうじゅうよんって聞こえたんだけど」
自分の耳を疑っている春が恐る恐る桃李に確認した。
「ああ、俺94位みてぇだ。。ははっ」
「、、、、、、、、、、、、、、、#はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
この時の春の叫び声は第1神羅学園入学式会場の隅々に響き渡ったのであった。
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