勘違いで召喚して来たこの駄女神が強引すぎる 〜ふざけたチートスキルで女神をボコしながら冒険します〜

エレン

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二章 日常編

29話 マテツ、再びの登場

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 いつもの朝、私とアルテナが朝食を摂っている最中に誰かが尋ねてくる。

 ドンドンドン!

「え?」「何!?」

 ドアをノック……いや、乱暴に叩く音が響き渡る。まるで借金取りでも来たかのようだ。

「一体誰? こんな朝から……」
「ふ、あたしの優雅な朝食を邪魔するとは良い度胸じゃない! ちょっと痛い目見せてくるわ」

 アルテナが玄関に向かう。普通なら止める所だが、相手が何者かわからない。私は万が一の為、魔導銃を手に取り警戒した。

「ふ、こんな朝っぱらから喧嘩を売ってくるなんて、一体どこのだ……」

 ドォン!!

「ギャァァ!?」

 アルテナがドアと一緒に吹き飛んでくる。
 私はすぐに魔道銃を玄関に向かって構えた。

「しまった、つい力入れすぎちまった」
「この声は……?」

 聞き覚えのある声が耳に入る。
 その直後、その人物が姿を現した。

「あなたは……マテツさん?」
「よう、エレン。久しぶりだな」

 彼はドワーフの魔道具職人マテツ。
 私に魔導銃を譲ってくれた恩人だった。

「久しぶりです。どうしてここが?」
「なぁに、ここ最近オメェらの噂をよく聞くからな。すぐに場所はわかったぜ」
「噂ってなんですか?」
「そりゃあゴブリンキングをたった二人で倒して街を、そしてギルドを救ったってぇ噂だ」
「やっぱりそれですか……」

 話が大きくなっている気がしたが、やったことは事実なので特に何も言えない。

「ところで魔導銃は役に立ったか?」
「はい、とても役に立ちました」
「そうかそうか! ガッハッハッハ!」

 マテツさんが嬉しさのあまり高笑いする。
 自分の作った武器が役に立ってとても嬉しいのだろう。
 まあそれはさておき……。

「ところでマテツさん、なんで玄関を吹き飛ばしたのですか?」
「ああ悪りぃな。早くお前さんに会いたくて気が急いちまってな、つい力入れちまった」
「だからと言って、知り合いの家を壊さないで下さい」
「す、すまん……」

 マテツさんが項垂れる。
 まあ反省しているようだし、これくらいでいいだろう。

「それで、今日は何の用事で来たんですか?」
「ああ、是非とも頼みたいことがあってな、それは……」
「ってあんたらぁ! 私の存在忘れてるでしょ!?」

 どうやらアルテナが復活したようだ。完全に忘れていた。

「なんだ、オメェもいたのか」
「いるに決まってるでしょう!? 頭まで変になったの!? この欠陥親父!」
「誰が欠陥親父だ! ていうかもう職人ですら無くなってるじゃねぇか!」
「あんたなんてそれで十分よ!」
「なんだと!? この口だけのじゃじゃ馬娘が!」
「何ですって!?」
「何だと!?」

 朝からうるさい喧嘩が始まった。
 町外れだったから良かったものの、街中だったら絶対苦情が来てただろう。
とりあえず壊れた玄関を魔法で直す。
今度はもっと頑丈なイメージで作っておこう。

……少し後、叫んで疲れた二人に紅茶を出して落ち着いてもらう。

「うめぇ! オレはあまり紅茶を飲まねぇが、それでも一級品だってわかるぜ!」
「そうでしょう? エレンの淹れる紅茶は最高なんだから」
「いや、オメェが威張ることじゃねぇだろう」
「それよりも……今日は何の用事で来たのマテツさん?」
「おおそうだった! エレン、オメェに頼みてぇ事があるんだちょいと外に来てくれ」

 マテツさんと一緒に外に出ると、大きな荷車が目に入る。
 載せているものは一つ一つが丁寧に袋詰めされてて、何かはわからない。

「これは何ですか、マテツさん?」
「俺が過去に作った魔道具だ。今日はオメェにこれらを扱えるか試して欲しいんだ。庭に持っていくが問題ねぇな?」

「え、ええ……」

 家の入り口に置かれたままでも困るので、つい許可を出してしまった。
 マテツさんは意気揚々と荷車を庭に持って行く。

「はぁ……」

 正直嫌な予感がするものの、私達三人は庭に集まった。

「まずはコイツだな」

 マテツさんは袋の紐を解き、一つ目の魔道具を見せる。
 紫色で竜が彫られた美しい剣。
 こういうものが好きなアルテナは、早速目を輝かせていた。
 
「何このカッコいい剣!?」
「へ、そうだろう、コイツは魔剣カラドボルグ! 雷を纏い敵を討つ自慢の逸品だ!」

 ネーミングセンスは悪くない。
 見た目も完璧だ。
 ただ問題はここからなのだが……。

「アルテナ、使えるか試してみたら?」
「ええ、早速!」

 私に勧められたアルテナは意気揚々と魔剣を手に取る。

「あ、おい! そいつは扱えねぇと雷が逆流……」

 ビリビリビリ!!

「あばばばばばばばば!?」

 全身に雷が走ったアルテナは黒焦げになって倒れた。

「やっぱこうなるわよね」
「おい……コイツ大丈夫なのか?」
「丈夫だから大丈夫よ」
「大丈夫じゃないわよ!」

 アルテナが普通に起き上がる。
 うん、何も問題はない。

「マテツさん、次は?」
「あ、ああ。次はコイツだ」

 マテツさんは二つ目の魔道具を取り出す。
 身の丈はある巨大な斧。血のように赤く勇猛な虎が彫られている。

「コイツは炎斧《えんぶ》クリムゾン! コイツの炎と破壊力に耐えられるやつはいねぇ!」
「アルテナ、炎なら扱えるんじゃない?」
「確かに! 今度こそ扱ってみせるわ!」
「おい、そいつは扱えねぇと全身が燃え……」

 ボオォォォォォ!!

「ギャァァァ!?」

 アルテナが再び黒焦げになる。

「マテツさん、次」
「あ、ああ……コイツは氷槍フェンリル!」
「はい、アルテナ」

 コチン

 アルテナは氷漬けになった。

「マテツさん、次」
「コイツは土槌《どつい》ミョルニル!」
「ギャァァァ!?」

「次」
「風弓シルフィード!」
「ギャァァァ!?」

……その後

「結局どれも無理だったわね」
「あ、ああ……おい、生きてるか?」

 マテツさんがただの屍状態になったアルテナを心配する。

「ほら、『ヒール』」

 しょうがないのでアルテナに回復魔法をかける。するとアルテナが動き出した。

「立てる、アルテナ?」
「え、ええ……大丈……ていうかなんで全部あたしで試すわけ!? 本来あんたが試す方だったでしょ!?」
「アルテナにも扱えるものがあったかもしれないじゃない。……別に怖かったわけじゃないわ」
「絶対それでしょ!?」
「でも一つわかった事があるわよ。重いから私に扱えないって事が」
「試さなくてもわかったじゃないのそれ!」
「そういうわけだからマテツさん、残念だけど私じゃ無理だわ」
「おい待て! 重いってぇだけなら何とかなるぞ」
「ごめんなさい、そもそも私近接武器は扱えないの。弓だって力が必要だから無理よ」

 重さがどうにかなれば扱えるかもしれない。だが、自力が上がらないという縛りがある以上、実戦で使えるとは思えなかった。

「そ、そうか……ならしょうがねぇな……。“身体能力”を上げる魔道具もあったんだが……」
「それについて詳しく!!!!」

 マテツさんが聞き捨てならない事を言った。
 身体能力が上がる?
 私に絶対必要なアイテムだ。

「あ、ああわかった。ほれ、コイツだな。」

 マテツさんは四つの腕輪を袋から取り出した。

「それぞれ筋力、体力、防御力、瞬発力を上げる腕輪だな」
「ちょっと欠陥親父、何でこれ最初に出さなかったのよ?」
「その呼び方止めやがれ! 俺としては武器の方を試して欲しくてな、コイツはついでだったんだよ」
「マテツさん、因みにこれは扱えないとどうなるんですか?」
「体がぶっ壊れてしばらく寝たきり生活だな」
「「……」」

 思わず後ずさってしまう私とアルテナ。
 というか危険なものを作りすぎである。

「マテツさん、今更だけど魔道具の効果はどうやって試してるんですか?」
「自分で試したに決まってるだろう」
「そうですか……」

 ある意味尊敬に値するレベルだ。
 同時にとても心配になったが。

「エレン、これは行けそうか?」
「……」

 私は筋力が上がる腕輪を手に取ってみる。
 暴れる魔力が感じられるが、魔導銃で既に慣れている。
 私は魔力を安定させると、腕輪を身につけた。

「ど、どうだ……?」
「……大丈夫みたい」
「おお!!」

 マテツさんが両手をあげて喜ぶ。
 よっぽど嬉しかったらしい。
 私は適当な物で試す事にした。

「アルテナ、ちょっと持ち上げてみても良い?」
「え、良いけど……何かする気じゃないでしょうね?」
「安心しなさい、ちょっと持ち上げるだけだから」

 これがギャグ漫画だったら完全なフリだが、私は真剣だ。
 アルテナの脇を掴み、少しずつ力を入れて持ち上げる。

「ふんっ……! んんんん!!」

 いつの間にか私は全力を出していた。
 そして持ち上げられているアルテナは……。

「……ねぇ、エレン? 今力入れてる?」
「……え?」

 結果で言うと、アルテナは少ししか持ち上がっていなかった。
 おかしい、腕輪はしっかり身につけている。

「これはどういう事?」
「欠陥親父、これ本当に欠陥品じゃないの?」
「おかしいな、そんなこたぁねぇはずなんだが……」

 その後、他の腕輪も試したみたものの、どれも結果は同じだった。

「どういう事だ? 何も変わらねぇなんてありえねぇぞ?」
「魔力は確かに宿っているのに……」

 意味がわからない結果に困惑する私とマテツさん。

「……ねぇエレン、もしかしてあんたのスキルのせいなんじゃない?」
「何言ってるの、アルテナ? 私のスキルと何の関係が……あ」

 私のスキル効果は技術を極められる事。
 デメリットは自力が上がらない。
 そのデメリットが魔道具を無効化しているとしたら……。

「……」

 私は無言で崩れ落ちた。

 その後、マテツさんは芳しくない結果に少し落ち込みながら帰った。
 そして私は……。

「はぁ……」
「エレン、そんな落ち込まなくても良いじゃない」
「ほっといて……」

 淡い希望を打ち砕かれ、しばらくベットから起き上がれなかった。
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