勘違いで召喚して来たこの駄女神が強引すぎる 〜ふざけたチートスキルで女神をボコしながら冒険します〜

エレン

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二章 日常編

32話 防犯対策をしよう

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「アルテナ、防犯対策をするわよ」
「防犯対策?」

 先日命を落としかけた私は、まだ異世界を甘く見ていた事に気づいた。その為、日常からしっかりと対策をとる事にしたのである。

「防犯って言ってもあたしに勝てる奴なんていないし、家もお金の大半はギルド銀行に預けてるじゃない。取るもの無くない?」
「そういって油断してたら痛い目見るわよ。知らぬ間に変態が自分の部屋に忍び込んでたらどうするの?」
「……そうね、防犯対策は必要ね!」

 少しの沈黙の後、アルテナがそう言う。どうやら一瞬想像してしまった様だ。

「ところで防犯って何をするの? 監視カメラでも設置するの?」
「そんなの無理に決まってるでしょう? 地球じゃないんだから」
「あんたからそんなセリフを聞けるとは思わなかったわ……」
「事実を言っただけよ」

 そんな魔道具もあるかもしれない。だが間違いなく高価で、手に入れるのは難しいと思う。

「ひとまず四つ対策を考えたわ」
「へぇ、四つもあるのね。あたしは三つだと思っていたわ」
「じゃあその三つって何?」
「……それよりもエレンの考えを聞かせなさい」
「絶対何も考えてなかったでしょ」
 
 まあそんな事はどうでも良い。
 私は一つ目の案をアルテナに話す。

「まず基本中の基本だけど、戸締りを徹底する事ね」
「なんだ、普通じゃない」
「何を期待してたのよ? そういう訳だから、家のドアと窓に鍵をつけるわよ」

 早速私は魔法でドアと窓に簡単な鍵を付けていく。
 この世界にも鍵はあるが、牢屋や金庫など重要なもの以外は、基本内側から開かないよう押さえるくらいしか無かった。なので、この世界基準では立派な防犯対策と言える。

「じゃあこれ鍵ね。言っておくけど失くさないでよ?」
「心配しなくても大丈夫よ。で、二つ目は何?」
 
 私は続いて二つ目の案を話す。

「次は人気の無い場所で襲われた時の対策ね」
「異世界定番のやつね!」
「別に異世界に限った事じゃ無いでしょ。これも基本だけど、防犯ブザーを作ろうと思うのよ」
「もっとワクワクする様な案はないわけ?」
「だから何を期待してるのよ? 試しに今作ってみるわね」

 防犯ブザーといっても仕組みは簡単だ。要は何かをすれば大きな音が鳴る様にすればいい。
 私は土魔法で外見を作り、中に小さな炎魔法を仕込む。

「出来たわ、どっちかというとクラッカーみたいになっちゃったけど。使い捨てだし」
「へぇ、これどうやって使うの?」
「魔力を流せば使えるわね」
「どれどれ?」
「!」

 私は咄嗟に耳を塞ぐ。

 パァァァァン!!

 その直後、家に爆音が響いた。アルテナがあまりの音に気絶してしまう。

「室内とはいえこの破壊力……仕込む量を間違えたわね……」

 結局仕込む量を半分にし、自作の防犯ブザーは完成した。
 アルテナは目覚めた後文句を言ってきたが、いきなり使う方が悪い。

「三つ目なんだけど、家に侵入された時の為に罠を仕掛けようと思うわ」
「さっきの防犯ブザーみたいなのを仕掛ければ良いんじゃない?」
「私もそれは考えたわ。でもそれだと弱い気がするのよね」

 この家は町外れにあるため、例えブザーが鳴っても効果は少ないかもしれない。その為もっと効果的な何かが必要だ。

「いっそ侵入者を倒すくらいにしないとダメね」
「え? 流石にそれはやりすぎじゃないの?」
「敵に情けをかけてどうするのよ? やるなら徹底的にやらないと」
「でもそんなの仕掛けたらあたし達も危なくない? うっかり引っ掛かったらどうするの?」
「大丈夫。侵入者は思わず触れたくなって、私達は間違っても触れたくない。そんな罠を仕掛ければいいのよ」
「はぁ? そんな都合の良い罠、あるわけないでしょ?」
 
 アルテナの言う事は最もだ。普通はそんな物あるはず無いが、都合良く私には当てがあった。そして、すでに用意してある。

「よいしょっと。これよ」

 私はテーブルの上に何かが入った袋を乗せる。

「随分重そうだけど何が入ってるの?」
「これは……」

 ……数分後。

「ふう、仕掛け終わったわね」
「本当にこれ効果あるの?」
「試してみる価値はあるでしょ?」
「まあそうだけど。で、四つ目は?」
「これは簡単よ。あるものを準備するだけで良いわ。今から買いに行くから付き合って」

 ……
 …………
 ………………
 
 エレンとアルテナが買い物に行った後、不審な人物が二人の家に近付いていた。

「アイツらめ……俺を酷い目に合わせやがって……ぜってぇ許さねぇからな……!」

 彼はアサルトボア討伐の時、エレンとアルテナに絡んだ冒険者である。酷い目に遭わされた彼は、二人に復讐しに来たのだった。

「オラァ! 出てきやがれガキども!」

 ドン! ドン! ドン!

 ドアを破ろうと乱暴に蹴りを入れる冒険者。    しかし、以前マテツに破られた事もあり頑丈に作られたドアはびくともしない。

「チッ! だったら窓から侵入するまでだ!」

 ガシャーーン!!
 
 窓ガラスを破り、リビングに侵入する冒険者。

「静かだな……まさか留守か? へ、だったら家を荒らしまくってやる……ん?」

 二人がいない事がわかり、家を荒らそうとする冒険者。その時、リビングの高い位置に飾ってある一つの ”剣“が目に入る。貴族の屋敷にあっても不思議ではない、美しい竜が彫られた紫色の剣。彼は一目でそれが値打ちものだと確信した。

「まさかこんなお宝があるとはな……こいつを盗めばアイツら、どれだけ悔しがるだろうな」

 こんな目立つ場所にお宝がある事に、なんの疑いもなく冒険者は飾られた剣に手を伸ばす。その直後……

 ビリビリビリ!!

「あばばばばば!?」

 冒険者の全身に雷が走り、黒焦げになった彼はそのまま気絶した。

 ……しばらくして、私とアルテナが買い物から帰ると、割られた窓ガラスと、黒焦げになった侵入者を 発見。
 そのままロープで縛り、街の兵士に引き渡した。

「仕掛けた罠、早速役に立ったわね」
「凄いわね……”欠陥親父の武器“……」

 そう、私が罠として仕掛けたのは、以前マテツさんが持ってきた『魔剣カラドボルグ』。見た目が美しいマテツさんが作った武器を飾れば、侵入者はお宝と思い手を伸ばすと思ったのである。そして、大半のものが使いこなせないその剣に触れれば、結果はご覧の通りだ。

「こんな使い方するなんて、欠陥親父はよく許可したわね?」
「秘密に決まってるでしょ。流石に怒られるわ」

 こうして、考えた防犯対策は早速効果を現し、私は満足したのであった。
 ……因みに、四つ目の対策は何だったかというと。

「アルテナ、”解毒ポーション“はこの棚に入れておくから。マリンが来たら、これを事前に飲んどいてね」

 そう、マリンの毒殺から逃れるための用意である。
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