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「シンシア、私屋敷に戻るからウリエルたちに卒業パーティーの話しておいて」
「え?アリ?」
アレクサンドラは芝生から立ち上がるとシンシアに小さく手を振って屋敷の方へ歩き出す。
何となく、マークを見ていたくなかった。
控室に戻ったマークは模擬刀を置くと、じっと自分の手の平を見つめる。
何故あの時俺は…
「今日珍しくアリお嬢様が見ていたな」
誰かが話している声が耳に入る。
「相変わらず綺麗だよなぁ」
「ちょっとキツそうな処がまた堪らん」
「アリももう18歳だろ?そろそろ婚約話とかも出て来るのかね?」
「リズ様みたいに騎士団の中から誰か選んでくれると良いのになあ~」
「まさか目当ての男がいるから見に来たとか!?」
「おお~」
「いやしかし辺境伯様が義父、レーン様が義兄とか…俺はちょっと嫌かも」
「そういやリズが婚約する時も辺境伯様にボコボコにされたって噂が…」
騎士たちがワイワイと盛り上がっている。
マークは見ていた自身の手をぐっと握った。
「さっきアリが来てたよな?」
休憩になると、ウリエルがシンシアに駆け寄って来た。
「うん。でもすぐ戻っちゃったわ」
「アリ、俺が勝つの見てた?」
ウリエルはの休憩の少し前に闘技をしていた。アレクサンドラが戻った後だ。
「残念ながら」
「見てないのかよ~」
アリが見てると思って頑張ったのに!とウリエルは頭を抱えた。
-----
夕食の後、食堂を出ようとしたマークを呼び止めて母ケリーが言う。
「明日、マークにお客様が来るんですって」
「…は?客、ですか?」
マークが眼を見開いてケリーを見た。
「はいこれ。暫く滞在したいって。明日の午後着くらしいわ」
ケリーは封筒をマークに渡す。
マークから遅れて食堂を出たアレクサンドラに二人のやり取りが聞こえて来た。
封筒の差出人を確認すると、マークは眉を顰める。
「今更…」
小さく呟く。
誰が来るんだろう?マークはあまり会いたくなさそう?
マークは無造作に封筒をポケットに入れると廊下を歩き去った。
次の日
アレクサンドラは部屋でノートを開いていた。
「皆んなの卒業パーティーの衣装の準備しなきゃ。衣装は任せるって言われたからなあ、ドレスは今から仕立てるのは間に合わないし、既製品をアレンジで良いかな?シンシア何色が良いんだろ?」
一人でぶつぶつと呟く。
シンシアが緑の髪に赤いドレスで、私が赤い髪に緑のドレスってどうだろう?ちょっと双子コーデみたい。
男子は何色が似合うかな?三人とも騎士だし、スタイルは良いのよね。
ノートに五人の髪と瞳の色を書き出して、何色が映えるかを考える。
シンシアとウリエルは本当の双子だから同じテイストが良いかなあ?そうするとシンシアと私が双子コーデすると私とウリエルの衣装も似ちゃうのか…
すると、前触れなくアレクサンドラの部屋のドアが勢い良く開いた。
「マーク様!」
「え!?」
アレクサンドラがドアの方へ振り向くと、真っ直ぐな金色の長い髪に深緑の瞳の女性が立っていた。
この女性…見た事ある。
「あの?」
アレクサンドラが首を傾げて立ち上がると、女性はハッとした様子で慌てて頭を下げた。
「すっすいません!ここはマーク・スペンサー様のお部屋…ではないですね…」
それはそうだ。どうみてもここは女性の部屋だろう。
「マークの…マーク様の部屋は南側の一階よ」
「そうなんですね。あ、申し訳ありません。私、ドロシー・カーティスと申します」
ドロシーと名乗る女性はアレクサンドラに挨拶をした。
ドロシー・カーティス。知っているわ。
…画面で見た事がある。
「アレクサンドラ・ワイダラーです。ドロシー様は…あの…」
窺うようにアレクサンドラが言うと、ドロシーはにっこりと笑って言った。
「私はマーク様の元婚約者ですわ」
「シンシア、私屋敷に戻るからウリエルたちに卒業パーティーの話しておいて」
「え?アリ?」
アレクサンドラは芝生から立ち上がるとシンシアに小さく手を振って屋敷の方へ歩き出す。
何となく、マークを見ていたくなかった。
控室に戻ったマークは模擬刀を置くと、じっと自分の手の平を見つめる。
何故あの時俺は…
「今日珍しくアリお嬢様が見ていたな」
誰かが話している声が耳に入る。
「相変わらず綺麗だよなぁ」
「ちょっとキツそうな処がまた堪らん」
「アリももう18歳だろ?そろそろ婚約話とかも出て来るのかね?」
「リズ様みたいに騎士団の中から誰か選んでくれると良いのになあ~」
「まさか目当ての男がいるから見に来たとか!?」
「おお~」
「いやしかし辺境伯様が義父、レーン様が義兄とか…俺はちょっと嫌かも」
「そういやリズが婚約する時も辺境伯様にボコボコにされたって噂が…」
騎士たちがワイワイと盛り上がっている。
マークは見ていた自身の手をぐっと握った。
「さっきアリが来てたよな?」
休憩になると、ウリエルがシンシアに駆け寄って来た。
「うん。でもすぐ戻っちゃったわ」
「アリ、俺が勝つの見てた?」
ウリエルはの休憩の少し前に闘技をしていた。アレクサンドラが戻った後だ。
「残念ながら」
「見てないのかよ~」
アリが見てると思って頑張ったのに!とウリエルは頭を抱えた。
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夕食の後、食堂を出ようとしたマークを呼び止めて母ケリーが言う。
「明日、マークにお客様が来るんですって」
「…は?客、ですか?」
マークが眼を見開いてケリーを見た。
「はいこれ。暫く滞在したいって。明日の午後着くらしいわ」
ケリーは封筒をマークに渡す。
マークから遅れて食堂を出たアレクサンドラに二人のやり取りが聞こえて来た。
封筒の差出人を確認すると、マークは眉を顰める。
「今更…」
小さく呟く。
誰が来るんだろう?マークはあまり会いたくなさそう?
マークは無造作に封筒をポケットに入れると廊下を歩き去った。
次の日
アレクサンドラは部屋でノートを開いていた。
「皆んなの卒業パーティーの衣装の準備しなきゃ。衣装は任せるって言われたからなあ、ドレスは今から仕立てるのは間に合わないし、既製品をアレンジで良いかな?シンシア何色が良いんだろ?」
一人でぶつぶつと呟く。
シンシアが緑の髪に赤いドレスで、私が赤い髪に緑のドレスってどうだろう?ちょっと双子コーデみたい。
男子は何色が似合うかな?三人とも騎士だし、スタイルは良いのよね。
ノートに五人の髪と瞳の色を書き出して、何色が映えるかを考える。
シンシアとウリエルは本当の双子だから同じテイストが良いかなあ?そうするとシンシアと私が双子コーデすると私とウリエルの衣装も似ちゃうのか…
すると、前触れなくアレクサンドラの部屋のドアが勢い良く開いた。
「マーク様!」
「え!?」
アレクサンドラがドアの方へ振り向くと、真っ直ぐな金色の長い髪に深緑の瞳の女性が立っていた。
この女性…見た事ある。
「あの?」
アレクサンドラが首を傾げて立ち上がると、女性はハッとした様子で慌てて頭を下げた。
「すっすいません!ここはマーク・スペンサー様のお部屋…ではないですね…」
それはそうだ。どうみてもここは女性の部屋だろう。
「マークの…マーク様の部屋は南側の一階よ」
「そうなんですね。あ、申し訳ありません。私、ドロシー・カーティスと申します」
ドロシーと名乗る女性はアレクサンドラに挨拶をした。
ドロシー・カーティス。知っているわ。
…画面で見た事がある。
「アレクサンドラ・ワイダラーです。ドロシー様は…あの…」
窺うようにアレクサンドラが言うと、ドロシーはにっこりと笑って言った。
「私はマーク様の元婚約者ですわ」
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