長身令嬢ですが、王太子妃の選考大会の招待状が届きました。

ねーさん

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 昼までは自由に過ごして良いとの事で、シャーロットとマリアは王城の図書室へやって来た。
「あ、ロッテさん、クラリスさんは大丈夫だったの?」
 フェリシティがシャーロットとマリアを見つけて駆け寄って来た。
「フェリさん。大丈夫です。誤解は解けました」
「そう。良かったわ」
 シャーロットが笑顔で言うと、フェリシティは安心したように息を吐いた。
「それで、そのクラリスさんは?」
「えーと…」
 部屋でイザベラ様と、お互いの親同士の恋愛の話しで盛り上がってる…って言わない方が良いわよね?
 いくら誤解だったって言っても、あんな剣幕で盗んだとか言っといて、急に仲良くなるなんておかしいもんね。やっぱり。
「クラリスはさすがに精神的に疲れたって、部屋で休んでるわ」
 マリアがそう言うと、フェリシティはさもありなんと頷いた。

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 図書室のテーブルで本を読んでいるマリアやフェリシティとは別にシャーロットは紋様や装飾の載った本を求めて本棚の間を奥へと進んで行く。
 分厚い本の背の凝った装丁を見ているだけでも楽しい。
 高い天井まで届きそうなほど高い本棚を見上げて本の背を眺める。
 あ、あの星みたいな模様、綺麗…レースで編んで繋げてストールとかにしたらどうかな。
 シャーロットは高い位置にある本に手を伸ばす。が、もう少しで手が届かない。
「あとちょっと…」
 背伸びをして、本の背の上の部分に指を引っ掛けて引っ張ると、勢い良く本が抜けてシャーロットの頭の方へ落ちて来た。

「……!」
 頭上に影。
 頭を庇う事もできず、思わず固まるシャーロット。

 視界に紺色の装丁の本の影。そして横から白い影が横切った。
 バサッ。
 シャーロットに当たらず、横に落ちる本。
「え…?」
 シャーロットが白い影の方を見ると、そこに右腕をシャーロットの頭上に差し出したユリウスが立っていた。
 
「当たらなかったか?」
 ユリウスはシャーロットの前に屈んで落ちた本を拾う。
「……」
 何でユリウス殿下がここに?
「兵法の本じゃないか。読むのか?」
 本のタイトルを確認すると、シャーロットの方へ差し出した。
「……」
「ロッテ?」
「…!!」
 呆然とユリウスを見ていたシャーロットは思わず息を飲む。
 なっ!何でユリウス殿下が私の名前を呼ぶの!?
「ああ…ルーカスがいつも呼ぶように呼んでしまったな…ロッテ嬢、か」
「…いえ、あの、ロッテで良いんですけど、あの、何でここに?お、おられるんですか?あの、何か、あの…不味いんじゃないんですか?」
 選考者と接触しちゃいけないとか、だったよね!?
「ああ。わかっているんだが、気分転換に。だから俺とここで会ったのは内緒にしておいてくれ」
 人差し指を口の前に立てるユリウス。
「は…はい」
 あ、いけない。殿下に本を持たせたままだわ。
「すみません。あの、本が腕に当たりましたよね?大丈夫ですか?」
「ああ、なんて事ない。ロッテの頭に当たらなくて良かった」
「ありがとうございます」
 シャーロットはユリウスが手に持った本へ手を伸ばす。
「この本を読むのか?」
 シャーロットに本を渡しながら言う。
「あ、いいえ。あの…本の背の模様を近くで見たかったんです」
「模様?」
「星みたいで綺麗だな、と思いまして」
「なるほど」

 目の前に濃茶の髪。
 やっぱり雰囲気が彼女に似ているな。
 前髪の分け目からのぞく額…
 ユリウスは思わず手を伸ばしてシャーロットの額に人差し指と中指の背を当てた。
 ビクッとシャーロットが身体を揺らす。
 そういえば学園の食堂でもトレイに驚いていたし、先程も本が落ちて来て硬直していたな。視界の上に何かが急に入って来るのが苦手なのか?
「…あの…殿下?」
 少し上目遣いにユリウスを見るシャーロット。
 女の子の顔がこんなに近くにあるのは初めてだな。表情も見えるし…いいな、この感じ。

「ロッテと同じ様な濃茶の髪の女性を知らないか?」
 指の背を額につけたまま指で前髪を挟む。
 見た目より髪が柔らかいんだな。
「濃茶の髪の女性…ですか?」
「ああ。今二十四、五歳くらいだと思うんだが」
「うーん…」
 お兄様が冬に二十二歳になるのだから、それより二、三歳…四歳くらい上?
 私より八歳か九歳上って事よね。
 その年代に知り合いとかもいないし…よくわからないな。
 シャーロットは首を傾げる。が、ユリウスの指は額から離れない。
 それにしても何なんだろう。この手は…
 …手、大きいな。
「わからないよな。祖父の誕生パーティーに来ていたんだから貴族令嬢の筈だから、俺も色々探してみたんだが、さっぱりわからないんだ」
 苦笑いを浮かべるユリウス。
 シャーロットの前髪を弄ぶ指。
「彼女が、ロッテと同じ言葉を言ったんだ。だから知らないかと思って…」
「私と?同じ言葉ですか?」



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