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冬の日差しが気持ちいい天気。木にもたれて足を伸ばして座るセシリア。その腿の上には銀の髪。
セシリアの膝枕で目を閉じる男性はシルベストだ。
セシリアはシルベストの頭を撫でる。
「…こんな穏やかな日は久しぶりだな」
うっとりと目を閉じてシルベストが言った。
「そうですね。最近忙しかったから」
「セシリアの卒業パーティーの準備に、アルヴェルの婚約発表と、婚約披露舞踏会の準備、それに俺たちの結婚式の準備…時間はいくらあっても足りない。が、たまにはセシリアとゆっくり過ごす時間もないと、俺が保たん」
クスクスと笑うセシリアを見上げて、シルベストはセシリアの頬に触れる。
「寒くないか?」
「平気です。それにこうしてシルを撫でる時間がないと、私だって保ちません」
「そうか」
目を見合わせて、二人でふっと笑った。
「アルヴェル殿下とディナの婚約、思ったよりすんなり決まりましたね」
片手でシルベストの髪の間に指を入れ、流れに沿って動かす動作を繰り返し、もう片方の手でアルヴェルとディナの結婚話が出てからの月数を数えながらセシリアが言う。
五か月?六か月?にはまだならないかな?
どっちにしても王族の婚約にしてはかなりのスピード決定なのは間違いないわ。
「ああ…まあいくら政略結婚要員が必要とはいえ、王子がいつまでも婚約者もいない状態でいる訳にもいかないしな。それにアルヴェルが常々『恋愛結婚したい』と言ってたのも考慮されたと思う。俺のためにそれを覆した事で同情を集めたのもあるだろう」
「そうなんですね」
「結果、俺もアルヴェルも好きな相手と結婚できて何よりだな」
仰向けから寝返りを打ち、セシリアのお腹に額をつけて腰に腕を回すシルベスト。
ここで膝枕をしていると、最終的にはこうして抱きつかれる。
それは記憶を失う前も、失ってからも。
幸せだな、と思いながら、セシリアはまたシルベストの髪を撫でた。
─ 完 ─
冬の日差しが気持ちいい天気。木にもたれて足を伸ばして座るセシリア。その腿の上には銀の髪。
セシリアの膝枕で目を閉じる男性はシルベストだ。
セシリアはシルベストの頭を撫でる。
「…こんな穏やかな日は久しぶりだな」
うっとりと目を閉じてシルベストが言った。
「そうですね。最近忙しかったから」
「セシリアの卒業パーティーの準備に、アルヴェルの婚約発表と、婚約披露舞踏会の準備、それに俺たちの結婚式の準備…時間はいくらあっても足りない。が、たまにはセシリアとゆっくり過ごす時間もないと、俺が保たん」
クスクスと笑うセシリアを見上げて、シルベストはセシリアの頬に触れる。
「寒くないか?」
「平気です。それにこうしてシルを撫でる時間がないと、私だって保ちません」
「そうか」
目を見合わせて、二人でふっと笑った。
「アルヴェル殿下とディナの婚約、思ったよりすんなり決まりましたね」
片手でシルベストの髪の間に指を入れ、流れに沿って動かす動作を繰り返し、もう片方の手でアルヴェルとディナの結婚話が出てからの月数を数えながらセシリアが言う。
五か月?六か月?にはまだならないかな?
どっちにしても王族の婚約にしてはかなりのスピード決定なのは間違いないわ。
「ああ…まあいくら政略結婚要員が必要とはいえ、王子がいつまでも婚約者もいない状態でいる訳にもいかないしな。それにアルヴェルが常々『恋愛結婚したい』と言ってたのも考慮されたと思う。俺のためにそれを覆した事で同情を集めたのもあるだろう」
「そうなんですね」
「結果、俺もアルヴェルも好きな相手と結婚できて何よりだな」
仰向けから寝返りを打ち、セシリアのお腹に額をつけて腰に腕を回すシルベスト。
ここで膝枕をしていると、最終的にはこうして抱きつかれる。
それは記憶を失う前も、失ってからも。
幸せだな、と思いながら、セシリアはまたシルベストの髪を撫でた。
─ 完 ─
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