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「本当の本当に兄上に付き纏うのをやめたの?」
花壇を挟んで向こう側にいたロイは、真剣な顔でそう言いながら花壇の横を通ってイライザの近くにやって来た。
「本当の本当にやめました…って言うか近いです!」
ロイの顔がイライザの目の前にある。
「あ、ごめん」
ロイが一歩後ろに下がって、イライザは少し息を吐いた。
ロイ殿下、この間までもっと背が小さかったのにいつの間にか私と同じくらいなってたのね。あんなに顔が近付いたら、ロイ殿下がグレイ殿下に見えて…心臓がバクバクしてるわ。
「イライザ嬢がもしも本当に兄上を諦めたなら…」
ロイが少し俯いて言う。
「はい」
今はまだ「諦めた」と過去形で言えるほど吹っ切れてる訳ではないけど、ミアとの仲を邪魔しないって事はグレイ殿下を諦めたのとほぼ同義よね?
ロイが顔を上げて、イライザの両手をぎゅっと握った。
「え?何…」
目の前にグレイ殿下によく似た顔。
グレイ殿下に、て…手を握られ…
…いやいやいや、違うわイライザ。これはグレイ殿下じゃなくてロイ殿下よ。
「ブリジットと僕が婚約できるようにイライザ嬢から口添えして欲しい!」
…はい?
ブリジット?って、私の妹のブリジット?
「…ロイ殿下、ブリジットの事がお好きだったんですか?」
「うん」
イライザの手を離して、赤くなりながらロイが頷く。
ブリジットは王妃や王太子妃主催のお茶会とか、あんまり参加してないけど、ロイ殿下と個人的に親しくなるような機会があったのかな?
学園で何かきっかけが…と言っても、ブリジットは二年生でロイ殿下は一年生だから接点なさそうだし、ブリジットが園芸に興味があるとも聞いた事ないけど…まあイライザとブリジットは仲が悪かったし、私が知らないだけかも知れないけど。
「今までは、イライザ嬢が常に兄上の婚約者候補に挙がっていたから言えなかったんだ。もしイライザ嬢が兄上の妃になるなら、僕が同じ家から妃を迎えるのは不可能だから」
「え?」
私がグレイ殿下の婚約者候補に挙がってた?
聞いた事ないわ。そんな話。
あ、でもゲームでは婚約していたんだから候補になっても不思議はないのか。でもそれで婚約してないって事は…
「あの…もしかして私との婚約、グレイ殿下が却下したんですか?」
「……まあ」
ロイがイライザから目を逸らしながら言う。
ガクリ。
膝から力が抜けて、座り込み、地面に手をつくイライザ。
グレイ殿下の妃って事は、後の王太子妃、王妃って事だもん。その立場に釣り合うのは公爵家の令嬢とか他国の王女とかよ。歳回りの合う令嬢もたくさんいる筈なのに侯爵令嬢の私が婚約者候補に挙がったのは、きっとゲームの強制力。
それなのに、攻略対象者であるグレイ殿下がゲームの強制力が掛かってるにも関わらず、それでも婚約を却下するって…どれだけ嫌われてるの。私は。
「イライザ嬢?」
ロイが心配そうにイライザを見ているので、イライザは顔を上げた。
「トドメを刺していただいて、ありがとうございます」
ヒクヒクしながら口角を上げて言う。
「トドメ?あ、イライザ嬢、土が跳ねて顔に付いているよ」
「え?」
イライザが自分の頬を触るが、土が付いているのは反対側の頬だった。
「こっち」
ロイが手を伸ばして、イライザの頬に付いた土を親指で拭い取る。
ロイの指が触れると、イライザの身体がピンクの光に包まれた。
「あ」
ロイの手首に赤いリボンが巻き付いている。
手首から伸びたリボンはロイの身体から離れるほど段々と薄くなり、先は見えなくなっていたが、イライザにはそれが誰の手首に繋がっているのかがわかった。
「マリアンヌ・フィラ…」
マリアンヌは知ってる。ブリジットの友達で、パイロット版にも出てきた悪役令嬢だわ。
「イライザ嬢?」
ロイがキョトンとした表情でイライザを見ている。
思わず呟いたイライザの声は、ロイには聞こえていなかったようだ。
「す…すみません。殿下に汚れを取らせるなんて…」
…あれ?
「土汚れには慣れてる。それよりブリジットの事………」
続けて何かをロイが喋っているが、イライザの耳には入って来ない。
パイロット版に出てきたマリアンヌは、留学して来た隣国の王子の婚約者だったわ。
製品版になってカップリングが変わったの?
いや、でも、グレイ殿下は攻略対象者だったけど、ロイ殿下は攻略対象者じゃなかった。
何故悪役令嬢な筈のマリアンヌと攻略対象者じゃないロイ殿下が赤い糸で結ばれてるの?
「本当の本当に兄上に付き纏うのをやめたの?」
花壇を挟んで向こう側にいたロイは、真剣な顔でそう言いながら花壇の横を通ってイライザの近くにやって来た。
「本当の本当にやめました…って言うか近いです!」
ロイの顔がイライザの目の前にある。
「あ、ごめん」
ロイが一歩後ろに下がって、イライザは少し息を吐いた。
ロイ殿下、この間までもっと背が小さかったのにいつの間にか私と同じくらいなってたのね。あんなに顔が近付いたら、ロイ殿下がグレイ殿下に見えて…心臓がバクバクしてるわ。
「イライザ嬢がもしも本当に兄上を諦めたなら…」
ロイが少し俯いて言う。
「はい」
今はまだ「諦めた」と過去形で言えるほど吹っ切れてる訳ではないけど、ミアとの仲を邪魔しないって事はグレイ殿下を諦めたのとほぼ同義よね?
ロイが顔を上げて、イライザの両手をぎゅっと握った。
「え?何…」
目の前にグレイ殿下によく似た顔。
グレイ殿下に、て…手を握られ…
…いやいやいや、違うわイライザ。これはグレイ殿下じゃなくてロイ殿下よ。
「ブリジットと僕が婚約できるようにイライザ嬢から口添えして欲しい!」
…はい?
ブリジット?って、私の妹のブリジット?
「…ロイ殿下、ブリジットの事がお好きだったんですか?」
「うん」
イライザの手を離して、赤くなりながらロイが頷く。
ブリジットは王妃や王太子妃主催のお茶会とか、あんまり参加してないけど、ロイ殿下と個人的に親しくなるような機会があったのかな?
学園で何かきっかけが…と言っても、ブリジットは二年生でロイ殿下は一年生だから接点なさそうだし、ブリジットが園芸に興味があるとも聞いた事ないけど…まあイライザとブリジットは仲が悪かったし、私が知らないだけかも知れないけど。
「今までは、イライザ嬢が常に兄上の婚約者候補に挙がっていたから言えなかったんだ。もしイライザ嬢が兄上の妃になるなら、僕が同じ家から妃を迎えるのは不可能だから」
「え?」
私がグレイ殿下の婚約者候補に挙がってた?
聞いた事ないわ。そんな話。
あ、でもゲームでは婚約していたんだから候補になっても不思議はないのか。でもそれで婚約してないって事は…
「あの…もしかして私との婚約、グレイ殿下が却下したんですか?」
「……まあ」
ロイがイライザから目を逸らしながら言う。
ガクリ。
膝から力が抜けて、座り込み、地面に手をつくイライザ。
グレイ殿下の妃って事は、後の王太子妃、王妃って事だもん。その立場に釣り合うのは公爵家の令嬢とか他国の王女とかよ。歳回りの合う令嬢もたくさんいる筈なのに侯爵令嬢の私が婚約者候補に挙がったのは、きっとゲームの強制力。
それなのに、攻略対象者であるグレイ殿下がゲームの強制力が掛かってるにも関わらず、それでも婚約を却下するって…どれだけ嫌われてるの。私は。
「イライザ嬢?」
ロイが心配そうにイライザを見ているので、イライザは顔を上げた。
「トドメを刺していただいて、ありがとうございます」
ヒクヒクしながら口角を上げて言う。
「トドメ?あ、イライザ嬢、土が跳ねて顔に付いているよ」
「え?」
イライザが自分の頬を触るが、土が付いているのは反対側の頬だった。
「こっち」
ロイが手を伸ばして、イライザの頬に付いた土を親指で拭い取る。
ロイの指が触れると、イライザの身体がピンクの光に包まれた。
「あ」
ロイの手首に赤いリボンが巻き付いている。
手首から伸びたリボンはロイの身体から離れるほど段々と薄くなり、先は見えなくなっていたが、イライザにはそれが誰の手首に繋がっているのかがわかった。
「マリアンヌ・フィラ…」
マリアンヌは知ってる。ブリジットの友達で、パイロット版にも出てきた悪役令嬢だわ。
「イライザ嬢?」
ロイがキョトンとした表情でイライザを見ている。
思わず呟いたイライザの声は、ロイには聞こえていなかったようだ。
「す…すみません。殿下に汚れを取らせるなんて…」
…あれ?
「土汚れには慣れてる。それよりブリジットの事………」
続けて何かをロイが喋っているが、イライザの耳には入って来ない。
パイロット版に出てきたマリアンヌは、留学して来た隣国の王子の婚約者だったわ。
製品版になってカップリングが変わったの?
いや、でも、グレイ殿下は攻略対象者だったけど、ロイ殿下は攻略対象者じゃなかった。
何故悪役令嬢な筈のマリアンヌと攻略対象者じゃないロイ殿下が赤い糸で結ばれてるの?
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