22 / 79
21
しおりを挟む
21
結局、ミアが来てうやむやになったけど、グレイ殿下のあの行動は何だったんだろう?
腕を掴まれて、一緒に走って…泣いてる頬に触れられた。
それにエドモンド殿下が私の頬にキスをしたら気分が悪くなったって言われて…
イライザって名前呼び捨てにされたのも初めてだし、グレイでいいって…名前で呼ぶの禁止されてたの、解禁になったと思ってもいいのかな?
「イライザ」
グレイの声がイライザの脳内に再生された。
…ヤバい。思い出しただけで足の力が抜けそうだわ。
「イライザ?」
グレイの声とは違う声がイライザの耳に届く。
「あ!は、はい」
我に返ったイライザは、目の前のエドモンドを見上げた。
「心ここにあらずだね。俺とのダンス楽しくない?」
エドモンドは笑顔で言った。
「いえ!すみません。そんな事ありません。楽しいですわ」
「本当かなあ?」
今は春期末の舞踏会、イライザとエドモンドはダンスを踊っている最中なのだ。
「舞踏会のエスコートも、ファーストダンスも断られるし、こうしてダンスしてても上の空だし、俺少し寂しいよ?」
「申し訳ありません…」
ステップを踏みながらイライザが少し頭を下げると、エドモンドは苦笑いを浮かべる。
「まあ、卒業パーティーにはエスコートもファーストダンスも受けてもらえるように頑張るけどね」
「エドモンド殿下…」
ニコッと笑うエドモンド。
エドモンドの留学期間は来年の今日まで。イライザやエドモンドが四年生になった春期が終わった夏期休暇中に帰国する予定、つまり学園へ在籍するのは来年の舞踏会までだ。
あと一年。
ゲームの通りなら、今四年生のグレイ殿下の卒業パーティーで私は断罪され婚約破棄をされる。そしてグレイ殿下はミアと恋仲である事を公言され、その後婚約する…けど、現状グレイ殿下と私は婚約していないし、グレイ殿下へのストーカー行為を止めてミアを虐めなくなった私が断罪される理由もない、筈。
私、卒業パーティーまでにエスコートやファーストダンスを受ける程、エドモンド殿下を好きになれるのかな?
留学が終了する一年後には婚約するくらいエドモンド殿下を好きになるの?
赤い糸が繋がってるって事はそうなるって事よね?
…うん。そう、なれば良いな。
エドモンドとのダンスを終えて、壁際に移動したイライザは、他の女生徒と踊るエドモンドを眺めた。
手首から伸びる赤い糸。
リボン状のそれが伸びて…蝶々結びが見える。
「ゲームでの組み合わせと違う相手と繋がってる場合にあの結び目があるのかしら?」
蝶々結びを経て、自分の手首に繋がっている赤い糸を見ながら、イライザは小声で呟いた。
あの後確認してみたらジェフリー様とナタリア様の赤い糸には結び目はなかった。
でもロイ殿下とマリアンヌ様の赤い糸にはやっぱり蝶々結びがあった。
ゲームの描写では好感度を上げて攻略対象者と悪役令嬢との間の赤い糸を切ったら、ハンナの時のように糸は薄くなって消える。それから更に好感度を上げていけば攻略対象者とヒロインの間に細い赤い糸が薄っすら繋がって、更に更に好感度を上げていくと段々と糸が濃く、太くなって行って、最終的に元のリボンくらいの太さと濃さになる…だったよね?
赤い糸が蝶々結びにされてるような描写はなかったと思うけどなあ。
あの蝶々結び、もしかして、引っ張ったら解けちゃったりするのかな?
もし解けたとしたら、相手との関係はどうなるの?
曲が終わって、また違う女子生徒にダンスを申し込まれているらしいエドモンドをぼんやりと眺める。
…あれ?
イライザはふと、今日、グレイとミアがダンスをしていない事に気が付いた。
グレイ殿下と他の女生徒はダンスしてる。さっきも見たし。でもミアとは踊ってるのは見てないな。
じゃあミアは?いないのかな?
視線だけでミアの薄桃色の髪の毛を探す。
あ、いた。
ディアナ様とアレックス様と一緒なのね。
軽食や飲み物の置かれている場所に立って話しているディアナとアレックスとミア。
イライザのいる位置からはディアナとアレックスの背中が見え、二人の間から二人に正対しているミアの顔が見える。少し離れているのでミアの表情はハッキリとは見えなかったが、少なくとも笑っているようには見えなかった。
どうしたのかしら?
ミア、機嫌が悪いの?グレイ殿下と踊っていないから?
ミアがディアナとアレックスの間の何もない空間に手の平を上に向けて差し出すのが目に入る。
ミアが視線を上げ、イライザと視線がぶつかった。
何?ミアこっち見てる?
そして、イライザと視線を合わせたまま、ミアはその差し出した手を握る。
あ!
イライザは弾かれたように走り出した。
結局、ミアが来てうやむやになったけど、グレイ殿下のあの行動は何だったんだろう?
腕を掴まれて、一緒に走って…泣いてる頬に触れられた。
それにエドモンド殿下が私の頬にキスをしたら気分が悪くなったって言われて…
イライザって名前呼び捨てにされたのも初めてだし、グレイでいいって…名前で呼ぶの禁止されてたの、解禁になったと思ってもいいのかな?
「イライザ」
グレイの声がイライザの脳内に再生された。
…ヤバい。思い出しただけで足の力が抜けそうだわ。
「イライザ?」
グレイの声とは違う声がイライザの耳に届く。
「あ!は、はい」
我に返ったイライザは、目の前のエドモンドを見上げた。
「心ここにあらずだね。俺とのダンス楽しくない?」
エドモンドは笑顔で言った。
「いえ!すみません。そんな事ありません。楽しいですわ」
「本当かなあ?」
今は春期末の舞踏会、イライザとエドモンドはダンスを踊っている最中なのだ。
「舞踏会のエスコートも、ファーストダンスも断られるし、こうしてダンスしてても上の空だし、俺少し寂しいよ?」
「申し訳ありません…」
ステップを踏みながらイライザが少し頭を下げると、エドモンドは苦笑いを浮かべる。
「まあ、卒業パーティーにはエスコートもファーストダンスも受けてもらえるように頑張るけどね」
「エドモンド殿下…」
ニコッと笑うエドモンド。
エドモンドの留学期間は来年の今日まで。イライザやエドモンドが四年生になった春期が終わった夏期休暇中に帰国する予定、つまり学園へ在籍するのは来年の舞踏会までだ。
あと一年。
ゲームの通りなら、今四年生のグレイ殿下の卒業パーティーで私は断罪され婚約破棄をされる。そしてグレイ殿下はミアと恋仲である事を公言され、その後婚約する…けど、現状グレイ殿下と私は婚約していないし、グレイ殿下へのストーカー行為を止めてミアを虐めなくなった私が断罪される理由もない、筈。
私、卒業パーティーまでにエスコートやファーストダンスを受ける程、エドモンド殿下を好きになれるのかな?
留学が終了する一年後には婚約するくらいエドモンド殿下を好きになるの?
赤い糸が繋がってるって事はそうなるって事よね?
…うん。そう、なれば良いな。
エドモンドとのダンスを終えて、壁際に移動したイライザは、他の女生徒と踊るエドモンドを眺めた。
手首から伸びる赤い糸。
リボン状のそれが伸びて…蝶々結びが見える。
「ゲームでの組み合わせと違う相手と繋がってる場合にあの結び目があるのかしら?」
蝶々結びを経て、自分の手首に繋がっている赤い糸を見ながら、イライザは小声で呟いた。
あの後確認してみたらジェフリー様とナタリア様の赤い糸には結び目はなかった。
でもロイ殿下とマリアンヌ様の赤い糸にはやっぱり蝶々結びがあった。
ゲームの描写では好感度を上げて攻略対象者と悪役令嬢との間の赤い糸を切ったら、ハンナの時のように糸は薄くなって消える。それから更に好感度を上げていけば攻略対象者とヒロインの間に細い赤い糸が薄っすら繋がって、更に更に好感度を上げていくと段々と糸が濃く、太くなって行って、最終的に元のリボンくらいの太さと濃さになる…だったよね?
赤い糸が蝶々結びにされてるような描写はなかったと思うけどなあ。
あの蝶々結び、もしかして、引っ張ったら解けちゃったりするのかな?
もし解けたとしたら、相手との関係はどうなるの?
曲が終わって、また違う女子生徒にダンスを申し込まれているらしいエドモンドをぼんやりと眺める。
…あれ?
イライザはふと、今日、グレイとミアがダンスをしていない事に気が付いた。
グレイ殿下と他の女生徒はダンスしてる。さっきも見たし。でもミアとは踊ってるのは見てないな。
じゃあミアは?いないのかな?
視線だけでミアの薄桃色の髪の毛を探す。
あ、いた。
ディアナ様とアレックス様と一緒なのね。
軽食や飲み物の置かれている場所に立って話しているディアナとアレックスとミア。
イライザのいる位置からはディアナとアレックスの背中が見え、二人の間から二人に正対しているミアの顔が見える。少し離れているのでミアの表情はハッキリとは見えなかったが、少なくとも笑っているようには見えなかった。
どうしたのかしら?
ミア、機嫌が悪いの?グレイ殿下と踊っていないから?
ミアがディアナとアレックスの間の何もない空間に手の平を上に向けて差し出すのが目に入る。
ミアが視線を上げ、イライザと視線がぶつかった。
何?ミアこっち見てる?
そして、イライザと視線を合わせたまま、ミアはその差し出した手を握る。
あ!
イライザは弾かれたように走り出した。
20
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い
青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。
神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。
もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。
生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。
過去世と同じ轍を踏みたくない……
里帰りをしていたら離婚届が送られてきたので今から様子を見に行ってきます
結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
<離婚届?納得いかないので今から内密に帰ります>
政略結婚で2年もの間「白い結婚」を続ける最中、妹の出産祝いで里帰りしていると突然届いた離婚届。あまりに理不尽で到底受け入れられないので内緒で帰ってみた結果・・・?
※「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています
悪女と呼ばれた王妃
アズやっこ
恋愛
私はこの国の王妃だった。悪女と呼ばれ処刑される。
処刑台へ向かうと先に処刑された私の幼馴染み、私の護衛騎士、私の従者達、胴体と頭が離れた状態で捨て置かれている。
まるで屑物のように足で蹴られぞんざいな扱いをされている。
私一人処刑すれば済む話なのに。
それでも仕方がないわね。私は心がない悪女、今までの行いの結果よね。
目の前には私の夫、この国の国王陛下が座っている。
私はただ、
貴方を愛して、貴方を護りたかっただけだったの。
貴方のこの国を、貴方の地位を、貴方の政務を…、
ただ護りたかっただけ…。
だから私は泣かない。悪女らしく最後は笑ってこの世を去るわ。
❈ 作者独自の世界観です。
❈ ゆるい設定です。
❈ 処刑エンドなのでバットエンドです。
娼館で元夫と再会しました
無味無臭(不定期更新)
恋愛
公爵家に嫁いですぐ、寡黙な夫と厳格な義父母との関係に悩みホームシックにもなった私は、ついに耐えきれず離縁状を机に置いて嫁ぎ先から逃げ出した。
しかし実家に帰っても、そこに私の居場所はない。
連れ戻されてしまうと危惧した私は、自らの体を売って生計を立てることにした。
「シーク様…」
どうして貴方がここに?
元夫と娼館で再会してしまうなんて、なんという不運なの!
五年後、元夫の後悔が遅すぎる。~娘が「パパ」と呼びそうで困ってます~
放浪人
恋愛
「君との婚姻は無効だ。実家へ帰るがいい」
大聖堂の冷たい石畳の上で、辺境伯ロルフから突然「婚姻は最初から無かった」と宣告された子爵家次女のエリシア。実家にも見放され、身重の体で王都の旧市街へ追放された彼女は、絶望のどん底で愛娘クララを出産する。
生き抜くために針と糸を握ったエリシアは、持ち前の技術で不思議な力を持つ「祝布(しゅくふ)」を織り上げる職人として立ち上がる。施しではなく「仕事」として正当な対価を払い、決して土足で踏み込んでこない救恤院の監督官リュシアンの温かい優しさに触れエリシアは少しずつ人間らしい心と笑顔を取り戻していった。
しかし五年後。辺境を襲った疫病を救うための緊急要請を通じ、エリシアは冷酷だった元夫ロルフと再会してしまう。しかも隣にいる娘の青い瞳は彼と瓜二つだった。
「すまない。私は父としての責任を果たす」
かつての合理主義の塊だった元夫は、自らの過ちを深く悔い、家の権益を捨ててでも母子を守る「強固な盾」になろうとする。娘のクララもまた、危機から救ってくれた彼を「パパ」と呼び始めてしまい……。
だが、どんなに後悔されても、どんなに身を挺して守られても、一度完全に壊された関係が元に戻ることは絶対にない。エリシアが真の伴侶として選ぶのは、凍えた心を溶かし、温かい日常を共に歩んでくれたリュシアンただ一人だった。
これは、全てを奪われた一人の女性が母として力強く成長し誰にも脅かされることのない「本物の家族」と「静かで確かな幸福」を自分の手で選び取るまでの物語。
初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結】
星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。
だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。
しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。
王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。
そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。
地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。
⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる