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グレイはイライザの腕を掴んだままで走り続ける。
校舎の二階から、一階へと駆け下りて、中庭に出た所でイライザは声を上げた。
「でん…か…あの…止まって…」
息も絶え絶えに言うイライザの声に、グレイはようやく立ち止まった。
放課後の中庭には他の生徒はいない。
グレイが腕を掴んだ手を離すと、イライザは中庭のベンチへと倒れ込んだ。
「生まれ…て…はじ…めて…こんな走…った…」
前世でも病身だったから全力疾走なんてした事ないけど、それにしても貴族令嬢の身体って体力なさすぎない!?
ぜいぜいと息をするイライザ。
「…何故だ」
グレイはベンチのイライザの側にしゃがむ。
「…あ…の…?」
肩で息をしながら起き上がるイライザをしゃがんだグレイが見上げた。
「何故…エドモンドがお前にキスをして、俺がこんなに嫌な気分にならなければならない?」
何故って…何故?
何故、グレイ殿下はこんな…泣きそうな表情をしてるの?
「第一王…子殿下…?」
「『グレイ』で良い」
グレイはエドモンドにキスをされたイライザの頬に手を伸ばす。
嫌!!
イライザは咄嗟にグレイの手を避けた。が、指先が頬に微かに触れて、イライザの身体がピンクの光に包まれた。
…ああ。
イライザは目をぎゅっと瞑る。
「俺に触れられるのは嫌なのか?」
グレイがイライザの頬に伸ばした手を所在なく握った。
違う。グレイ殿下に触れられるのが嫌なんじゃなくて…
「違うんです」
イライザは目を瞑り、更にグレイの方に顔を向けないようにして言う。
「何が違う?」
「…触れられるのが嫌なんじゃなくて…見たくなかっただけで…」
「何を?」
イライザはグレイがじっと自分を見ているのを感じる。
「だ…第一王子殿下と…」
「『グレイ』で良いと言っている!」
「!」
強い口調に驚いて目を開けたイライザがグレイの方に顔を向けると、グレイの手首の赤い糸が見えた。
そして、イライザの手首にも赤い糸。
繋がる先は…
ボロボロボロ!
と、イライザの目から涙が大量に溢れる。
「イライザ!?どうした?」
グレイが慌てて言う。
グレイの赤い糸はミアに。
イライザの赤い糸はエドモンドに。
それぞれ繋がっているのがイライザにはわかった。
やっぱり。
グレイ殿下の赤い糸、私には繋がってない。
グレイ殿下が私との婚約話を却下したと聞いた時、もしかしたらグレイ殿下と私との間に赤い糸は繋がってないんじゃないかと思ったの。
バッドエンド回避のために自分から私とグレイ殿下の間の糸を切ろうと思ってた。
だから繋がってないとしたら自分で切る辛さは味わわずに済むかもとも思ってて…でも、自分から切るのと、繋がってないのとじゃ全然違った。
以前のイライザがグレイ殿下を好きだったのは本当で「私」と混じり合った今のイライザも、やっぱりグレイ殿下の事が好きだから…
ボロボロと涙を流すイライザを、困惑と戸惑いの表情で見ているグレイ。
その手首の赤い糸の伸びる先を思って、またイライザの目から涙が溢れた。
「イライザ?何故泣いているんだ?」
グレイが躊躇いながらも手を伸ばし、イライザの頬を流れる涙に中指の背で触れる。
「……」
「今度は嫌がらないんだな」
グレイがふっと笑みを浮かべた。
だってもう赤い糸…見えちゃったから。
「グレイさまあ~!!」
あ、ミアの声?
グレイがイライザの頬に触れていた手を引く。
声が聞こえて来た方へ振り向くと、校舎からミアが出て来てこちらへ駆け寄って来ていた。
「ミア」
しゃがんでいたグレイが立ち上がる。
イライザはグレイをぼんやりと見上げた。
「どうしてイライザ様が泣いてるんですか?グレイ様何かしたんですか?」
グレイの隣りに立ったミアが少し怒った顔でグレイの制服の腕に自分の手を置いた。
「いや…」
少し気不味そうなグレイ。
自然にグレイの腕に触れるミアの様子にイライザの胸がズクンッと痛んだ。
…ああ、グレイ殿下とミアの手首の赤い糸、やっぱり繋がってる………ん?
蝶々結び?
イライザはグレイの方から赤い糸を視線で辿る。するとミアに繋がる手首の近くで赤い糸が蝶々結びに結ばれているのに気が付いた。
お父様とお母様、お兄様とブリジット、ハンナと宝石店の店主、私がしっかり端から端まで赤い糸を見たのはこの三組だけだけど、今までこんな結び目なかったけど…?
イライザの視線と表情を見たミアは
「あ…見えるんだ…」
と小さく呟いた。
グレイはイライザの腕を掴んだままで走り続ける。
校舎の二階から、一階へと駆け下りて、中庭に出た所でイライザは声を上げた。
「でん…か…あの…止まって…」
息も絶え絶えに言うイライザの声に、グレイはようやく立ち止まった。
放課後の中庭には他の生徒はいない。
グレイが腕を掴んだ手を離すと、イライザは中庭のベンチへと倒れ込んだ。
「生まれ…て…はじ…めて…こんな走…った…」
前世でも病身だったから全力疾走なんてした事ないけど、それにしても貴族令嬢の身体って体力なさすぎない!?
ぜいぜいと息をするイライザ。
「…何故だ」
グレイはベンチのイライザの側にしゃがむ。
「…あ…の…?」
肩で息をしながら起き上がるイライザをしゃがんだグレイが見上げた。
「何故…エドモンドがお前にキスをして、俺がこんなに嫌な気分にならなければならない?」
何故って…何故?
何故、グレイ殿下はこんな…泣きそうな表情をしてるの?
「第一王…子殿下…?」
「『グレイ』で良い」
グレイはエドモンドにキスをされたイライザの頬に手を伸ばす。
嫌!!
イライザは咄嗟にグレイの手を避けた。が、指先が頬に微かに触れて、イライザの身体がピンクの光に包まれた。
…ああ。
イライザは目をぎゅっと瞑る。
「俺に触れられるのは嫌なのか?」
グレイがイライザの頬に伸ばした手を所在なく握った。
違う。グレイ殿下に触れられるのが嫌なんじゃなくて…
「違うんです」
イライザは目を瞑り、更にグレイの方に顔を向けないようにして言う。
「何が違う?」
「…触れられるのが嫌なんじゃなくて…見たくなかっただけで…」
「何を?」
イライザはグレイがじっと自分を見ているのを感じる。
「だ…第一王子殿下と…」
「『グレイ』で良いと言っている!」
「!」
強い口調に驚いて目を開けたイライザがグレイの方に顔を向けると、グレイの手首の赤い糸が見えた。
そして、イライザの手首にも赤い糸。
繋がる先は…
ボロボロボロ!
と、イライザの目から涙が大量に溢れる。
「イライザ!?どうした?」
グレイが慌てて言う。
グレイの赤い糸はミアに。
イライザの赤い糸はエドモンドに。
それぞれ繋がっているのがイライザにはわかった。
やっぱり。
グレイ殿下の赤い糸、私には繋がってない。
グレイ殿下が私との婚約話を却下したと聞いた時、もしかしたらグレイ殿下と私との間に赤い糸は繋がってないんじゃないかと思ったの。
バッドエンド回避のために自分から私とグレイ殿下の間の糸を切ろうと思ってた。
だから繋がってないとしたら自分で切る辛さは味わわずに済むかもとも思ってて…でも、自分から切るのと、繋がってないのとじゃ全然違った。
以前のイライザがグレイ殿下を好きだったのは本当で「私」と混じり合った今のイライザも、やっぱりグレイ殿下の事が好きだから…
ボロボロと涙を流すイライザを、困惑と戸惑いの表情で見ているグレイ。
その手首の赤い糸の伸びる先を思って、またイライザの目から涙が溢れた。
「イライザ?何故泣いているんだ?」
グレイが躊躇いながらも手を伸ばし、イライザの頬を流れる涙に中指の背で触れる。
「……」
「今度は嫌がらないんだな」
グレイがふっと笑みを浮かべた。
だってもう赤い糸…見えちゃったから。
「グレイさまあ~!!」
あ、ミアの声?
グレイがイライザの頬に触れていた手を引く。
声が聞こえて来た方へ振り向くと、校舎からミアが出て来てこちらへ駆け寄って来ていた。
「ミア」
しゃがんでいたグレイが立ち上がる。
イライザはグレイをぼんやりと見上げた。
「どうしてイライザ様が泣いてるんですか?グレイ様何かしたんですか?」
グレイの隣りに立ったミアが少し怒った顔でグレイの制服の腕に自分の手を置いた。
「いや…」
少し気不味そうなグレイ。
自然にグレイの腕に触れるミアの様子にイライザの胸がズクンッと痛んだ。
…ああ、グレイ殿下とミアの手首の赤い糸、やっぱり繋がってる………ん?
蝶々結び?
イライザはグレイの方から赤い糸を視線で辿る。するとミアに繋がる手首の近くで赤い糸が蝶々結びに結ばれているのに気が付いた。
お父様とお母様、お兄様とブリジット、ハンナと宝石店の店主、私がしっかり端から端まで赤い糸を見たのはこの三組だけだけど、今までこんな結び目なかったけど…?
イライザの視線と表情を見たミアは
「あ…見えるんだ…」
と小さく呟いた。
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