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「次にミアが接触したのはエレノーラ・ワトソン伯爵令嬢よ」
ブリジットが言うと、イライザは驚く。
「え?エレノーラ様?」
「それは誰なんだ?」
アドルフが問うと、ブリジットは
「姉様の友人」
と言った。
「友人…と言うか、ディアナ様の取り巻きの一人です。最近は話しもしてないわ。でも私がミアを虐めていた時にはエレノーラ様もミアの悪口言ってたけど…何故エレノーラ様とミアが接触するの?」
ディアナ様の取り巻きの三人の内、私とシェリー様の家は侯爵家、エレノーラ様は伯爵家だから、ライバル視されてたのは確かだけど。
「ん?エレノーラ・ワトソン?もしや王太子殿下の側近のワトソン伯の?」
アドルフが顎に手を当てて言う。
「そうなんです。エレノーラ様のお父様は王太子殿下の側近。だから私、急に姉様がエドモンド殿下のガイド役に選ばれたのは、エレノーラ様がワトソン伯へ王太子殿下にそう進言するよう促したからなのでは、と思ってるんです」
「…え?」
エレノーラ様が?
だから王宮からこの話が来たの?
「で、でも何故エレノーラ様がそんな事を?」
「ミアと話しているのを聞いたら…エレノーラ様はアレックス様を好きみたいで…」
「え!?」
エレノーラ様がアレックス様を?
そりゃアレックス様はディアナ様の婚約者だから、取り巻きであるエレノーラ様とも話したりする機会はあったけど…
「ミアとエレノーラ様との会話、所々聞こえなかったりもしたけど、大体の内容は、ミアが姉様をグレイ殿下から引き離したいとエレノーラ様に言って、代わりにミアがアレックス様とエレノーラ様の仲を取り持つ…みたいな感じだったわ」
ブリジットが頬に指を当てて思い出しながら話す。
「……」
ああ、だから。
「取り持つと言っても、アレックス様にはディアナ様と云う婚約者がいるのにどうするつもりなのか…」
思案するブリジット。
「…なるほど」
イライザは俯いて小さく呟いた。
だから、ミアはディアナ様とアレックス様との赤い糸を切ったんだわ。そしてアレックス様の赤い糸をエレノーラ様と結ぶつもりなのよ。
そう。文字通り「結ぶ」んだ。
あの殿下とミア、ロイ殿下とマリアンヌの赤い糸にある蝶々結び!あれはきっとミアが結んだ物なんだわ。
赤い糸の切り方は、ディアナ様の赤い糸を切ったと思われる仕草から見て恐らく私と一緒。
私は赤い糸を切ったら消えて見えなくなってしまうけど、ミアは切った後も赤い糸が見えて、且つそれを結ぶ事ができるのね。
イライザは、赤い糸に関するイライザの能力はパイロット版のもので、ミアのそれは製品版の物なのかも知れないな、と思った。
となると、私は「顔に異性の素肌が触れる」って条件で赤い糸が見えるようになるけど、ミアは違うのかも。
だってエドモンド殿下が留学して来る前にはエドモンド殿下とマリアンヌ様との赤い糸は切られてて、マリアンヌとロイ殿下との間に赤い糸が結ばれてたから。そしてその赤い糸には蝶々結びがあるんだから。
「ミアがどうやってアレックス様とのエレノーラ様を取り持つつもりなのかはわかりませんが、とにかくミアは立ち聞き…と言うか盗み聞きをしていたのよ」
ブリジットが言うと、イライザは顔を上げた。
「盗み聞き?」
「そう。グレイ殿下とアレックス様が歩きながら話してるのを空き教室の中から聞いていたり、ディアナ様とアレックス様が食堂や図書室におられると近くで聞き耳を立てていたり…あと昼休憩には授業が終わると同時に教室を飛び出してグレイ殿下が食堂に行かれるのを隠れて待ってるの。そして、グレイ殿下が現れると偶然みたいに『グレイさまぁ~』って出て行くのよ」
「何だそれは。何がしたいんだ?」
アドルフが不思議そうに言う。
「姉様とグレイ殿下がエドモンド殿下たちの前から二人で走り去った事があったでしょ。あの時にもミアは隠れて見ていて、姉様とグレイ殿下を追い掛けて行ったのよ」
空き教室に潜むミア。
食堂でタイミングを見計らって殿下の前に姿を現すミア。
そして、グレイがイライザの涙に触れて微笑んだ瞬間に現れたミア。
あ、わかったわ。
イライザは、一つの結論に達した。
ミアも転生者なんだ。
そして製品版の「赤い糸の伝説~乙女は運命を覆す~」をプレイした事があるんだわ。
「次にミアが接触したのはエレノーラ・ワトソン伯爵令嬢よ」
ブリジットが言うと、イライザは驚く。
「え?エレノーラ様?」
「それは誰なんだ?」
アドルフが問うと、ブリジットは
「姉様の友人」
と言った。
「友人…と言うか、ディアナ様の取り巻きの一人です。最近は話しもしてないわ。でも私がミアを虐めていた時にはエレノーラ様もミアの悪口言ってたけど…何故エレノーラ様とミアが接触するの?」
ディアナ様の取り巻きの三人の内、私とシェリー様の家は侯爵家、エレノーラ様は伯爵家だから、ライバル視されてたのは確かだけど。
「ん?エレノーラ・ワトソン?もしや王太子殿下の側近のワトソン伯の?」
アドルフが顎に手を当てて言う。
「そうなんです。エレノーラ様のお父様は王太子殿下の側近。だから私、急に姉様がエドモンド殿下のガイド役に選ばれたのは、エレノーラ様がワトソン伯へ王太子殿下にそう進言するよう促したからなのでは、と思ってるんです」
「…え?」
エレノーラ様が?
だから王宮からこの話が来たの?
「で、でも何故エレノーラ様がそんな事を?」
「ミアと話しているのを聞いたら…エレノーラ様はアレックス様を好きみたいで…」
「え!?」
エレノーラ様がアレックス様を?
そりゃアレックス様はディアナ様の婚約者だから、取り巻きであるエレノーラ様とも話したりする機会はあったけど…
「ミアとエレノーラ様との会話、所々聞こえなかったりもしたけど、大体の内容は、ミアが姉様をグレイ殿下から引き離したいとエレノーラ様に言って、代わりにミアがアレックス様とエレノーラ様の仲を取り持つ…みたいな感じだったわ」
ブリジットが頬に指を当てて思い出しながら話す。
「……」
ああ、だから。
「取り持つと言っても、アレックス様にはディアナ様と云う婚約者がいるのにどうするつもりなのか…」
思案するブリジット。
「…なるほど」
イライザは俯いて小さく呟いた。
だから、ミアはディアナ様とアレックス様との赤い糸を切ったんだわ。そしてアレックス様の赤い糸をエレノーラ様と結ぶつもりなのよ。
そう。文字通り「結ぶ」んだ。
あの殿下とミア、ロイ殿下とマリアンヌの赤い糸にある蝶々結び!あれはきっとミアが結んだ物なんだわ。
赤い糸の切り方は、ディアナ様の赤い糸を切ったと思われる仕草から見て恐らく私と一緒。
私は赤い糸を切ったら消えて見えなくなってしまうけど、ミアは切った後も赤い糸が見えて、且つそれを結ぶ事ができるのね。
イライザは、赤い糸に関するイライザの能力はパイロット版のもので、ミアのそれは製品版の物なのかも知れないな、と思った。
となると、私は「顔に異性の素肌が触れる」って条件で赤い糸が見えるようになるけど、ミアは違うのかも。
だってエドモンド殿下が留学して来る前にはエドモンド殿下とマリアンヌ様との赤い糸は切られてて、マリアンヌとロイ殿下との間に赤い糸が結ばれてたから。そしてその赤い糸には蝶々結びがあるんだから。
「ミアがどうやってアレックス様とのエレノーラ様を取り持つつもりなのかはわかりませんが、とにかくミアは立ち聞き…と言うか盗み聞きをしていたのよ」
ブリジットが言うと、イライザは顔を上げた。
「盗み聞き?」
「そう。グレイ殿下とアレックス様が歩きながら話してるのを空き教室の中から聞いていたり、ディアナ様とアレックス様が食堂や図書室におられると近くで聞き耳を立てていたり…あと昼休憩には授業が終わると同時に教室を飛び出してグレイ殿下が食堂に行かれるのを隠れて待ってるの。そして、グレイ殿下が現れると偶然みたいに『グレイさまぁ~』って出て行くのよ」
「何だそれは。何がしたいんだ?」
アドルフが不思議そうに言う。
「姉様とグレイ殿下がエドモンド殿下たちの前から二人で走り去った事があったでしょ。あの時にもミアは隠れて見ていて、姉様とグレイ殿下を追い掛けて行ったのよ」
空き教室に潜むミア。
食堂でタイミングを見計らって殿下の前に姿を現すミア。
そして、グレイがイライザの涙に触れて微笑んだ瞬間に現れたミア。
あ、わかったわ。
イライザは、一つの結論に達した。
ミアも転生者なんだ。
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