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ミアが転生者だと確信したイライザは、心を落ち着かせるために紅茶を一口飲んだ。
「…ねえブリジット、マリアンヌ様とミアには接点があるの?」
「え?マリアンヌ?」
意外な処へ話が飛んだとブリジットは驚いた声を出す。
「そう。マリアンヌ・フィラ公爵令嬢。ブリジットの友達よね?」
「そうだけど…何で?マリアンヌとミアが知り合いとか聞いた事ないけど?」
ブリジットが訝し気な目でイライザを見た。
あ、何か友達を悪く言われてるような印象をブリジットに与えたかも。
「えー…と、あまりハッキリした話じゃないんだけど、エドモンド殿下のガイド役、最初はマリアンヌ様が候補だったって聞いたから…」
「え?そうなの!?」
目を見開くブリジット。
「ああ、確かに。そのブリジットの友達が候補だったかどうかはわからないが、隣国の第三王子の妃になるかも知れないのだからガイド役は公爵家から出るのが既定路線ではあったな」
王城で文官をしているアドルフが言う。
「そう…そうね。それならマリアンヌは婚約もしていないし、候補になっても不思議はないわ。でも…マリアンヌはガイド役になるのは嫌だったかも」
ブリジットが口元に手を当てて言った。
「そうなの?」
「マリアンヌは花を育てたりするのが趣味なの。園芸部に入ってるくらいよ。でも隣国の王子妃になると土いじりとか、したくても許されそうにないし多分嫌だと思うわ。姉様はもしかしてマリアンヌがガイド役を嫌がって、ミアとエレノーラ様とのように取引をしたのかもと思ってるの?」
「可能性としてちょっと考えただけよ。でもやっぱり違うわね。エレノーラ様がお父様を通じて王太子殿下へ働きかけたなら王宮から私が指名されたのも納得だし」
「イライザは?」
「え?」
イライザがアドルフの方を見ると、アドルフがイライザを真っ直ぐに見ていた。
睨まれているかと思うほど真剣な表情だ。
「イライザは、隣国へ…いや、エドモンド殿下と結婚する事はどうなんだ?嫌ではないのか?」
嫌?
嫌かどうかと言えば…
「…ガイド役になったと言う事は、エドモンド殿下の方から拒否されない限り、私が隣国へ嫁ぐのはそれこそ既定路線です」
「正直に言えば、以前の…変わる前のイライザならば、隣国へでもどこへでも行けば良いと思っていたと思う。ただ、今のイライザには…望まぬ結婚はさせたくないと思うほどには情がある」
真剣な表情でアドルフが言う。
「お兄様…」
嬉しい。
私が「悪役令嬢」の時もいつも優しかったお父様とお母様以外、全ての人に疎まれて、隣国へ行くのも惜しんでくれる人なんて誰もいないと思ってたのに…
…でも。
「でも、王宮から指名されたと言う事は…殿下も私が隣国へ行けば良いって思ってるって事だから…」
イライザの目にじわりと涙が浮かんだ。
「姉様、もしかしてグレイ殿下の名前を口に出さないようにしてるの?」
ブリジットが眉を顰めて言う。
「…だって…怖い」
紫の冷たい眼が私を見て「名を呼ぶな」と冷たい声で言った。もう二度とあんな冷たい声を聞きたくない。一度は「グレイで良い」と言われたから…余計に、もう怖くて名前なんて心の中でだって呼べない…口に出さないようにしてるんじゃなくて、口にも出せないの。
ポロッと涙が落ちた。
「……」
「……」
アドルフとブリジットは顔を見合わせる。
「つまりイライザは、グレイ殿下がイライザを疎んじて、隣国へ嫁ぐ事に同意されているから、その御心に従おうと思っているのか」
ため息混じりにアドルフが言うと、イライザは頷いた。
「私は嫌よ」
ブリジットが低い声で言う。
「…え?」
イライザがブリジットを見ると、ブリジットは憮然としてイライザをチラリと見た。
「グレイ殿下もグレイ殿下よ。ミアが好きならとっとと婚約でも何でもすれば良いじゃない!それを、姉様を隣国へ追いやろうと王宮から圧力掛けてガイド役にするなんて陰湿よ。それに何よりミアよ!あの女の思惑通りになるなんて私は絶対に嫌」
「ブリジット?」
アドルフが不思議そうにブリジットを見る。
「そう言えば…ブリジットがミアを『あの女』呼ばわりするのは何故なの?」
買ったクッキーを手作りと偽って殿下に渡したり、エレノーラ様と取り引きをして私をガイド役にしたり、立ち聞きとか盗み聞きとか…ミアも大概だけど、ブリジットがそこまでミアを嫌うにはそれだけじゃちょっと弱いような気がするけど。
イライザが涙を拭いながら言うと、ブリジットは鼻に皺を寄せて言った。
「…私がミアを『あの女』と呼ぶのは、あの女がわざと姉様を階段から落としたからよ」
ミアが転生者だと確信したイライザは、心を落ち着かせるために紅茶を一口飲んだ。
「…ねえブリジット、マリアンヌ様とミアには接点があるの?」
「え?マリアンヌ?」
意外な処へ話が飛んだとブリジットは驚いた声を出す。
「そう。マリアンヌ・フィラ公爵令嬢。ブリジットの友達よね?」
「そうだけど…何で?マリアンヌとミアが知り合いとか聞いた事ないけど?」
ブリジットが訝し気な目でイライザを見た。
あ、何か友達を悪く言われてるような印象をブリジットに与えたかも。
「えー…と、あまりハッキリした話じゃないんだけど、エドモンド殿下のガイド役、最初はマリアンヌ様が候補だったって聞いたから…」
「え?そうなの!?」
目を見開くブリジット。
「ああ、確かに。そのブリジットの友達が候補だったかどうかはわからないが、隣国の第三王子の妃になるかも知れないのだからガイド役は公爵家から出るのが既定路線ではあったな」
王城で文官をしているアドルフが言う。
「そう…そうね。それならマリアンヌは婚約もしていないし、候補になっても不思議はないわ。でも…マリアンヌはガイド役になるのは嫌だったかも」
ブリジットが口元に手を当てて言った。
「そうなの?」
「マリアンヌは花を育てたりするのが趣味なの。園芸部に入ってるくらいよ。でも隣国の王子妃になると土いじりとか、したくても許されそうにないし多分嫌だと思うわ。姉様はもしかしてマリアンヌがガイド役を嫌がって、ミアとエレノーラ様とのように取引をしたのかもと思ってるの?」
「可能性としてちょっと考えただけよ。でもやっぱり違うわね。エレノーラ様がお父様を通じて王太子殿下へ働きかけたなら王宮から私が指名されたのも納得だし」
「イライザは?」
「え?」
イライザがアドルフの方を見ると、アドルフがイライザを真っ直ぐに見ていた。
睨まれているかと思うほど真剣な表情だ。
「イライザは、隣国へ…いや、エドモンド殿下と結婚する事はどうなんだ?嫌ではないのか?」
嫌?
嫌かどうかと言えば…
「…ガイド役になったと言う事は、エドモンド殿下の方から拒否されない限り、私が隣国へ嫁ぐのはそれこそ既定路線です」
「正直に言えば、以前の…変わる前のイライザならば、隣国へでもどこへでも行けば良いと思っていたと思う。ただ、今のイライザには…望まぬ結婚はさせたくないと思うほどには情がある」
真剣な表情でアドルフが言う。
「お兄様…」
嬉しい。
私が「悪役令嬢」の時もいつも優しかったお父様とお母様以外、全ての人に疎まれて、隣国へ行くのも惜しんでくれる人なんて誰もいないと思ってたのに…
…でも。
「でも、王宮から指名されたと言う事は…殿下も私が隣国へ行けば良いって思ってるって事だから…」
イライザの目にじわりと涙が浮かんだ。
「姉様、もしかしてグレイ殿下の名前を口に出さないようにしてるの?」
ブリジットが眉を顰めて言う。
「…だって…怖い」
紫の冷たい眼が私を見て「名を呼ぶな」と冷たい声で言った。もう二度とあんな冷たい声を聞きたくない。一度は「グレイで良い」と言われたから…余計に、もう怖くて名前なんて心の中でだって呼べない…口に出さないようにしてるんじゃなくて、口にも出せないの。
ポロッと涙が落ちた。
「……」
「……」
アドルフとブリジットは顔を見合わせる。
「つまりイライザは、グレイ殿下がイライザを疎んじて、隣国へ嫁ぐ事に同意されているから、その御心に従おうと思っているのか」
ため息混じりにアドルフが言うと、イライザは頷いた。
「私は嫌よ」
ブリジットが低い声で言う。
「…え?」
イライザがブリジットを見ると、ブリジットは憮然としてイライザをチラリと見た。
「グレイ殿下もグレイ殿下よ。ミアが好きならとっとと婚約でも何でもすれば良いじゃない!それを、姉様を隣国へ追いやろうと王宮から圧力掛けてガイド役にするなんて陰湿よ。それに何よりミアよ!あの女の思惑通りになるなんて私は絶対に嫌」
「ブリジット?」
アドルフが不思議そうにブリジットを見る。
「そう言えば…ブリジットがミアを『あの女』呼ばわりするのは何故なの?」
買ったクッキーを手作りと偽って殿下に渡したり、エレノーラ様と取り引きをして私をガイド役にしたり、立ち聞きとか盗み聞きとか…ミアも大概だけど、ブリジットがそこまでミアを嫌うにはそれだけじゃちょっと弱いような気がするけど。
イライザが涙を拭いながら言うと、ブリジットは鼻に皺を寄せて言った。
「…私がミアを『あの女』と呼ぶのは、あの女がわざと姉様を階段から落としたからよ」
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