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「ミア!」
イライザは仰向けに倒れているミアに近付こうとするが、鉄格子に阻まれ、ミアの名前を呼びながら鉄柵に縋り付く。
「医師を!早く!」
エレノーラを取り押さえている騎士が廊下に向かって叫ぶと、控えていた他の騎士たちがバタバタと動き出した。
甲冑の騎士が三人、ミアの拘禁部屋に入って来て、一人が鉄格子の隅にある扉の鍵を開けて中に入る。
「ミア!」
「駄目です!」
鉄格子の扉の方へ行きかけたイライザをもう一人が止め、残る一人はうつ伏せで背中に纏めて騎士に掴まれていたエレノーラの両手を縄紐で縛った。
「イライザ様、出ましょう」
騎士がイライザを抱きかかえるようにして部屋から出ようとする。
「嫌!ミア!エレノーラ様、何で!?」
抵抗しながらイライザが叫ぶと、騎士に頭を床に押さえつけられていたエレノーラが
「ははははは」
と笑った。
「!?」
ほんの少しイライザの方へ顔を向けたエレノーラが視線だけでイライザを見る。
ゾクリ。
大きく見開かれた血走った眼に、イライザの背筋に冷たいものが走った。
「あの女が約束を破るからよ!いい気味だわ」
エレノーラは口元だけの笑みを浮かべて言う。
約束?
約束ってもしかしてアレックス様の事?
「私はイライザ様をエドモンド殿下のガイド役にするって約束、ちゃんと守ったわ!なのに、あの女は…」
唇を震わせてエレノーラは言った。
「エレノーラ様…」
「大逆罪で捕まるなんて、良くて一生修道院、最悪斬首じゃないの。この先絶対に約束は果たされない。そんなの駄目。私はどうしても…」
エレノーラは見開いた眼からボロボロと涙を溢しながら言う。
「だからって、刺すなんて…」
イライザが呟くように言うと、エレノーラはキッとイライザを睨んだ。
「イライザ様にはわからないわ!貴女は、本当は二人姉妹なのに、婿を取らなくて良いじゃない!隣国にでもどこにでも行ける!私…私は一人っ子で、家に縛られて、あんな男を……ミアが約束を果たしてくれないなら、ミアを殺して私も死ぬわ!」
エレノーラはそう叫ぶが、騎士に手を縛られ、身体を押さえられているので動けない。
「……」
イライザはただ呆然とエレノーラを眺めた。
王城の医療棟の医師たちがやって来て、鉄格子の扉を潜り中へ入る。
騎士と医師、看護師に囲まれたミアの姿はイライザからは見えなくなって、イライザを止めていた騎士に促され、イライザはフラフラと拘留部屋から出ると、廊下にペタリと座り込んだ。
「イライザ様、大丈夫ですか?」
「……」
イライザを連れ出した騎士が声を掛けると、イライザは言葉が出て来ずにただこくこくと頷く。
「イライザ!」
廊下の向こうからグレイが駆けて来た。
「グレイ殿下…」
「大丈夫か?」
イライザの前にグレイが跪く。
「私は何とも…ミアが…」
首を横に振りながらイライザが言うと、グレイは頷いて、イライザを連れ出した騎士に視線を向けた。
「申し訳ありません!」
騎士がグレイに向けて騎士の礼を取る。
「謝罪は後だ。それよりミアは」
「!」
グレイが立ち上がろうとする、と、イライザは咄嗟にグレイの服の袖口を掴んだ。
「イライザ?」
グレイが不思議そうな表情でイライザを見る。
「ご、ごめんなさい。あの、つい…」
イライザが袖口から手を離すと、グレイはそのイライザの手を握った。
「あの…殿下?」
「名前」
「グレイ殿下、あの…手…」
握られた手を見つめるイライザにグレイは苦笑いを浮かべる。
「エドが帰って来るまでは待とうと思っていたが、もういいだろう」
「え?」
グレイはイライザの手を握ったまま立ち上がり、イライザの手を引き、イライザを立ち上がらせた。
部屋の中から騎士二人に両腕を抱えられ、猿轡をされたエレノーラが出て来る。
「……」
手を繋いだグレイとイライザを見て、エレノーラはイライザをジロリと睨むと、ふんっと顔を背けた。
騎士に引き摺られるように歩くエレノーラの後姿を見ていると、部屋から一人の医師とそれに続き、騎士が前後を持つ担架に乗せられたミアと、他の医師や看護師たちが出て来る。
目を閉じているミアは血の気のない顔色だが、表情は意外と穏やかだった。
「ミア!」
イライザは担架のミアに近付こうとするが、グレイが繋いだ手を引いてそれを止める。
「イライザ、医師たちの邪魔になる」
「……」
バタバタと廊下を進む一団を見送り、イライザはまた床にへたり込んだ。
「ミア!」
イライザは仰向けに倒れているミアに近付こうとするが、鉄格子に阻まれ、ミアの名前を呼びながら鉄柵に縋り付く。
「医師を!早く!」
エレノーラを取り押さえている騎士が廊下に向かって叫ぶと、控えていた他の騎士たちがバタバタと動き出した。
甲冑の騎士が三人、ミアの拘禁部屋に入って来て、一人が鉄格子の隅にある扉の鍵を開けて中に入る。
「ミア!」
「駄目です!」
鉄格子の扉の方へ行きかけたイライザをもう一人が止め、残る一人はうつ伏せで背中に纏めて騎士に掴まれていたエレノーラの両手を縄紐で縛った。
「イライザ様、出ましょう」
騎士がイライザを抱きかかえるようにして部屋から出ようとする。
「嫌!ミア!エレノーラ様、何で!?」
抵抗しながらイライザが叫ぶと、騎士に頭を床に押さえつけられていたエレノーラが
「ははははは」
と笑った。
「!?」
ほんの少しイライザの方へ顔を向けたエレノーラが視線だけでイライザを見る。
ゾクリ。
大きく見開かれた血走った眼に、イライザの背筋に冷たいものが走った。
「あの女が約束を破るからよ!いい気味だわ」
エレノーラは口元だけの笑みを浮かべて言う。
約束?
約束ってもしかしてアレックス様の事?
「私はイライザ様をエドモンド殿下のガイド役にするって約束、ちゃんと守ったわ!なのに、あの女は…」
唇を震わせてエレノーラは言った。
「エレノーラ様…」
「大逆罪で捕まるなんて、良くて一生修道院、最悪斬首じゃないの。この先絶対に約束は果たされない。そんなの駄目。私はどうしても…」
エレノーラは見開いた眼からボロボロと涙を溢しながら言う。
「だからって、刺すなんて…」
イライザが呟くように言うと、エレノーラはキッとイライザを睨んだ。
「イライザ様にはわからないわ!貴女は、本当は二人姉妹なのに、婿を取らなくて良いじゃない!隣国にでもどこにでも行ける!私…私は一人っ子で、家に縛られて、あんな男を……ミアが約束を果たしてくれないなら、ミアを殺して私も死ぬわ!」
エレノーラはそう叫ぶが、騎士に手を縛られ、身体を押さえられているので動けない。
「……」
イライザはただ呆然とエレノーラを眺めた。
王城の医療棟の医師たちがやって来て、鉄格子の扉を潜り中へ入る。
騎士と医師、看護師に囲まれたミアの姿はイライザからは見えなくなって、イライザを止めていた騎士に促され、イライザはフラフラと拘留部屋から出ると、廊下にペタリと座り込んだ。
「イライザ様、大丈夫ですか?」
「……」
イライザを連れ出した騎士が声を掛けると、イライザは言葉が出て来ずにただこくこくと頷く。
「イライザ!」
廊下の向こうからグレイが駆けて来た。
「グレイ殿下…」
「大丈夫か?」
イライザの前にグレイが跪く。
「私は何とも…ミアが…」
首を横に振りながらイライザが言うと、グレイは頷いて、イライザを連れ出した騎士に視線を向けた。
「申し訳ありません!」
騎士がグレイに向けて騎士の礼を取る。
「謝罪は後だ。それよりミアは」
「!」
グレイが立ち上がろうとする、と、イライザは咄嗟にグレイの服の袖口を掴んだ。
「イライザ?」
グレイが不思議そうな表情でイライザを見る。
「ご、ごめんなさい。あの、つい…」
イライザが袖口から手を離すと、グレイはそのイライザの手を握った。
「あの…殿下?」
「名前」
「グレイ殿下、あの…手…」
握られた手を見つめるイライザにグレイは苦笑いを浮かべる。
「エドが帰って来るまでは待とうと思っていたが、もういいだろう」
「え?」
グレイはイライザの手を握ったまま立ち上がり、イライザの手を引き、イライザを立ち上がらせた。
部屋の中から騎士二人に両腕を抱えられ、猿轡をされたエレノーラが出て来る。
「……」
手を繋いだグレイとイライザを見て、エレノーラはイライザをジロリと睨むと、ふんっと顔を背けた。
騎士に引き摺られるように歩くエレノーラの後姿を見ていると、部屋から一人の医師とそれに続き、騎士が前後を持つ担架に乗せられたミアと、他の医師や看護師たちが出て来る。
目を閉じているミアは血の気のない顔色だが、表情は意外と穏やかだった。
「ミア!」
イライザは担架のミアに近付こうとするが、グレイが繋いだ手を引いてそれを止める。
「イライザ、医師たちの邪魔になる」
「……」
バタバタと廊下を進む一団を見送り、イライザはまた床にへたり込んだ。
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