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…痛い。
アシュトンは今まで経験した事のない箇所に、経験した事のない痛みを感じて目を覚ます。
瞼を持ち上げると、マジョリカの顔が目の前にあった。
アシュトンの腕枕でスヤスヤと眠るマジョリカ。
昨夜のマジョリカは本当にかわいかったな…
そう思った途端、ズキンッと痛みが走る。
「…っ!」
アシュトンは眉を顰めると、マジョリカを起こさないように痛む場所へ手をやった。
……三十二年の人生で一番勃ってるな。
そこは、アシュトンの陰茎だ。
痛いほどガチガチに勃ち上がっていた。
アシュトンの手が触れると、ビクリと跳ねて、またズキンッと痛む。
昨夜、媚薬に冒されたマジョリカに触っている時にも、眠ってしまったマジョリカの身体を拭き、寝衣を着せた時にもピクリともしなかった。だからやっぱり私はマジョリカを抱けないのだと現実を突き付けられた気がしていたのに。
しかし…どうするか。
まだ起きるには早い時間だ。
マジョリカはきっと私に望まぬ事をさせたと思って気にするだろう。目が覚めて私がいなければ、私が怒っていると誤解をするかも知れない。だからマジョリカが目覚めるまでこのままでいたい。
それに私の気持ちとしてもマジョリカをこの腕から離したくないし。
かと言って、この人生一番の勃起がこのままで自然に治るとも思えない。
抜くとしてもマジョリカを起こさずに成し遂げられる気がしないが…
「…ん」
マジョリカの瞼がピクピクと動き、焦点の合わない青い瞳が覗いた。
徐々に焦点が合わさり、目の前のアシュトンに気付いたマジョリカはハッとして大きく目を見開く。
「…まだ眠っていていいぞ」
「アシュトン様!?」
マジョリカは焦った様子でガバッと起き上がった。
「あ…あの…私…」
ベッドの上で正座をしたマジョリカの顔がどんどん青褪めていく。
アシュトンも身を起こし、マジョリカの正面に胡座をかいて座った。もちろんさりげなく上掛けを腿に掛けて股間は隠している。
「…本当に…申し訳ありません…」
マジョリカの瞳がウルウルと潤む。
アシュトンはマジョリカの腿の上でギュッと握られている手の上に自分の手を重ねた。
「マジョリカが謝る事はない。…嫌ではなかったか?」
涙を流しながらマジョリカはブンブンと勢いよく頭を振る。
「そうか。良かった」
「でも…私…アシュトン様が嫌がる事をさせてしまいました…」
マジョリカの手の上に置いた手に力を入れた。
「アシュトン様…?……あっ!いえ、閣下」
置かれた手をじっと見ていたマジョリカは、ハッと気付くと顔を上げる。
「アシュトンと呼んで欲しい。それに、私は嫌ではなかった」
「嘘…」
「嘘ではない。現に気分も悪くならなかったし」
「本当ですか…?」
「ああ」
アシュトンが大きく頷くと、安心したように息を吐くマジョリカ。
ああ、かわいいな。
それからアシュトンはマジョリカに「せっかく早く起きたのだから」と湯浴みを勧め、どうにか痛む股間をマジョリカに気付かれずに自分の部屋に戻った。
直ぐに下履きを下げ、快感と痛みを感じながら自慰をする。
マジョリカの痴態を思い出すと、快感が大きくなり、いつもとは違い直ぐに精を吐き出した。
「はあ…クソ気持ちいい…」
完勃ちをしたのはあの事件以来だ。
昨夜は勃たなかった処を見ると「不能が治った」とは言い難いし、今度いつそういう状態になるかもわからない。
だが、昨夜と今朝は今までとは違って性的な事を考えても悪心も起きなかったし、萎えもしなかった。
自分の中の何かが変わったのかも知れない。とアシュトンは思った。
-----
「君がアシュトンの子猫ちゃんか」
初めて顔を合わせた王太子カラムは興味深そうにマジョリカを見る。
「子猫…?」
「カラム殿下、私はマジョリカが黒猫みたいだと言ったのであって、子猫ちゃんなどと言った覚えはありません」
マジョリカが首を傾げると、隣に立っているアシュトンが憮然として言った。
「黒猫…」
子猫でも黒猫でもどっちにしてもアシュトン様、王太子殿下に何を言ってるんですかあ!?
マジョリカは心の中で叫ぶ。
「もう、殿下もエインズワース公も、マジョリカ様が困ってるじゃないの」
カラムの隣で薄桃色の髪を纏めたふんわり優しい雰囲気の美女がカラムとアシュトンを嗜めた。カラムの妻、王太子妃のフーリアだ。
「フーリア妃殿下、ありがとうございます」
「ふふふ。黒髪はこの国では珍しいし、マジョリカ様は本当に黒猫みたいにかわいいわね」
フーリアはマジョリカの髪を一房手に取ると、ニコリと笑った。
…痛い。
アシュトンは今まで経験した事のない箇所に、経験した事のない痛みを感じて目を覚ます。
瞼を持ち上げると、マジョリカの顔が目の前にあった。
アシュトンの腕枕でスヤスヤと眠るマジョリカ。
昨夜のマジョリカは本当にかわいかったな…
そう思った途端、ズキンッと痛みが走る。
「…っ!」
アシュトンは眉を顰めると、マジョリカを起こさないように痛む場所へ手をやった。
……三十二年の人生で一番勃ってるな。
そこは、アシュトンの陰茎だ。
痛いほどガチガチに勃ち上がっていた。
アシュトンの手が触れると、ビクリと跳ねて、またズキンッと痛む。
昨夜、媚薬に冒されたマジョリカに触っている時にも、眠ってしまったマジョリカの身体を拭き、寝衣を着せた時にもピクリともしなかった。だからやっぱり私はマジョリカを抱けないのだと現実を突き付けられた気がしていたのに。
しかし…どうするか。
まだ起きるには早い時間だ。
マジョリカはきっと私に望まぬ事をさせたと思って気にするだろう。目が覚めて私がいなければ、私が怒っていると誤解をするかも知れない。だからマジョリカが目覚めるまでこのままでいたい。
それに私の気持ちとしてもマジョリカをこの腕から離したくないし。
かと言って、この人生一番の勃起がこのままで自然に治るとも思えない。
抜くとしてもマジョリカを起こさずに成し遂げられる気がしないが…
「…ん」
マジョリカの瞼がピクピクと動き、焦点の合わない青い瞳が覗いた。
徐々に焦点が合わさり、目の前のアシュトンに気付いたマジョリカはハッとして大きく目を見開く。
「…まだ眠っていていいぞ」
「アシュトン様!?」
マジョリカは焦った様子でガバッと起き上がった。
「あ…あの…私…」
ベッドの上で正座をしたマジョリカの顔がどんどん青褪めていく。
アシュトンも身を起こし、マジョリカの正面に胡座をかいて座った。もちろんさりげなく上掛けを腿に掛けて股間は隠している。
「…本当に…申し訳ありません…」
マジョリカの瞳がウルウルと潤む。
アシュトンはマジョリカの腿の上でギュッと握られている手の上に自分の手を重ねた。
「マジョリカが謝る事はない。…嫌ではなかったか?」
涙を流しながらマジョリカはブンブンと勢いよく頭を振る。
「そうか。良かった」
「でも…私…アシュトン様が嫌がる事をさせてしまいました…」
マジョリカの手の上に置いた手に力を入れた。
「アシュトン様…?……あっ!いえ、閣下」
置かれた手をじっと見ていたマジョリカは、ハッと気付くと顔を上げる。
「アシュトンと呼んで欲しい。それに、私は嫌ではなかった」
「嘘…」
「嘘ではない。現に気分も悪くならなかったし」
「本当ですか…?」
「ああ」
アシュトンが大きく頷くと、安心したように息を吐くマジョリカ。
ああ、かわいいな。
それからアシュトンはマジョリカに「せっかく早く起きたのだから」と湯浴みを勧め、どうにか痛む股間をマジョリカに気付かれずに自分の部屋に戻った。
直ぐに下履きを下げ、快感と痛みを感じながら自慰をする。
マジョリカの痴態を思い出すと、快感が大きくなり、いつもとは違い直ぐに精を吐き出した。
「はあ…クソ気持ちいい…」
完勃ちをしたのはあの事件以来だ。
昨夜は勃たなかった処を見ると「不能が治った」とは言い難いし、今度いつそういう状態になるかもわからない。
だが、昨夜と今朝は今までとは違って性的な事を考えても悪心も起きなかったし、萎えもしなかった。
自分の中の何かが変わったのかも知れない。とアシュトンは思った。
-----
「君がアシュトンの子猫ちゃんか」
初めて顔を合わせた王太子カラムは興味深そうにマジョリカを見る。
「子猫…?」
「カラム殿下、私はマジョリカが黒猫みたいだと言ったのであって、子猫ちゃんなどと言った覚えはありません」
マジョリカが首を傾げると、隣に立っているアシュトンが憮然として言った。
「黒猫…」
子猫でも黒猫でもどっちにしてもアシュトン様、王太子殿下に何を言ってるんですかあ!?
マジョリカは心の中で叫ぶ。
「もう、殿下もエインズワース公も、マジョリカ様が困ってるじゃないの」
カラムの隣で薄桃色の髪を纏めたふんわり優しい雰囲気の美女がカラムとアシュトンを嗜めた。カラムの妻、王太子妃のフーリアだ。
「フーリア妃殿下、ありがとうございます」
「ふふふ。黒髪はこの国では珍しいし、マジョリカ様は本当に黒猫みたいにかわいいわね」
フーリアはマジョリカの髪を一房手に取ると、ニコリと笑った。
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