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馬車がマジョリカの母国である隣国の王都に入ると、マジョリカは窓の側に寄って外を眺めた。
「懐かしいか?」
向かいの座席のアシュトンが聞くと、マジョリカは頷く。
「はい。でもアルヴェル殿下の婚儀で色々な国から人が訪れていますし、国内の貴族たちも王都に集まって来ていますから、普段よりザワザワしてる感じがします」
「そうか」
「この通りは雑貨のお店やカフェも多いので、私も学園生の頃には友達と来ましたけど、その時よりも人が多いです」
「どの店に行ったんだ?」
アシュトンが腰を浮かせて、窓を覗いているマジョリカに顔を並べるようにして窓の外を見た。
…近い。近いわ。
出立して以来…というか、あの媚薬事件以来アシュトン様との距離が縮まった気がする。
「…えっと、あのカフェには良く行きました。シフォンケーキが美味しいんです」
マジョリカは窓の外を流れて行く景色の中の一軒の店を指差しながら、隣に顔を寄せるアシュトンをチラリと見る。
赤い髪、キリッとした眉、一重の切長の目が少し細められて、ルビーのような瞳が見える。
……格好いいな。とマジョリカは思った。
初めて会った時、瞳孔は黒だろうか、濃い赤だろうかと思ったけど、濃い赤なのを今は知っている。
「かわいい店だな」
アシュトンが言う。マジョリカは媚薬事件の時、
「すまん。マジョリカがかわいくて」
そう言って笑ったアシュトンを思い出して、少し頬が熱くなった。
-----
王城に到着し、国王陛下、王妃殿下への謁見の後、王族との挨拶と交流の席で、アシュトンとマジョリカにアルヴェルがニコニコと笑いながら声を掛けて来る。
アシュトンと挨拶を交わした後、アルヴェルはマジョリカにも声を掛けた。
「久しぶりだね、マジョリカ・ファイネン。ああ、今はファイネンではなかったか。マジョリカ・エインズワース公爵夫人」
「お久しぶりです。アルヴェル殿下。ディナ様も。この度はおめでとうございます」
マジョリカはスカートを摘んで礼を取る。
「ありがとう………ございます」
ディナが「ありがとう」の後に、耐えきれなかった様子で「ございます」を付けた。
「ディナは王子妃…王族になるんだから、臣下に『ございます』はいらないよ?」
アルヴェルがディナに笑顔で言う。
「わかってますよぅ。だから『王子妃の演技』だと思って頑張ってるんですけど、マジョリカ様みたいに以前から知ってる方にはどうしても…」
ディナが苦笑いしながらアルヴェルを見上げた。
「そういう処もかわいいけど、がんばれ」
アルヴェルがディナの頬にキスをする。ディナは慌ててアルヴェルを片手で押しながら赤くなって頬に手を当てる。
「ちょっ、人前ですよ!?」
「僕たちの結婚式のために来てくれた人ばかりなんだから、僕たちの仲が良いのは微笑ましく受け取ってもらえると思うよ?」
「…恥ずかしいからやめてください」
ジトっとアルヴェルを見るディナ。
アルヴェルはニコニコしてディナを見ていた。
「本当に微笑ましいですね」
アシュトンが言うと、ディナはワタワタと手を振る。
「いえ、あの、…もう!」
ディナは頬を染めてアルヴェルを睨んだ。
「ははは。エインズワース公爵も。夫人はこの国にいた頃より穏やかな表情に見えます。カラム殿下は良い縁を繋いでくださったようだ」
「え?」
マジョリカは自分の両頬を押さえる。
穏やか?私が?
「本当ね」
ディナもマジョリカを見ながら頷いた。
「…ほ、本当ですか?」
おずおずとマジョリカが言うと、アルヴェルとディナが頷く。
「歳上の包容力が夫人には良かったんだろうね」
「そうね。お似合いだわ」
「お似合い…」
お似合い?
私とアシュトン様が?
…嘘でもお世辞でも、嬉しい。
アシュトンの方をチラッと見たマジョリカは、アシュトンと目が合うと赤くなって目を逸らした。
アシュトンが、照れるマジョリカの肩を抱く。
「私とマジョリカとの縁を繋いでくださったのはアルヴェル殿下もです。本当に感謝しています」
アシュトンは胸に手を当ててアルヴェルに頭を下げた。
馬車がマジョリカの母国である隣国の王都に入ると、マジョリカは窓の側に寄って外を眺めた。
「懐かしいか?」
向かいの座席のアシュトンが聞くと、マジョリカは頷く。
「はい。でもアルヴェル殿下の婚儀で色々な国から人が訪れていますし、国内の貴族たちも王都に集まって来ていますから、普段よりザワザワしてる感じがします」
「そうか」
「この通りは雑貨のお店やカフェも多いので、私も学園生の頃には友達と来ましたけど、その時よりも人が多いです」
「どの店に行ったんだ?」
アシュトンが腰を浮かせて、窓を覗いているマジョリカに顔を並べるようにして窓の外を見た。
…近い。近いわ。
出立して以来…というか、あの媚薬事件以来アシュトン様との距離が縮まった気がする。
「…えっと、あのカフェには良く行きました。シフォンケーキが美味しいんです」
マジョリカは窓の外を流れて行く景色の中の一軒の店を指差しながら、隣に顔を寄せるアシュトンをチラリと見る。
赤い髪、キリッとした眉、一重の切長の目が少し細められて、ルビーのような瞳が見える。
……格好いいな。とマジョリカは思った。
初めて会った時、瞳孔は黒だろうか、濃い赤だろうかと思ったけど、濃い赤なのを今は知っている。
「かわいい店だな」
アシュトンが言う。マジョリカは媚薬事件の時、
「すまん。マジョリカがかわいくて」
そう言って笑ったアシュトンを思い出して、少し頬が熱くなった。
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王城に到着し、国王陛下、王妃殿下への謁見の後、王族との挨拶と交流の席で、アシュトンとマジョリカにアルヴェルがニコニコと笑いながら声を掛けて来る。
アシュトンと挨拶を交わした後、アルヴェルはマジョリカにも声を掛けた。
「久しぶりだね、マジョリカ・ファイネン。ああ、今はファイネンではなかったか。マジョリカ・エインズワース公爵夫人」
「お久しぶりです。アルヴェル殿下。ディナ様も。この度はおめでとうございます」
マジョリカはスカートを摘んで礼を取る。
「ありがとう………ございます」
ディナが「ありがとう」の後に、耐えきれなかった様子で「ございます」を付けた。
「ディナは王子妃…王族になるんだから、臣下に『ございます』はいらないよ?」
アルヴェルがディナに笑顔で言う。
「わかってますよぅ。だから『王子妃の演技』だと思って頑張ってるんですけど、マジョリカ様みたいに以前から知ってる方にはどうしても…」
ディナが苦笑いしながらアルヴェルを見上げた。
「そういう処もかわいいけど、がんばれ」
アルヴェルがディナの頬にキスをする。ディナは慌ててアルヴェルを片手で押しながら赤くなって頬に手を当てる。
「ちょっ、人前ですよ!?」
「僕たちの結婚式のために来てくれた人ばかりなんだから、僕たちの仲が良いのは微笑ましく受け取ってもらえると思うよ?」
「…恥ずかしいからやめてください」
ジトっとアルヴェルを見るディナ。
アルヴェルはニコニコしてディナを見ていた。
「本当に微笑ましいですね」
アシュトンが言うと、ディナはワタワタと手を振る。
「いえ、あの、…もう!」
ディナは頬を染めてアルヴェルを睨んだ。
「ははは。エインズワース公爵も。夫人はこの国にいた頃より穏やかな表情に見えます。カラム殿下は良い縁を繋いでくださったようだ」
「え?」
マジョリカは自分の両頬を押さえる。
穏やか?私が?
「本当ね」
ディナもマジョリカを見ながら頷いた。
「…ほ、本当ですか?」
おずおずとマジョリカが言うと、アルヴェルとディナが頷く。
「歳上の包容力が夫人には良かったんだろうね」
「そうね。お似合いだわ」
「お似合い…」
お似合い?
私とアシュトン様が?
…嘘でもお世辞でも、嬉しい。
アシュトンの方をチラッと見たマジョリカは、アシュトンと目が合うと赤くなって目を逸らした。
アシュトンが、照れるマジョリカの肩を抱く。
「私とマジョリカとの縁を繋いでくださったのはアルヴェル殿下もです。本当に感謝しています」
アシュトンは胸に手を当ててアルヴェルに頭を下げた。
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