元騎士の歳上公爵様がまさかの××でした!?

ねーさん

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 婚儀の前日に開かれた来賓と国内貴族との晩餐会、マジョリカの隣にはシルベストが座っていた。
 …晩餐会だから、隣がアシュトン様じゃないのはわかってたけど、何でよりによってシルベストお兄様なの?
 気まずいったらないわ。
 まったく誰がこんな席次を考えたのよ!?
「…元気だったか?」
 マジョリカが黙々と料理を食べていると、シルベストが話し掛けて来る。
「んぐっ。……は、はい」
 ローストビーフを飲み込み損ねて、マジョリカは慌ててナフキンを口元に当てた。
「シルベストお兄様もお元気そうで何よりです。セシリア様もお元気でしょうか?」
「ああ。セシリアも元気にしている」
 シルベストお兄様、相変わらず無表情だけど、セシリア様の名前を言う時だけはほんの少し声が柔らかい気がするわ。

 近況をポツポツと話す。
 話が弾む訳ではないが、シルベストも少しはマジョリカの状況を気にしていたらしく、マジョリカは嬉しく思った。
「セシリアに会いたいと手紙に書いていたな」
「はい」
 マジョリカはダメ元でセシリアに会いたいのでお茶会に誘っても良いかとシルベストに手紙を書いていた。返事は来ていなかったのでマジョリカはセシリアに会うのは半分諦めていたのだ。
「では、マルセル家へ来ればいい。クラリッサやロレッタと一緒なら会ってもいいだろう」
「本当ですか?」
 マジョリカはシルベストの方を見る。
 マジョリカが「恋」をしていた麗しいかんばせがそこにあった。
 相変わらず綺麗……でも…私、アシュトン様のお顔の方が好きだわ。
「セシリアがマジョリカを許しているから、俺も譲歩する」
 シルベストが無表情で言う。
「ありがとうございます!」
 マジョリカはシルベストに笑顔を向けた。

-----

 あれが、マジョリカの好きだった「シルベストお兄様」か。
 アシュトンは離れた席からマジョリカと、その隣の席のシルベストを見る。
 銀の髪、青い瞳、恐ろしく整った顔立ち。
 それに冷徹な性格だと聞くし、確かに「氷の彫刻」なんて二つ名が付くだけはある。
 マジョリカはずっと料理の方を見ているし、「シルベストお兄様」も視線も表情も変わっていないが…口元を見ると多少は会話をしているみたいだな。
 アシュトンは、両隣や向かいの席の人たちと話しながら、時々マジョリカの様子を窺い見ていた。
 ワイングラスを持った時、マジョリカがシルベストの方へ顔を向けたのに気付く。
 そして、マジョリカがシルベストを見ながら笑った。
「!」
 かわいい。
 あんなかわいい笑顔を「シルベストお兄様」には見せるのか。
 好きだった、ではなく、やはり…今も好きなのか?
 アシュトンは手に持っているワイングラスのステムを持つ指にギュッと力を入れる。
 ワインを一気に喉に流すと、マジョリカから視線を外した。

-----

 エインズワース夫妻に割り当てられた客室で、マジョリカは湯浴みを終えて寝室に入る。
 夫婦だから当たり前だけど、ベッド…一つしかないのよね。
 着くまでの宿も夫婦で一部屋だったけど、ベッドは二つだったし、一つのベッドで眠るのってあの媚薬事件の時以来で…
 あの時は、アシュトン様には申し訳なかったけど、触ってもらって、き…気持ち良かったし、幸せだった。
 でも、気持ち悪くなったりはしなかったって言ってくださったけど…膝の間に座ってあんなに密着してたのに…アシュトン様の………反応なかったもの……やっぱり、私、アシュトン様の本当の妻にはなれないんだわ…
 
ベッドに座ったマジョリカは、アシュトンに触られた自分の胸に触れた。
 先端に触れられたらおかしくなりそうなくらい気持ち良かったわ。あれは媚薬のせいよね。
 じゃあ媚薬がない状態だったらどんな感じなんだろう…?
「マジョリカ」
「はい!」
 扉が開く音とアシュトンの声がして、マジョリカは思わず背筋を伸ばして返事をする。
「…どうした?顔が赤い」
 マジョリカの前へ歩いて来たアシュトンは、まだ湯浴みをしていないようで、晩餐会に着ていた燕尾服の上着とベストを脱いでタイを外した、ウイングシャツにトラウザーズのみという姿だ。
「あ…あの…」
 あああ、あの行為を思い出して、想像してたなんて、言えないに決まってる!
 マジョリカは頬を染めたまま俯く。
 そんなマジョリカを見て、アシュトンはすっと目を眇めた。
「……マジョリカ」
 思わぬ低い声を聞き、マジョリカは顔を上げる。
 すると、アシュトンが冷ややかな表情でマジョリカを見ていた。



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