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「アシュトン様…?」
冷たい表情でマジョリカを見ていたアシュトンは、不安そうなマジョリカに気付くと目を逸らした。
「……マジョリカは……ここに残るのか?」
「え?」
眉を寄せてアシュトンは視線をマジョリカに戻す。
「ここに…『シルベストお兄様』のいるこの国に、残りたいんだろう?」
どうしたの?アシュトン様、もしかして酔って…?
「何を……きゃあ!」
マジョリカが視線をウロウロと動かすと、アシュトンはマジョリカに詰め寄り、肩を押してベッドに押し倒す。
座った姿勢から押し倒されたマジョリカは、顔の横に両手をつくアシュトンを見上げた。
「…どうしたんですか?あの…もしかして酔ってるんですか?」
「騎士団員があの程度の酒で酔う訳がない」
渋い顔をしてマジョリカを見下ろす。
「じゃあ……怒ってるんですか?」
「……」
眉間の皺を深くしたアシュトンは、マジョリカの脇の下へ手を入れると、ベッドの真ん中までマジョリカの身体を引き上げた。
ベッドに乗り上げたアシュトンは、マジョリカを抱きしめる。
「アシュトン様!?」
な、何?これ、私、抱きしめられてる!?
マジョリカの頭を抱き込むようにしてぎゅうっと腕に力を入れるアシュトンからは、ほんのりお酒の匂いがした。
「……酔ってますね?」
「酔ってない」
マジョリカは自分に巻き付くアシュトンの逞しい腕を撫でる。
「……マジョリカ、好きだ」
小声で呟く声に、目を見開いた。
「え…?」
今何て?
アシュトン様、今…好き?って言ったの?
聞き間違い?
「マジョリカが好きだ。私が『シルベストお兄様』に勝てる部分など剣の腕くらいなのはわかっている。私には『包容力』などない。ただ歳を重ねただけの狭量で嫉妬深く独占欲の強い男で、愛する妻を抱く事すらできない欠陥人間だ。でも……マジョリカが好きなんだ…」
「……」
あ、愛する妻!?
え?シルベストお兄様が何?
嫉妬?独占欲?ってどういう事?
……「マジョリカが好きだ」って……アシュトン様が…私を、好き…?
「マジョリカ…?」
アシュトンは腕を緩めて、固まってしまったマジョリカの顔を見る。
「…あの、ちょっと、頭が混乱してまして」
マジョリカは頬から耳まで真っ赤になって、視線をウロウロと泳がせていた。
「くっ…かわいい…」
アシュトンが胸を撃ち抜かれてシーツに顔を埋める。
「えっと…とりあえず一つ…訂正というか…」
「何だ?」
シーツに顔を押し付けたままのアシュトンの背中に手を回すマジョリカ。
アシュトンの身体がピクリと震えた。
「剣の腕以外にもシルベストお兄様よりアシュトン様が勝ってる部分はたくさんあります」
「……どこがだ?」
「アシュトン様の方が優しいです。それにお話も楽しいですし、スタイルだって良いし、お顔も…アシュトン様の方が格好いいです」
「それは……違うだろう」
眉を寄せて不本意そうにマジョリカの方をチラッと見る。
「今日久しぶりにシルベストお兄様に会って、本当にそう思ったんです」
アシュトンの方へ顔を向けて、マジョリカは言った。
「……」
「………ただ、私は加害者側の人間なので、アシュトン様には相応しくないと思います」
マジョリカは目を伏せる。
「相応しくない?」
アシュトンが顔を上げて、両肘をマジョリカの顔の横についた状態でマジョリカの顔を覗き込んだ。
「…近いです」
照れて顔を背けようとすると、アシュトンは自分の腕と腕の間を狭くして、マジョリカが顔を動かせないようにしてしまった。
「アシュトン様」
目の前にあるアシュトンの顔に困惑するマジョリカ。
「…相応しくないなんて理由を付けて、私から離れようとしているのか?」
眉間に皺を寄せてマジョリカを見る。
「違います」
首を小さく横に振った。
「加害者側と言うが、マジョリカは十一歳の幼気な子供の貞操を奪うほどの事をした訳ではないだろう?当の『セシリア様』とやらやアルヴェル殿下がマジョリカを許しているという事は狙って怪我をさせたりしたのでもなさそうだし」
「そ…れは…」
わざとではない。
階段の時はそこがたまたま階段だった。でも階段から落ちたセシリア様を見て「ざまあみろ」って思った事は言い訳のしようもない事実。
セシリア様の乗った馬車を停めようとして事故になったのは、私が御者に無理を言ったせい。
「そうなんだろう?」
アシュトンの赤い瞳に宿る光が優しくて、マジョリカの眼に涙が浮かぶ。
ぼやけた視界でアシュトンの赤い髪がセシリアに重なって見えた。
「……言い訳したり、人のせいにしたり、もう二度としないって…約束したの…」
「そうか」
「仕方ないって、諦めたんです。私は…誰にとっても必要じゃないから…」
目を閉じると目尻から涙が流れる。
「うん?」
アシュトンが少し首を傾げた。
「アシュトン様…?」
冷たい表情でマジョリカを見ていたアシュトンは、不安そうなマジョリカに気付くと目を逸らした。
「……マジョリカは……ここに残るのか?」
「え?」
眉を寄せてアシュトンは視線をマジョリカに戻す。
「ここに…『シルベストお兄様』のいるこの国に、残りたいんだろう?」
どうしたの?アシュトン様、もしかして酔って…?
「何を……きゃあ!」
マジョリカが視線をウロウロと動かすと、アシュトンはマジョリカに詰め寄り、肩を押してベッドに押し倒す。
座った姿勢から押し倒されたマジョリカは、顔の横に両手をつくアシュトンを見上げた。
「…どうしたんですか?あの…もしかして酔ってるんですか?」
「騎士団員があの程度の酒で酔う訳がない」
渋い顔をしてマジョリカを見下ろす。
「じゃあ……怒ってるんですか?」
「……」
眉間の皺を深くしたアシュトンは、マジョリカの脇の下へ手を入れると、ベッドの真ん中までマジョリカの身体を引き上げた。
ベッドに乗り上げたアシュトンは、マジョリカを抱きしめる。
「アシュトン様!?」
な、何?これ、私、抱きしめられてる!?
マジョリカの頭を抱き込むようにしてぎゅうっと腕に力を入れるアシュトンからは、ほんのりお酒の匂いがした。
「……酔ってますね?」
「酔ってない」
マジョリカは自分に巻き付くアシュトンの逞しい腕を撫でる。
「……マジョリカ、好きだ」
小声で呟く声に、目を見開いた。
「え…?」
今何て?
アシュトン様、今…好き?って言ったの?
聞き間違い?
「マジョリカが好きだ。私が『シルベストお兄様』に勝てる部分など剣の腕くらいなのはわかっている。私には『包容力』などない。ただ歳を重ねただけの狭量で嫉妬深く独占欲の強い男で、愛する妻を抱く事すらできない欠陥人間だ。でも……マジョリカが好きなんだ…」
「……」
あ、愛する妻!?
え?シルベストお兄様が何?
嫉妬?独占欲?ってどういう事?
……「マジョリカが好きだ」って……アシュトン様が…私を、好き…?
「マジョリカ…?」
アシュトンは腕を緩めて、固まってしまったマジョリカの顔を見る。
「…あの、ちょっと、頭が混乱してまして」
マジョリカは頬から耳まで真っ赤になって、視線をウロウロと泳がせていた。
「くっ…かわいい…」
アシュトンが胸を撃ち抜かれてシーツに顔を埋める。
「えっと…とりあえず一つ…訂正というか…」
「何だ?」
シーツに顔を押し付けたままのアシュトンの背中に手を回すマジョリカ。
アシュトンの身体がピクリと震えた。
「剣の腕以外にもシルベストお兄様よりアシュトン様が勝ってる部分はたくさんあります」
「……どこがだ?」
「アシュトン様の方が優しいです。それにお話も楽しいですし、スタイルだって良いし、お顔も…アシュトン様の方が格好いいです」
「それは……違うだろう」
眉を寄せて不本意そうにマジョリカの方をチラッと見る。
「今日久しぶりにシルベストお兄様に会って、本当にそう思ったんです」
アシュトンの方へ顔を向けて、マジョリカは言った。
「……」
「………ただ、私は加害者側の人間なので、アシュトン様には相応しくないと思います」
マジョリカは目を伏せる。
「相応しくない?」
アシュトンが顔を上げて、両肘をマジョリカの顔の横についた状態でマジョリカの顔を覗き込んだ。
「…近いです」
照れて顔を背けようとすると、アシュトンは自分の腕と腕の間を狭くして、マジョリカが顔を動かせないようにしてしまった。
「アシュトン様」
目の前にあるアシュトンの顔に困惑するマジョリカ。
「…相応しくないなんて理由を付けて、私から離れようとしているのか?」
眉間に皺を寄せてマジョリカを見る。
「違います」
首を小さく横に振った。
「加害者側と言うが、マジョリカは十一歳の幼気な子供の貞操を奪うほどの事をした訳ではないだろう?当の『セシリア様』とやらやアルヴェル殿下がマジョリカを許しているという事は狙って怪我をさせたりしたのでもなさそうだし」
「そ…れは…」
わざとではない。
階段の時はそこがたまたま階段だった。でも階段から落ちたセシリア様を見て「ざまあみろ」って思った事は言い訳のしようもない事実。
セシリア様の乗った馬車を停めようとして事故になったのは、私が御者に無理を言ったせい。
「そうなんだろう?」
アシュトンの赤い瞳に宿る光が優しくて、マジョリカの眼に涙が浮かぶ。
ぼやけた視界でアシュトンの赤い髪がセシリアに重なって見えた。
「……言い訳したり、人のせいにしたり、もう二度としないって…約束したの…」
「そうか」
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「うん?」
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