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「『恋する生徒会2~ツンデレ貴公子の溺愛~』って…ええ?本当に?」
レイラはベッドに寝たまま呟いた。
「レイラ様!」
レイラの侍女のアンが慌ててベッドに駆け寄って来る。
「アン?どうしたの?」
「どうしたのじゃないですよ!レイラ様大丈夫ですか?」
「え?」
「昨日階段から落ちて頭を打って今までずっと気を失ってたんですよ?…覚えてないんですか?」
そう言われると、屋敷の階段を落ちたような…よく覚えてないけど。
「頭が痛かったりしませんか?大丈夫ですか?」
「ちょっと痛いけど大丈夫よ」
「ああでも目が覚めて良かった!念の為お医者様を呼んで来ます!旦那様と奥様にも知らせて来ますね!」
バタバタと部屋を出て行くアンを横たわったまま見て、レイラはさっきまで見ていた「夢」を思い出す。
…ううん。夢じゃないわ。
私はレイラ・ハミルトン。もうすぐ十四歳。王都から離れた田舎に領地を持つハミルトン伯爵家の次女。
家族は父と母、姉一人、兄は二人いて私は末っ子。
昨日は王宮から来た知らせに驚き過ぎて、考え事をしながら階段を登っていて段を踏み外したんだっけ。
そこで頭を打って気を失って…
…それで思い出したんだわ。
「前世の私は『日本人』『十七歳』『女子高生』『彼氏なし』あと『乙女ゲーム好き』だったわ…」
レイラは呟く。
色々な恋愛シミュレーションゲームをしたけど、一番ハマったのはスマホアプリ。いつでもどこでもって言うのが良かったな。
「だからって転生までして乙ゲーの世界へ来たかった訳じゃないんだけどなあ~」
レイラ・ハミルトン。よく覚えてる。
「恋する生徒会2」の攻略対象者である第二王子カイルの幼なじみであり婚約者。
婚約者の王子と仲良くなるヒロインに嫉妬して苛めて王子に婚約破棄される悪役令嬢だわ。
「レイラ!」
バタンッと部屋の扉が開いて、母が父の手を引いて飛び込んで来る。
お父様とお母様は相変わらず仲良し夫婦ね。いや、仲良しなのは間違いないんだけど、お母様がお父様の手を引いているのはお父様の目が悪いからよね。
「目が覚めたのね!ああ、良かったわ」
「レイラ、どこか痛くないか?大丈夫か?」
お母様涙目だわ。お父様も眉間に皺が寄ってる。
「心配かけてごめんなさい。もう大丈夫よ」
少し笑って言うと、父と母は大きく息を吐いた。
「ハミルトンご夫妻は足が早いですなあ」
老医師が笑って言いながら部屋に入って来た。
「さて、レイラ様、診察しますかね」
-----
「階段を踏み外すなんて、王宮から来た知らせが余程衝撃だったの?」
母スーザンが苦笑いしながら言う。
「うん…そうね」
レイラはベッドに寝たまま言った。医師が頭を打っているのでもう暫く安静にしておくようにと言ったからだ。
確かにショックだったわ。
…カイルが私に婚約を申し込んで来るなんて。
でもこうして前世のゲームを思い出せば納得だわ。だってレイラ・ハミルトンはカイルルートの悪役令嬢なんだもの。
「だってカイルが…カイル殿下がそんな事言い出すなんて思ってなかったんだもん」
カイルはレイラより一つ歳上の幼なじみだ。
小さい頃は仲が良かった。会うといつもカイルはレイラを側に置きたがっていた。
レイラもカイルに懐いていて、レイラにとってのカイルは正に「王子様」だった。
でも貴族の男女が一緒に遊ぶ年齢はせいぜい十歳まで。
一緒に遊ばなくなってからカイルは段々レイラが登城しても話し掛けたりもしなくなって、ここ二~三年はほとんど顔を合わせてもいないのだ。
「確かに我が家から王家へ嫁ぐと言うのは…」
父ブライアンが眉間に皺を寄せて言う。
「もちろんレイラには何の問題もないが…いやむしろどこへ出しても恥じない良い娘だが」
レイラは父譲りの金髪碧眼、母譲りで少し気の強そうな顔立ちの美人なのだ。伯爵令嬢という身分は少し王子妃になるには低いかも知れないが、カイルの父である現在の王太子の妃も伯爵家出身なので然程大きな問題にはならない。
問題は、レイラがハミルトン家の娘と言う事。
つまり、ハミルトン家が特殊な家なのだった。
「『恋する生徒会2~ツンデレ貴公子の溺愛~』って…ええ?本当に?」
レイラはベッドに寝たまま呟いた。
「レイラ様!」
レイラの侍女のアンが慌ててベッドに駆け寄って来る。
「アン?どうしたの?」
「どうしたのじゃないですよ!レイラ様大丈夫ですか?」
「え?」
「昨日階段から落ちて頭を打って今までずっと気を失ってたんですよ?…覚えてないんですか?」
そう言われると、屋敷の階段を落ちたような…よく覚えてないけど。
「頭が痛かったりしませんか?大丈夫ですか?」
「ちょっと痛いけど大丈夫よ」
「ああでも目が覚めて良かった!念の為お医者様を呼んで来ます!旦那様と奥様にも知らせて来ますね!」
バタバタと部屋を出て行くアンを横たわったまま見て、レイラはさっきまで見ていた「夢」を思い出す。
…ううん。夢じゃないわ。
私はレイラ・ハミルトン。もうすぐ十四歳。王都から離れた田舎に領地を持つハミルトン伯爵家の次女。
家族は父と母、姉一人、兄は二人いて私は末っ子。
昨日は王宮から来た知らせに驚き過ぎて、考え事をしながら階段を登っていて段を踏み外したんだっけ。
そこで頭を打って気を失って…
…それで思い出したんだわ。
「前世の私は『日本人』『十七歳』『女子高生』『彼氏なし』あと『乙女ゲーム好き』だったわ…」
レイラは呟く。
色々な恋愛シミュレーションゲームをしたけど、一番ハマったのはスマホアプリ。いつでもどこでもって言うのが良かったな。
「だからって転生までして乙ゲーの世界へ来たかった訳じゃないんだけどなあ~」
レイラ・ハミルトン。よく覚えてる。
「恋する生徒会2」の攻略対象者である第二王子カイルの幼なじみであり婚約者。
婚約者の王子と仲良くなるヒロインに嫉妬して苛めて王子に婚約破棄される悪役令嬢だわ。
「レイラ!」
バタンッと部屋の扉が開いて、母が父の手を引いて飛び込んで来る。
お父様とお母様は相変わらず仲良し夫婦ね。いや、仲良しなのは間違いないんだけど、お母様がお父様の手を引いているのはお父様の目が悪いからよね。
「目が覚めたのね!ああ、良かったわ」
「レイラ、どこか痛くないか?大丈夫か?」
お母様涙目だわ。お父様も眉間に皺が寄ってる。
「心配かけてごめんなさい。もう大丈夫よ」
少し笑って言うと、父と母は大きく息を吐いた。
「ハミルトンご夫妻は足が早いですなあ」
老医師が笑って言いながら部屋に入って来た。
「さて、レイラ様、診察しますかね」
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「階段を踏み外すなんて、王宮から来た知らせが余程衝撃だったの?」
母スーザンが苦笑いしながら言う。
「うん…そうね」
レイラはベッドに寝たまま言った。医師が頭を打っているのでもう暫く安静にしておくようにと言ったからだ。
確かにショックだったわ。
…カイルが私に婚約を申し込んで来るなんて。
でもこうして前世のゲームを思い出せば納得だわ。だってレイラ・ハミルトンはカイルルートの悪役令嬢なんだもの。
「だってカイルが…カイル殿下がそんな事言い出すなんて思ってなかったんだもん」
カイルはレイラより一つ歳上の幼なじみだ。
小さい頃は仲が良かった。会うといつもカイルはレイラを側に置きたがっていた。
レイラもカイルに懐いていて、レイラにとってのカイルは正に「王子様」だった。
でも貴族の男女が一緒に遊ぶ年齢はせいぜい十歳まで。
一緒に遊ばなくなってからカイルは段々レイラが登城しても話し掛けたりもしなくなって、ここ二~三年はほとんど顔を合わせてもいないのだ。
「確かに我が家から王家へ嫁ぐと言うのは…」
父ブライアンが眉間に皺を寄せて言う。
「もちろんレイラには何の問題もないが…いやむしろどこへ出しても恥じない良い娘だが」
レイラは父譲りの金髪碧眼、母譲りで少し気の強そうな顔立ちの美人なのだ。伯爵令嬢という身分は少し王子妃になるには低いかも知れないが、カイルの父である現在の王太子の妃も伯爵家出身なので然程大きな問題にはならない。
問題は、レイラがハミルトン家の娘と言う事。
つまり、ハミルトン家が特殊な家なのだった。
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