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「シャロン様やモニカ様のやる嫌がらせも私がやらせてる事になってるのね…」
講堂を出たレイラは中庭に行ってベンチに腰掛けた。
寮に戻ればアンに心配を掛けるし、アンから伝わればお父様やお母様にも心配掛けちゃうもん。それは嫌だわ。
でもそうね、このまま私がヒロインに何もしなければ、カイルには私を断罪して婚約破棄する理由がなくなっちゃうもんね。私に苛められたヒロインを慰める事で好感度が上がるんだし…
「でも『お前』はキツイわぁ…」
小さい頃は「レイちゃん」すこし大きくなってからは「レイラ」と、いつだってカイルがレイラを呼ぶ声は優しかった。
なのに「お前」。そして冷たい瞳。
…こんなに辛いなら、やっぱり婚約なんて断固拒否すれば良かった。
レイラの「王子様」は、やっぱり遠くから眺めて憧れる距離が丁度良かったんだわ。
ああ、でも、カイルは、確かに私の事を好きだったのに…
確かに想われていた記憶がある分、余計に辛い。
涙が溢れて頬を次々と伝う。
ゲームの中では、今日の舞踏会で特定ルートに入ったヒロインはその相手とダンスを二曲踊る。
学園では舞踏会や卒業パーティーで同じ相手とダンスを二曲踊る事、イコール、二人は恋人同士だと宣言する事、なのだ。
「レイラ?」
「え?」
レイラを呼ぶ声がして、そちらへ振り向くと、そこには第一王子サイラスが立っていた。
-----
「カイル殿下ぁ」
カイルがピンクの髪…アリスに駆け寄ると、アリスは薄桃色のドレスのスカートに赤いシミを付けて目に涙を浮かべていた。
「あの人に葡萄ジュースを掛けられたんです」
アリスが指差した先には給仕姿の女性が立っている。女性は首を横に振る。
「手が当たって溢してしまって…わざとじゃないんです…」
「ウィルマ!」
イアンが女性に駆け寄って来て、女性を庇うように前に立つ。
「アリス様申し訳ありません。この給仕の女性は私が手伝いに呼んだモーリス公爵家のメイドなんです」
「カイル殿下、アリス様、我が家のメイドがご迷惑をお掛けして申し訳ありません」
ミシェルがイアンとウィルマの前に立ち、カイルとアリスに向かって深々と頭を下げた。
「故意でないなら良い」
カイルが言うと、ミシェルと、イアンとウィルマも改めて頭を下げる。
「でも殿下」
アリスが言うと、カイルは手を立ててアリスを制した。
「わざとではないものを咎めても仕方ない」
「でもドレスが…」
涙目でスカートを摘むアリスに、カイルは手を差し出した。
「踊っていれば、俺に隠れて見えないだろう?」
「はい!」
カイルは嬉しそうに笑うアリスをフロアへと連れ出した。
「申し訳ありません。ミシェル様」
カイルとアリスがフロアへ出るのを待って頭を上げたミシェルに、イアンは言った。
「我が家のメイドの不始末だもの。主人の私が頭を下げるのは当然の事だわ」
「ミシェル様…申し訳ありませんでした」
ウィルマもイアンの後ろで頭を下げる。
「もう良いわ。ここだけの話だけど、私アリス様の『カイル殿下ぁ』って甘えた言い方好きじゃないからちょっとスッキリしたわよ」
ミシェルは悪戯っぽくウィルマにウィンクする。
「…本当にわざとじゃないですよ?」
ウィルマがミシェルに言うと、ミシェルは扇で口元を隠しながら笑う。
「わかってるわ。もうウィルマは家に戻りなさいな。イアンも一緒に戻ったら?」
「いえ、私は舞踏会の片付けもありますので…」
「そう…イアンは生徒会役員だもんね。じゃあウィルマを送って行って、戻って来たらどう?」
笑って言うミシェルに、イアンは軽く眉を顰めた。
ウィルマと私を二人きりにしようとしているのか?確かに私がウィルマと付き合っている事を知っているとは言われていたが…ミシェル様は私を好きだと言っていたのに?
「イアン?」
どうしたの?という表情のミシェル。イアンは視線を落とすと軽く礼をした。
「…いえ。ではそうさせて頂きます」
一曲踊り終わって、カイルはアリスと別れ講堂の外へと出た。
控えていた侍従を呼び、新しいドレスを持ってくるよう手配をする。アリスは講堂内の生徒会役員の控室でスカートの染み抜きをしながら待っているのだ。
胸がもやもやとして、何となく中庭の方へと歩を向ける。
すると、カイルの視界に、中庭のベンチに並んで座るレイラとサイラスの姿が飛び込んで来た。
「シャロン様やモニカ様のやる嫌がらせも私がやらせてる事になってるのね…」
講堂を出たレイラは中庭に行ってベンチに腰掛けた。
寮に戻ればアンに心配を掛けるし、アンから伝わればお父様やお母様にも心配掛けちゃうもん。それは嫌だわ。
でもそうね、このまま私がヒロインに何もしなければ、カイルには私を断罪して婚約破棄する理由がなくなっちゃうもんね。私に苛められたヒロインを慰める事で好感度が上がるんだし…
「でも『お前』はキツイわぁ…」
小さい頃は「レイちゃん」すこし大きくなってからは「レイラ」と、いつだってカイルがレイラを呼ぶ声は優しかった。
なのに「お前」。そして冷たい瞳。
…こんなに辛いなら、やっぱり婚約なんて断固拒否すれば良かった。
レイラの「王子様」は、やっぱり遠くから眺めて憧れる距離が丁度良かったんだわ。
ああ、でも、カイルは、確かに私の事を好きだったのに…
確かに想われていた記憶がある分、余計に辛い。
涙が溢れて頬を次々と伝う。
ゲームの中では、今日の舞踏会で特定ルートに入ったヒロインはその相手とダンスを二曲踊る。
学園では舞踏会や卒業パーティーで同じ相手とダンスを二曲踊る事、イコール、二人は恋人同士だと宣言する事、なのだ。
「レイラ?」
「え?」
レイラを呼ぶ声がして、そちらへ振り向くと、そこには第一王子サイラスが立っていた。
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「カイル殿下ぁ」
カイルがピンクの髪…アリスに駆け寄ると、アリスは薄桃色のドレスのスカートに赤いシミを付けて目に涙を浮かべていた。
「あの人に葡萄ジュースを掛けられたんです」
アリスが指差した先には給仕姿の女性が立っている。女性は首を横に振る。
「手が当たって溢してしまって…わざとじゃないんです…」
「ウィルマ!」
イアンが女性に駆け寄って来て、女性を庇うように前に立つ。
「アリス様申し訳ありません。この給仕の女性は私が手伝いに呼んだモーリス公爵家のメイドなんです」
「カイル殿下、アリス様、我が家のメイドがご迷惑をお掛けして申し訳ありません」
ミシェルがイアンとウィルマの前に立ち、カイルとアリスに向かって深々と頭を下げた。
「故意でないなら良い」
カイルが言うと、ミシェルと、イアンとウィルマも改めて頭を下げる。
「でも殿下」
アリスが言うと、カイルは手を立ててアリスを制した。
「わざとではないものを咎めても仕方ない」
「でもドレスが…」
涙目でスカートを摘むアリスに、カイルは手を差し出した。
「踊っていれば、俺に隠れて見えないだろう?」
「はい!」
カイルは嬉しそうに笑うアリスをフロアへと連れ出した。
「申し訳ありません。ミシェル様」
カイルとアリスがフロアへ出るのを待って頭を上げたミシェルに、イアンは言った。
「我が家のメイドの不始末だもの。主人の私が頭を下げるのは当然の事だわ」
「ミシェル様…申し訳ありませんでした」
ウィルマもイアンの後ろで頭を下げる。
「もう良いわ。ここだけの話だけど、私アリス様の『カイル殿下ぁ』って甘えた言い方好きじゃないからちょっとスッキリしたわよ」
ミシェルは悪戯っぽくウィルマにウィンクする。
「…本当にわざとじゃないですよ?」
ウィルマがミシェルに言うと、ミシェルは扇で口元を隠しながら笑う。
「わかってるわ。もうウィルマは家に戻りなさいな。イアンも一緒に戻ったら?」
「いえ、私は舞踏会の片付けもありますので…」
「そう…イアンは生徒会役員だもんね。じゃあウィルマを送って行って、戻って来たらどう?」
笑って言うミシェルに、イアンは軽く眉を顰めた。
ウィルマと私を二人きりにしようとしているのか?確かに私がウィルマと付き合っている事を知っているとは言われていたが…ミシェル様は私を好きだと言っていたのに?
「イアン?」
どうしたの?という表情のミシェル。イアンは視線を落とすと軽く礼をした。
「…いえ。ではそうさせて頂きます」
一曲踊り終わって、カイルはアリスと別れ講堂の外へと出た。
控えていた侍従を呼び、新しいドレスを持ってくるよう手配をする。アリスは講堂内の生徒会役員の控室でスカートの染み抜きをしながら待っているのだ。
胸がもやもやとして、何となく中庭の方へと歩を向ける。
すると、カイルの視界に、中庭のベンチに並んで座るレイラとサイラスの姿が飛び込んで来た。
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