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「仕事柄…と言うより私の場合、趣味でありとあらゆる書物を読むじゃない?それで地域の史実や伝承などに『生まれ変わり』『前世』『転生』って言葉がたまに出て来るの。それで一定数の所謂生まれ変わり、前世の記憶のある人がいるのが判るわ」
キャロラインは言う。
「……」
どの世代にも一定数…って、ゲームとは関係ない転生者もいるって事?
レイラは黙ってキャロラインの言葉を聞いた。
「そして、その中でも興味深いのが…この母の母の母の母の日記を見て。これは私の母の実家の子爵家に残っていた物で、これを書いた人物は当時の王弟の妃の友人だったんですって」
キャロラインは日記をパラパラと捲ると、あるページで手を止める。
「王弟の妃の友人ですか?」
「学園の同級生で仲良くなったらしいわ。ほらここ」
レイラはキャロラインが指し示す箇所へ目をやる。
一日数行の短い日記だが、数年…十年分はありそうだ。
【リザが面白い事を言い出した。前世の記憶があるってどんな感じなんだろう?確かに今年度の生徒会は粒揃い。揃い過ぎな位。】
【不正行為の証拠もないのにそう言い張るなんて、これも強制力?恐ろしいわ。】
【ロイド殿下は「補正」だと仰った。なるほど。補正か。なるほど。】
【アレクサンドラがマークと結婚するなんて、本当に思いもよらない展開だ。】
前世、生徒会、強制力、ロイド、アレクサンドラ…
レイラはその言葉たちが書かれたページを瞬きもせずに見る。
…これ「恋する生徒会」だわ。2じゃなく、オリジナルの。
「日記だから説明的な事は書いてないけれど、この『リザ』と言う方が王弟妃なの。この方に前世の記憶があったようね」
オリジナルにリザと言う登場人物はいなかったけど…一定数いると言う転生者がゲームのストーリーに絡んだのかしら?
まあ同じ時代で登場人物に近ければ、絡んで多少ストーリーが変わったりしても不思議はない気がするけど…
「更に『強制力』『補正』などの言葉では、本人の気持ちや状態に関係なく状況が動いてしまう事があるんじゃないかと推察されるわね」
「……」
ある。あるわ。ゲームの強制力。
「この時の生徒会のメンバーを知りたくて今日ここに来たのよ。それと、学園生の間で前世とか生まれ変わりの話をしてる子とかいないか、そんな噂がないか聞いてみたくて」
話をしてるどころか、私がその転生者なんだけど…これ、キャロライン様に言っても良いのか…
「キャロライン!」
レイラが迷っていると、不意に図書館に男性の声が響く。
「あら、ライアン。ご機嫌よう」
「…何してるんだ?こんな所で」
図書館の入り口からライアンが入って来て、キャロラインの傍に立った。
ライアン兄様…怒ってるの?
「見たい文献があるから来たに決まってるじゃない」
キャロラインはニッコリ笑ってライアンを見上げた。
「何故レイラと一緒なんだ?」
「廊下で偶然お会いしたからよ」
「…二人でアリスに何かする気なのか?」
冷たい表情に、怒りを目に浮かべたライアン。
キャロライン様の前じゃいつもデレデレで、本に夢中なキャロライン様に構って欲しくて仕方ないって感じだったライアン兄様が…
「アリス?ああ、ライアンの浮気相手かしら?」
「キャロライン様!」
レイラは思わずキャロラインを止めようとする。流石にハッキリと言い過ぎな気がした。
「…浮気などではない。俺はアリスを真剣に好きなんだ」
あ、表情は冷たさを増し、怒りは大きくなった感じがする。
「そう。真剣に好きなの」
「どうせ君は俺の事そんなに好きではなかったんだ。どうでも良いだろう?そんな事」
「そう」
キャロラインは表情を変えずにそう言うと、制服の襟元からネックレスのチェーンを引き出す。
「返すわ」
チェーンを外し、通してあった指輪を机の上に置いた。
「こんな物!」
ライアンは机の上を払うように手を動かす。払い除けられた指輪が本棚に当たり「キンッ」と金属音を立てた。
「…そう」
キャロラインはゆっくりと立ち上がると、ライアンを正面から見据えた。
「…アリスに何かしたら許さない」
キャロラインを睨みながら言うライアン。キャロラインは眼鏡を外してニッコリと笑った。
「互いに贈り合った指輪をこんな風に扱う男のために何かをするほど、私が暇だと思わないでね」
自覚がないと思ってたけど、キャロライン様、ここぞで眼鏡を外すなんて、自分が美人なのをよくご存知だわ。
「行きましょう。レイラちゃん」
呆然とキャロラインを見るライアンに背を向け、机の上の文献や資料を両手に抱えながらキャロラインは言う。
「はい」
レイラも取って来ていた本を手に立ち上がる。
「これ、学園生じゃなくても貸し出ししてもらえるかしら?」
「多分。駄目なら私の名前で借りましょう」
「ありがとう。レイラちゃん」
もう、ライアンなどそこに居ないかのようにキャロラインとレイラは図書館のカウンターへと向かう。
ライアンは唇を噛み締めてじっとキャロラインの後ろ姿を見ていた。
「仕事柄…と言うより私の場合、趣味でありとあらゆる書物を読むじゃない?それで地域の史実や伝承などに『生まれ変わり』『前世』『転生』って言葉がたまに出て来るの。それで一定数の所謂生まれ変わり、前世の記憶のある人がいるのが判るわ」
キャロラインは言う。
「……」
どの世代にも一定数…って、ゲームとは関係ない転生者もいるって事?
レイラは黙ってキャロラインの言葉を聞いた。
「そして、その中でも興味深いのが…この母の母の母の母の日記を見て。これは私の母の実家の子爵家に残っていた物で、これを書いた人物は当時の王弟の妃の友人だったんですって」
キャロラインは日記をパラパラと捲ると、あるページで手を止める。
「王弟の妃の友人ですか?」
「学園の同級生で仲良くなったらしいわ。ほらここ」
レイラはキャロラインが指し示す箇所へ目をやる。
一日数行の短い日記だが、数年…十年分はありそうだ。
【リザが面白い事を言い出した。前世の記憶があるってどんな感じなんだろう?確かに今年度の生徒会は粒揃い。揃い過ぎな位。】
【不正行為の証拠もないのにそう言い張るなんて、これも強制力?恐ろしいわ。】
【ロイド殿下は「補正」だと仰った。なるほど。補正か。なるほど。】
【アレクサンドラがマークと結婚するなんて、本当に思いもよらない展開だ。】
前世、生徒会、強制力、ロイド、アレクサンドラ…
レイラはその言葉たちが書かれたページを瞬きもせずに見る。
…これ「恋する生徒会」だわ。2じゃなく、オリジナルの。
「日記だから説明的な事は書いてないけれど、この『リザ』と言う方が王弟妃なの。この方に前世の記憶があったようね」
オリジナルにリザと言う登場人物はいなかったけど…一定数いると言う転生者がゲームのストーリーに絡んだのかしら?
まあ同じ時代で登場人物に近ければ、絡んで多少ストーリーが変わったりしても不思議はない気がするけど…
「更に『強制力』『補正』などの言葉では、本人の気持ちや状態に関係なく状況が動いてしまう事があるんじゃないかと推察されるわね」
「……」
ある。あるわ。ゲームの強制力。
「この時の生徒会のメンバーを知りたくて今日ここに来たのよ。それと、学園生の間で前世とか生まれ変わりの話をしてる子とかいないか、そんな噂がないか聞いてみたくて」
話をしてるどころか、私がその転生者なんだけど…これ、キャロライン様に言っても良いのか…
「キャロライン!」
レイラが迷っていると、不意に図書館に男性の声が響く。
「あら、ライアン。ご機嫌よう」
「…何してるんだ?こんな所で」
図書館の入り口からライアンが入って来て、キャロラインの傍に立った。
ライアン兄様…怒ってるの?
「見たい文献があるから来たに決まってるじゃない」
キャロラインはニッコリ笑ってライアンを見上げた。
「何故レイラと一緒なんだ?」
「廊下で偶然お会いしたからよ」
「…二人でアリスに何かする気なのか?」
冷たい表情に、怒りを目に浮かべたライアン。
キャロライン様の前じゃいつもデレデレで、本に夢中なキャロライン様に構って欲しくて仕方ないって感じだったライアン兄様が…
「アリス?ああ、ライアンの浮気相手かしら?」
「キャロライン様!」
レイラは思わずキャロラインを止めようとする。流石にハッキリと言い過ぎな気がした。
「…浮気などではない。俺はアリスを真剣に好きなんだ」
あ、表情は冷たさを増し、怒りは大きくなった感じがする。
「そう。真剣に好きなの」
「どうせ君は俺の事そんなに好きではなかったんだ。どうでも良いだろう?そんな事」
「そう」
キャロラインは表情を変えずにそう言うと、制服の襟元からネックレスのチェーンを引き出す。
「返すわ」
チェーンを外し、通してあった指輪を机の上に置いた。
「こんな物!」
ライアンは机の上を払うように手を動かす。払い除けられた指輪が本棚に当たり「キンッ」と金属音を立てた。
「…そう」
キャロラインはゆっくりと立ち上がると、ライアンを正面から見据えた。
「…アリスに何かしたら許さない」
キャロラインを睨みながら言うライアン。キャロラインは眼鏡を外してニッコリと笑った。
「互いに贈り合った指輪をこんな風に扱う男のために何かをするほど、私が暇だと思わないでね」
自覚がないと思ってたけど、キャロライン様、ここぞで眼鏡を外すなんて、自分が美人なのをよくご存知だわ。
「行きましょう。レイラちゃん」
呆然とキャロラインを見るライアンに背を向け、机の上の文献や資料を両手に抱えながらキャロラインは言う。
「はい」
レイラも取って来ていた本を手に立ち上がる。
「これ、学園生じゃなくても貸し出ししてもらえるかしら?」
「多分。駄目なら私の名前で借りましょう」
「ありがとう。レイラちゃん」
もう、ライアンなどそこに居ないかのようにキャロラインとレイラは図書館のカウンターへと向かう。
ライアンは唇を噛み締めてじっとキャロラインの後ろ姿を見ていた。
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