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エピローグ
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攻略対象者であった生徒会副会長のアンソニーは、アリスに水を掛けた事件で婚約者のシャロンと口論をしてから距離を置いていたが、親や友人などに説得され卒業パーティーにはシャロンをエスコートした。強制力が失くなった今はアンソニーが謝り、少しずつ歩み寄っている。
同じく副会長のフレディは、婚約者のモニカがアリスと喧嘩をしながらも段々友達のようになっていったので、フレディとモニカも口喧嘩をしつつ、遠慮のない仲になっていく。
最近フレディの態度や言葉に甘さが増して、モニカは少し戸惑い、照れつつも、嬉しそうだ。
アリスが学園を辞めてモーリス公爵家で働き始めてからも、モニカとアリスは時々会って、喧嘩をしつつも友情を深めている。
会計のサミュエルは恋人レベッカと別れ、アリスに似た女の子と付き合っている。
後年の話だが、何人かの女性と付き合った結果のサミュエルの結婚相手はレベッカに似ていたそうだ。
レベッカは惚れ薬をどうにか輸入できないかと考えるが、恋人が薬のせいで心変わりしたらと考えると、サミュエルの心変わりを思い出し、いい気はしなかったので取り止めた。
最近は史学研究会のOBの歳上の男性に思いを寄せているらしい。
ウィルマはモーリス公爵家を解雇になった後、レベッカの父が経営する商会へ事務員として就職。
同じ事務所で働くレベッカの十五歳上の兄に気に入られ、外国語などを教えてもらったりとかわいがられている。レベッカの兄には離婚歴があり、元妻は不倫相手と出奔した。その心の傷を素直なウィルマに癒され、数年後にはウィルマに求婚。仲の良い年の差夫婦になったと言う。
-----
「もうすぐ卒業パーティーね」
寮のレイラの部屋でミシェルが呟いた。
「そうね…ミシェルは卒業したらすぐ領地へ行くの?」
「エマお義姉様とサイラス殿下の婚儀が発表されて、少し落ち着くまでは王都にいる予定よ」
「エマ様もある事ない事言われて大変よね」
「まあでも、エマお義姉様が気弱になったり落ち込んだりするとすぐアリスが喝入れてるわ」
意外と良いコンビになったわよね。あの二人。
ミシェルとサイラスの婚約解消が公表されてすぐエマがモーリス公爵家の養女となったので、世間的にはエマがサイラスの結婚相手であろう事は公然の秘密のようになっている。
ミシェルとの婚約解消から一年が経ち、もうすぐサイラスとエマの婚約と婚儀の日が同時に公表されるのだ。
「レイラとカイル殿下は卒業後すぐ結婚するのかと思ってたけど、サイラス殿下の方が先なのね」
「うん。やっぱりカイルと私が先に結婚したら『ハミルトン家が王家に入り込もうとしてる』って思われるから…第一王子に先に結婚して足場を固めてもらって、第二王子は結婚と同時に臣籍降下って形が良いんじゃないかって事になって」
「ああ…なるほどね」
ミシェルは深く頷く。
カイルは早く結婚したいってごねてたけどね…王太子殿下と妃殿下、お父様とお母様に説得されて渋々納得してたけど。
「レイラは早く結婚したくないのか?」
学園の休みの日に王宮を訪れたレイラを自室のソファの隣に座らせてカイルは言う。
「え?」
「さっき父上と母上から兄上の方が先に結婚する方が良いって言われた時、何も言わなかったから…」
「…うん」
「え?したくないのか!?」
カイルが慌てた様子で言う。レイラは手を横に振った。
「あ、違うの。早く結婚したくないんじゃなくて、最終的に結婚できるならいつでも良いって思ってるだけで…」
「いつでも?」
「うん…あのね。私、前世の事を思い出してからずっとカイルはアリスと結ばれて、私は婚約破棄されるんだって思ってたの」
「…うん」
カイルは手を伸ばして、レイラを抱き寄せると、肩まで伸びたレイラの髪を撫でた。
「だから…カイルと結婚できるなんて…カイルに『好き』ってまた言ってもらえるなんて思ってなくて」
レイラはカイルの背中に手を回すと、頭をカイルの胸に預ける。
「レイラ…」
カイルの手がレイラの髪を撫でる。愛おしそうに。大切そうに。
「今はカイルが心変わりするなんて全然思わないし、だったら結婚は何年後になっても良いかな…って」
「……そうか」
カイルはぎゅっとレイラを抱きしめる。
「でも、俺はやっぱり早く結婚したいな」
レイラの髪に指を差し入れる。
「早くレイラの何もかもを独り占めしたい」
額に、頬に、鼻に、口付けが落ちる。
蕩ける瞳に自分が写って、レイラはゆっくりと眼を閉じた。
-了-
攻略対象者であった生徒会副会長のアンソニーは、アリスに水を掛けた事件で婚約者のシャロンと口論をしてから距離を置いていたが、親や友人などに説得され卒業パーティーにはシャロンをエスコートした。強制力が失くなった今はアンソニーが謝り、少しずつ歩み寄っている。
同じく副会長のフレディは、婚約者のモニカがアリスと喧嘩をしながらも段々友達のようになっていったので、フレディとモニカも口喧嘩をしつつ、遠慮のない仲になっていく。
最近フレディの態度や言葉に甘さが増して、モニカは少し戸惑い、照れつつも、嬉しそうだ。
アリスが学園を辞めてモーリス公爵家で働き始めてからも、モニカとアリスは時々会って、喧嘩をしつつも友情を深めている。
会計のサミュエルは恋人レベッカと別れ、アリスに似た女の子と付き合っている。
後年の話だが、何人かの女性と付き合った結果のサミュエルの結婚相手はレベッカに似ていたそうだ。
レベッカは惚れ薬をどうにか輸入できないかと考えるが、恋人が薬のせいで心変わりしたらと考えると、サミュエルの心変わりを思い出し、いい気はしなかったので取り止めた。
最近は史学研究会のOBの歳上の男性に思いを寄せているらしい。
ウィルマはモーリス公爵家を解雇になった後、レベッカの父が経営する商会へ事務員として就職。
同じ事務所で働くレベッカの十五歳上の兄に気に入られ、外国語などを教えてもらったりとかわいがられている。レベッカの兄には離婚歴があり、元妻は不倫相手と出奔した。その心の傷を素直なウィルマに癒され、数年後にはウィルマに求婚。仲の良い年の差夫婦になったと言う。
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「もうすぐ卒業パーティーね」
寮のレイラの部屋でミシェルが呟いた。
「そうね…ミシェルは卒業したらすぐ領地へ行くの?」
「エマお義姉様とサイラス殿下の婚儀が発表されて、少し落ち着くまでは王都にいる予定よ」
「エマ様もある事ない事言われて大変よね」
「まあでも、エマお義姉様が気弱になったり落ち込んだりするとすぐアリスが喝入れてるわ」
意外と良いコンビになったわよね。あの二人。
ミシェルとサイラスの婚約解消が公表されてすぐエマがモーリス公爵家の養女となったので、世間的にはエマがサイラスの結婚相手であろう事は公然の秘密のようになっている。
ミシェルとの婚約解消から一年が経ち、もうすぐサイラスとエマの婚約と婚儀の日が同時に公表されるのだ。
「レイラとカイル殿下は卒業後すぐ結婚するのかと思ってたけど、サイラス殿下の方が先なのね」
「うん。やっぱりカイルと私が先に結婚したら『ハミルトン家が王家に入り込もうとしてる』って思われるから…第一王子に先に結婚して足場を固めてもらって、第二王子は結婚と同時に臣籍降下って形が良いんじゃないかって事になって」
「ああ…なるほどね」
ミシェルは深く頷く。
カイルは早く結婚したいってごねてたけどね…王太子殿下と妃殿下、お父様とお母様に説得されて渋々納得してたけど。
「レイラは早く結婚したくないのか?」
学園の休みの日に王宮を訪れたレイラを自室のソファの隣に座らせてカイルは言う。
「え?」
「さっき父上と母上から兄上の方が先に結婚する方が良いって言われた時、何も言わなかったから…」
「…うん」
「え?したくないのか!?」
カイルが慌てた様子で言う。レイラは手を横に振った。
「あ、違うの。早く結婚したくないんじゃなくて、最終的に結婚できるならいつでも良いって思ってるだけで…」
「いつでも?」
「うん…あのね。私、前世の事を思い出してからずっとカイルはアリスと結ばれて、私は婚約破棄されるんだって思ってたの」
「…うん」
カイルは手を伸ばして、レイラを抱き寄せると、肩まで伸びたレイラの髪を撫でた。
「だから…カイルと結婚できるなんて…カイルに『好き』ってまた言ってもらえるなんて思ってなくて」
レイラはカイルの背中に手を回すと、頭をカイルの胸に預ける。
「レイラ…」
カイルの手がレイラの髪を撫でる。愛おしそうに。大切そうに。
「今はカイルが心変わりするなんて全然思わないし、だったら結婚は何年後になっても良いかな…って」
「……そうか」
カイルはぎゅっとレイラを抱きしめる。
「でも、俺はやっぱり早く結婚したいな」
レイラの髪に指を差し入れる。
「早くレイラの何もかもを独り占めしたい」
額に、頬に、鼻に、口付けが落ちる。
蕩ける瞳に自分が写って、レイラはゆっくりと眼を閉じた。
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