第二王子は婚約破棄して王太子になりたいらしい。

ねーさん

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 まさかのBL展開なのかしら。でもあのかわいさはやっぱりヒロインとしか考えられないわ。
 まあ、乙ゲーでもBLでも良いんだけど…できたらヤンデレ系とエロ系は勘弁して欲しいなあ。

 舞踏会の準備で忙しくなっても、余程遅くなった日以外はレオンはフィオナの部屋を訪れていた。
 今日も夕食後にフィオナの部屋を訪れたレオンは、扉を開けた時から無言で、今もソファに座ったまま押し黙っている。
「レオン様?…お疲れですか?」
 フィオナが声を掛けると、少しハッとした様子でレオンがフィオナを見た。
 今日、初めて目が合ったわ。
「ああ…いや。疲れている訳では…」
 珍しく歯切れ悪く言うと、レオンは俯いて自らの髪をクシャクシャと混ぜた。
 …いつものレオン様じゃない。
 もしかして「ヒロイン」と、出会った…?
 フィオナは目を見開いてレオンを見る。レオンは俯いたままで言った。
「忙しくて…明日からしばらく来れない」
 やっぱり、そうなの?
「…そうですか」
 レオンが顔を上げる。
「どうした?」
「え?」
「難しい表情かおをしている」
「そうですか?レオン様も難しい表情かおをされてますよ?」
 フィオナは自分の頬を押さえ、苦笑いしながら言う。

 翌日からレオンはフィオナの部屋を訪れなくなった。

-----

「ノエル・ジルベスター。一年生。男爵家の次男、か」
 食堂で、フィオナがあの「かわいい男子生徒」の事を書いたメモを見ていると、マルティナがそれを覗き込んで来る。
「だあれ?」
「前に探してた『かわいい子』」
「…フィオナが探してたのって男子なの?」
「そう言う訳じゃないんだけど、結果見つけたのは男子だったわね。あ、あの子よ」
 食堂に入って来た十人くらいの団体は生徒会の面々の様で、レオンの周りをぐるりと男子生徒が囲んで何やら話している。
「どの子?」
 フィオナたちの席から離れた所でガヤガヤしている一団をマルティナは腰を浮かせながら見る。
「レオン様の隣に座った銀髪の子」
「…よく顔が見えないわね」
 役員でもない、サポートメンバーでもないノエル・ジルベスターがレオン様の隣に座るなんて。これはそうとう親密なんじゃない?
「あ、見えたわ。わあ~確かにかわいいわね」
 マルティナが言う。
 レオンとノエルは一枚の書類を覗きながら話をしていた。
「そういえば、フィオナはどうして『かわいい子』を探してたの?」
「レオン様との婚約解消に備えて…」
「婚約解消するの?」
 マルティナが目を丸くしてフィオナを見ている。
 私は婚約したかった訳じゃないし、いつでも解消して欲しいと思ってる…うん。思ってるわ。でもこちらからは婚約解消なんて言えないし…
 もしBL展開で間違いないとしたら、レオン様とノエル・ジルベスターは男同士だから結婚できないし、ノエル・ジルベスターを侍従とかにして、私とそのまま結婚するってパターンもあるわね。カムフラージュにもなるし。
「そういう訳じゃないわ。万一に備えたリスク管理よ」
 マルティナはフィオナの台詞に「よく分からないわ」と首を傾げた。

 それにしてもレオン様、疲れてるのかな?目の下に薄っすら隈がある気がする。
 フィオナがじっとレオンを見ていると、視線を感じたのか、レオンがフィオナへ視線を向けた。「フィオ」と唇が動くのが判る。
 おっと。見てたの気付かれちゃったわ。
 レオンが隣のノエルに何やら声を掛けた後、フィオナの方へ歩いて来た。後ろにノエルも着いて来ている。
 フィオナは立ち上がると頭を下げた。
「フィオ、紹介する。ノエル・ジルベスターだ。男爵家の令息で一年生。今舞踏会の準備を手伝ってくれているんだ」
 レオンがフィオナの前に立って言うと、ノエルはペコリと頭を下げた。
「ノエル・ジルベスターです。初めまして」
 …知ってます。けど、今まで生徒会の役員やサポートメンバーもわざわざ紹介された事なんてないけどな。それだけこの彼が特別って事なのかしら?
「初めまして。フィオナ・キャストンです」
「ノエルは空間設計を担当している。舞踏会の会場装飾をしてくれるんだ」
「空間…」
「ノエルの設計した空間をそのまま表現できればさぞ幻想的だろうと思うんだが。いかんせん予算と時間が足りない。どこまで表現できるか…」
「殿下、そうやって期待値を上げるのはやめてくださいよ」
 ノエルはレオンを軽く睨む。
 何か遠慮がない感じ。やっぱり親密な雰囲気かな。
「フィオ?」
「はい?」
「どうした?また難しい顔してるぞ?」
 難しい顔?してた?
 レオンはフィオナの眉間に人差し指を当てる。
「眉間に皺。…具合でも悪いのか?」
 あ、触られた。ああ、周りに人がいるから…
 レオンがフィオナの顔を覗き込む。
「…レオン殿下こそ、あまり寝てないんですか?」
「うん?」
「隈が…」
 フィオナがレオンの顔に手を伸ばすと、レオンは顔に触れる前にフィオナの手を握った。
「心配掛けて済まない。大丈夫だ」
 レオンは笑いながら言うが、フィオナはショックを受けていた。
 …止められたわ。「触るな」って事?
「フィオ、今日は遅くなるけど部屋に行くから」
 レオンは小さく言うと、ノエルを伴って去って行った。


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