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レオンが四年生、フィオナが二年生になった春期の初め、フィオナは鏡に写る自分に話し掛けた。
「もし『転生』『乙ゲー』『悪役令嬢』展開なら、レオン様が卒業する今年度がその舞台の筈。早くヒロインを特定して、断罪と婚約破棄は良いとしても、処刑や追放や没落は阻止できるように頑張るわよ。フィオナ」
「どうしたの?フィオナ、キョロキョロして」
廊下を歩きながらすれ違う女生徒をチェックしていたフィオナにマルティナが小首を傾げて問いかける。
「ヒロインを探してて…」
「ヒロイン?」
「あ、ううん。ねぇティナ、新入生でものすごくかわいい女の子いなかった?噂とか聞いた事ない?」
「新入生?」
「ううん。新入生でなくても」
「だったら…」
「誰!?」
マルティナはすっとフィオナを指差した。
「はい?」
「私の知ってる中で一番かわいいのはフィオナだわ」
「…それを言うなら、ティナの方がかわいいじゃない」
いやいや。そう言う話じゃなくて。私はレオン様の婚約者で、ティナは妹。どちらもレオン様のヒロインじゃないわ。
…レオン様のヒロインか。ヒロインと出会ったらレオン様も夢中になるのかな。
多分クライマックスは卒業パーティーだろうから、婚約破棄はその時だろうけど、ヒロインと出会ったら私の部屋にレオン様が来る事は…なくなるんだろうな。
「フィオナ?どうしたの?」
急に黙ったフィオナをマルティナが心配そうに見ている。
「ううん。何でもないわ」
フィオナは首を横に振って、笑った。
「レオン様」
「何だ?」
春期が始まって二カ月経つが、ヒロインらしき女生徒は見つからずにいた。
相変わらず毎日のようにレオンはフィオナの部屋を訪れている。
フィオナは紅茶のカップをレオンの前に置きながら言った。
「今年の生徒会のサポートメンバーってどんな感じなんですか?」
今年度、生徒会長になったレオン。生徒会には役員の他に各学年から男女一名づつ指名されたサポートメンバーがおり、舞踏会や卒業パーティーなどの大きな行事の前には手伝いをすることになっている。
レオンと、例えば学年が違う、上位貴族でない、などの一般の女生徒が近付くとなると、このサポートメンバーである確率は高いように思う。
お兄様も学園生の頃、生徒会のサポートメンバーをしてて、学年の違うサポートメンバーと仲良くなったって言ってたし。
「どんな感じとは?」
「かわいい子はいますか?」
「…何だ?フィオ、俺の近くにかわいい子がいるかどうか気になるのか?」
レオンがフィオナの顔を覗き込む。
レオン様時々こうするけど、正面から覗き込まれるの、恥ずかしいからやめて欲しい…
「違います」
レオン様の近くにかわいい子がいるかどうかが気になるのは確かだけども。
「じゃあ何だ?去年も俺は生徒会副会長だったが、サポートメンバーなど気にした事なかったろ?」
あう。その通りだわ。
「ええと、あの…かわいい子を探してるんです」
「何故?」
「…何となく?」
視線を逸らすフィオナをじっと見るレオン。
「まさか、自分の代わりにそのかわいい子を俺に充てがうつもりじゃないだろうな」
小さな声で言う。
「え?何ですか?」
逸らした視線をまたレオンに向けるフィオナ。
「いや、何も」
レオンは口角を上げて笑顔を作った。
後日、生徒会の役員とサポートメンバーの名簿を手に入れたフィオナは一人一人をこっそりと見て回った。
よく考えたら、サポートメンバー本人がヒロインとは限らないものね。役員やサポートメンバーの周りの人って可能性もあるもの。
「あ、あの子、かわいい…」
一年生のサポートメンバーを遠くから見ていると、メンバーと一緒にいたキラキラ光る銀の髪の子が目に入る。
成程。サポートメンバーの友人ポジションか。これから舞踏会の準備が架橋に入るし、サポートメンバーの手伝いとかでレオン様と出会うのかしら?
「一年のサポートメンバーと一緒にいるって事はやっぱり一年生かしら。名前を調べなきゃ」
後、どうにかして知り合いにならなくちゃ。
でも下手に近付いて、悪役令嬢がヒロインを虐めてるって周りに思われちゃいけないし…さてどうするかなあ?
フィオナが「すごくかわいい」と思ったのは、目ぱっちり、睫毛バサバサ、すっと通った鼻梁、薄くて赤い唇、サラサラまっすぐな銀髪…の、男子生徒だった。
-----
「レオン殿下、……がお呼びです」
学園の休日に王宮に戻っていたレオンの元へ侍従のパスカルが訪れて声を顰めて言った。
「……」
「誰にも知られないように来るように、と」
「分かった」
レオンが立ち上がると、パスカルは礼をして部屋を出て行く。
レオンは本棚に隠された隠し通路の扉を開けた。
レオンが四年生、フィオナが二年生になった春期の初め、フィオナは鏡に写る自分に話し掛けた。
「もし『転生』『乙ゲー』『悪役令嬢』展開なら、レオン様が卒業する今年度がその舞台の筈。早くヒロインを特定して、断罪と婚約破棄は良いとしても、処刑や追放や没落は阻止できるように頑張るわよ。フィオナ」
「どうしたの?フィオナ、キョロキョロして」
廊下を歩きながらすれ違う女生徒をチェックしていたフィオナにマルティナが小首を傾げて問いかける。
「ヒロインを探してて…」
「ヒロイン?」
「あ、ううん。ねぇティナ、新入生でものすごくかわいい女の子いなかった?噂とか聞いた事ない?」
「新入生?」
「ううん。新入生でなくても」
「だったら…」
「誰!?」
マルティナはすっとフィオナを指差した。
「はい?」
「私の知ってる中で一番かわいいのはフィオナだわ」
「…それを言うなら、ティナの方がかわいいじゃない」
いやいや。そう言う話じゃなくて。私はレオン様の婚約者で、ティナは妹。どちらもレオン様のヒロインじゃないわ。
…レオン様のヒロインか。ヒロインと出会ったらレオン様も夢中になるのかな。
多分クライマックスは卒業パーティーだろうから、婚約破棄はその時だろうけど、ヒロインと出会ったら私の部屋にレオン様が来る事は…なくなるんだろうな。
「フィオナ?どうしたの?」
急に黙ったフィオナをマルティナが心配そうに見ている。
「ううん。何でもないわ」
フィオナは首を横に振って、笑った。
「レオン様」
「何だ?」
春期が始まって二カ月経つが、ヒロインらしき女生徒は見つからずにいた。
相変わらず毎日のようにレオンはフィオナの部屋を訪れている。
フィオナは紅茶のカップをレオンの前に置きながら言った。
「今年の生徒会のサポートメンバーってどんな感じなんですか?」
今年度、生徒会長になったレオン。生徒会には役員の他に各学年から男女一名づつ指名されたサポートメンバーがおり、舞踏会や卒業パーティーなどの大きな行事の前には手伝いをすることになっている。
レオンと、例えば学年が違う、上位貴族でない、などの一般の女生徒が近付くとなると、このサポートメンバーである確率は高いように思う。
お兄様も学園生の頃、生徒会のサポートメンバーをしてて、学年の違うサポートメンバーと仲良くなったって言ってたし。
「どんな感じとは?」
「かわいい子はいますか?」
「…何だ?フィオ、俺の近くにかわいい子がいるかどうか気になるのか?」
レオンがフィオナの顔を覗き込む。
レオン様時々こうするけど、正面から覗き込まれるの、恥ずかしいからやめて欲しい…
「違います」
レオン様の近くにかわいい子がいるかどうかが気になるのは確かだけども。
「じゃあ何だ?去年も俺は生徒会副会長だったが、サポートメンバーなど気にした事なかったろ?」
あう。その通りだわ。
「ええと、あの…かわいい子を探してるんです」
「何故?」
「…何となく?」
視線を逸らすフィオナをじっと見るレオン。
「まさか、自分の代わりにそのかわいい子を俺に充てがうつもりじゃないだろうな」
小さな声で言う。
「え?何ですか?」
逸らした視線をまたレオンに向けるフィオナ。
「いや、何も」
レオンは口角を上げて笑顔を作った。
後日、生徒会の役員とサポートメンバーの名簿を手に入れたフィオナは一人一人をこっそりと見て回った。
よく考えたら、サポートメンバー本人がヒロインとは限らないものね。役員やサポートメンバーの周りの人って可能性もあるもの。
「あ、あの子、かわいい…」
一年生のサポートメンバーを遠くから見ていると、メンバーと一緒にいたキラキラ光る銀の髪の子が目に入る。
成程。サポートメンバーの友人ポジションか。これから舞踏会の準備が架橋に入るし、サポートメンバーの手伝いとかでレオン様と出会うのかしら?
「一年のサポートメンバーと一緒にいるって事はやっぱり一年生かしら。名前を調べなきゃ」
後、どうにかして知り合いにならなくちゃ。
でも下手に近付いて、悪役令嬢がヒロインを虐めてるって周りに思われちゃいけないし…さてどうするかなあ?
フィオナが「すごくかわいい」と思ったのは、目ぱっちり、睫毛バサバサ、すっと通った鼻梁、薄くて赤い唇、サラサラまっすぐな銀髪…の、男子生徒だった。
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「レオン殿下、……がお呼びです」
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「……」
「誰にも知られないように来るように、と」
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レオンが立ち上がると、パスカルは礼をして部屋を出て行く。
レオンは本棚に隠された隠し通路の扉を開けた。
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