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学園は15歳で入学し、四年間学び18歳で卒業する。貴族の令息令嬢は15歳までは家庭教師に学び学園へ入学するが、貴族でない者は家の都合により5歳から10歳には初等教育校へ入学し、数年間字や計算などを学び、成績優秀者やお金のある商家の子供などが15歳で学園へと入学する。
全寮制で、いかに高位の貴族でも侍女や侍女、メイドなどを伴う事はできない決まりだ。もちろん王族でも。
学園は一学年が春期、秋期、冬期の三月期制で、春期と秋期の間に約二ヶ月の夏季休暇、秋期と冬期の間、冬期と春期の間にそれぞれ約二週間の休暇がある。
フィオナはこの春15歳になり、学園に入学した。
レオンは17歳、三年生だ。
「レオン兄様、ここ女子寮ですよ?どうしてフィオナの部屋に毎日の様に居るんですか?」
マルティナが、フィオナの部屋のソファに腰掛け、悠然とお茶を飲んでいるレオンに言う。
「そうなの!ティナもっと言って!」
フィオナは部屋の入り口に立ったマルティナに駆け寄った。
入学してから一カ月、ほぼ毎日レオンはフィオナの部屋を訪れて、お茶を一杯飲んで帰って行くのだ。
「フィオは俺の婚約者だからだ」
「いえ。レオン兄様、そもそも女子寮には婚約者でもおいそれと入れない筈ですよね?」
「まあ、抜け道はある」
レオンはそう言うと、カップに残ったお茶を一気に飲み干すと立ち上がった。
「じゃあまた明日な。フィオ」
レオンはマルティナと共に扉の前に立っていたフィオナの頬をするりと撫でて、部屋から出て行った。
寮の出入口とは違う方へ歩いて行くレオン。本当に抜け道を通って来ているようだ。
「…つまり、レオン兄様とフィオナは仲良しなの?」
撫でられた頬を押さえたフィオナに、マルティナが言う。少しフィオナの頬が赤い。
「仲良しじゃないわ」
フィオナはマルティナから視線を逸らす。
レオン様は多分…私を落とそうとしてる。でもそれは婚約したのと同じ理由で、妃になりたくないと言われてプライドが傷付いたから。
レオン様が私を好きだとか、そういう訳じゃないわ。
「そうなの?仲良しに見えるけど…」
マルティナをソファに促す。お茶を入れ替えるために部屋に付いたミニキッチンへ向かうとポットを火に掛けた。
仲良しに見えるのは当たり前よ。レオン様がそう見える様に振る舞ってるんだから。
フィオナがそう考えるのは、二人きりの時のレオンは決してフィオナに甘い言葉を言ったり、さっきの様に触れたりしないからだ。マルティナが来ない日はお茶を飲んで、少し話して、帰るだけなのだ。
もしも、もしも私がレオン様を好きになったら…「ザマア」と言わんばかりに速攻で婚約破棄されるんじゃないかなあ。
そう言えば、前世でも振られたっけ。
高三の時付き合った同じクラスの男子。告白されて付き合い始めたけど、さすがにもう顔も思い出せないな…違う大学に行って、あっちに他に好きな人が出来たんだったっけ。
前世でキスもその先も経験してるんだから、レオン様に頬を撫でられたくらいで赤くなる事ないのに。もっと余裕でかわせる筈なのにな。
やっぱりレオン様がカッコ良すぎるから?
「顔は好みよ。確かに」
フィオナは一人で呟く。
「…今なら婚約破棄も『待ってました』なのにな」
自分を好きにならせてから婚約破棄なんて、性格悪すぎるわ。
フィオナはレオンの使ったカップを洗いながらそっとため息を吐いた。
-----
学園では、春期の終わりには夏季休暇に入る前の舞踏会があり、冬期の終わりには卒業パーティーがあるので、貴族の令息令嬢は社交を学び、貴族でない者も貴族社会との繋がりを作ろうと励む場となるのだ。
「フィオが入学して初めての舞踏会だからドレスを贈ろうか?」
フィオナの部屋で、ソファの肘掛けに肘を着いたレオンが言う。
「…要りませんよ」
「フィオはかわいくないな。相変わらず」
レオンが苦笑いしながら言う。
かわいくない、かあ。でもドレスを贈られても困るしなあ。
「……」
「…な、何故黙る?」
あれ?ちょっとレオン様慌ててる?
「いえ。私って相当かわい気がないんだろうなと思って」
「どうしたんだ?誰かに何か言われたのか?」
レオンがソファから腰を浮かすようにしてフィオナの顔を覗き込んだ。
昼休みに一人で中庭を歩いていると、第一王子の婚約者スーザンと、その取り巻きの令嬢たちがフィオナに近寄って来た。
そしてまた「伯爵令嬢が王子妃になろうなんて図々しい」「レオン殿下にふさわしくない」と嫌味を言われたので、フィオナは敢えて満面の笑みを浮かべると「でもレオン殿下はそんな私が良いんですって」と言った。
毒気を抜かれて去って行く時、取り巻きの一人が「あの子本当にかわいくないわ」と呟いたのだ。
「いえ、そう言う訳ではないんです」
フィオナはそう言うとレオンに笑顔を向ける。
レオンは眉を顰めると、フィオナには聞こえないように
「…フィオはかわいくない処がかわいいんだろ」
と呟いた。
学園は15歳で入学し、四年間学び18歳で卒業する。貴族の令息令嬢は15歳までは家庭教師に学び学園へ入学するが、貴族でない者は家の都合により5歳から10歳には初等教育校へ入学し、数年間字や計算などを学び、成績優秀者やお金のある商家の子供などが15歳で学園へと入学する。
全寮制で、いかに高位の貴族でも侍女や侍女、メイドなどを伴う事はできない決まりだ。もちろん王族でも。
学園は一学年が春期、秋期、冬期の三月期制で、春期と秋期の間に約二ヶ月の夏季休暇、秋期と冬期の間、冬期と春期の間にそれぞれ約二週間の休暇がある。
フィオナはこの春15歳になり、学園に入学した。
レオンは17歳、三年生だ。
「レオン兄様、ここ女子寮ですよ?どうしてフィオナの部屋に毎日の様に居るんですか?」
マルティナが、フィオナの部屋のソファに腰掛け、悠然とお茶を飲んでいるレオンに言う。
「そうなの!ティナもっと言って!」
フィオナは部屋の入り口に立ったマルティナに駆け寄った。
入学してから一カ月、ほぼ毎日レオンはフィオナの部屋を訪れて、お茶を一杯飲んで帰って行くのだ。
「フィオは俺の婚約者だからだ」
「いえ。レオン兄様、そもそも女子寮には婚約者でもおいそれと入れない筈ですよね?」
「まあ、抜け道はある」
レオンはそう言うと、カップに残ったお茶を一気に飲み干すと立ち上がった。
「じゃあまた明日な。フィオ」
レオンはマルティナと共に扉の前に立っていたフィオナの頬をするりと撫でて、部屋から出て行った。
寮の出入口とは違う方へ歩いて行くレオン。本当に抜け道を通って来ているようだ。
「…つまり、レオン兄様とフィオナは仲良しなの?」
撫でられた頬を押さえたフィオナに、マルティナが言う。少しフィオナの頬が赤い。
「仲良しじゃないわ」
フィオナはマルティナから視線を逸らす。
レオン様は多分…私を落とそうとしてる。でもそれは婚約したのと同じ理由で、妃になりたくないと言われてプライドが傷付いたから。
レオン様が私を好きだとか、そういう訳じゃないわ。
「そうなの?仲良しに見えるけど…」
マルティナをソファに促す。お茶を入れ替えるために部屋に付いたミニキッチンへ向かうとポットを火に掛けた。
仲良しに見えるのは当たり前よ。レオン様がそう見える様に振る舞ってるんだから。
フィオナがそう考えるのは、二人きりの時のレオンは決してフィオナに甘い言葉を言ったり、さっきの様に触れたりしないからだ。マルティナが来ない日はお茶を飲んで、少し話して、帰るだけなのだ。
もしも、もしも私がレオン様を好きになったら…「ザマア」と言わんばかりに速攻で婚約破棄されるんじゃないかなあ。
そう言えば、前世でも振られたっけ。
高三の時付き合った同じクラスの男子。告白されて付き合い始めたけど、さすがにもう顔も思い出せないな…違う大学に行って、あっちに他に好きな人が出来たんだったっけ。
前世でキスもその先も経験してるんだから、レオン様に頬を撫でられたくらいで赤くなる事ないのに。もっと余裕でかわせる筈なのにな。
やっぱりレオン様がカッコ良すぎるから?
「顔は好みよ。確かに」
フィオナは一人で呟く。
「…今なら婚約破棄も『待ってました』なのにな」
自分を好きにならせてから婚約破棄なんて、性格悪すぎるわ。
フィオナはレオンの使ったカップを洗いながらそっとため息を吐いた。
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学園では、春期の終わりには夏季休暇に入る前の舞踏会があり、冬期の終わりには卒業パーティーがあるので、貴族の令息令嬢は社交を学び、貴族でない者も貴族社会との繋がりを作ろうと励む場となるのだ。
「フィオが入学して初めての舞踏会だからドレスを贈ろうか?」
フィオナの部屋で、ソファの肘掛けに肘を着いたレオンが言う。
「…要りませんよ」
「フィオはかわいくないな。相変わらず」
レオンが苦笑いしながら言う。
かわいくない、かあ。でもドレスを贈られても困るしなあ。
「……」
「…な、何故黙る?」
あれ?ちょっとレオン様慌ててる?
「いえ。私って相当かわい気がないんだろうなと思って」
「どうしたんだ?誰かに何か言われたのか?」
レオンがソファから腰を浮かすようにしてフィオナの顔を覗き込んだ。
昼休みに一人で中庭を歩いていると、第一王子の婚約者スーザンと、その取り巻きの令嬢たちがフィオナに近寄って来た。
そしてまた「伯爵令嬢が王子妃になろうなんて図々しい」「レオン殿下にふさわしくない」と嫌味を言われたので、フィオナは敢えて満面の笑みを浮かべると「でもレオン殿下はそんな私が良いんですって」と言った。
毒気を抜かれて去って行く時、取り巻きの一人が「あの子本当にかわいくないわ」と呟いたのだ。
「いえ、そう言う訳ではないんです」
フィオナはそう言うとレオンに笑顔を向ける。
レオンは眉を顰めると、フィオナには聞こえないように
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と呟いた。
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