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「随分と勝手な事ばかり言ってるけど、本当はリオン殿下がエラと出会えば、リオン殿下は貴女なんかには目もくれずにエラを愛するようになるって、わかってるんでしょう?」
ゆっくりと言うニーナをカミーユは睨み付けた。
「…そんな事ないわ。そりゃあストーリー通り、舞踏会でエラを好きになるんだろうけど、私に会えば…会いさえすれば絶対」
「何なの?美由さえ幸せになれば、エラも、マーゴットやカトリーヌも、夫である公爵様も、どうでも良いって言うの?」
ニーナもカミーユを睨み返す。
「そんな事」
「だって、娘の夫の愛人になるって言ったじゃない。要するに娘も夫も裏切るって宣言でしょ?」
「…っ」
言葉に詰まるカミーユ。ニーナは「はあ」とため息を吐いた。
「…貴女の考えはわかったし、帰るわ」
ニーナはツカツカ歩いて部屋の扉の方、つまりカミーユの立っている方へと近付く。
そしてカミーユの横で立ち止まった。
「私、前世では一介のイルミでB-rightとも莉音ともファン以上の関わりはなかったのに、何で莉音と同じ世界に転生したのかと思ってたんだけど、わかったわ」
「は?」
視線だけでカミーユを見る。
カミーユは眉を顰めてニーナを見ていた。
「貴女からリオン殿下を守るためよ」
そう言うと、ニーナはノブを掴んで扉を開ける。
「なっ」
廊下に出ると、何か言いたそうに振り向いたカミーユの目の前で扉を閉めた。
玄関ホールまで来ると、そこから伸びる螺旋状の階段をエラが駆け降りて来る。
「ニーナ!」
「エラ」
エラは立ち襟にフリルが付いた細身のドレスを着て、髪を右側に寄せて緩く三つ編みにしていた。
うわあ、エラかわいいし、綺麗。部屋着なんだろうけど、品があってさすが公爵令嬢って感じ。
階段を降りてニーナに駆け寄ったエラはニーナの両手を取ってぎゅっと握った。
「ニーナが来てるって、こっそり教えてくれたの」
玄関ホールの隅にニーナを出迎えてくれた男性が立っている。
「お義姉様たちに見張られてるんじゃ?」
「そうなの。でもマーゴットお義姉様、今お昼寝中で」
小さく舌を出すエラ。
んあ~イタズラっぽい表情もかわいい!
「あ、でも、そろそろカミ…お義母様が戻って来るかも。エラ、これ読んで」
今来た廊下の方を振り返りながら、ニーナはスカートのポケットから折り畳んだ紙を出した。
「来てくれてありがとう。ニーナ」
エラは嬉しそうに笑うと差し出された紙を受け取る。
「エラには会えないと思ってたから手紙を書いて来たの。でも顔が見られて良かったわ」
「エラ様」
男性が小声で言った。
「またね」
「うん」
カミーユが戻って来る気配がしたのだと察して、エラは階段の方へと駆け出し、ニーナも玄関扉の方へと歩き出す。
「エラを呼んでくださってありがとうございました」
ニーナは扉を開けてくれようとしている、ニーナを出迎えてくれた男性に小声で言うと頭を下げた。
「いえ。これからもエラ様をどうかよろしくお願いいたします」
男性はニコリと笑う。
ニーナは「こちらこそ」と頷くと、玄関扉を出た。
-----
自分の部屋へ戻ったエラはニーナから貰った折り畳んだ紙を開く。
【私もテオバルト様のパートナーとして舞踏会に出る事になったの。エラのドレスもちゃんと準備してるから心配しないでね。お父様がいない間に何かあったらすぐ連絡して。またうちに逃げて来ても良いからね】
「舞踏会…か」
エラは小さく呟くと、ため息を吐いた。
-----
ギブソン家に帰って来たニーナは、ニーナの客人が待っていると知らされて、応接室へと向かう。
客人って誰だろ?
特に約束はしてないけどテオバルト様かな?
応接室の扉をノックして扉を開けると、ソファに四人の男性が座っているのが目に入った。
「ニーナ!」
一番に立ち上がったのは、黒髪に、薄く色のついた眼鏡を掛けたリオンだ。
「え!?リオン殿下!?」
「どうして一人で会いに行ったりするんだ!」
リオンはニーナに歩み寄ると、両肩を掴んだ。
「え…っと」
リオン殿下、怒ってる?
そういえば「エラの所へ遊びに行く」って宣言した時、リオン殿下に「一人では行くな」って言われてたっけ。
「リオンに『ニーナが一人でゴールドバーグ家へ行った』と知らせたら、直ぐに来たんだよ」
ソファに足を組んで座っているテオバルトがニヤニヤしながら言う。
その向かいに座りニーナとリオンの方を振り向いているレジスも眉を上げ、テオバルトの隣りのジェラルドはソファにもたれて呆れ顔だ。
リオンはニーナの肩を掴んだ両手に力を入れる。
「……心配した」
そう言うと、眉を顰めて唇を引き結ぶリオン。
心配してくれたんだ。私の事。
嬉しい、な。
………いや。
いやいやいや、私、ここ喜ぶ処じゃないよ。
心配したのは私の事だけじゃなくて、連れ戻されたエラの事もだし、カミーユの事もだろうし。
「そろそろ話してくれてもいいのでは?」
テオバルトが口角を上げて言った。
「随分と勝手な事ばかり言ってるけど、本当はリオン殿下がエラと出会えば、リオン殿下は貴女なんかには目もくれずにエラを愛するようになるって、わかってるんでしょう?」
ゆっくりと言うニーナをカミーユは睨み付けた。
「…そんな事ないわ。そりゃあストーリー通り、舞踏会でエラを好きになるんだろうけど、私に会えば…会いさえすれば絶対」
「何なの?美由さえ幸せになれば、エラも、マーゴットやカトリーヌも、夫である公爵様も、どうでも良いって言うの?」
ニーナもカミーユを睨み返す。
「そんな事」
「だって、娘の夫の愛人になるって言ったじゃない。要するに娘も夫も裏切るって宣言でしょ?」
「…っ」
言葉に詰まるカミーユ。ニーナは「はあ」とため息を吐いた。
「…貴女の考えはわかったし、帰るわ」
ニーナはツカツカ歩いて部屋の扉の方、つまりカミーユの立っている方へと近付く。
そしてカミーユの横で立ち止まった。
「私、前世では一介のイルミでB-rightとも莉音ともファン以上の関わりはなかったのに、何で莉音と同じ世界に転生したのかと思ってたんだけど、わかったわ」
「は?」
視線だけでカミーユを見る。
カミーユは眉を顰めてニーナを見ていた。
「貴女からリオン殿下を守るためよ」
そう言うと、ニーナはノブを掴んで扉を開ける。
「なっ」
廊下に出ると、何か言いたそうに振り向いたカミーユの目の前で扉を閉めた。
玄関ホールまで来ると、そこから伸びる螺旋状の階段をエラが駆け降りて来る。
「ニーナ!」
「エラ」
エラは立ち襟にフリルが付いた細身のドレスを着て、髪を右側に寄せて緩く三つ編みにしていた。
うわあ、エラかわいいし、綺麗。部屋着なんだろうけど、品があってさすが公爵令嬢って感じ。
階段を降りてニーナに駆け寄ったエラはニーナの両手を取ってぎゅっと握った。
「ニーナが来てるって、こっそり教えてくれたの」
玄関ホールの隅にニーナを出迎えてくれた男性が立っている。
「お義姉様たちに見張られてるんじゃ?」
「そうなの。でもマーゴットお義姉様、今お昼寝中で」
小さく舌を出すエラ。
んあ~イタズラっぽい表情もかわいい!
「あ、でも、そろそろカミ…お義母様が戻って来るかも。エラ、これ読んで」
今来た廊下の方を振り返りながら、ニーナはスカートのポケットから折り畳んだ紙を出した。
「来てくれてありがとう。ニーナ」
エラは嬉しそうに笑うと差し出された紙を受け取る。
「エラには会えないと思ってたから手紙を書いて来たの。でも顔が見られて良かったわ」
「エラ様」
男性が小声で言った。
「またね」
「うん」
カミーユが戻って来る気配がしたのだと察して、エラは階段の方へと駆け出し、ニーナも玄関扉の方へと歩き出す。
「エラを呼んでくださってありがとうございました」
ニーナは扉を開けてくれようとしている、ニーナを出迎えてくれた男性に小声で言うと頭を下げた。
「いえ。これからもエラ様をどうかよろしくお願いいたします」
男性はニコリと笑う。
ニーナは「こちらこそ」と頷くと、玄関扉を出た。
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自分の部屋へ戻ったエラはニーナから貰った折り畳んだ紙を開く。
【私もテオバルト様のパートナーとして舞踏会に出る事になったの。エラのドレスもちゃんと準備してるから心配しないでね。お父様がいない間に何かあったらすぐ連絡して。またうちに逃げて来ても良いからね】
「舞踏会…か」
エラは小さく呟くと、ため息を吐いた。
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ギブソン家に帰って来たニーナは、ニーナの客人が待っていると知らされて、応接室へと向かう。
客人って誰だろ?
特に約束はしてないけどテオバルト様かな?
応接室の扉をノックして扉を開けると、ソファに四人の男性が座っているのが目に入った。
「ニーナ!」
一番に立ち上がったのは、黒髪に、薄く色のついた眼鏡を掛けたリオンだ。
「え!?リオン殿下!?」
「どうして一人で会いに行ったりするんだ!」
リオンはニーナに歩み寄ると、両肩を掴んだ。
「え…っと」
リオン殿下、怒ってる?
そういえば「エラの所へ遊びに行く」って宣言した時、リオン殿下に「一人では行くな」って言われてたっけ。
「リオンに『ニーナが一人でゴールドバーグ家へ行った』と知らせたら、直ぐに来たんだよ」
ソファに足を組んで座っているテオバルトがニヤニヤしながら言う。
その向かいに座りニーナとリオンの方を振り向いているレジスも眉を上げ、テオバルトの隣りのジェラルドはソファにもたれて呆れ顔だ。
リオンはニーナの肩を掴んだ両手に力を入れる。
「……心配した」
そう言うと、眉を顰めて唇を引き結ぶリオン。
心配してくれたんだ。私の事。
嬉しい、な。
………いや。
いやいやいや、私、ここ喜ぶ処じゃないよ。
心配したのは私の事だけじゃなくて、連れ戻されたエラの事もだし、カミーユの事もだろうし。
「そろそろ話してくれてもいいのでは?」
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