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エピローグ
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36
ローズは白い世界で目覚めた。
「何?ここどこ?」
起き上がって周りを見る。どこまでも白い。
さっきまで幸せな夢を見ていた気がする。
「誰か…誰かいないの?」
立ち上がって歩く。ほんの数歩。
白い世界で自分の声さえ現実味がない。段々と自分が真っ直ぐ立っているかどうかも分からなくなって来る。
「怖い…誰か…」
すると目の前に人影が現れた。
「…ランドルフ?」
現れた人物はゲームの世界で生徒会長だったランドルフだった。
「分かりやすくランドルフの姿形を借りておりますが、私はゲームの管理人です。『人』ではないですが」
「管理人?」
「貴女、ゲームをリセットしたんですよ?覚えてますか?」
「…!だってヒロインが断罪されるなんて間違ってるでしょ?それよりここはどこなの!?早く新しいゲームの世界へ行かせてよ!今度こそロイド殿下を手に入れるから!」
捲し立てるローズをランドルフは片手を掲げて制する。
「貴女はもう新しいゲームの世界へは行けませんよ」
「え?」
「少なくとも、現実世界となったあの世界で、ロイドが生きている限りはここで見ていてください」
「…見て?」
ランドルフが白い世界を指差すと、そこにぼんやりとある景色が浮きあがって来た。曇ったガラスを手で拭いたような楕円形だ。
「これは…卒業パーティー?」
景色の向こうには学園の講堂が見えた。
ローズは浮かび上がった景色に向かって足を踏み出す。
ところが、景色は歩いても歩いても一向に近付かない。
「これには触れませんし、音も聞こえません。もちろんこちらの声も届きません。あくまで『見る』だけです」
ランドルフの声にローズは振り向く。
「何…?」
「リセットってそう簡単にする物じゃないんですよ。突然他の人たちの人生をぶった切るんですからね」
「…だって、ゲームでしょ?」
「自分が登場人物だったらどう思うか、とか考えませんか?」
「ゲームだもの。私がヒロインだもの。リセットする権利があるわ」
「最後までそういう人なんですね…まあだからこその罰です。これは」
「罰?」
景色の中にロイドの姿が写った。
髪を後ろに流していて、シルバーの夜会服に白手袋が凛々しい。
「ロイド殿下!」
ローズは思わず景色に近付くが、やはり景色は近付かない。
ロイドの隣に立つリザが写る。ロイドと同じシルバーのドレスにウエストに黒に見えるが濃い紫のリボンが結ばれている。
「あの女!何ロイド殿下とお揃いのドレスなんか着てるの!?」
リザとロイドは腕を組み、時折顔を寄せ、笑い合う。
「殿下の笑顔…何であんな女に向けるの!殿下はヒロインの私の物でしょう!」
ローズはランドルフに掴み掛かる。
「あれはあの女の卒業パーティーね!?何でリセットしたのに続いてるの!?」
「あの世界は貴女の手を離れ、現実になったんです」
ランドルフは落ち着いて言う。
「現実に?」
「そうです。貴女にはここで、ロイドの人生の終焉までを、ただ見ていてもらいます」
ランドルフはそう言うと、ローズの手首を掴んで降ろす。
「その後は転生する前の人生に戻してあげますよ。今度は27歳で死なないように注意して生きてくださいね」
にっこり笑って言う。
「前の人生?」
「ただ、私もそれなりに忙しいので、貴女がここにいる事を忘れてしまわないと良いのですが」
そう言うと、ランドルフの姿が消える。
「……」
ローズは暫く呆然とした後、白い世界に浮かぶ、景色に視線をやる。
ロイドとリザが踊っている。見つめ合って。
「いや…」
周りを見渡す。景色以外は真っ白な世界だ。
ただ見ているだけなんて、ゲームと同じだ。いや、ここにはコントローラーもない。音声もない。ただただ見る事しかできないのだ。
「いやあぁぁぁ!」
ローズの叫びは白い世界に吸い込まれて、消えた。
ー了ー
ローズは白い世界で目覚めた。
「何?ここどこ?」
起き上がって周りを見る。どこまでも白い。
さっきまで幸せな夢を見ていた気がする。
「誰か…誰かいないの?」
立ち上がって歩く。ほんの数歩。
白い世界で自分の声さえ現実味がない。段々と自分が真っ直ぐ立っているかどうかも分からなくなって来る。
「怖い…誰か…」
すると目の前に人影が現れた。
「…ランドルフ?」
現れた人物はゲームの世界で生徒会長だったランドルフだった。
「分かりやすくランドルフの姿形を借りておりますが、私はゲームの管理人です。『人』ではないですが」
「管理人?」
「貴女、ゲームをリセットしたんですよ?覚えてますか?」
「…!だってヒロインが断罪されるなんて間違ってるでしょ?それよりここはどこなの!?早く新しいゲームの世界へ行かせてよ!今度こそロイド殿下を手に入れるから!」
捲し立てるローズをランドルフは片手を掲げて制する。
「貴女はもう新しいゲームの世界へは行けませんよ」
「え?」
「少なくとも、現実世界となったあの世界で、ロイドが生きている限りはここで見ていてください」
「…見て?」
ランドルフが白い世界を指差すと、そこにぼんやりとある景色が浮きあがって来た。曇ったガラスを手で拭いたような楕円形だ。
「これは…卒業パーティー?」
景色の向こうには学園の講堂が見えた。
ローズは浮かび上がった景色に向かって足を踏み出す。
ところが、景色は歩いても歩いても一向に近付かない。
「これには触れませんし、音も聞こえません。もちろんこちらの声も届きません。あくまで『見る』だけです」
ランドルフの声にローズは振り向く。
「何…?」
「リセットってそう簡単にする物じゃないんですよ。突然他の人たちの人生をぶった切るんですからね」
「…だって、ゲームでしょ?」
「自分が登場人物だったらどう思うか、とか考えませんか?」
「ゲームだもの。私がヒロインだもの。リセットする権利があるわ」
「最後までそういう人なんですね…まあだからこその罰です。これは」
「罰?」
景色の中にロイドの姿が写った。
髪を後ろに流していて、シルバーの夜会服に白手袋が凛々しい。
「ロイド殿下!」
ローズは思わず景色に近付くが、やはり景色は近付かない。
ロイドの隣に立つリザが写る。ロイドと同じシルバーのドレスにウエストに黒に見えるが濃い紫のリボンが結ばれている。
「あの女!何ロイド殿下とお揃いのドレスなんか着てるの!?」
リザとロイドは腕を組み、時折顔を寄せ、笑い合う。
「殿下の笑顔…何であんな女に向けるの!殿下はヒロインの私の物でしょう!」
ローズはランドルフに掴み掛かる。
「あれはあの女の卒業パーティーね!?何でリセットしたのに続いてるの!?」
「あの世界は貴女の手を離れ、現実になったんです」
ランドルフは落ち着いて言う。
「現実に?」
「そうです。貴女にはここで、ロイドの人生の終焉までを、ただ見ていてもらいます」
ランドルフはそう言うと、ローズの手首を掴んで降ろす。
「その後は転生する前の人生に戻してあげますよ。今度は27歳で死なないように注意して生きてくださいね」
にっこり笑って言う。
「前の人生?」
「ただ、私もそれなりに忙しいので、貴女がここにいる事を忘れてしまわないと良いのですが」
そう言うと、ランドルフの姿が消える。
「……」
ローズは暫く呆然とした後、白い世界に浮かぶ、景色に視線をやる。
ロイドとリザが踊っている。見つめ合って。
「いや…」
周りを見渡す。景色以外は真っ白な世界だ。
ただ見ているだけなんて、ゲームと同じだ。いや、ここにはコントローラーもない。音声もない。ただただ見る事しかできないのだ。
「いやあぁぁぁ!」
ローズの叫びは白い世界に吸い込まれて、消えた。
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