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「パット、ジュリに来週の舞踏会、エスコートしなくて良いって言われたんだけど…」
学園の休みの日にデンゼル家に帰って来ていたパトリシアに、兄フレデリックがそう声を掛けた。
「え?ジュリアナ様が?」
「ああ。ジュリと婚約して二年経つけど、初めてそんな事言われたよ。どうしたんだろう?」
この間、食堂でジュリアナ様がバーンズ様とフェアリ様を巡って言い争ってたのが原因?
つまり…ジュリアナ様はフェアリ様を好きに…?
「さ、さあ?何故かしら?…あら、お兄様お出掛けですか?」
フレデリックは外出用の服を着て手袋を着けていた。
「ああ。レスターの所へ」
「レスター王太子殿下?」
「ああ、何か話したい事があるって言うから」
レスターはアレンとアランの兄で、第一王子で王太子だ。フレデリックとは同じ歳の幼なじみで、学園を卒業して五年経つ今でも仲が良いのだ。
-----
「初めまして。レスター王太子殿下。ロード・フェアリと申します」
恭しく頭を下げるロードを、レスターは呆然として見つめた。
「レスター殿下?」
ロードの隣に立つマリアンが不思議そうな表情でレスターに声を掛ける。
マリアンとレスターは同じ歳。レスターが学園の四年生で生徒会長になった時の副会長がマリアンなので元々よく知る間柄だ。更に学園での舞踏会や卒業パーティーの際、王太子が来賓として招かれるため、生徒会顧問のマリアンと打ち合わせなどで会う機会は年に数回はあるのだ。
「あ、いや…」
レスターはロードから目を逸らすと、小さく頭を振る。
何だ?これは。
「マリアン嬢、何故今日彼を伴って来たんだ?」
「私がレスター王太子殿下にお会いしたいと無理を言って連れて来ていただきました」
ロードが頭を下げる。
「私に?何故?それに…」
王族に会いたいと言う者を何の予告なく連れて来て不意打ちで会わせるなど、あるまじき行為だろう。マリアン嬢とは学園の頃からの付き合いで、今までその様な真似をした事はないし、よくわかっていると思っていたが…?
レスターがマリアンを見ると、やはりわかっている様で、ソファで肩を竦めて俯いている。
「どうしても、と、私が無理を言ったのであって、先生は悪くありません」
ロードがマリアンを庇う様に言うが、レスターは小さくため息を吐いた。
「無理を言われたから通す。それで『自分は悪くない』のか?マリアン嬢」
「いいえ。私が…ロードの…フェアリくんの希望を聞いてあげたかったんです。申し訳ありません」
俯いたままマリアンは言う。少し震えているようだ。
「…今後暫くの間、マリアン嬢は王宮への出入りを禁じる。生徒会の用件はアレンに伝える様に」
レスターは抑揚のない声で言う。
「はい」
マリアンは俯いたまま、頷いた。
「ではマリアン嬢は少しの間応接室から出ていろ。ロード・フェアリと二人で話す」
「それは…」
マリアンは顔を上げてレスターを見た。
初対面の人間と王太子が二人きりになるなんて。そう言いた気なマリアンにレスターは口角を上げて言う。
「部屋の外には侍従も居るし、一声で騎士も駆け付ける。それともマリアン嬢はロード・フェアリが私に何かすると思っているのか?そのような人物を不意打ちで私に会わせたと?」
「いっ…いいえ」
マリアンが応接室を出て行き、レスターとロードは向かいあってソファに座る。
「ロード・フェアリ、目的は何だ?」
「王太子殿下、私は…運命を感じたんです…」
ロードはうっとりとした表情で言う。
「運命?」
「私は、王太子殿下…レスター殿下をお慕いしています。だからどうしてもお会いしたかった」
少し潤んだ瞳でレスターを見るロード。
「…私は男だぞ?お前も男だろう?」
「そうです。しかし恋に性別は関係ありませんから」
「関係ないか?」
「ないと思います」
レスターは少し笑うと、ロードに言う。
「何故会った事もない私を慕っているなどと言う?」
「…レスター殿下が立太子なさった日、王城のバルコニーに出られましたよね?」
「ああ」
「私はあの時、バルコニーで手を振られているレスター殿下に目を奪われました。一目惚れです」
「ほう」
「その時の私は没落男爵家の子でしかなくて…その後伯爵家の養子となり、学園へ入れて、生徒会のサポートメンバーにもなれました。段々とレスター殿下に近付いている気がして嬉しかった…」
「だから、運命だと?」
「はい。お会いすれば必ず殿下にも運命を感じて頂けると確信しておりました」
「なかなかの自信家だな。ロード・フェアリ」
ロードは苦笑いするレスターを見据えると、ニッコリと笑って言った。
「感じたでしょう?殿下も、運命を」
「パット、ジュリに来週の舞踏会、エスコートしなくて良いって言われたんだけど…」
学園の休みの日にデンゼル家に帰って来ていたパトリシアに、兄フレデリックがそう声を掛けた。
「え?ジュリアナ様が?」
「ああ。ジュリと婚約して二年経つけど、初めてそんな事言われたよ。どうしたんだろう?」
この間、食堂でジュリアナ様がバーンズ様とフェアリ様を巡って言い争ってたのが原因?
つまり…ジュリアナ様はフェアリ様を好きに…?
「さ、さあ?何故かしら?…あら、お兄様お出掛けですか?」
フレデリックは外出用の服を着て手袋を着けていた。
「ああ。レスターの所へ」
「レスター王太子殿下?」
「ああ、何か話したい事があるって言うから」
レスターはアレンとアランの兄で、第一王子で王太子だ。フレデリックとは同じ歳の幼なじみで、学園を卒業して五年経つ今でも仲が良いのだ。
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「初めまして。レスター王太子殿下。ロード・フェアリと申します」
恭しく頭を下げるロードを、レスターは呆然として見つめた。
「レスター殿下?」
ロードの隣に立つマリアンが不思議そうな表情でレスターに声を掛ける。
マリアンとレスターは同じ歳。レスターが学園の四年生で生徒会長になった時の副会長がマリアンなので元々よく知る間柄だ。更に学園での舞踏会や卒業パーティーの際、王太子が来賓として招かれるため、生徒会顧問のマリアンと打ち合わせなどで会う機会は年に数回はあるのだ。
「あ、いや…」
レスターはロードから目を逸らすと、小さく頭を振る。
何だ?これは。
「マリアン嬢、何故今日彼を伴って来たんだ?」
「私がレスター王太子殿下にお会いしたいと無理を言って連れて来ていただきました」
ロードが頭を下げる。
「私に?何故?それに…」
王族に会いたいと言う者を何の予告なく連れて来て不意打ちで会わせるなど、あるまじき行為だろう。マリアン嬢とは学園の頃からの付き合いで、今までその様な真似をした事はないし、よくわかっていると思っていたが…?
レスターがマリアンを見ると、やはりわかっている様で、ソファで肩を竦めて俯いている。
「どうしても、と、私が無理を言ったのであって、先生は悪くありません」
ロードがマリアンを庇う様に言うが、レスターは小さくため息を吐いた。
「無理を言われたから通す。それで『自分は悪くない』のか?マリアン嬢」
「いいえ。私が…ロードの…フェアリくんの希望を聞いてあげたかったんです。申し訳ありません」
俯いたままマリアンは言う。少し震えているようだ。
「…今後暫くの間、マリアン嬢は王宮への出入りを禁じる。生徒会の用件はアレンに伝える様に」
レスターは抑揚のない声で言う。
「はい」
マリアンは俯いたまま、頷いた。
「ではマリアン嬢は少しの間応接室から出ていろ。ロード・フェアリと二人で話す」
「それは…」
マリアンは顔を上げてレスターを見た。
初対面の人間と王太子が二人きりになるなんて。そう言いた気なマリアンにレスターは口角を上げて言う。
「部屋の外には侍従も居るし、一声で騎士も駆け付ける。それともマリアン嬢はロード・フェアリが私に何かすると思っているのか?そのような人物を不意打ちで私に会わせたと?」
「いっ…いいえ」
マリアンが応接室を出て行き、レスターとロードは向かいあってソファに座る。
「ロード・フェアリ、目的は何だ?」
「王太子殿下、私は…運命を感じたんです…」
ロードはうっとりとした表情で言う。
「運命?」
「私は、王太子殿下…レスター殿下をお慕いしています。だからどうしてもお会いしたかった」
少し潤んだ瞳でレスターを見るロード。
「…私は男だぞ?お前も男だろう?」
「そうです。しかし恋に性別は関係ありませんから」
「関係ないか?」
「ないと思います」
レスターは少し笑うと、ロードに言う。
「何故会った事もない私を慕っているなどと言う?」
「…レスター殿下が立太子なさった日、王城のバルコニーに出られましたよね?」
「ああ」
「私はあの時、バルコニーで手を振られているレスター殿下に目を奪われました。一目惚れです」
「ほう」
「その時の私は没落男爵家の子でしかなくて…その後伯爵家の養子となり、学園へ入れて、生徒会のサポートメンバーにもなれました。段々とレスター殿下に近付いている気がして嬉しかった…」
「だから、運命だと?」
「はい。お会いすれば必ず殿下にも運命を感じて頂けると確信しておりました」
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