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ふわふわと、身体が浮かんでいるような感覚。
「さて、どうしようかな。確実にパトリシアちゃんを手に入れるなら、もっと大々的に、言い逃れも誤魔化しも出来ない位の状況が必要なんだけどな」
…この声は…ロード様?
「それとも、エドワードが俺には価値がないみたいな事言うから、思わず薬飲ませちゃったけど…これからは警戒されるだろうから、このチャンスはモノにしといた方が良いのか?」
エドワード…誰…?だっけ…
「でもなあ、何しろ身分も高いし、王子の嫁になるような女だから、今ここで犯っちゃったとして、例え妊娠したとしても、どうにでもしてなかった事にされちゃうだろうし、俺の存在も消されるかも知れないもんな」
…何…を言ってるの?
「この薬が使えるのはわかったし、今回はこの辺で良いか。充分宣戦布告にはなったかな」
宣戦布告?誰に?
「あいつもさすがに婚約者に手を出されそうになれば少しは慌てるだろ」
あいつ?アランの事?
「それにしても、背中の編み上げといい、分厚いパニエといい、このドレスからは『パトリシアに手を出すな』って意思がひしひしと伝わるね。指示したのはアランなのかな。やっぱり」
ドレス?ドレスのデザインが…何…?
「やっぱり関心なさそうに見えてもパトリシアちゃんを大切にしてるんだなあ」
大切…に…
「でも俺だって本当にパトリシアちゃんの事、好きだし。一番、特別に、好きだよ。パトリシアちゃん」
顔に息がかかる感覚。それから唇に柔らかい物が触れた。
…いや。
顔を背けようとしても動かせない。声も出ない。目も開かない。
「あーここにスマホがあれば犯っちゃってる動画撮って証拠にできるのになあ。仕方ないから原始的にマーキングしとくか」
いたっ。
首筋にチリッとした痛みが走った。
「パトリシアちゃん、ピクンとしちゃってかーわいい。早く俺のモノにしたいなあ」
何を…言って……私は……
また、パトリシアの意識は白い世界に飲み込まれて行った。
-----
アレンは静まり返った校舎の廊下を歩き、一つ一つの教室の扉を開けて人が居ない事を確かめる。
校舎ではなかったのか?
気持ちは焦るが、極力物音を立てないように行動する。
そもそもパトリシアを連れ出したのが本当にロードなのか、確信がある訳ではない。それでもロードに気付かれてパトリシアに危害を加えられる訳にはいかない。
一階の端にある教員準備室の扉を開くと、奥の長椅子に横たわるパトリシアが見えた。
「パティ!」
アレンは飛び込む様に部屋に入ると、長椅子に駆け寄る。
部屋にはパトリシア一人しか居なかった。
パトリシアは意識がないようだ。アレンがパトリシアの背中に手を入れて抱き起すと、アレンにもたれるような姿勢になったパトリシアの首筋が露わになる。
そこにある、小さな、赤い印。
「…!」
一瞬、息が止まった。
「……まさか」
アレンは頭を横に振り、大きく息を吸うと、パトリシアの全身を観察する。
髪も服も乱れてはいない。ドレスの背中の細かい編み上げのリボンにも異常はない。恐らくこのキスマークはロードからの「パトリシアは俺のモノ」と言う宣戦布告だろう。
「駄目だ。パティは…」
パティは、俺たち兄弟の幼なじみで、アランの婚約者。
いや、パティは…
「パティは、俺の…」
アランはそう呟くと、パトリシアを強く抱きしめた。
教員準備室の外、廊下の影からそっと扉に近付いたロードは、中の様子を静かに窺う。
パトリシアを抱きしめる男の影。
…あれは?
机に隠れて髪が見えないが、夜会服の裾と足が見える。黒い服のあれは、アレンじゃないのか?
アランとアレンが一緒にパトリシアちゃんを探していて、たまたま先に見つけたのがアレン、という事なのか?
そりゃ、アレンにとってもパトリシアちゃんは幼なじみで、特別な存在には違いないだろうけど…弟の婚約者を抱きしめるか?普通。
「パティ、大丈夫か?」
中から声が聞こえる。
パトリシアちゃんの目が覚めたのかな?
「…アラン…?」
小さなパトリシアの声が微かに聞こえた。
「ああ。もう大丈夫だからな」
ん?紺の服が黒く見えただけで、あの男はアランなのか?
どっちにしろ、もうこの部屋から出て来るだろうから、俺は隠れなくちゃ。
ロードが廊下を曲がった壁の影に移動した所で、パトリシアを抱いた男が準備室から出て来る。
アランとアレン、どっちなのか姿を見たいけど…覗いたら気付かれそうな気がする。特にアレンなら。
ロードは影で息を潜めたまま、足音が遠ざかるのをじっと待った。
ふわふわと、身体が浮かんでいるような感覚。
「さて、どうしようかな。確実にパトリシアちゃんを手に入れるなら、もっと大々的に、言い逃れも誤魔化しも出来ない位の状況が必要なんだけどな」
…この声は…ロード様?
「それとも、エドワードが俺には価値がないみたいな事言うから、思わず薬飲ませちゃったけど…これからは警戒されるだろうから、このチャンスはモノにしといた方が良いのか?」
エドワード…誰…?だっけ…
「でもなあ、何しろ身分も高いし、王子の嫁になるような女だから、今ここで犯っちゃったとして、例え妊娠したとしても、どうにでもしてなかった事にされちゃうだろうし、俺の存在も消されるかも知れないもんな」
…何…を言ってるの?
「この薬が使えるのはわかったし、今回はこの辺で良いか。充分宣戦布告にはなったかな」
宣戦布告?誰に?
「あいつもさすがに婚約者に手を出されそうになれば少しは慌てるだろ」
あいつ?アランの事?
「それにしても、背中の編み上げといい、分厚いパニエといい、このドレスからは『パトリシアに手を出すな』って意思がひしひしと伝わるね。指示したのはアランなのかな。やっぱり」
ドレス?ドレスのデザインが…何…?
「やっぱり関心なさそうに見えてもパトリシアちゃんを大切にしてるんだなあ」
大切…に…
「でも俺だって本当にパトリシアちゃんの事、好きだし。一番、特別に、好きだよ。パトリシアちゃん」
顔に息がかかる感覚。それから唇に柔らかい物が触れた。
…いや。
顔を背けようとしても動かせない。声も出ない。目も開かない。
「あーここにスマホがあれば犯っちゃってる動画撮って証拠にできるのになあ。仕方ないから原始的にマーキングしとくか」
いたっ。
首筋にチリッとした痛みが走った。
「パトリシアちゃん、ピクンとしちゃってかーわいい。早く俺のモノにしたいなあ」
何を…言って……私は……
また、パトリシアの意識は白い世界に飲み込まれて行った。
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アレンは静まり返った校舎の廊下を歩き、一つ一つの教室の扉を開けて人が居ない事を確かめる。
校舎ではなかったのか?
気持ちは焦るが、極力物音を立てないように行動する。
そもそもパトリシアを連れ出したのが本当にロードなのか、確信がある訳ではない。それでもロードに気付かれてパトリシアに危害を加えられる訳にはいかない。
一階の端にある教員準備室の扉を開くと、奥の長椅子に横たわるパトリシアが見えた。
「パティ!」
アレンは飛び込む様に部屋に入ると、長椅子に駆け寄る。
部屋にはパトリシア一人しか居なかった。
パトリシアは意識がないようだ。アレンがパトリシアの背中に手を入れて抱き起すと、アレンにもたれるような姿勢になったパトリシアの首筋が露わになる。
そこにある、小さな、赤い印。
「…!」
一瞬、息が止まった。
「……まさか」
アレンは頭を横に振り、大きく息を吸うと、パトリシアの全身を観察する。
髪も服も乱れてはいない。ドレスの背中の細かい編み上げのリボンにも異常はない。恐らくこのキスマークはロードからの「パトリシアは俺のモノ」と言う宣戦布告だろう。
「駄目だ。パティは…」
パティは、俺たち兄弟の幼なじみで、アランの婚約者。
いや、パティは…
「パティは、俺の…」
アランはそう呟くと、パトリシアを強く抱きしめた。
教員準備室の外、廊下の影からそっと扉に近付いたロードは、中の様子を静かに窺う。
パトリシアを抱きしめる男の影。
…あれは?
机に隠れて髪が見えないが、夜会服の裾と足が見える。黒い服のあれは、アレンじゃないのか?
アランとアレンが一緒にパトリシアちゃんを探していて、たまたま先に見つけたのがアレン、という事なのか?
そりゃ、アレンにとってもパトリシアちゃんは幼なじみで、特別な存在には違いないだろうけど…弟の婚約者を抱きしめるか?普通。
「パティ、大丈夫か?」
中から声が聞こえる。
パトリシアちゃんの目が覚めたのかな?
「…アラン…?」
小さなパトリシアの声が微かに聞こえた。
「ああ。もう大丈夫だからな」
ん?紺の服が黒く見えただけで、あの男はアランなのか?
どっちにしろ、もうこの部屋から出て来るだろうから、俺は隠れなくちゃ。
ロードが廊下を曲がった壁の影に移動した所で、パトリシアを抱いた男が準備室から出て来る。
アランとアレン、どっちなのか姿を見たいけど…覗いたら気付かれそうな気がする。特にアレンなら。
ロードは影で息を潜めたまま、足音が遠ざかるのをじっと待った。
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