双子の王子と悪役令嬢な私。そしてヒロインは男の子。

ねーさん

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「父上と兄上にエリザベスとの婚約解消を申し出る」
「アレン!?」
「そうだろうな…」
 夕方、王宮へ帰る馬車の中で、アレンが言い、パトリシアとアランがそれぞれその言葉に反応する。
「アレン…私…エリザベス様を退けるつもりなんて…」
 アレンの隣に座るパトリシアが言うと、アレンは少し不機嫌そうに眉を顰める。
「じゃあパティは俺がエリザベスと結婚しても良いのか?」
「う…」
 パトリシアは口をパクパクと開け閉めすると、絞り出すように
「…嫌」
 と小声で呟いた。
 頬を赤くするパトリシアにアレンは破顔する。
「それに、もしかすると俺の子供ができたかも知れないしな」
「「ええ!?」」
 アレンが嬉しそうに言うと、パトリシアとアランが同時に驚きの声を上げた。
「お前…パティとくっついたと思ったら一気にそこまで…?意外と手が早いな」
 アランが愕きの表情で言うと、アレンは苦笑いを浮かべた。
「パティは何故驚いてるんだ?」
 不思議そうにアランが言うと、パトリシアは耳まで赤くなる。
「あの…だって、その…途中で…」
 パトリシアが言いにくそうに言うと、アランは「途中?」と言う。
「うう~~」
 パトリシアが真っ赤になって絶句すると、アレンは笑いながらパトリシアを抱き寄せた。
「う~~」
 アレンの胸に顔を埋めて額をグリグリと押し付ける。
「仮にもまだ婚約者である俺の目の前でイチャイチャするとは…」
 アランが呆れた顔で言うが、アレンは構わずパトリシアの背中を撫でる。
「パティ。避妊具なしで挿入した時点で射精しなくても妊娠する可能性はあるんだぞ」
「きゃああ!!」
 アレンがしれっと言うとパトリシアは叫び声を上げる。
「ああ…正確には挿入しなくても状況によっては可能性はあるんだったか」
「きゃあ!アランまで!」
 アランも事もなげに言い、パトリシアはますますアレンの胸に顔を押し付けた。

「パティ、俺たち王族は学園に入る前に閨教育があるんだ」
 アレンはパトリシアの背中を撫でながら言う。
「…うん。聞いてる」
 パトリシアは顔を押し付けたまま頷く。
 閨教育とは、性教育の事で、貴族令嬢は家庭教師と母親から教わるのだが、最後は「旦那様にお任せして…」と濁されるのが定番だ。
 それでも現状は皆、小説や演劇などでそれなりの知識を得ているのだが。
「王族がその教育を受けるのは、半端な知識で女性に接して落胤騒動などを起こさないためだ」
 パトリシアも王子妃教育の中で、王族がそういう教育を受けると言う事は聞いている。女性王族は学科のみだが、男性王族には実地もある事も。
「俺とアランは十四歳の誕生日にその教育を受けた」
「……え」
 パトリシアは顔を上げてアレンを見る。
 十四歳の誕生日?
 アレンは十四歳の誕生日に前世の事を思い出したって言っていなかった?
 カタンと、少しの振動が伝わって馬車が止まる。
「着いたな。パティ続きはまた後で」

 馬車が王城に到着し、王宮へ通じる廊下を歩く三人を見て、王城の使用人が騒めく。
「アラン殿下が二人?」
「え?お二方とも髪が短い!」
「どっちがアレン殿下なんだ?」
「髪型が同じだと見分けがつかないな」
「パトリシア様が真ん中だからどちらがどちらなのか全くわからん」

 王宮に入ると、アレンの侍従のジェイが近寄って来た。
「アレン殿下、アラン殿下、レスター殿下がお呼びです」
「ああ」
「わかった。パティも一緒においで」
 アランが頷き、アレンがパトリシアにそう言う。
「え?でも…」
「講堂で倒れた時の様子を説明して欲しいんだ。俺たちどちらも倒れた後の生徒たちの様子しか見ていないから」
「あ…そうね」
「なあ、ジェイは俺たちがどっちがどっちかわかるか?」
 アランがそう言うと、ジェイは二人を見比べて「こちらがアレン殿下、こちらがアラン殿下ですね」と正確に示した。
「すごいわ」
 パトリシアが目を見開く。
「見分けが付くのか?」
 アレンが興味深そうに言うと、ジェイは肩を竦めた。
「…実は昨日アレン殿下の髪を整えた時、襟足を切りすぎた箇所がありまして。それでわかりました」


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