シスコン婚約者の最愛の妹が婚約解消されました。

ねーさん

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表向き、セルダは立太子式の後、改めて婚約者を選定するという事になっているが、王宮の中枢の者はセルダが立太子式までに意中の令嬢に求婚するという事を知っている。
そこで、自身の娘オリビアを王太子妃にしたいと考えるエバンス侯爵はセルダの求婚相手を探し始めた。
セルダが学園内で誰かと会ったりしていないかを探らせるため、オリビアを生徒会のサポートメンバーにした。それはオリビアをセルダに近付ける目的もあった。

令嬢と連絡を取るのを確認するため、セルダの密使も探る。
セルダは秘密裏にも表向きにも色々な所へ色々な書簡や物を送っていた。もちろんエバンス侯爵家にもそれは届いた。
それでも頻度などから確証はないながらバーストン伯爵家に当たりをつけたのだ。

「父はどうしても王家に娘を嫁がせたいの」
オリビアはため息混じりに言う。
「…何故かしらね?例え私が王妃になったとしても、そんなに権勢を振るえるとも思えないのだけれど…届きそうで届かないから、意地になってるのかしら?」
パリヤの婚約者にアリシアが、セルダの婚約者にリリアが決まった時、エバンス侯爵は本当に悔しそうだった、とオリビアは言う。それでも諦め切れず、最近はハリジュへ婚姻話を持って行っていたらしい。
「そんな押し売りのような真似、私の価値が下がりますのにね」
呆れたようにオリビアは言う。
「セルダ殿下のご婚約が解消されて、父はまたチャンスが巡って来たと思ったようよ。セルダ殿下とその令嬢が上手くいかなければこちらに話が来るって本気で思っているみたい」
オリビアがデザイン画の入った封筒を手に取る。
「でも貴女と殿下は上手くいっているみたいね?」
封筒の中の紙の束を取り出すと、封筒をテーブルに戻す。
そして紙の束を数枚捲り、ふふっと笑った。
「生徒会室に来た時、貴女は何も持っていなかったわ。でも教室に戻った時にはこの封筒を持っていた。…殿下から渡されたという事よね」
パラパラ捲っていた紙の束をベッドに座ったリネットの前にバサリと投げ置いた。紙がばらけて何枚かベッドの下へも落ちる。
「殿下からドレスを贈られるのでしょう?」
オリビアがベッドに片膝を乗り上げてリネットに迫る。
膝の下でデザイン画がグシャリと音を立てた。
リネットは「違う」と、首を横に振ろうとしたけれど、オリビアに顎を掴まれてできなかった。
「父に貴女が一人になったら攫えと指示されたの。もし貴女が婚約者候補の令嬢ではなかったら、また次の候補を同じように陥れたのでしょうね…結果としては、貴女で、正解でしたわ」
オリビアはリネットから手を離し、ベッドから膝を引いて、テーブルにあるランプを手に取る。
「それでも本当に痛めつけるような真似はしないですけど」
オリビアは困ったように笑う。
「『攫われた』という事実だけで充分な醜聞ですものね」

-----

万一にも王家の血を引かない者が王座に就くことがないよう、王子の結婚相手には純潔である事を求められる。

令嬢が攫われ、行方不明となる事は、それだけで醜聞となる。何もされていないという証明ができないからだ。
王家でない貴族には、そこまで厳格に純潔にこだわる風潮はないが、醜聞ある令嬢は敬遠される傾向はある。

天蓋のカーテンを閉め、オリビアが部屋を出て行く。
また部屋は真っ暗になった。
灯りがなくなり、また目が慣れるまでしばらくかかりそうだ。

リネットは目を瞑り、ベッドに横になる。
ベッドにも床にもデザイン画が散らばったままで、リネットが動くとカサカサ音をたてた。

とりあえず、これ以上の危害は加えられないみたいね。
空腹は感じないけど喉がかわいたな…夜明けまであとどのくらいあるんだろう?

先程オリビアの言った言葉を思い出す。

醜聞か…つまり私はセルダ殿下とはもう結婚できない、という事ね。
セルダ殿下がいくら結婚したいと言っても周りは反対するでしょうし…でも私は求婚はお断りするつもりだったから…ああでも、お断りするならお兄様を通してきちんとお断りしたかったな。こんなことになったから殿下も気にされるでしょうし。

…セドリックはどう思うかしら。セドリックもどこで誰に何をされたか分からないような女なんて…嫌だろうな。

セルダと結婚できないと思うよりも、セドリックに敬遠されるかもと思う方が辛かった。

その時、リネットの耳に微かな音が聞こえた。
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