Red And Frower

斗弧呂天

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ダクストンはかなり苛立っていた。
ただでさえ面倒な事件なのに、メディアへの情報の回りが早い。
事件発覚からものの数時間ですでに、女性の遺体がアパートから見つかった事、そしてそれが見るにおぞましい様子であったことは知られている。
かなり厄介な事になる。
そう思い、ダクストンは本日34回目の溜息を漏らした。
「随分参ってるようだな。ダクストン。」
「アーネストか。ああ、さすがにな。」
 署長室のドアをノックもせず入ってきたアーネストに、ダクストンは特に何も言わなかった。
二人は年が近いからか、お互いを同僚のように慕ってきた。
そのため、部下と思えないような言動も、アーネストには許されていた。
「今現在、分かっていることはあるか?」
「まだ名前ぐらいしか。」
「そうか。それにしても酷い話だ。」
「そうだな。」
「まだホシの手掛かりも女の情報も何もかもが足りない。とにかくかき集めてくれ。」
「了解だ。」
その時、アーネストの頭に女の姿がちらついた。
赤と、形容しがたい色にまみれた顔。
その中で唯一残っていたあの瞳。
そして、アーネストは気付いた。
女の顔を見たとき、心の奥で浮かび上がったその感情に。
突然顔色が変わったアーネストをダクストンはいぶかしげに見つめた。
「…ひとつ思った事があるんだが、雑談として聞いてくれるか?」
 ダクストンは椅子に座り直してアーネストの言葉を待った。
「犯人は、なぜ目―眼球だけを残したのだと思う?」
「?そんなの犯人に吐かせりゃいい話だろ。」
「いや、そうじゃない。」
 アーネストはずっと気になっていた事を口にした。
初めて彼女を見たときから、ずっと。
…そうか。


「……美しかったんだ。女の瞳が。」
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