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そんな中、薫には後輩社員もできた。
葬儀部門は『さくら企画』という名称で薫がメイン窓口で動くことになるので、その社員には婚礼部門を担当してもらうことになる。
相川奈津というその後輩社員は元々ピアノ奏者で事務所に籍を置いており、彼が大学生の頃から知っている。事務所でのオーディションにも立ち会い、その素直な人柄をとても気に入ったのだった。
薫はピアノの演奏についてはよく分からないが、美奈子が太鼓判を押していたから間違いないのだろう。 亡くなった母親が、ピアノ講師だと言っていた。
相川とは仕事以外でもよく話をした。
お互いに1人暮らしで、一緒に食事に行ったり、家に泊めたこともある。素直に慕ってくれるのが嬉しくて、弟がいたらこんな感じなのだろうかと、姉しかいない薫は思った。
相川が大学を卒業してピアノの仕事から離れたあとも、定期的に近況などを聞いていた。そんな彼の就職した会社が2年足らずで倒産し、再びピアノの仕事を繋ぎ的に始めた頃の、今回のフューネラル参入だった。
婚礼部門の正社員に、相川を薦めたのは薫だ。
婚礼は未経験だが、打てば響くような資質の良さが相川にはある。嫌味なところは1つもないし、何より素直に人の話を聞けるのは美点だと思う。美奈子曰く、ピアノの腕も抜群らしい。
在籍しているスタッフは多いものの初めてできた後輩社員が薫はかなり嬉しくて、できるかぎり面倒をみようと思ったのだった。
あの日、2、3年で帰ると言っていた櫻井は、結局帰って来なかった。
薫はため息をつきながら、忙しい日々の中で、櫻井のことは心の片隅へといつしか大切に仕舞い込んでいったのだった。
葬儀部門は『さくら企画』という名称で薫がメイン窓口で動くことになるので、その社員には婚礼部門を担当してもらうことになる。
相川奈津というその後輩社員は元々ピアノ奏者で事務所に籍を置いており、彼が大学生の頃から知っている。事務所でのオーディションにも立ち会い、その素直な人柄をとても気に入ったのだった。
薫はピアノの演奏についてはよく分からないが、美奈子が太鼓判を押していたから間違いないのだろう。 亡くなった母親が、ピアノ講師だと言っていた。
相川とは仕事以外でもよく話をした。
お互いに1人暮らしで、一緒に食事に行ったり、家に泊めたこともある。素直に慕ってくれるのが嬉しくて、弟がいたらこんな感じなのだろうかと、姉しかいない薫は思った。
相川が大学を卒業してピアノの仕事から離れたあとも、定期的に近況などを聞いていた。そんな彼の就職した会社が2年足らずで倒産し、再びピアノの仕事を繋ぎ的に始めた頃の、今回のフューネラル参入だった。
婚礼部門の正社員に、相川を薦めたのは薫だ。
婚礼は未経験だが、打てば響くような資質の良さが相川にはある。嫌味なところは1つもないし、何より素直に人の話を聞けるのは美点だと思う。美奈子曰く、ピアノの腕も抜群らしい。
在籍しているスタッフは多いものの初めてできた後輩社員が薫はかなり嬉しくて、できるかぎり面倒をみようと思ったのだった。
あの日、2、3年で帰ると言っていた櫻井は、結局帰って来なかった。
薫はため息をつきながら、忙しい日々の中で、櫻井のことは心の片隅へといつしか大切に仕舞い込んでいったのだった。
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